メスを入れずに二重あごを解消できる新薬(脂肪溶解注射)がまもなく(2015年3月)米食品医薬品局(FDA)で認可される。
注射だけで二重あごの下にある脂肪を溶かす同薬は、今週中の承認にむけて米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会でもすでに満場一致で推奨されており、あとは最終的な承認を待つのみとなっている。
スーザン・ヴァインクル博士(2007年以降、薬品の臨床試験に従事するフロリダの皮膚科医)は「顎下脂肪[二重あご]を解消するには、現段階では、その脂肪を切除するか吸引するかの選択しかありませんが、この新薬が認可されれば、メスを入れずに二重あごを解消する治療が可能になります」と説明している。
カリフォルニア州ウエストレークビレッジに拠点とする米製薬会社カイセラ・バイオファーマスーティカルズによると、同薬は体内にある食物脂肪の分解を促進するデオキシコール酸の薬品で、ATX-101と呼ばれている。
「その新薬は脂肪細胞を破壊し、二重あごの脂肪を永久的に消滅させることができます」とFDAに対してカイセラ社のプレゼンテーションを行ったデリク・ジョーンズ博士は説明している。脂肪の細胞膜を破壊して脂肪を破裂させ、脂肪の残骸は自然に体内へ吸収されると言う。
ヴァインクル博士は、あごの下の脂肪の一番多いエリアに小さい点の碁盤目を描き、それぞれの点に2立方センチメートルを注射すると説明している。
注射は5分程度、ただし注射の前に少量の氷を患部にあてるとしている。
ダウンタイムには2~3日を要するが包帯などは不要としている。
カイセラ社の報告では2600人の患者を対象とした19件の臨床研究が行われている。さまざまな皮膚病学界の会議で同社のプレゼンテーションを見てきた一人である、本研究には関与していないヴァンダービルト大学医療センターの皮膚科医・ウィリアム・ステビンス医師によると、「この新薬については以前からよく知っていましたので、実際に世に出ると聞き大変喜ばしいことだと思っています」と話している。
「この新薬で二重あごを解消することは、必ずしも全ての患者さんに適した方法とは言えません。一定の条件に該当する患者さんにとっては一つの選択肢を与えてくれるでしょう」とジョシュア・ツァイヒナー医師(NYマンハッタンにあるマウント・シナイ病院の皮膚科学教授)は説明している。
なお、ツァイヒナー医師 は同薬の開発には関与していない。「ただし、あごと首の下に過剰な皮膚をもつ患者さんは、この新薬の使用は適していません。そういった症状は脂肪ではく皮膚の治療をしなければなりません」といった指摘もしている。
副作用の可能性として、挫傷・膨張・一時的な麻痺がみられた報告がある。
保険は適用外となる。実際の治療費については承認前ということもあり平均的な数字がとれていない。
また、治療期間については、患者が望ましい結果を達成するまでに月一度の注射を最長6カ月間受けていたという臨床研究の結果報告がある。
同薬を使って他の体の部位の脂肪を除去するには、かなり大量の摂取が必要となるため、他の体の部位には使用を勧めていない。
他の体の部位には同薬よりも脂肪吸引や他の治療法のほうがはるかに効率的な結果を得られるだろうと専門家は説明している。
韓国発の脂肪溶解注射「BNLS」が一気に人気施術になったように、手軽な痩身系の施術は日本でも受け入れられやすいと思われる。この米国産「ATX-101」も米国FDA(日本の厚労省に相当する機関)の承認前後に、ニュースサイトでリリースされるとフェイスブックのいいね!が8万近くついており、注目を集めていることがわかる。
現在、ATX-101は米国の医師のあいだでは期待をもって迎えられており、医師によるレビューサイトでも好意的な意見が多い。
研究、臨床を重ね、顔以外の脂肪の多い体の部分への使用を望む声もある。
出典(画像、本文)http://abcnews.go.com/Health/double-chin-eliminator-injection/story?id=29619295
ライター・翻訳家
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