一般的に老化のサインの1つとみられている白髪。早い人だと30代から白髪が見られるようになる人もいます。白髪というと、髪の毛を想像する人が多いと思いますが、白髪になるのは髪の毛だけではありません。アンダーヘアなども白髪になります。ここでは、白髪と脱毛に焦点を当ててお話していきたいと思います。

【監修医師からのワンポイント】

白髪の脱毛は通常の光脱毛やレーザー脱毛では困難です。したがって1本1本の毛根を破壊する、電気脱毛や針脱毛をおすすめします。

目次

白髪が生えやすい部位は?

1.白髪とは?

もともと人の毛は、毛母細胞でつくられた時には無色透明です。つまり、白髪の状態です。
しかし、色素細胞でつくられるメラニンが毛に取り込まれることによって、毛は黒や茶の色になります。ですから、白髪になってしまうのは、何らかの原因で色素細胞がつくるメラニンが欠乏して、色がつかないまま毛が生えてしまうことによります。

白髪とは?

1-1.白髪が生える原因

では、どうして白髪になってしまうのでしょうか? 白髪になってしまう原因には

  • 老化による色素細胞などの機能低下
  • ストレス
  • 栄養不足
  • 遺伝
  • 病気

などが挙げられます。1つずつみていきましょう。

1-1-1.老化などによる色素細胞の機能低下

老化によって細胞の働きが弱まりますから、当然ながら色素細胞の機能も低下します。そのため、色が付けられないまま毛が成長してしまうことで白髪になります。

1-1-2.ストレス

極度のストレスから「一夜にして白髪になってしまった」という話を聞くことがあります。これは少し大げさな話ですが、ストレスを抱えると、自律神経が乱れることで毛に十分な栄養が送られなくなるために白髪になりやすくなります。

1-1-3.栄養不足

ダイエットや偏食などで栄養が不足してしまうと、毛に必要な栄養が十分に届きませんので、白髪になることがあります。

栄養不足は白髪の原因

1-1-4.遺伝

白髪は遺伝しやすいといわれています。もちろん、両親が白髪だからといって必ずしも白髪になるわけではありませんが、両親のいずれか、もしくは両方が毛の色素をつくる細胞の働きが弱いと、それを遺伝する可能性は高くなります。

1-1-5.病気

特定の病気を患うことで、毛に必要な色素をつくり出すことができなくなり白髪が増えることがあります。慢性的な胃腸の病気や甲状腺の病気、また薬の副作用などが原因として挙げられます。

1-2.白髪が生えやすい部位は?

白髪といえば髪の毛を思い浮かべますが、白髪になるのは髪の毛だけではありません。髪の毛以外にも白髪になりやすい部位はあります。

■アンダーヘア

ある日、突然白い毛が数本生えているのを見つけてビックリする人は少なくありません。早い人だと30代からアンダーヘアに白髪が数本みられるようになるようです。

■ワキ

こちらもアンダーヘアと負けず劣らずの太くて濃いしっかりとした毛ですが、白髪になります。日ごろお手入れしている人が多いので、しばらくお手入れをサボらないと、なかなか発見できませんが……。

ワキは白髪は生えやすい

■眉

眉毛に数本白髪が混じってくることもあります。

■足のすね

あまり目立ちませんが、足のすね毛が白髪になることもあります。

眉

1-3.白髪はエステやクリニックの機械では脱毛できない?

エステの光脱毛機、クリニックのレーザー脱毛機、どちらもメラニンなどの色素の濃いものに反応して脱毛処理を行うようになっています。ですから、白髪のように色素の入っていない毛は機械が反応しませんので、脱毛処理を行うことができません。光脱毛やレーザー脱毛を行いたい場合は、白髪になる前にやっておく必要があります。

1-4.メラニン色素とは?

メラニン色素とは、人の肌や髪の毛、体毛などに含まれている色素のことです。日焼けすると肌が黒くなるのはメラニン色素の影響によるものですが、メラニン色素には皮膚や毛を紫外線などの影響から守る働きがあります。

メラニン色素とは

メラニン色素には黒褐色系の『ユーメラニン』と黄赤色系の『フェオメラニン』という2つの種類があります。髪の毛や体毛の色は人種などによって変わりますし、同じ日本人でも真っ黒な毛の人もいれば茶色い毛の人もいて、個人差があるものです。どうしてそのようなことが起きるのでしょうか? メラニンがもっとも多いのが黒髪で、もっとも少ないのがブロンドヘアです。見てきたように、メラニンがほとんど含まれない白髪には脱毛効果が期待できません。
では、白髪になってしまった毛は脱毛できないのでしょうか?

2.電気脱毛、針脱毛なら脱毛できる?

