まぶたのたるみは40代を超えるくらいから気になる方が増加するお悩みです。目の周りは皮膚も薄く繊細な部分のため、くすみなどのお悩みをよくお聞きしますが、その中でも特に目が開けづらくなってきた、目元がたるんでとても老けて見えるとのお悩みがとても多いです。

特に40代からだんだんとまぶたが重くなったり、夕方になると頭が痛くなる、そんな方は眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)の可能性があります。コンタクトレンズ使用歴の長い方やアトピー性皮膚炎などでまぶたを擦る癖のある方では、より若い年齢で発症することもあり、10代から症状が出る方もいらっしゃいます。

ただ、中等症や重症にならなければ気づかない場合も多く、気づいた時には重症だったという方も少なくありません。治療となるとダウンタイムの長いオペになることが多く、費用や痛みやダウンタイムなど心配でよくわからないといわれる方がほとんどです。そんな、多くの方がお悩みの眼瞼下垂について詳しく解説していきます。

【監修医師からのワンポイント】

眼瞼下垂という病気がメディアで度々取り上げられるようになり、治療を受けられる患者さんが増えています。まぶたという整容面に大きく関わる部位の疾患という特徴から、保険治療に加え自費治療という選択肢もあります。保険診療で行う眼瞼下垂手術は、機能の改善を目的として行われます。見た目の改善を目的とはしていないため、目が開かないなどの症状が改善されれば治療として問題がなく、審美的な面をどこまでこだわるかは医師の判断によります。目は開くようになったものの、希望通りの二重ではなかった、左右差がでた等の不満をもって自費治療を再度受ける方もいらっしゃいます。一方、自費診療で行う眼瞼下垂手術は、機能の改善に加えて、二重の幅やまぶたの形などの細かな要望にも応じることができます。また、保険の適応とならないような軽度の眼瞼下垂にも対応可能です。整容面、費用面でそれぞれメリット・デメリットがありますので、まずは医療機関を受診して相談して見ることをお勧めします。

Contents

  • 眼瞼下垂とは
  • 眼瞼下垂の保険治療
  • 眼瞼下垂の自費治療
  • 眼瞼下垂手術の方法
  • 眼瞼下垂の症状がある場合、要注意な美容施術
  • まとめ
  • 眼瞼下垂とは

    まず、眼瞼下垂とはどのような病気なのかですが、ほとんどは皮膚や目を開ける筋肉(眼瞼挙筋とその腱膜)が原因となっています。大きく分けて先天性の眼瞼下垂と後天性の眼瞼下垂があり、そのほとんどは加齢や疾患などによる後天性の眼瞼下垂です。まぶたの皮膚がたるんで目を開けることを邪魔していたり、腱膜という目を開ける筋肉(眼瞼挙筋)とまぶたをつないでいる部分が使い古したゴムのように伸びていたり、はずれてしまっているというのが後天性眼瞼下垂でよく見かける原因です。
    また、コンタクトの着用によっても眼瞼下垂が起こると言われており、特にハードコンタクト着用者では眼瞼下垂になりやすいと日本眼科学会のホームページでも明記されています。

    他にも稀ですが、眼瞼痙攣(がんけんけいれん)というまぶたの痙攣が原因でまぶたが開けづらく感じる場合もあります。また最も多い原因が、腱膜がゴムのように伸びていてしまっていたり、腱膜がまぶたの縁の瞼板(けんばん)という組織からからはずれたり、はずれかけたりしておこる腱膜性眼瞼下垂症です。眼瞼挙筋が機能していても腱膜が伸びたり、瞼板からはずれてしまっていると眼瞼挙筋の引っ張る力がまぶたに伝わらず十分に目を開くことができません。

    加齢やコンタクトの長期使用、まぶたを擦る癖などによって徐々に腱膜が伸びてしまったり、腱膜と瞼板の接合が弱くなってしまい、症状が進行していきます。このような状態では、額の筋肉を使って目を開けている方も多く、眉毛が上がっていておでこの横ジワが目立ちます。おでこを手で押さえると目が開かなくなったりとても重く感じる方もいますのでぜひチェックしてみてください。

