美容医療の分野で近年話題に上がることが多い豊尻術(ほうこうじゅつ)。垂れ下がったお尻を引き上げたい、お尻自体を大きくしたい、お尻の形をよくしたいなどのお悩みに対して豊尻術を行います。

本記事では豊尻術を検討している方において最も悩みが深いであろうお尻が垂れ下がってしまう原因について解説した上で、お尻の引き上げ(ヒップアップ)を可能にする美容医療メニューを紹介していきます。

お尻が垂れ下がる理由

ヒール

加齢

お尻が垂れ下がる理由としてまず加齢による筋肉の衰えが挙げられます。

お尻を支える土台とも言えるのが
・大臀筋(骨盤から太ももの骨辺りに広がる筋肉)
・中臀筋(お尻の横の側面で「右へ、ならえ」の体勢で腰に手を置いたところから5~10㎝ほど下にある筋肉)
・内転筋(太もも後面にある筋肉、別名ハムストリングス)

これらの筋肉は建物の構造に例えるならば基礎の部分であり、その基礎が崩れると、その上に乗っている脂肪や皮膚も弛んで垂れ下がってしまいます。

人間の老化は足から訪れると言っても過言ではありません。太ももからお尻にかけての筋肉老化は早くから現れるので20代から加齢による垂れ下がりが始まる方も少なくありません。

運動不足

お尻が垂れ下がる理由としてまず筋肉の衰えを挙げましたが、加齢だけでなく運動不足もお尻の筋肉を衰えさせる原因です。

運動不足により、お尻の皮下脂肪が増加すると、その重みでお尻が垂れ下がってしまいます。

日常的に歩くことが少ない方はもちろん、階段を使わない、太ももを上げずに歩く癖がある方はお尻を支える土台ともいえるこの3つの筋肉が痩せ縮み筋力が衰えやすい傾向にあります。

血行不良

お尻の筋肉は主に「立つ・座る・歩く」といった日常の基本動作に使われる筋肉ですが、デスクワークなどで長時間、同じ姿勢で座り続けることで筋力が低下していきます。

中でも前述した大臀筋が、体重で圧迫されて筋肉が凝り固まると血行不良の状態になり、結果的に筋力の低下に繋がるのです。

骨盤の歪み

骨盤が歪むこともお尻が垂れ下がる大きな要因です。
骨盤周りには大きな筋肉がついているので骨盤が歪むと、筋肉が緩み、結果的にお尻の垂れ下がりに繋がります。

特に日常的にハイヒールをよく履く方は骨盤が後ろに前傾し、お尻周辺の筋肉が過剰に緊張している状態が続くので、骨盤が歪みやすいので注意しましょう。

猫背

猫背もお尻が垂れ下がる原因の一つです。

スマートフォンを操作している時、家事をしている時など無意識に猫背になっている方はお尻が垂れ下がりやすい傾向にあります。

猫背は骨盤が後傾した状態となるこがあり、姿勢を支える全身の筋肉のバランスが崩れてしまいます。骨盤が後傾した状態が続くと、使用する筋肉に偏りが起こることからお尻の垂れ下がりの一因になってしまいます。

ヒップアップするための生活習慣

お尻が垂れ下がってしまっても前述したような生活習慣を見直し、適度な運動やセルフケアを行うことによってヒップアップを促し、お尻の垂れ下がりを予防することはできます。
その手段を幾つかご紹介します。

ウォーキング

激しい運動や筋トレが苦手な方は、まずウォーキングを積極的に行うことがおすすめです。
歩く際は背筋を伸ばし、少し胸を張った姿勢を取りましょう。
猫背の傾向がある方は特に背筋を意識しましょう。

歩く際は、歩幅を広くして歩くことで後ろ足の筋肉全体が使えるので効果的です。
ハムストリングスや大臀筋がしっかり作用します。
また時には大股で歩くと筋肉を引き締める作用があるのでさらに効果的です。

階段を昇り降りする

通勤時や勤務時に意識的に階段を昇り降りすることもお尻周辺の筋肉強化に繋がります。
ウォーキング同様に背筋を伸ばし、登る時は踵で地面を踏みしめながら登り降りするとふくらはぎからお尻までの全ての筋肉を使えるので効果的です。

ローイングエクササイズ

前述したような運動不足はお尻の垂れ下がりを招く一因です。
ジムに行ってウォーキングやランニングなどの有酸素運動は勿論、筋トレもお尻周辺の筋肉を意識した運動を行うと良いでしょう。

特におすすめなのがローイングエクササイズ(ボート漕ぎ運動)です。
ボートは腕力で漕ぐイメージがありますが、実は下半身でキックして漕ぐ競技です。
ゆえにローイングエクササイズはお尻周辺の筋肉強化に有効です。

