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温かくなると、気になり始めるのが、電車の中などで感じるワキや汗の臭いです。朝の通勤ラッシュの時間帯などは身動きもとれず、自分が臭っているのではないか?と心配している方もいるのではないでしょうか。思い切って、ワキガの治療を考えているけれど、メスを入れる手術は怖い……そんな人におすすめなのが切らずにワキガの治療ができる「ウルセラドライ」です。

目次

1.超音波で切らずにワキガ治療ができるウルセラドライ

1-1.ウルセラドライとは

ウルセラドライとは顔のリフティングや痩身の施術にも用いられる高密度焦点式超音波技術(HIFUハイフ=High Intensity Focused Ultrasound)を用いたワキガ治療方法。ウルセラ社のUlthera TMsystemというマシンを使用して治療を行います。

ウルセラは超音波を1カ所に集めて照射することで、ねらった箇所に限局的な熱刺激を加えることができます。ウルセラドライはわきがの原因となる汗を分泌する汗腺や皮脂腺に熱を当てて損傷させて、ワキガの臭いと汗の量を抑える治療方法です。

ウルセラはたるみの治療だけではなく、前立腺がんの治療にも用いられており、アメリカのFDAの認可も受けている医療機器。安全性と信頼度の高い治療方法であると言えます。

1-2.わきがの原因

わきがの原因

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ウルセラドライの効果について詳しくお話するまえに、わきがの原因をおさらいしておきましょう。

■汗腺と皮脂腺

人間の体には汗を分泌する汗腺(かんせん)という器官があるということはご存知でしょうか。この汗腺には以下の2つの種類があります。

・アポクリン腺

脂質やたんぱく質、糖質、鉄分、アンモニアといった物質を含んだ、粘度のある汗を分泌する汗腺。汗そのものは無臭ですが、これらの物質が皮膚に存在する常在菌等で分解されると、発酵したような独特の強い臭いを発するようになります。これがわきがの臭いの正体です。アポクリン腺があるのは、ワキの下、陰部、肛門周り、乳輪、乳頭、陰部など特定の場所のみとなっています。

・エクリン腺

全身に存在している汗腺。運動したときや暑いときに汗を分泌して、体温を下げるはたらきはエクリン腺によるものです。エクリン腺から分泌される汗は99%の水分と1%の塩分でできているため、さらっとしているのが特徴。ニオイもほとんどありません。ただし、エクリン腺から分泌される汗の量が多いと、アポクリン腺から分泌される臭いを広範囲に広げることになってしまいます。

さらに、皮脂腺によって分泌される皮脂に含まれる脂肪酸も雑菌と混ざることで臭いを発するようになります。

■アポクリン腺はわきがの人だけにあるの?

アポクリン腺によって分泌する汗がわきがの原因になるとしたら、わきがでない人はアポクリン腺がないということなのでしょうか。

アポクリン腺はどんな人にもありますが、わきがになるかどうかはアポクリン腺から分泌される汗の量によって違ってきます。わきがでない人もアポクリン腺から汗は分泌されているわけですから、汗をかいたあとそのままにしておくと、臭うこともあるでしょう。

わきがである方はアポクリン腺の数が多く、肥大していることも少なくないのです。したがって、アポクリン腺から分泌される汗が多い人はわきが体質であると言えます。

■わきがは遺伝による影響も大きい

両親のうち、どちらかがわきが体質だと、その子供は50%の確率でわきが体質になると考えられています。両親ともにわきが体質の場合、遺伝する確率は約80%となります。

最近はわきがの症状に悩まされるお子さんや「自分のわきが体質が子供に遺伝するのではないか」と心配してクリニックを訪れる人も多いそうです。

1-3.ウルセラドライの効果

ウルセラドライは汗腺が存在している層をねらって、一定の深さで超音波照射ができます。この超音波エネルギーによってアポクリン腺とエクリン腺の両方を破壊、わきがと多汗症の症状の両方を抑えることが可能になるのです。

ウルセラドライの施術を1回受けるとわきがの臭いが7割程度減少、症状が強い方でも2回施術を受けることで臭いは8割近く減少するとされます。アポクリン腺がわずかに残っていたとしても、分泌される汗の量は減り、わきがの臭いも気にならない程度まで軽減されるため、完全に破壊、除去する必要はありません。