    また、おでこの横ジワにボトックスを注射したら目が重くなって開けられなくなったという方もこのタイプが多いです。このタイプの方は額のボトックスが適応ではないため、まず眼瞼下垂の治療を行ってからボトックスの施術を受けることをお勧めします。
    目が開きにくいことにより、目を開けようと筋肉のセンサーであるミュラー筋が強く収縮することで、頭痛や全身のこり、不眠、不安などの自律神経症状をきたすこともあり、特に夕方仕事が終わりそうな時しんどいという方もいるのではないでしょうか。下の図がわかりやすいため参考にされてください。
    このように眼瞼下垂の症状だけでなく副次的な症状が出ると日常生活に影響を与えてしまったりするため、早期の受診をおすすめします。

    次に多い原因が皮膚が伸びて瞳孔にかかってしまう皮膚弛緩性眼瞼下垂というものです。これは主に目尻側の皮膚が大きく垂れており、垂れた皮膚がカーテンのように目にかかってしまうことで、外側が見えづらいというような特徴があります。

    眼瞼下垂の症状にも程度があり、クリニックや病院によって保険の治療が適応になる場合とならない場合があるため注意しましょう。

    私の勤めるクリニックでは、中等症の3.5mm以上から保険適応になります。実際に適応になるかどうかは、そのクリニックや病院の規定がある可能性があるため、医師の診察を受けて確認してくださいね。自分の症状は軽いだろうと診察された方が中等症以上だったという場合もありますので、早めの診察をおすすめします。診察により眼瞼下垂の軽症であった場合でも自費治療は可能ですし、辛い症状も解消・軽減できる可能性が高くなります。

    出典(上記画像3点) 大阪市立総合医療センター

    眼瞼下垂の保険治療

    保険での治療は形成外科や眼科、美容クリニック(保険診療可能なクリニック)で行われます。機能の回復を主な目的としており、目の開きが悪い、目が開かないという機能の低下を目が開く状態にするというものです。
    眼瞼下垂のオペを行うとぱちっと目が開くようになるため印象が変わってしまうことがあるので、そこは理解を深めておかなければ、手術後に治療しなければよかったと後悔することになってしまいます。

    保険治療のメリットは費用が安いことです。3割負担で、両眼で約45,000円、片眼で約23,000円です。ですが、オペの適応かどうかと、どういった手術をするかは医師の診察により決定するため、患者さんが自由に希望の処置をしてもらえるわけではないことも理解しておきたいポイントです。また、保険治療は機能の改善が主な目的ですので、二重の幅やまぶたの形などの整容的な要望に対応してもらえるかどうかは医師の判断によります。
    挙筋の腱膜が伸びている場合は挙筋前転法や経皮的タッキング、挙筋短縮術が行われることが多く、皮膚が伸びている場合には余剰皮膚切除が行われます。

    眼瞼下垂の自費治療

    自費治療も、美容クリニックや形成外科、眼科クリニックなどで行われています。自費と保険どちらも行っているクリニックもありますが、大きな違いとしては審美的要素を重要視できるというところです。二重の幅を広げたい、若い頃と同じような目にしたい、平行型の二重にしたい、ナチュラルな二重にしたい、など幅広いご要望に応えることができるのが大きな特徴です。
    また、他院オペ後の修正なども自費治療になることが多く、難しい治療であっても医師が最善を尽くしてオペを行っています。筆者の勤務するクリニックでは、保険と自費の方の比率としては2:8程度で自費のオペの方が多くなっています。

    保険のオペよりも細かなご希望に添えるため患者さんの安心感・満足感が高いです。定期的な診察やメンテナンスとして美容医療を併用する方も多く、眉下切開後には眉のアートメイクを入れられる方も最近では増えています。
    自費治療での費用はクリニックによって変わりますが、20~60万円程度かかることが多いです。

    自費と保険のどちらの治療を受けるのか、まずは予算や眼瞼下垂の状態を鑑みてそれぞれのクリニックの診察を受けることをおすすめします。自費のクリニックですと症例写真があったりモニター制度で少しお得に治療できたりもするので問い合わせしてみると良いでしょう。

    ▼眼瞼下垂の保険・自費治療をもっと詳しく。医師監修記事はこちら

    眼瞼下垂手術の方法

    挙筋前転術・挙筋短縮術

    挙筋前転術は挙筋の腱膜が伸びている場合に、まぶたを切開し、挙筋腱膜をまぶたの縁にある瞼板という組織に糸で固定することで目の開きをよくする治療です。眼瞼下垂のオペというとこの挙筋前転術をイメージされる方が多く、目がぱちっと開くため印象が変わりやすい治療です。挙筋短縮術は挙筋腱膜を切除して短縮する治療です。