一般的に「脱毛」というと、光脱毛やレーザー脱毛を指しますが、ほかにも電気脱毛とか針(ニードル)脱毛といわれる脱毛もあります。

電気脱毛、もしくは針脱毛とは、毛穴1つ1つに針を差し込んで高周波の電気を流すことで毛根部分を破壊するという脱毛方法です。メラニンに反応する光脱毛やレーザー脱毛と違って、針脱毛はメラニン色素に反応するわけではありませんので、光脱毛やレーザー脱毛が苦手とする産毛のほか、白髪でも脱毛できます。
ですから、もし毛にチラホラ白髪が見えるようになったけど、脱毛をしたいという場合は針脱毛を検討してみるといいでしょう。

2-1.針脱毛の気になる痛みは?

白髪でも脱毛できる針脱毛ですが、デメリットとしては痛みがあるという点が挙げられます。ですから、痛みに我慢できなくて施術を続けることができなかったという人もいます。
クリニックでの針脱毛だと麻酔を使うこともできるので、痛みに弱い人はあらかじめ医師に相談しておくのがオススメです。

2-2.通常のレーザー脱毛より時間がかかる?

レーザー脱毛は、1回の照射で広い範囲の脱毛ができるので、時間はそんなにかかりません。しかし、針脱毛は毛穴を1つずつ処理していく方法なので、かなり時間がかかります。
毛穴の数などは個人差がありますので、人によってかかる時間に違いはありますが、両ワキでも初回は1時間以上かかる可能性が高いと覚悟しておきましょう。

施術時間は技術者のスピードにも左右されます。毛穴1つずつに針を差し込み、電気を流すので、スピーディーに施術ができれば1時間で終わる施術が、担当者によっては2時間近くかかってしまうということもあります。

2-3.針脱毛の気になる費用は?

クリニックの針脱毛の料金は、毛1本あたりの料金計算方法と、時間による計算方法とがあります。
例えば、絶縁針脱毛を行っている『ビューティースキンクリニック(東京都渋谷区)』の場合は、施術料金が1本あたりの計算となっていて、1本550円(税込み)となっています。ですから、100本処理を行ったとすると、55,000円(税込み)かかるということになります。
『美容皮膚科 川口クリニック(東京都荒川区)』の場合は、施術料金を時間によって計算する方法で、5分につき一律3,850円(税込み)となっています。ですから、もし施術に1時間かかった場合はトータルで46,200円(税込み)かかるということです。
またクリニックによっては、部位によって一律に料金を定めた「定額制」、1本当たりの料金で計算する「本数制」、1時間当たりの料金で計算する「時間制」とを使い分けているところもあります。

ここに挙げた施術料金は一例で、クリニックによって施術料金はまちまちですので、いくつかのクリニックの料金を比較してみるといいでしょう。

また針脱毛を受ける場合は、施術料金に加えて針代(1本4,000~6,000円程度)、血液検査料(4,000~5,000円程度)、それに必要に応じて麻酔代も必要となります。
針脱毛はレーザー脱毛と比べて時間もお金もかかると覚えておきましょう。

針脱毛の気になる費用は?

2-4.白髪になる前に脱毛しておくのが正解?

白髪になってからも針脱毛であれば脱毛は可能です。しかし、針脱毛はレーザー脱毛と比べて痛みも強いですし、施術時間もかかります。加えて、費用も高額です。1つずつの毛穴を処理していくので確実な脱毛方法ではありますが、決してメリットが多い脱毛方法ではありません。

ですから白髪になる前にクリニックでレーザー脱毛を受ける方が、痛みもマイルドですし、時間も比べものにならないくらいスピーディーですし、施術費用も抑えることが可能ですのでオススメです。

ただ20代の時は「自由なお金がなくて脱毛できなかった」とか「脱毛に通う時間的なゆとりがなかった」などの理由で、白髪が目立ち始めてから「やっぱり脱毛したい!」ということであれば、針脱毛という選択肢になります。

2-5.針脱毛のダウンタイムは?

針脱毛のダウンタイムは、ほかの脱毛方法と比べて長めになります。ただ個人差がありますので、その日のうちに赤みが引く人もいれば、1週間くらい赤みが継続する人もいます。

多くのクリニックでは、施術後に保湿用のクリームが処方されますので、施術後しばらくの間は保湿クリームでケアを続けていれば、徐々に症状は改善されます。
ただ施術後1カ月以内は、温泉やサウナ、岩盤浴などは避け、施術部分の日焼けにも注意する必要があります。

2-6.針脱毛NGの部位はある?

針脱毛はまぶたの上や鼻毛、頭髪以外の毛であればすべて脱毛することができます。もちろん、顔脱毛もVIO脱毛も可能です。
ただし、針脱毛は高い技術を必要としますので、クリニックによっては特定の部位については肌トラブルが起きるリスクを減らすために施術を行っていないケースもあります。

3.エステでできる電気脱毛とは?

