極端で懐古的な伝統が、この21世紀においても処女膜再生手術を存在させている。処女膜再生手術とは、性体験のある女性の処女膜を再構築して、純潔性を回復する外科的な手法である。
処女膜とは、女性器の入り口にある膜で、リング状の様態をしているものである。初体験時にそこから出血した場合は「100%初挿入である」という、ある種の“指標”ができている。
アラブ諸国などでは、純血性は結婚をする際の基本的な条件となっている。その特性を保持していない場合、“使用済み”と見なされる。また、婚前交渉があった場合は、一年の懲役が科せられる場合もある。例えばモロッコにおいては、無傷の処女膜は、ある種、純潔の証明書となっている。これが社会的圧力となり、処女膜再生手術が求められている。もちろん、これらは秘密裏に行われる。
スペインにおいてこの分野のパイオニアであり、女性器系外科に精通したMaría José Barbaさんは、次のように説明する。
処女膜再生は産婦人科において行われています。時間は15分ほどを費やされ、部分麻酔を使用する場合が多いです。患者さんにより、処女膜の一部が残っている場合は、それらを縫い合わせます。残っていない場合は、膣内の粘膜の一部を用い、縫合して形成します
前出医師は指摘する。「費用は2000ユーロ(約25.4万円)で、痛みはありません。施術の後は、普通に歩くことができます。ただし、15日後に検診をする必要があります」
前出医師は指摘する。「施術は、初夜に当たるであろう日の一カ月前に行わなければなりません。それはパートナーに気付かれないためです」
出血を演出する“中国製の処女膜”も
出典 figura14.com http://figura14.blogspot.jp/2012/02/atencion-hombres-con-el-nuevo-himen.html
一時的な再生(訳者注:粘膜のヒダを集めて縫う簡易的なもの)は、初夜の3、4日前に施術を行う必要があり、270ユーロ(約3.4万円)で実施される。その他、第三の選択肢として、“中国製の処女膜”がある。これはニセの血液が入ったカプセル状のものであり、行為の前に膣へ仕込んでおくのだ。ペニスの挿入によって破れることで、ニセの血液が流れ出す。これは27ユーロ(約3400円)で買うことができる。
処女膜再生の需要の中には、中年女性がパートナーとの性的ファンタジーを実現するために行われる場合もある。純潔性を回復させた上で、パートナーと楽しむのだ。
一方で、性的暴力を受けたことによる悲しむべき事例も存在する。事件前の時点に、人生のページを戻すために処女膜再生は行われる。改めて愛のある関係を持てるように、過去の傷跡を消し去る意味を持つ。
ライター・翻訳家
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