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男性型薄毛、M字ハゲなどいろいろな呼び名がある男性の薄毛。「AGA(男性型薄毛)は治療できます」というCMを見ても自分とは関係ない、自分の薄毛は治らないと考えている方もいるのではないでしょうか。ここではAGAとはどんな症状なのか、またどんな治療をすることができるのか、効果はあるのかなどについて最新の治療情報を元にお伝えしていきます。

1.AGA(エージーエー)男性型脱毛症とはどんな症状?

「AGAって普通のハゲとなにが違うの?」という疑問をおもちの方は多いのではないでしょうか。結論からいうとハゲ、いわゆる普通の薄毛とAGAは同じものです。まずはAGA(男性型脱毛症)がどんな症状なのか説明していきます。

1-1.男性の薄毛の原因とは

AGAというのはAndrogenetic Alopeciaを略した言葉で「男性型脱毛症」を指しています。20~69歳までの男性の3人に1人が悩んでいるという一般的な症状です。

AGAが始まる年齢は、思春期以降。早い人は20歳前後から髪が薄くなることもあります。前頭部または頭頂部から抜け毛がはじまり、広範囲に薄毛が広がっていくのが症状で、人によっては前頭部と頭頂部両方から薄くなることも。原因は遺伝やホルモンの影響によるところが大きいと考えられています。

■毛髪の寿命・毛周期(ヘアサイクル)

毛髪には毛周期(ヘアサイクル)と呼ばれる以下のような周期を繰り返して新しく生え変わっています。毛周期はいってみれば毛髪1本1本の寿命です。

  • ・成長期(2~6年)毛髪が伸び続ける期間
  • ・退行期(2週間程度)毛髪が抜ける準備を始める時期
  • ・休止期(3~4カ月)毛髪が抜けて次に生えるための準備を始める時期

このように正常かつ健康な毛髪の寿命は最長で6年程度。しかし、AGAになると成長期が短くなるため、毛髪が十分に成長しきる前に抜け落ちてしまうのです。この原因となるのがDHT(ジヒドロテストステロン)です。

■AGAの原因は男性ホルモンにあった

DHT(ジヒドロテストステロン)は男性ホルモンの一種。男性ホルモンであるテストステロンが5α-還元酵素という酵素のはたらきによって変化することでつくられます。DHTは健康な毛髪を作り出す役割をもつ毛母細胞のはたらきを低下させ、薄毛を招くと考えられています。実際に、薄毛になっている人の頭皮からはDHTが多く検出されるそうです。

男性ホルモンであるテストステロンは男性はもちろん、女性でも分泌されるホルモン。誰でもAGAになる可能性があるということになりますが、テストステロンが5α-還元酵素によってDHTに変化する作用を抑えることができれば、薄毛を防ぐことにつながるのです。

■AGAは進行性の症状

AGAは進行性の症状であるため、治療を始めなければ毛髪は抜け続け、薄毛の症状も進んでいきます。現在、クリニックで行われているAGA治療も治療をやめればまた抜け毛がはじまってしまうので、継続して行う必要があります。このためにもできるだけ負担にならない治療方法をみつける必要があると言えます。

1-2.AGAのチェック方法

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「自分はAGAなのかな?」と思ったら、以下のポイントをチェックしてみましょう。いくつか当てはまる場合、早めにクリニックでのAGA治療を始めた方がいいかもしれません。

  • ・両親、または祖父母のなかに薄毛の人がいる
  • ・シャンプー時の抜け毛が増えた
  • ・薄毛がはじまったのは思春期(高校生くらい)以降
  • ・起きたときに枕に落ちている抜け毛が増えた
  • ・毛髪のハリがなくなり、細い毛が増えた
  • ・生え際、あるいは頭頂から薄毛がはじまった
  • ・最近、薄毛が進行している

