シミやそばかす、肝斑、アザの治療、毛穴の引き締めやたるみ改善といったアンチエイジングの悩み全般からニキビ跡の改善、イボやほくろの除去などの肌の悩みに対処できるのがレーザー治療器を用いた施術です。美容外科・美容皮膚科を受診する人の多くがレーザーの施術を受けていますが、これらの治療器を生産しているメーカーはどのような企業なのでしょうか。ここで世界的に有名なレーザーメーカーや技術力の高いレーザーメーカーを詳しく紹介しましょう。

美容先進国アメリカの二大メーカー

レーザー治療は1960年代、アメリカにおいて眼科治療の分野からスタートしました。日本では1980年ごろからレーザーが用いられるようになりましたが、治療器の開発においてもやはりアメリカに一日の長があります。なかでも二大レーザーメーカーとして知名度が高いのがシネロンキャンデラ社とサイノシュア社の二つのメーカーです。

シネロンキャンデラ社

シネロンキャンデラ社のジェントルレーズ

出典 https://www.candelakk.jp/

シネロンキャンデラ社は1989年にアメリカで設立されたキャンデラ社の子会社として誕生しました。2010年には美容大国として知られるイスラエルのメーカー・シネロン社が吸収合併し、現在でも医療レーザーメーカーの先端をいく企業として世界中の医師から厚い信頼を得ています。

イスラエルの医療メーカーはもともと軍隊で使用するために開発された高い技術を美容分野にも反映させていて、世界的に見ても最先端かつ、レベルの高い技術を持つ企業が多いことでも知られています。日本で販売されている美顔器や家庭用脱毛器のなかにもイスラエル製のものがありますよね。

メンテナンスやサポート体制が整った安定したアメリカの企業であるキャンデラ社と革新的な技術を誇るシネロン社が合併したことで、2社のブランドを扱うことができ、かつ世界的に子会社や代理店がある体制を強みにしているメーカーです。

シネロンキャンデラ社が扱うレーザー機種

・PicoWay(ピコウェイ) 
シネロンキャンデラ社が開発したピコウェイ技術を採用したマシン。刺青やタトゥーの除去に使用されることが多いが、シミの治療も可能。特にシミ治療の後の色素沈着が少ないケースが多く、患者さんが安心して施術を受けられるというメリットがある
・GentleMAX(ジェントルマックス)
顔全体にアプローチしたい際に用いられるマシン。広範囲の毛穴の開きや顔の赤み、くすみの改善にも用いられる。ハリがアップし、きめ細かい肌に近づける。かさぶたになりにくく、ダウンタイムが短いとして人気の機種

サイノシュア社

サイノシュア社のピコシュア

出典 http://kokusaigakkai.cocolog-nifty.com/

サイノシュア社はキャンデラ社出身の開発者が独立して設立したメーカーでアメリカのボストン州にある企業。90年代後半にはアレキサンドライトレーザーを採用した脱毛マシンをヒットさせたメーカーでもあります。

それまで脱毛に用いられるのはルビーレーザーが主流でしたが、ルビーレーザーは肌にメラニン色素が少ない白人向けに作られたもので、日本人をはじめとする有色人種に使用するとやけどを起こしやすというデメリットがありました。サイノシュア社が96年に開発したアレキサンドライトレーザーは有色人種の肌でも肌トラブルを起こすことなく脱毛できるとして一躍、大ヒットした実績があるのです。

他社の技術を取り入れたり、合併吸収したりすることで取り扱う技術や企業としての規模を広げつつあり、財政的にも非常に力のあるメーカーとして成長しづづけています。

サイノシュア社が扱う機種

・Elite(エリート)
アレキサンドライトとNdヤグという2つのレーザーを切り替えて使用できる。脱毛威力が高いだけでなく、照射範囲が広いため施術時間の短縮も実現。冷却ガスを出しながら施術できるので痛みが少ない。また脱毛だけではなく、毛細血管が浮き出た肌や赤ら顔、くすみ、毛穴の開き、ニキビ跡といったフェイシャル施術にも使用される
・レブライトSI
しみ、そばかす、肝斑といったトラブルから太田母斑や扁平母斑、ニキビ跡の治療に用いられる。肌の深い層まで熱が届くことで、コラーゲン再生が行わるため肌のハリがアップする効果も期待できる。肌のトーンアップや刺青の治療にも有効と言われる

その他・技術力に定評のあるレーザーメーカー

その他にも日本を含め多くの美容外科、美容皮膚科で採用されているのがアメリカのキュテラ社、イタリアのクアンタ社があります。

キュテラ社

キュテラ社のキュテラXEO(ゼオ)

出典 http://www.cutera.jp/

アメリカ・カリフォルニア州に本社のあるキュテラインクの日本法人として2003年に設立されたメーカーがキュテラ社です。キュテラ社はレーザー分野におけるリーディングカンパニーでありながら、日本人の肌にあった機種を開発するために日本で多くの臨床試験を行うなど、安全性の高いマシンを提供する信頼度の高いメーカーです。

代表的なマシンはキュテラXEO(ゼオ)。顔全体のくすみや広範囲のそばかす、赤ら顔に作用する「ライムライト」、毛穴の開きやニキビ跡の改善に作用する「ジェネシス」、肌の引き締め効果やコラーゲンの生成にアプローチしてたるみを改善する「タイタン」、毛細血管が目立つ肌やしみ、そばかすに作用する「アキュティップ」という機能を使い分けることができる、美容外科の複合機的存在マシンとして幅広い肌トラブルや悩みに対応しています。

クアンタ社

クアンタ社のDiscoveryPico(ディスカバリー・ピコ)

出典 http://www.quantasystem.com/

1985年イタリアにおいてレーザー光学を研究する機関として誕生したのち、1997年から医療用レーザーや美容外科分野でのレーザー開発をスタートし世界的な企業に成長しています。現在では医療用レーザー、美容医学の分野だけではなく、美術作品の保存のためのレーザー機器なども開発しています。

日本で使用されているクアンタ社の代表的な製品には従来のよりも高いパワーで照射可能な特許出願中のピコ技術を搭載したDiscoveryPico(ディスカバリー・ピコ)があります。タトゥーの除去に効果が期待できるレーザーマシンです。

代表的なレーザー治療器メーカー・まとめ

美容外科の施術に使用されるレーザー治療器を製造しているメーカーはいろいろあります。レーザーの性能はもちろんのこと、メーカーとしての信頼度、サポート体制や万が一、故障した際の対応なども含めて評価している医師も多いようです。

どこのメーカーのものが優秀かを考えるよりも、まずは自分の肌のタイプや解消したい肌トラブルにより適したマシンを使用しているクリニックを選ぶことがキレイになるための近道と言えるでしょう。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込です。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

Emiri

Emiri

美容系全般得意なライター。自身でも美容医療を実践。

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監修:

稲葉岳也 医師

いなばクリニック

東京慈恵会医科大医学部卒業。大学病院にて経験を積み、横浜市でいなばクリニックを開院する。一般皮膚科をメインにしつつも、美容皮膚科治療も積極的に行っています。
特に、多くの機器を導入しているレーザー治療、光治療においては地域の美容かかりつけクリニックとしてリピーターが多い。HIFUテクノロジーのウルトラセルQプラスなど話題の機器も抑えています。

東京慈恵会医科大医学部卒
慈恵医大附属病院
聖路加国際病院
いなばクリニック院長