顔全体の印象を大きく左右する鼻。すっと鼻筋の通った高い鼻にするための一番確実な方法は鼻プロテーゼを挿入する手術です。セレブやモデルの間でも実は鼻プロテーゼを入れている人が多いよう。しかし、同時に鼻プロテーゼは美容整形手術の中でもトラブルが多く、将来的なメンテナンスが必要と言われる難易度の高い手術でもあります。ここで失敗例やダウンタイムなど、鼻プロテーゼを入れる前に知っておきたいことについて詳しく説明していきます。

【監修医師からのワンポイント】

顔全体の印象を大きく変えることが出来る鼻の施術、その中で代表的なものがプロテーゼです。以前からある確立された施術ですが、後悔しないためにメリット、デメリットをしっかり理解して施術を受けることが重要です。

目次

鼻プロテーゼ手術の前に知っておくべきこと

鼻プロテーゼ手術のメリットとデメリット

鼻の内側からシリコンのプロテーゼを入れる隆鼻術はヒアルロン酸注入などの一時的な隆鼻注射に比べ、持続性が高く半永久的に美しい鼻を保てる手術方法です。メリットとデメリットをあげてみましょう。

メリット

  • ・鼻の中を切開してプロテーゼを挿入するため、傷が目立たない
  • ・目と目の間から高くすることができ、彫りの深い顔立ちになり小顔効果が得られる
  • ・変形や変質がほとんどなく、美しい鼻筋を半永久的にキープできる

一番のメリットはやはり、隆鼻注射よりも目に見える効果が高いことでしょう。

デメリット

  • ・経年とともにプロテーゼが透けて見える、浮いてくるなどの違和感が出ることがある
  • ・L字型プロテーゼの場合、鼻全体を高くできるが鼻先があがりブタ鼻になることも
  • ・局部麻酔の痛みが激しい
  • ・鼻の皮膚に負担がかかり、将来的に飛び出してくることも考えられる
  • ・ダウンタイムが長い
  • ・将来的にプロテーゼを抜去するときに再手術が必要になることも

デメリットの多さに驚かれる方もいるかもしれませんね。もちろんプロテーゼを入れたすべての方に起こるわけではありません。しかし、鼻プロテーゼは施術を行った医師の技術レベルやプロテーゼの質によって、結果が大きく左右される難易度の高い手術なのです。

1-2.鼻プロテーゼを入れた後の痛み

鼻プロテーゼ入れた後の痛み

鼻プロテーゼ手術を受けるにあたって気になるのはやはり術後の痛みでしょう。腫れが引いてイメージした通りの鼻が完成するまでには数カ月かかると言われていますが、痛み自体はどのくらい続くのでしょうか。手術自体は局所麻酔をして行われるため、痛みはありませんが、麻酔が切れてくるのと時を同じくして出てくる鼻の鈍痛に関しては、痛み止めの内服薬等で対処していきます。

一言で鼻プロテーゼといってもアプローチ法は患者さんによって異なるため、痛みの持続も若干バラツキがあるかもしれませんが、痛みそのものは3日程度で引き始めるようです。このくらいなら、我慢できそうですよね。

一般的に二重まぶたの手術と鼻プロテーゼの痛みに関して「目の手術に比べると痛くなかった」との感想が聞かれます。他のパーツの整形を受けたかたなら、それほど気にならない痛みなのかもしれませんね。

1-3.鼻プロテーゼ手術のダウンタイム

鼻プロテーゼ手術のダウンタイム

鼻はもともと硬い組織なので、腫れが少なくダウンタイムが少ないという意見もありますが、これは本当なのでしょうか。

周りの人から見て分かるような腫れは数日で引くものの、クリニックによっては術後、数日間テーピングや固定を行うところもあります。当然、この期間に外出することは難しいでしょう。

また個人差もありますが、内出血が起こる場合も。肌が黄色っぽい色になってファンデーションを塗らないと不自然ということも。ダウンタイムが短いと言われるのは腫れが引くのが比較的早いという意味で、テーピングや固定、内出血などが起こるケースを想定して、通常の生活ができるまでには1~2週間程度かかると考えておいた方がいいでしょう。

1-4.鼻プロテーゼ手術の失敗例・ブログをチェックしてみよう

残念ながら、鼻プロテーゼは失敗例も多い施術です。ネット上でも鼻プロテーゼを入れた方がブログで失敗の経緯や原因を紹介しているものがあるので、鼻プロテーゼの手術を考えている方はこうしたブログをチェックしてみるとよいでしょう。ここで鼻プロテーゼを失敗した方のブログからいくつかの失敗例を紹介しましょう。

・鼻プロテーゼが透けて見える・飛び出してきてしまう

経年とともにL字型プロテーゼが肌を圧迫し、皮膚が薄くなってプロテーゼが透けて見えるというもの。こうしたケースでは最悪の場合、プロテーゼが鼻先から飛び出してしまうこともあります。