■AGAと似た症状

抜け毛の症状のなかには一見、AGAと思われがちなものもありますが、別の原因が潜んでいることもあります。この場合、AGA治療を行っても効果が見られないので、AGAなのか他の原因で起きている薄毛なのか治療を始める前に見きわめる必要があります。以下のようなケースは別の原因で薄毛が起きている可能性が考えられます。

・脂漏性(しろうせい)脱毛
男性ホルモンの影響などが原因で皮脂の分泌が増え、毛穴に詰まって抜け毛を起こす症状。脂漏性皮膚炎の影響で起こります。大きなフケや頭皮の炎症、かゆみなどが出るのが特徴です。

・円形脱毛症
突然、部分的に丸形や卵型に毛髪が抜ける症状。毛髪が残っている部分との境界線がはっきりしていて、頭部のいろいろなところにできます。ストレスがきっかけで起こりやすい症状ですが、根本的な原因は自己免疫機能になんらかの異常が起きることにあります。適切な治療で治すことが可能です。

・機械性脱毛症
長年、同じところで髪を分けていたり、結んだりするときに引っ張られることで力が加わり、抜け毛が起こるものです。

・抜毛症 (トリコチロマニア)
自分で自分の毛髪を抜いてしまう症状です。思春期の人に多く心の症状がともなうことも。

1-3.自分でできる男性の薄毛対策

薄毛対策には「育毛」と「発毛」があります。育毛は頭皮環境を改善するなどして、抜け毛を防ぎながら、今ある髪を健康にしていくケアのこと。これに対して発毛はなんらかの手段で髪を作り出す毛母細胞のはたらきにアプローチして、新たに毛髪を生やすことを目的にしています。

自分でできる薄毛対策は育毛にあたるものがほとんどです。育毛剤や育毛効果のあるシャンプー、サプリメントなどがあげられます。自分でケアするときには「育毛剤で頭皮環境をケアしながら、発毛剤としてリアップを使う」というように上手に併用するといいでしょう。

■フレッシュリアップHOGSPAシリーズは育毛剤

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リアップが発毛剤であるのに対し、こちらのフレッシュリアップHOGSPAシリーズ(1,100円)はセンブリ抽出エキス、ビタミンE誘導体、パントテニールエチルエーテルといった育毛成分を配合した「育毛剤」。炭酸ガスを頭皮に噴射して使用しますが、リアップとの併用は禁止されています。

■リアップは育毛剤ではなく「発毛剤」

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画像はミノキシジルという育毛成分を配合した、第1類医薬品である大正製薬のリアップX5プラスローション。60mlで7,048円となっています。

ミノキシジルには血行促進効果があり、毛髪を生み出す機関である毛包(もうほう)に直接、アプローチして細胞増殖やたんぱく質合成のサポートをし、発毛を促します。毛包を健康な状態で成長させることで、細くなった毛髪を太くコシのある状態にしていきます。毛母細胞にはたらきかける成分は育毛成分にもありますが、医薬品として効果が認められているのはミノキシジルのみです。

「ミノキシジルとは、リアップシリーズの発毛剤の主成分で、壮年性脱毛症における「発毛」と「脱毛(抜け毛)の進行予防」の効果が認められています。ミノキシジルに発毛効果があることが分かったのは、1979年のこと。その後、1988年にアメリカで厳密な臨床試験を経て有用性が確認され、医薬品としての発毛剤が誕生しました。これまでに、世界90ヵ国以上で承認され使われています」

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ミノキシジルが配合された育毛剤はAGA治療を行っているクリニックでも使用されています。個人差はあるものの、育毛効果を実感している人が多いようです。

「リアップX5を1日2回使用して4週間ごとに被験者自身が自分自身の毛髪の状態を『非常に良くなった』『良くなった』『少し良くなった』『変わらなかった』『悪くなった』の 5段階で評価しています。『少し良くなった』までを含めると、使用12週間後で4割以上の方が発毛効果を実感しており、 使用52週終了時では9割以上の方が発毛効果を実感していることがわかります。」