ローイングエクササイズを行うことにより、お尻周辺の筋肉は勿論、体幹や背筋の筋肉強化にも繋がるのでお尻以外のボディーメイクにも取り入れることをおすすめできるエクササイズです。

ヒップアップするための美容医療

ヒップ

前述した生活習慣の見直しやセルフケア、エクササイズではお尻の垂れ下がりの短期的な改善は難しく、時間がかかります。

美容クリニックでは短期的にお尻の垂れ下がりを改善した上でヒップアップ効果が見込める施術が存在します。代表的な施術メニューを紹介します。

エムスカルプト

現在、最もヒップアップ施術メニューで注目度が高まっているのはエムスカルプトです。
エムスカルプトは高密度焦点式磁力(HIFEM)という電磁波を利用し、筋肉にアプローチする医療痩身機器です。
皮膚の上からお尻に装着し、筋収縮を促す神経のみに作用する電磁波を流すことで、筋肉にアプローチします。

エムスカルプトは1回30分の照射で腹筋約2万回分の負荷を与えて、運動だけでは動かすことのできない皮下7㎝までの筋肉を幅広く、効率よく鍛えることが可能とされます。

また、照射時の筋肉を収縮させる過程で脂肪細胞がアポトーシス(プログラムされた細胞死)を引き起こすため、エムスカルプト1台で筋肉量の増加の他に、脂肪量の減少効果も見込めます。

エムスカルプトのメリット

エムスカルプトはメスや注射を使わない施術であるため、ダウンタイムがなく、安心して施術を受けられるのが最大のメリットです。

安全性という点でも日本の厚生労働省にあたるFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を受けており、FDA認可の他に5つの特許を取得している側面もあります。

30分間寝ているだけでヒップアップ効果が見込めるので、その手軽さも大きなメリットです。

エムスカルプトのデメリット

エムスカルプトの最大のデメリットはやはり一回照射しただけでは劇的な改善効果は見込めず最低でも4回のコース施術が必要で、その間クリニックに通い続けなければならないことです。

1週間に1回、1カ月間集中的に治療を推奨されるケースがほとんどです。
回数分の施術費用(相場は1回10万円程度)はかかるため、予算を準備した上で、施術前のカウンセリング時に医師と施術回数、施術頻度について相談しておきましょう。

また効果持続期間も1年間位が目安で、決して永続的な効果が見込める施術でないことも理解しておく必要があります。

トゥルースカルプflex

トゥルースカルプflexは、電流を利用してお尻周辺の筋肉を引き締めてヒップアップ効果が見込めるFDA(アメリカ食品医薬品局)認可の医療機器です。

独自の多方向刺激技術MDS(Multi-Directional Stimulation)が、電流の方向に変化を加えて同じ筋肉への刺激を避け、より広範囲に効果的に筋肉を刺激することで健康的な筋肉の生成を促進します。

また、トゥルースカルプflexの治療は1度の治療で8つのハンドピースを配置し、同時に8つのエリアの筋肉の活性促進を行うことが特長です。

トゥルースカルプflexを2〜6日の間隔で4〜6回使用した患者の筋肉量が平均約30%増加し、脂肪の厚さもわずかに減少したという臨床実験の検証データも出ています。

トゥルースカルプflexのメリット

トゥルースカルプflexの最大のメリットは寝ているだけなのに短時間で高い運動効果を得られることです。
45分間の照射で5万4000回の腹筋に相当する筋肉収縮が行われるので、前述したエクササイズや筋トレが苦手な方には非常におすすめです。

腹部や太ももへも照射できるのでヒップアップだけでなく全体的なボディーメイクを目指したい方にもトゥルースカルプflexはおすすめできる施術です。

トゥルースカルプflexのデメリット

トゥルースカルプflexもエムスカルプト同様に繰り返しの施術が必要になります。
個人差はありますが、術後の効果の現れ方が穏やかで、大きな変化は少ないケースがほとんどです。

十分な効果を見込むための推奨施術回数は週2回合計4回以上で設定されているケースが多く、1回の施術で効果を求める方や忙しくクリニックに通院する時間が取れない方にはトゥルースカルプflexは向いていない施術と言えます。

また、個人差がありますが、施術中は強い筋収縮が起こるので不快感や軽い痛みを感じるケースもありますので痛みや電気刺激に弱い方は注意する必要があります。

ヒアルロン酸注入

ヒアルロン酸注入は美容医療において顔のシワ治療、唇、額、あごなどの輪郭形成に多く使用される施術です。
ダウンタイムが少なく、注入直後から効果を実感できることが特長です。

注入したヒアルロン酸製剤は約6~12カ月ほどで体内に吸収され、元の状態へ戻るため安全性の高い施術として認知されています。

ヒップアップという主訴においてもメジャーな施術であり、お尻の上部にヒアルロン酸を注入し、ボリュームを出すことで、垂れて丸みを失った状態を上向きにし、脚を長く見せることができます。
またお尻に丸みを与え、横の張り出しを作ることもできるのでハリ感のある若々しいヒップラインへと形成することも可能な施術です。