プロテーゼそのものはシリコンでできているため、変質しません。しかし鼻まわりの皮膚は加齢やさまざまな理由で変化していきます。またプロテーゼによって内側から引っ張られることで、毛穴がなくなったような不自然な質感になることもあるようです。

・鼻に段差ができる

プロテーゼは本来、患者の鼻の形に合わせて作るか、削るかして鼻にぴったり合った状態にする必要がありますが、医師の技量によってはプロテーゼが入っている部分と入っていない部分の境目に段差ができてしまうことも。ひどい場合は鼻に横線が入ってしまい、不自然な見た目になってしまいます。

・違和感がある

鼻が浮いているような感覚や異物感が出ることもあります。

1-5.プロテーゼ以外の隆鼻術・メリットとデメリット

鼻にプロテーゼを入れるのが怖いという方は、プロテーゼ以外の隆鼻方法もチェックしておきましょう。ここでおもな施術内容とそれぞれのメリット・デメリットをあげてみます。

・ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸注射はもっとも手軽に行える隆鼻注射です。カウンセリングで鼻に合わせて、バランスよくヒアルロン酸を注入していくことで自然に鼻を高くすることができます。

メリットは施術時間が10分程度と短く、痛みも少ないこと。術後のダウンタイムもほとんどないので仕事のお休みが取れない人などでも受けることができます。費用も5~15万円程度と鼻プロテーゼに比べるとお手頃。万が一、気に入らない場合はヒアルロン酸溶解物質を使用することで、元に戻すこともできます。

デメリットは半年から1年程度と持続期間が短く、鼻の高さをキープしたいと思ったら定期的に注射を受けなければならないこと。また、場合によって注入したヒアルロン酸が横に広がって鼻が大きく見えてしまうこともあるようです。稀な合併症ではありますが動脈塞栓などの重篤な合併症を起こすこともあります。

・レディエッセ

レディエッセとはカルシウムハイドロキシアパタイトと呼ばれる成分を注入する施術です。メリットはヒアルロン酸よりも硬い素材なので、広がりにくいこと。また持続期間も1~1年半と長いことが挙げられます。安全性の高い成分で費用はヒアルロン酸と同等程度なので、ヒアルロン酸よりもレディエッセを勧めているクリニックもあるようです。

デメリットは万が一、気に入らない仕上がりのときにカルシウムハイドロキシアパタイトを溶解させる薬剤がないため、元に戻るまで時間がかかること。そして硬めの成分であるため、しこりや凸凹になるケースが考えられます。ヒアルロン酸同様に稀な合併症ではありますが動脈塞栓などの重篤な合併症を起こすこともあります。ヒアルロン酸と異なり溶解させる薬剤がないためさらに重篤になることがあります。
レディエッセには否定的な意見を持つ美容外科医も多く、レディエッセは行わないとしているクリニックも複数あります。

2.鼻プロテーゼのメンテナンスとは

鼻プロテーゼのメンテナンスとは

最も効果の高い隆鼻術である鼻プロテーゼは将来的なメンテナンスが必要になるケースが多いとも言われています。また経年によって違和感が出てきた場合、交換や抜き取りを行わなければならないことも。続いて鼻プロテーゼのメンテナンスが必要なケースの具体例を紹介していきます。

2-1.鼻プロテーゼの入れ替えが必要な例

鼻プロテーゼの入れ替えが必要な例

鼻プロテーゼの手術について各クリニックの情報を調べていると、ほとんどのクリニックで「他院修正」「プロテーゼ抜去」といった修正手術を行っていることに気がつくと思います。これは、シリコンでできた人工プロテーゼは、施術を行う医師の技術レベルによっては長期間、鼻の形を維持できないことがあるからです。

また、人間の肌は加齢にしたがって徐々に薄くなってきます。このことで昔入れたプロテーゼが鼻から飛び出てきてしまったという悩みを抱えている人も少なくないのです。

現在、シリコンの鼻プロテーゼといえば、I字型が主流になっていますが、15~30年くらい前まではL字型のタイプを採用しているクリニックも少なくありませんでした。このL字型プロテーゼは特にトラブルが多く、プロテーゼ抜去を依頼する人が増えています。

シリコンプロテーゼを抜去したあと、新しいシリコンプロテーゼを挿入するとさらにトラブルを引き起こすことも。何度も修正手術をするのは顔、皮膚に負担がかかることは言うまでもありません。そのため、入れ替えを希望する方が自己組織の移植を選ぶことも少なくないそうです。

もちろん、医師の技術によっては長期間トラブルなく過ごせることもあるようですが、20年、30年経つとどうなるかは分かりません。シリコンプロテーゼを入れるときには、複数のクリニックでカウンセリングを受け、医師の技術レベルが高いクリニックを選ぶようにしましょう。