    保険のオペですと二重幅や細かな希望の調整が難しいのですが、自費のオペであればなるべく印象を変えたくない、二重幅を希望の幅にしたい、目の開きの左右差をできるだけ合わせたいなどの細かいご希望にも対応することが可能です。また、自費のオペではまぶたの脂肪の量を調節することで、まぶたの腫れぼったさを改善させたり、逆に凹みを改善させたりすることができます。

    このオペはダウンタイムが比較的長く完全に落ち着くまで(むくみも取れる程度)3〜6カ月と長い期間を要します。そのため、ダウンタイムが取れる時に行うか、仕事や予定の兼ね合いなど調整が必要な方もいるかと思います。1カ月程度だとまだまだ腫れ感が気になるため、メガネやサングラスで隠す方も多い治療です。ただ、皮膚切除だけでは難しい目の開きをよくすることができるため、眼瞼下垂の根本的な治療が可能です。

    眉下切開

    眉下切開とは、眉の生え際ギリギリの部分の余分な皮膚を切り取り縫い合わせる方法です。挙筋前転法と比較して術後の見た目の変化がマイルドです。眉下で皮膚を切るため傷が目立たないというメリットがあります。また、ダウンタイムも挙筋前転法よりも短く、1週間後の抜糸の頃には内出血もほぼ引いているという患者さんもいます。

    2〜3日はむくみ感や腫れが出ますがその後落ち着いていき、傷跡の赤みや違和感、硬さは3〜6カ月で落ち着いていきます。女性だと眉のメイクをするので赤みや傷跡は隠すことができますし、最近は男性も眉下切開を行う方が増えており、若々しい印象になるため自費の治療でも人気があります。

    切らない眼瞼下垂手術(経結膜タッキング)

    切らない眼瞼下垂手術は、二重の埋没法とよく似ている治療です。切開が怖い方や傷が残るのが嫌な方、ダウンタイムを取れない方に適した治療で、挙筋腱膜の裏にあるミュラー筋を糸によって持ち上げることで目の開きをよくする方法です。ただ、埋没法と同じく糸が緩んできたり、外れたりなど数年で元に戻ってしまうリスクがあります。

    ダウンタイムが取れない場合の応急処置として利用する方もおり、タッキングだけで治療を完結するというより、一時的に目を開けやすくする補助としてオペを行われると良いかと思います。効果の持続期間は概ね1~2年といわれてます。2019年には論文で、タッキングによる眼瞼下垂の改良された方法も記載されており加齢による眼瞼下垂の初期手術に望ましい方法として発表されています。
    ミュラー筋に糸がかかるのでタッキングは危険だという意見もあります。また、高齢の患者は皮膚の余りが多く、経皮的に皮膚切除が必要なことが多いです。

    ▼切らない眼瞼下垂を深掘りしたい方はこちらの医師監修記事も

    眼瞼下垂の症状がある場合、要注意な美容施術

    眼瞼下垂の場合、額のシワが気になる方が多く、目が開けづらいことよりも額のシワの相談を受けることがよくあります。額のシワだけであればボトックスやヒアルロン酸が適応になるのですが、目の開きが悪い方の場合、眼瞼下垂のオペをせずにボトックスを打つと額が重く目が開かないなどの副作用が強くなってしまいます。

    よく、額や眉間のボトックスで目が開かなくなった、二重幅がなくなってしまったという方はそのような場合が多く、せっかく額のシワを治療したのに日常生活に支障が出てしまうということが起こってしまうのです。そのため額のシワが気になる方は、安易にボトックスを打つのではなく、目を閉じて額を手で押さえた状態で目を開けても重く感じないかしっかり確認することが重要です。
    もし、目が重く感じる場合必ず医師の診察を受け、どの程度眼瞼下垂の症状が出ているのか診断してもらうことも忘れずに。オペをすぐしたいわけではない、ゆっくり考えたいという方も医師の診察を受けてからどう治療するのか考えられると良いかと思います。