これまでの治療とウルセラドライの違い

これまでの治療とウルセラドライの違い

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ウルセラドライとこれまでのワキガ治療の違いについて考えてみましょう。ウルセラドライには以下のメリットがあります。

  • ・わきを切開する必要がないため、傷が残らない
  • ・ダウンタイムがほとんどなく、手術後すぐに普段通りの生活ができる
  • ・治療回数が1~2回と少なくて済む

■従来のわきが治療方法とそのデメリット

これまでのわきが治療には以下のような方法がありました。

・外科手術

わきの下を切開して、アポクリン下線を除去する方法。確実かつ、根本的な治療として最も効果の高い方法と考えられています。

現在、行われている方法は、皮下組織を除去してアポクリン腺と皮脂腺を除去する「剪除(せんじょ)法」やシェービングマシンのようなものを使用する「皮下組織削除法」などがあります。いずれも医師の高い技術と熟練した判定力が必要とされるため、場合によってはアポクリン腺が残存し、わきがが再発してしまうことも。傷が残ることも大きなデメリットです。失敗すると皮膚が壊死することもあるようです。

・電機凝固法

ワキの体毛の毛根に絶縁針を刺して高周波の電気を流すことで2つの汗腺と皮脂腺を同時に破壊する方法。メスを使わないので、傷跡は残りませんがすべての毛根を処理するため2~6回施術を受けなければなりません。費用は初回のみ約10万円、2回目以降は5万円程度となっていますが、施術回数によっては外科手術と同じくらい費用がかかることもあります。

・ボトックス注射

ボツリヌス菌製剤を注射することで、神経伝達物質の放出を阻害し、エクリン腺から汗を分泌させないようにするもの。アポクリン腺から分泌される汗には作用しないため、多汗症の治療には適しているものの、わきがの根本的な改善にはならないと言われています。また、効果の持続が半年以内と短く、費用がかさむのもデメリットです。費用は1回当たり5~8万円で、アラガン社のボトックスか他社のものかによっても違ってきます。

■ウルセラドライとペアドライ、ビューホットの違い

切らないわきが治療にはウルセラドライの他、ペアドライ、ビューホット、ミラドライなどの治療方法があります。

それぞれ「汗の量が多いか少ないか」「臭いが強いか弱いか」などによって適した治療方法が異なります。例えば、ウルセラドライがアポクリン腺メインでアプローチするのに対し、ビューホットはエクリン腺メインにアプローチする施術。「臭いはないけれど、汗の量が気になる」という方はビューホットの方が適しているということになります。まずはカウンセリングを受けてどの治療方法が自分に適しているか判断してもらうのがベストです。

  • ・ビューホット 
    フラクショナルRFの照射針を肌に刺して治療を行う方法です。多汗症の治療に用いられることが多い。照射もれが少ない分、再発が少ないという意見もあります。施術時間は15分程度と短いのが特徴。費用は両ワキ30万円程度。
  • ・ミラドライ
     汗腺の水分に反応するマイクロ波(電磁波)によって汗腺のみを破壊する方法です。施術時間は両ワキ、約1時間
    で料金は33万円程度。
  • ・ペアドライ 
     ウルセラドライとビューホットを組み合わせる治療方法。まずウルセラドライでアポクリン腺を破壊し、その後、ビューホットでエクリン腺を破壊し、わきがの臭いと多汗症を同時に治療するというもの。両ワキで33万円程度と少し高めになっています。

1-4.ウルセラドライは子どもも受けられる? 

ウルセラドライは局所麻酔の注射を打ってから施術する方法なので、体にかかる負担も少なく、お子さんのわきが治療としても適しています。施術を受けるのに特に年齢制限はないので、小学生のお子さんが治療を受けるケースもあります。

ウルセラドライのダウンタイム

ウルセラドライのダウンタイム

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術後はあざのように内出血した跡が残ることがあります。痛みに関してはまったく感じないという人もいれば、術後数時間から、やけどのようにじんじん痛みだしたという声も。痛みがなくなった後、ニキビのようなぶつぶつができることがあります。赤みが数週間残るという人ややけどのような跡ができてしまったという人もまれにいるようです。また、臭いが消える効果が実感できるまでに2週間程度かかると言われています。

このようなダウンタイムの長さは治療の強度によって変わってきます。やけどのような跡になっても、それが永遠に残ることはごくまれです。気になる点があれば、診察を受けたクリニックで相談するようにしましょう。

1-5.ウルセラドライの失敗例や副作用、デメリットは?