ヒアルロン酸注入のメリット

ヒアルロン酸注入の最大のメリットは注入直後に効果が現れる即効性です。
施術時間も量にもよりますが30分前後で終わることがほとんどなので1回の治療ですぐに即効性のある効果を求めている方には最適な治療です。

万が一術後の仕上がりに満足がいかない場合、追加注入を行うことも可能で、ヒアルロン酸分解注射(ヒアルロニダーゼ)により元の状態に戻せることもヒアルロン酸注入のメリットと言えるでしょう。

ヒアルロン酸注入のデメリット

ヒアルロン酸は体内に吸収されてしまうため、元の状態に戻ってしまいます。その場合は再度注入が必要になることがデメリットです。

また、体へのヒアルロン酸注入剤は粒子が大きいものを使用する傾向にあり、製剤によってはやや硬く感じることがあるので使用する製剤についても診察時に確認しましょう。

注入時の痛みは麻酔を希望すればカバーできますが、注入後のダウンタイム時に筋肉痛のような軽い鈍痛が約1週間程度生じるケースがあります。

また腫れやむくみが2〜3日ほど続くこともあるので術後のダウンタイムや副作用は前述したエムスカルプトやスマスアップに比べて発生しやすいと認識した方が良いでしょう。

脂肪注入

太ももやウエストなど痩身をしたい部位から自身の脂肪を吸引し、その脂肪をお尻に注入することでヒップラインにボリュームを出し、整える施術です。

脂肪注入はヒアルロン酸やシリコンバックなどの異物を挿入する施術に比べて自身の脂肪細胞を使用するため仕上がりが自然で柔らかなのが特長です。

クリニックによっては自身の血小板を用いて肌再生を行うPRP療法で行っています。

脂肪注入のメリット

脂肪注入によるヒップアップの最大のメリットは効果持続期間が長いことです。

注入した脂肪が定着するまでは3カ月から半年の期間を要しますが、定着してしまえば効果は半永久的であり、前述した施術メニューのように定期的に施術を受ける必要はありません。

定着率もヒアルロン酸注入よりも高く、個人差はありますが40〜60%は残ると言われています。

脂肪注入のデメリット

脂肪注入のデメリットは外科手術であるがゆえにダウンタイムの長さ、料金の高さが挙げられます。

まず脂肪注入するためには脂肪吸引が必要なため、吸引した部位の腫れ、内出血、拘縮、色素沈着などが治るのに2〜3週間かかります。

料金も脂肪吸引分は別途かかるため、吸引部位などにもよりますが合計で100万円近くかかることもあるので相応の予算が必要になります。

ヒップリダクション(ヒップアップ手術)

ヒップリダクションやヒップアップ施術と呼ばれるお尻の引き上げ手術です。
お尻の下端(お尻と脚の境目)を切開し、皮膚及び皮下脂肪を切除します。必要に応じて脂肪吸引も行います。外科オペなので、ダウンタイムはありますが、ほぼ確実にヒップアップすることができます。費用は100万程度で行っているクリニックが多いです。

シリコンバッグ豊尻術

これもオペになりますが、お尻の割れ目に沿って切開し、シリコンプロテーゼを挿入しヒップアップを図ります。プロテーゼを入れる豊胸術と同じく、バッグの大きさを選択でき、一度で希望の大きさにすることが可能です。デメリットはプロテーゼ豊胸術でもある拘縮(バッグの周りに膜ができ固くなる)が起こる場合があります。費用は50~100万程度になります。

美容皮膚科で主にフェイスの美肌治療として行われているケミカルピーリング、ミラノリピール、ピコトーニング、水光注射をお尻に施術し、美尻にする皮膚科的治療を行っているクリニックもあります

まとめ

上を向いたヒップラインは若々しい印象を与えますが、本記事で触れたように加齢や筋肉の衰え、生活習慣によって垂れ下がってしまい、それを短期的に改善するのは生活習慣改善や筋トレだけでは中々難しいです。

自分に合った美容医療で効率よく改善した上で、本記事で挙げたようなセルフケアや生活習慣の見直しを行うことがおすすめです。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込です。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

MarkeTech

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宮城県出身。美容クリニック3医院で勤務した経験のあるWEBマーケター&ライター。2021年より独立し、美容以外でも金融/通信/人材などのフィールドで活躍中。

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MarkeTechライター

宮城県出身。美容クリニック3医院で勤務した経験のあるWEBマーケター&ライター。2021年より独立し、美容以外でも金融、通信、人材などのフィールドで活躍中。

歯科医院
美容皮膚科
全国展開美容外科クリニック(WEBコンサルタント、マーケッター)
合同会社マーケテック設立