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■その他の育毛成分

その他、市販の育毛剤に配合されている成分には以下のようなものがあります。ひとことで育毛成分といっても、アプローチの仕方は異なるので複数の成分が含まれたものを使うのがおすすめです。

・毛母細胞を活性化させる成分
ビタミンA、ビタミンB、ビオチン、アミノ酸(メチオニン、シスチン、システインなど)
オトギリソウエキス、オウゴン、ニンニクエキス、ニンジンエキス

・頭皮の血行を促進させて毛母細胞の増殖を促す成分
センブリエキス、トウガラシチンキ、ニンニクエキス、トコフェロール(ビタミンE)、ニコチン酸ベンジル

・男性ホルモンにはたらきかける成分
チョウジエキス、ホップエキス、デュークエキスなど

2.男性型脱毛症(AGA)の最新治療方法比較!

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ここ数年、AGAの治療薬のジェネリックが登場するなど「続けられるAGA治療」の選択肢が広がっています。内服薬や外用薬のほか、さまざまなアプローチでAGA治療に力を入れているクリニックがあります。ここからは最新の治療方法を比較してみましょう。

2-1.クリニックで行われる基本的な治療

クリニックでのAGA治療の基本となるのが以下の薬を用いた治療です。これらの薬を服用あるいは使用しながら、他の治療を組み合わせていきます。サプリメントや外用薬などクリニック独自の治療方法を用意しているところも増えています。

  • ・フィナステリド錠(内服薬)
  • ・デュタステリド錠(内服薬)
  • ・ミノキシジル(外用薬)

■フィナステリド錠

MSD社のプロペシア(商品名)に代表されるのがフィナステリド(成分名)です。男性ホルモンであるテストステロンは5α-還元酵素によって還元され薄毛の原因であるDHTとなります。このときに作用する5α-還元酵素のⅡ型のはたらきを抑えて薄毛を防いでくれます。内服薬としてはもちろん、外用しても効果があるのでフィナステリドを配合した育毛剤やシャンプーもあります。

服用後2カ月くらいから髪がしっかり、ハリのある状態になり4カ月めくらいから発毛効果が実感できるという声が多いようです。また、プロペシアはジェネリックもいくつか販売されています。MSD製薬のプロペシアが先行薬で、以下のフィナステリド錠はすべてジェネリックとなります。

  • 2015年4月発売のファイザー製薬「フィナステリド錠」
  • 2016年3月発売の沢井製薬の「フィナステリド錠」
  • 2016年9月発売の東和製薬フィナステリド錠「トーワ」

プロペシアが28錠6,000円以上するのにたいし、ジェネリックの中には28錠4,000円以下のものもあります。AGA治療は継続することが重要なので、こうした低価格化の動きは薄毛に悩む人にとって朗報になりそうですね。

■■フィナステリドの副作用

副作用が起こる可能性は高くありませんが、性欲減退や勃起障害など、男性にとっては気になる症状も多いので、飲み始めて異常を感じたらすぐに医師に相談するようにしましょう。また、肝機能に不安のある方の服用は医師に相談してからにしてください。

■デュタステリド錠

第二のAGA治療薬として注目が集まっているのがデュタステリドです。テストステロンをDHTに還元する酵素には5α-還元酵素Ⅰ型と5α-還元酵素Ⅱ型があります。フィナステリドはこのうちⅡ型のはたらきを抑えることしかできませんが、デュタステリドはⅠ型、Ⅱ型両方のはたらきを抑えることが可能です。

販売名はザガーロという名前でイギリスの製薬会社グラクソスミスクラインが販売しています。AGA治療薬として日本の厚生労働省から認可を受けたのは2015年と最近ですが、もともと前立腺肥大の治療薬アボルブとして、2009年に認可を受けていた薬なので安全性については問題ありません。なお、デュタステリドのジェネリックはまだ、ありません。

