テレビやインターネットでよく紹介されるようになった眼瞼下垂(がんけんかすい)。他人事だと思っていたら、実は自分も眼瞼下垂だったという人が今、増えています。

手術をすることでさまざまな症状が改善すると言われているだけではなく、眼瞼下垂の手術をすることで二重になるので、病気の治療として堂々と二重まぶたにできる!というメリットもあります。とはいえ、切開する手術は怖い……というひとが多いのでは? でも、二重まぶたの手術と同様、眼瞼下垂の手術には切らない方法があります。ここでは、切らない眼瞼下垂の手術について、メリットやデメリットを詳しく紹介していきます。

目次

1.切らない眼瞼下垂手術のメリット、デメリットとは?

切らない眼瞼下垂手術のメリット、デメリットとは?

メスを入れずに気になる症状が改善できて、二重まぶたにできる切らない眼瞼下垂の手術。見た目がキレイになって不快な症状も改善するいいところどりの手術のように思えますが、実際はどんな手術なのでしょうか。

1-1.切らない眼瞼下垂の手術とは?

いわゆる「切らない眼瞼下垂の手術」とされているものには二種類あります。ひとつはまぶたの裏側、結膜側を切開することで皮膚表面を切らずに済む方法、そしてもうひとつが本当に切らない方法です。このページでは後者を取り上げていきます。

本当に切らない手術方法もまぶたを持ち上げる、どの筋肉にアプローチするかによって方法が違ってきます。切開する方法と比べると出血や腫れも少なく、体への負担が少ない方法と言えるでしょう。また、手術費用も切開法に比べると安く済みます。

■埋没法、タッキングと短縮法の違いとは

切らない眼瞼下垂の手術、いわゆる埋没法は眼瞼挙筋(以下、挙筋)かミュラー筋をタックを作るように留める「タッキング埋没法」と皮膚を切除して短く縫い縮める「短縮埋没法」を行う方法の2種類があります。では、「タッキング」と「短縮」はどう違うのでしょうか? タッキングのタックは、ズボンのタックと同様、ひっかけを作るだけで、切ることはありません。また短縮は、そのまま切って短縮する方法を指します。

1-2.切らない眼瞼下垂手術、保険は効く?

眼瞼下垂の手術は長引く肩こりや頭痛、首の痛み、視界不良、ものが見えづらいといった症状があれば、保険適用の手術を受けることができます。ただし、保険適用の手術はあくまで機能改善が目的であり、二重のラインを整えたり、好みの二重に仕上げたりといった審美的なリクエストには応えてもらえないことが多くなっています。そのため、切らない眼瞼下垂の手術は保険適用では行わないというクリニックがほとんど。

とはいえ、「切らない埋没法の眼瞼下垂手術は絶対に保険では受けられない」というわけではないようです。数は少ないものの、まれに、埋没法を保険適用で施術するクリニックもあります。保険適用の埋没法眼瞼下垂手術を受けた場合、手術費用が2万円以下ということもあるようです。

2.切らない眼瞼下垂手術のメリット・デメリット

切らない眼瞼下垂手術のメリット・デメリット

埋没法による切らない眼瞼下垂手術は切開する方法は手軽にできるイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。ここからは切らない眼瞼下垂手術のメリットとデメリットを詳しく見ていきます。

2-1.切らない眼瞼下垂手術のメリット

切らない眼瞼下垂手術のメリットには以下のような点があげられます。

  • ・手術の時間が短くてすむ
  • ・腫れや内出血が少なく、ダウンタイムが短い
  • ・切開しない分、痛みが少ない
  • ・気に入らなかった場合、糸を取り除くことで元に戻せる

個人差もありますが、手術の時間は15~20分程度。入院の必要もなく、週末のあいだに手術を受けることもできます。手術のために長期間休みを取れない方にも適しています。芸能人やモデルでも埋没法による眼瞼下垂の手術を受ける人が多いようです。

2-2.切らない眼瞼下垂手術のデメリット

では、切らない眼瞼下垂手術のデメリットを見てみましょう。

  • ・まぶたの開き具合に変化がなく、効果が薄いことがある
  • ・すぐに元に戻ってしまう
  • ・細部の調節が難しく、左右の仕上がりに差が出ることがある
  • ・時間が経ってから糸を除去しようとしても、取り除ききれないことがある

安心して受けられるイメージのある切らない眼瞼下垂手術ですが、実はこのようにデメリットをあげる医師も少なくありません。これは失敗が多いというよりも、手術をしてもすぐに元に戻ってしまう、皮膚のたるみがある場合など、一定年齢を過ぎた人には適応できないということが大きな理由のようです。

皮膚のたるみがある場合、埋没法だけでは眼瞼下垂の症状が改善することは少なく、埋没法ですませたいなら早いうちに手術を考えた方がよさそうです。

まとめ

保険診療で眼瞼下垂手術が受けられるかは、まずそのクリニックが保険診療機関である必要があります。そうでない場合は保険診療がそもそも行われていません。
さらに眼瞼下垂の診断は見た目や症状のみで判断されるのではなく挙筋機能や視機能などから医学的に判断されます。下垂の程度によっては保険診療での治療が難しいことも少なくありませんし、患者側から保険診療手術を希望して受けられるというわけではありません。

手軽に受けられるように感じる切らない眼瞼下垂手術ですが、患者さんの目元の状態や脂肪のつき方、皮膚のたるみ方などによっても施術内容に差が出てきます。文中の手術費用の金額はすべて税込ですが、状態によって金額が変わることもあるので、まずはいくつかのクリニックでカウンセリングを受け、医師に相談してみることをお勧めします。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

Emiri

Emiri

美容系全般得意なライター。自身でも美容医療を実践。

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監修:

依田拓之 医師

よだ形成外科クリニック

東邦大学医学部卒業。形成外科医として経験を積み、美容外科院長を歴任。宮城県仙台市に2010年よだ形成外科クリニックを開業。2020年で開院10周年。
日本形成外科学会認定専門医の資格を持ち、現在では少なくなった総合的な美容医療を地域に提供しています。目元、鼻などの美容外科治療はもちろん、エイジングケア、美肌、男性・女性のAGA、男性診療まで幅広いメニューは安心してかかりつけ医にできそうです。

東邦大学医学部卒
東京警察病院形成外科入局
美容外科クリニック院長
よだ形成外科クリニック院長