ウルセラドライの施術結果には個人差があります。1回の施術で臭いがまったく気にならなくなったという人もいれば、2回受けても、臭いが完全になくならないというケースも。また、汗の量は減らず、制汗剤は相変わらず手放せないという声もあります。効果が感じられない場合、2回目の施術を受けることを検討する人が多いようです。2回目は施術費用が安くなります。

また、治療強度によってはやけどの跡のような傷跡が残ってしまうケースもあるようです。

「左脇が一部すごいやけどの状態になってしまいました。切らない手術というポイントに惹かれてうけたのに、結果、切って縫った方が傷が綺麗に治るとのことで縫合手術をするはめに。汗は減りましたが、臭いは日によって半分から70%くらい減ったイメージ」

出典 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/

■費用面でのデメリット

ウルセラドライは両脇の治療で30万円程度。根本的な治療である外科手術が自由診療で35万円程度であることを考えると、高額であると言えるでしょう。2回以上治療を受けると、40万円以上費用がかかることに。

2.クリニックで受けるウルセラドライの施術

クリニックで受けるウルセラドライの施術

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切らずにワキガの症状を改善できる、ウルセラドライ。実際の施術はどのように行われるのでしょうか。ここからはウルセラドライの施術プロセスや価格などについてみていきます。

2-1.ウルセラドライの施術プロセス

  • ①カウンセリングでウルセラドライの特徴や効果、リスク、アフターケア、術後の運動や日常生活をおくる上での注意点などについて説明を受けます。気になる症状や持病のある方は事前に医師に伝えるようにしてください。腋毛は事前に自分で剃っておきます。カウンセリング後にすぐ施術を受けることも可能です。
  • ②照射もれを少なくするため、発汗する位置を確認しながらワキの下全体に印をつけていきます。
  • ③局所麻酔の注射を何カ所かに打ちます。痛みはありますが、我慢できないほどではありません。
  • ④ウルセラドライを照射していきます。施術時間は両脇で30~40分程度。麻酔をしているので、痛みもほとんどありません。
  • ⑤術後の説明を受け終了です。痛みや炎症を抑える塗り薬を処方されます。

2-2.ウルセラドライの価格

ウルセラドライの価格は両脇で30万円、乳輪のわきがで18万円、すそわきがで35万円となっています。1回の施術で効果が得られなかった場合、2回目の治療は半額で受けることができます。

2-3.ウルセラドライの口コミ

ウルセラドライはわきが治療としては新しい方法で、施術を受けられるクリニックが限られています。そのためあまり口コミが多くありません。どのくらいの効果が期待できるかはクリニックのカウンセリングを受けて確認するとよいでしょう。

■ポジティブな口コミ

「1回受けただけでしっかり効果が出ました。数日間腫れが出たくらいで、他のデメリットはなかったと思います。腫れもメスを入れるともっと日数がかかるそうなので、全然マシなレベルですね」

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■効果が感じられない、傷跡が残ってしまったという声

「3カ月前にわきが治療のウルセラドライという施術をうけました。(中略)1回目は汗が少し減った程度の印象でした。2回目の治療で完治はしたのですが、実際に費用がかさんだのは、正直少し残念で、他の人の意見を聞いてみたいと考えています。もともと汗が多い為、1回では治らないかも…と言われてはいたものの、同じ様な経験した人、他にいるんでしょうか? 」

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「昔から多汗症と匂いに悩まされ中学時代に1度手術を受けています。産後また匂いが気になるようになり、色々調べに調べてウルセラドライという切らない治療を受けました。ところが1度目も2度目も汗・臭いともに効果が感じられず最後の望みで3度目も受けました。麻酔の度に痛い思いをして、金額的にも約50万程かかりましたが結果今でも洋服の素材によっては同様に臭います」

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3.まとめ

本人にとって深刻な悩みとなるワキガの症状。子どものワキガはいじめの原因にもなりかねませんし、大人にとっても人間関係に影響を与える深刻な悩みに発展しかねません。ダウンタイムが短く、学校や仕事を休む必要がないウルセラドライは画期的なわきがの治療方法として、今後施術を受ける患者さんが増えていくと考えられます。気になる方は、まずクリニックでカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込です。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

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