クリニックでできる電気脱毛(針脱毛)ですが、実はエステでもやっているところはあります。エステティックTBCの『スーパー脱毛(美容電気脱毛)』などがそうです。

しくみはクリニックで行っている電気脱毛と同じで、針を毛穴に入れて電気を流して毛をつくる組織を破壊するというものです。痛みはかなり強いと覚悟しておきましょう。

3-1.TBCの電気脱毛の料金は?

電気脱毛ができるTBCですが、気になる料金をみてみましょう。

TBCの電気脱毛の料金は、メンバーに入会せず登録だけして施術を受けることができるビジター向けのビジター価格とメンバー価格とがあります。
1本単価は、プレーンゾーン(両ワキや両ヒジ下、両ヒザ下):ビジター価格(入会金なし)155円、メンバー価格120円。デリケートゾーン(顔やえりあし、首、両手足の甲・指):ビジター価格(入会金なし)169円、メンバー価格130円。

メンバーに入会する場合は、入会金17,160円+入会事務手数料3,300円が必要で、2年間有効です。

TBCのような脱毛エステの場合は、医療機関ではありませんので、血液検査は行われません。また痛みがあっても麻酔を用いることはできませんから、施術時の痛みは耐えるしかありません。

4.VIOの白髪の脱毛は?

アンダーヘアは白髪が混じりやすい部位です。白髪混じりの状態でレーザー脱毛をやっても、白髪の部分だけが残ってしまいますから、針脱毛をやるのがオススメです。
毛の色に脱毛効果が左右されない針脱毛なら、白髪が混じってしまったけど、アンダーヘアの脱毛をしたいという場合でも対応できますよ。

VIOの白髪の脱毛は?

5.針脱毛はクリニックで! クリニックなら麻酔もOK

脱毛エステでも針脱毛はできますが、針脱毛は高い技術が求められる脱毛方法です。ですから、医療国家資格を持たないエステの針脱毛よりは、資格ある医療技術者による針脱毛の方が安全性は高く、また脱毛効果も得られるためにオススメです。

クリニックで針脱毛を受ける方がオススメな別の理由としては、麻酔が使えるという点です。毛穴1つずつに針を入れて高周波の電気を流す針脱毛は我慢できないくらいの痛みになります。部位によっては皮膚が薄いために激痛が走ることも少なくありません。その点、クリニックでの針脱毛は必要に応じて麻酔を使用することができますから、ある程度痛みを抑えることができます。

5-1.どうやる? 針脱毛の脱毛前の事前処理

レーザー脱毛の事前処理の場合は、脱毛部位をあらかじめ剃っておく必要がありますが、針脱毛の場合は、剃った状態だと施術を行うことができません。ですから、事前処理としては剃った後の毛を3mmくらい伸ばしておく必要があります。

6.蓄熱式脱毛機メディオスターは白髪に効果あり?

レーザー脱毛の中でも、蓄熱式脱毛機メディオスターは白髪にも効果があるといわれていたことがありました。
この脱毛機の特徴は、脱毛にともなう痛みが少ないこと、脱毛期間が短いこと、そして日焼けした肌にも施術が行えるという点です。

一般のレーザー脱毛機は毛根を高熱によって破壊するために痛みをともないますが、蓄熱式脱毛機メディオスターが破壊するのは、毛根ではなく「バルジ」と呼ばれている発毛因子です。バルジは毛根より浅い部分にありますから、レーザーが深く入らない分、痛みも少なくてすむのです。またメディオスターは蓄熱式のため火傷のリスクが低く、そのために日焼けした肌でも脱毛を行うことができるとされています。

肌の色を選ばないメディオスターは、一時期白髪にも効果的とされていました。しかし、今では基本的に白髪には効果がないとされています。

7.まとめ

通常のレーザーや光脱毛では白髪の脱毛はできません。しかし、針脱毛(電気脱毛)なら白髪の脱毛も可能です。針脱毛を行うなら、安心で安全なクリニックで脱毛を行うようにしましょう。針脱毛は痛みが強いというデメリットがありますが、クリニックなら麻酔を使えるので痛みを軽減することができますよ。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込です。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

misato

みさと

ライター。美容系全般が得意で、雑誌等に多数寄稿。

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監修:

加藤成貴 医師

まゆりなclinic名古屋栄

鳥取大学医学部医学科卒業後、大手美容外科、美容皮膚科を経て、まゆりなclinic名古屋栄開院。主に、医療脱毛、美容皮膚科治療、エイジングケアに力を入れている。脱毛に関しては複数の脱毛機を導入、ピコレーザーでの治療も受けられ、総合的な美容皮膚科クリニックとして治療を行っている。

2009年 鳥取大学医学部医学科卒業
2009~2011年 豊橋市民病院初期研修医
2011年 名張市立病院 消化器内科、循環器内科入職後、内科医指導、循環器内科部長
2019年 大手美容外科入職
2020年 大手美容外科 宇都宮院院長兼技術指導医
2021年 大手美容皮膚科 名古屋院 院長
2022年 まゆりなclinic名古屋栄開院