鼻プロテーゼを抜き取りや交換が必要になるのは具体的にどんなケースなのでしょうか。

  • ・L字型プロテーゼが鼻先の皮膚を圧迫して透けて見える、飛び出してきた
  • ・プロテーゼがきちんと固定されておらず、グラグラしている
  • ・L字型プロテーゼで鼻先が上向きになり、ブタ鼻に見える

ただし、このような症状が起きてしまってから入れ替え手術を行っても顔に傷が残ってしまうこともあります。違和感を覚えたらできるだけ早く、施術を受けたクリニックで相談するようにしてください。もし、施術を受けたところがなくなってしまっている場合は他院修正にも力を入れているクリニックを探してみましょう。

特にL字型プロテーゼは将来的に問題が起こるケースが多く、過去にL字型プロテーゼを入れた人がI字型に入れ替えたい、あるいは抜き取りたいと希望するケースが多いようです。

2-2.鼻プロテーゼのメンテナンス手術

不自然な見た目や違和感をなくすために、鼻プロテーゼを抜き取りたいという場合、単純にプロテーゼを抜いただけで元の鼻に戻るのでは?と考えがちですが、経年によって周りの皮膚や皮下脂肪が変化しているため、プロテーゼを抜去だけでは鼻がへこんでしまうことがよくあります。

鼻のプロテーゼを抜き去った後、鼻がへこんでしまっているような場合、自分の体の他の部分から軟骨や筋膜を移植する自家組織移植手術をするなどして元の鼻に戻してあげる必要が出てきます。この自家組織移植手術はこうした修正手術だけではなく、プロテーゼを入れる代わりに隆鼻術として行うこともあります。

プロテーゼを入れずに自家組織で隆鼻術を行う場合、費用は30~50万円程度ですが、プロテーゼを抜いたあとにへこんでしまった鼻を修正するために自己組織移植を行う場合はさらに費用が高くなることが多いようです。

2-3.鼻プロテーゼ手術の値段

鼻プロテーゼ手術の値段

鼻プロテーゼ手術の値段についてもう少し詳しく見てみましょう。鼻プロテーゼと総称されている隆鼻術は大きく分けてシリコンプロテーゼを挿入する方法と自家組織である軟骨を体の他の部分から採取して挿入する方法(耳介軟骨移植等)の2種類があります。

現在、軟骨を移植して鼻に挿入する場合、ほとんどのクリニックで耳の軟骨を使用しています。ここでは「シリコンプロテーゼ」「耳介軟骨移植」の他、鼻先を下に向かって大きく伸ばす「鼻中隔延長」についての価格を紹介していきます。

まず、シリコンプロテーゼのみを挿入する場合、値段は28~35万円程度が相場になっています。一部、全国展開しているクリニックでは16万円弱で受けられるところもあるようです。

次に耳介軟骨移植は20~35万円程度が一般的です。プロテーゼ挿入と合わせて施術されることもあり、その場合、合計金額が安くなるクリニックもあります。

鼻先を大きく下に伸ばして鼻をすっきり見せる「鼻中隔延長」もプロテーゼの挿入と合わせて行われることがあります。費用は45~85万円程度と隆鼻術の中では少し高めの価格設定になっているようです。この手術は静脈麻酔と局所麻酔、あるいは全身麻酔を使用して行われるため、手術自体が大がかりになり、手術時間も長くなります。

3.鼻プロテーゼ手術の前に知っておくべきこと・まとめ

顔全体の印象を大きく変える鼻プロテーゼの手術。もちろん、すべてのケースでトラブルが起こるわけではなく、一生交換が必要ないケースもありますが、手術を受けるときは鼻プロテーゼを受けた人のブログや口コミをチェックしてトラブル例が少ないクリニックを選ぶようにしましょう。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

Emiri

Emiri

美容系全般得意なライター。自身でも美容医療を実践。

閲覧中の記事:

監修:

清水志乃 医師

ReBeAS CLINIC

久留米大学医学部卒業。同大学病院、大牟田市立総合病院などで急性期医療や救急医療に従事。その後、約6年間大手美容外科クリニックの院長として美容皮膚科から美容外科施術まで多岐にわたる経験を積み、2023年12月福岡市中央区にReBeAS CLINICを開設。
脂肪吸引、豊胸、二重術、肌治療を主に行っている。

2000年 久留米大学 医学部 卒業
久留米大学病院、大牟田市立総合病院、共愛会戸畑共立病院、福岡県済生会大牟田病院で勤務し、急性期医療、救急医療に携わる。
2017年 ガーデンクリニック 入職
2017年 ガーデンクリニック福岡院 院長
2023年 ReBeAS CLINIC 開設

  • 住所: 福岡県福岡市中央区大名2丁目 11-21 RMO大名赤坂7F
  • 最寄駅: 地下鉄空港線赤坂駅3番出口徒歩約2分
  • 院長: 清水 志乃
  • 診療時間: 10:00〜18:00
  • 休診日: 不定休