2種類ある酵素の両方の作用を抑制することで、フィナステリドと比較すると1.6倍の発毛効果があるという結果もでています。フィナステリドとデュタステリドのどちらに効果があるか、事前に遺伝子検査をすることで推測できますが、2つの酵素に一つの薬でアプローチできるデュタステリドを治療の第一選択肢とするケースも多いです。

■■デュタステリドの副作用

生殖系および乳房障害、勃起不全、射精不能、射精障害、性欲減退、腹痛、精液量減少などがまれに起こります。また、まれに重度の肝機能障害を起こすことがあるので、肝機能に不安のあるかたは医師に相談してから服用してください。

■■ミノキシジル(外用薬)

血行を促進することで毛母細胞の活動を活性化し、発毛を促します。男性ホルモンにアプローチするフィナステリドなどとは成分が効くメカニズムが異なるため、フィナステリドやデュタステリドとの併用が可能です。また、クリニックで処方されるミノキシジル外用薬はミノキシジルを配合した市販薬より安いことも。

■■ミノキシジルの副作用。内服薬は副作用リスクが高い?

ミノキシジルはもともと高血圧の薬として開発された成分で、発毛効果は二次的に発見されたものでした。そのためミノキシジルには血圧を下げる作用があり、これが血圧低下、動悸や不整脈といった症状を引き起こすことがあります。

外用薬として使用する場合、副作用が起こる可能性はそれほど高くありませんが、最近はミノキシジルタブレットと呼ばれる内服薬を処方しているクリニックもあります。ミノキシジルの外用薬よりも発毛効果が高いものの、副作用のリスクは高くなります。血圧の低下や体毛が濃くなるといった症状が代表的な副作用です。

服用するときは医師から効果だけではなく、リスクについても詳しいアドバイスを受けるようにしましょう。

2-2.個人輸入薬の危険性

国内で認可されているフィナステリド錠はアメリカの製薬会社MSDの製品名「プロペシア」とそのジェネリック薬品のみとなっています。フィナステリドのジェネリックが登場する前や、デュタステリドがAGA治療薬として認可され、ザガーロが発売される前は、これらの治療薬やコピー薬を個人輸入して服用していた人も多いようです。

ただし、このような薬のなかには有効成分が配合されていなかったり、申告されていない成分が入っていたり、含まれている可能性があります。いわゆる「偽薬」です。このような粗悪品で健康被害を起こさないためにも、個人輸入でお薬を購入することはおすすめできません。

このように医薬品を個人輸入して使用することに対する危険性は厚生労働省も注意喚起をしています。

また、個人輸入して使用した医薬品の副作用などで健康被害が起きたとしても、公的制度(医薬品副作用被害救済制度)の対象にはなりませんので、注意しましょう。

■ミノキシジルタブレットでの副作用?

2-3.成長因子を浸透させる治療、いろいろあるのはなぜ?

ほとんどのクリニックがニードルを用いた機械や電気の力で成分を浸透させるエレクトロポレーションなどで、発毛に必要な成長因子を浸透させる方法を行っています。

クリニックによってどんな成長因子を使用するかが違いとなっています。例えば、先駆けとなったHARG治療は使用する成長因子の種類が多く、その分費用も高め。クリニックによっては発毛に本当に必要な成長因子だけにしぼることで効果を出すようにし、かつ費用を抑えているところもあります。

1回で済む治療ではなく、いずれも安くないのでカウンセリングで納得のいく説明をしてもらってから、治療方法を選ぶとよいでしょう。

3.まとめ

男性の薄毛は昔は諦めるしかないと思われていましたが、クリニックで治療を受けることで進行を止められるケースもあります。また、ジェネリック薬が登場したことで、以前よりも経済的な負担も少なくなりつつあります。薄毛はそのままにしておくと、どんどん抜け毛が増えて進行してしまうもの。治療を始めた人からは「もっと早く治療すればよかった」という声もよく聞きます。なんとかしたい!と思ったら早めにクリニックでカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

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