    眉下切開の前にアートメイクを入れるか、あとから入れた方が良いか聞かれることも多いのですが、眉下切開をして傷が馴染んできてからアートメイクを入れることをおすすめします。
    眉下の皮膚は切開するラインで綺麗に切り取られるため、アートメイクを先に入れてしまうとアートメイクが切り取られてしまう可能性があるのです。オペの後にアートメイクを入れるとオペの傷を隠すこともできますし、何よりメイクをしなくても眉があるため時短になります。

    まとめ

    眼瞼下垂の症状は、気づいていない、自分はまだ症状が軽いと思っている方がほとんどです。それは、毎日少しずつ症状が悪化していくため、慣れてしまっている状態であることが原因です。

    そういった方に筆者はよくお声がけさせていただき、医師の診察を提案しています。そうすると、オペをされた後にもっと早く治療していたらよかった、こんなに症状が改善すると楽になるんですねと感激されることも少なくありません。

    40代以上の方は目が開けづらくなっていないか、夕方になると頭が痛かったり、朝より目が開けづらくなっていたりしないか日々確認するだけでなく、身近な方にも声をかけることでその方のQOL(クオリティーオブライフ=生活の質)を上げることができます。眼瞼下垂は症状が進むと、とても辛い疾患であるため、保険や自費どちらがあっているのかも含めてゆっくり考えて治療していかれると良いでしょう。

    【記事の執筆・レビューに使用した参考文献等】

    記事の正確性等の確保方法及び参考文献の取り扱いについては、Call to Beautyの編集プロセスをご覧ください。

    『大阪市立総合医療センター』

    『公益財団法人 日本眼科学会』

    『Ptosis surgery with an improved method of shortening the Müller’s muscle and the levator aponeurosis with transconjunctival threading.
    Journal of Ophthalmic Surgery 2:7-12, 2019.』(2019 Journal of Ophthalmic Surgery)

    Kosuke Ogasawara

    *本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

    MarkeTech

    トマト看

    4年制大学の看護学科を卒業後総合病院のICUで1年勤務。その後、美容クリニックに勤務して3年目の、看護師としては4年目になる。美容クリニックはパート含め計6院の美容外科・皮膚科勤務歴があり使用した機械や介助についたオペも多い。高校生の頃から肌荒れに悩んでおり、スキンケアマニアのため市販のスキンケアやドクターズコスメの知識も豊富である。

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監修:

水上高秀 医師

水上形成外科 美容クリニック

日本形成外科学会認定形成外科専門医・形成外科領域指導医、日本形成外科学会皮膚腫瘍外科分野指導医、日本創傷外科学会専門医、日本形成外科学会レーザー分野指導医。
大阪市立大学医学部医学科卒業。
形成外科医として、浜松医科大学附属病院、愛知県がんセンター、磐田市立総合病院等に勤務。一般形成外科だけでなく、顔や頭頸部の再建外科も手がける。その後、眼瞼専門クリニック、美容外科クリニックで目元の手術、フェイスリフト、皮膚のレーザー治療等、幅広く施術を行う。
2024年6月上旬浜松市中区に水上形成外科 美容クリニック開院予定。
得意施術は、まぶた(二重、眼瞼下垂等)、たるみ(フェイスリフト)、クマとり。

1998年 静岡県立富士高等学校卒業
2005年 大阪市立大学医学部医学科卒業
2005年 大阪府済生会泉尾病院 初期臨床研修医
2007年 浜松医科大学医学部付属病院 形成外科 医員
2010年 愛知県がんセンター中央病院 形成外科 ジュニアレジデント
2012年 浜松医科大学医学部付属病院 形成外科 診療助教
2018年 磐田市立総合病院形成外科 部長
2020年 松尾形成外科・眼瞼クリニック 副院長
2022年 八事石坂クリニック東京院 副院長
(ぎふスキンケアクリニック•今泉スキンクリニック•西堀形成外科非常勤)
2024年6月 水上形成外科 美容クリニック 開院予定

執筆:

トマト看看護師

4年生大学の看護科を卒業後ICUを1年経験し、救急医療や重症看護を学んだ。その後、複数の美容皮膚科や美容外科で経験を積み美容看護師として働いて3年目になる。日頃からエビデンスやその方それぞれにあった美容医療を提案している。
患者さんからの指名も多く、美容の豆知識を呟いているX(旧Twitter)ではフォロワー2,500人と支持を得ている。

3次救急病院(ICU)
美容皮膚科
美容皮膚科・外科