筆者は現役の美容ナースとして、日々ニキビに悩む患者様と接しています。お肌の悩みは年代や肌質によって多種多様に存在しており、そのお肌悩みで精神的に辛くなったり落ち込んだりする方も少なくありません。

その中でも、「ニキビ(尋常性ざ瘡)」は思春期の方から30〜50代まで日本人の90%以上が経験し、男女共に幅広く悩まれている方の多い疾患です。私自身、中学生の頃からニキビに悩み皮膚科へ毎月通ったり美容皮膚科で施術したりと社会人になってもニキビには悩まされました。
その治療法も今のように確立されておらず、ネットの不確かな情報から間違ったケアをしてしまい、ニキビが慢性的に治らず悪化してしまったこともありました。ここからは、ナースとして、美容クリニックでのニキビ治療の経験もまじえ、ニキビの治療について細かく解説していきます。

【監修医師からのワンポイント】

ニキビは保険診療で治療が可能な疾患です。まずは皮膚科を受診し、正しい方法で予防と早期治療を行うことが大切です。健やかなお肌を保つために日々のスキンケアや美容クリニックでできることもあるのでお気軽にご相談ください。

ニキビができる原因

ニキビの原因として挙げられるのは皮脂の過剰な分泌、毛穴の詰まりです。これがいわゆるコメド(面皰:毛穴に角質、皮脂、細菌などが詰まった状態)や白ニキビというもので、酸化すると黒ニキビになり炎症を起こすと赤ニキビになっていきます。
皮脂の分泌が過剰になる原因のひとつとして、ホルモンバランスの乱れが挙げられます。ストレスや睡眠不足によりコルチゾールというホルモンが体内で分泌されます。そのコルチゾールは、男性ホルモンであるテストステロンを増加させます。男性ホルモンの増加により皮脂の分泌が増えることがニキビの原因となり、思春期ニキビや大人ニキビにも深く関与しています。

毛穴が詰まる原因としては、皮膚の角質が乾燥して厚くなり、毛穴の出口を塞いでしまうことが挙げられます。これは大人ニキビでよく見られます。
ニキビの原因を正しく知った上で、適切な予防方法や早期治療をしていくことが重要だと思います。

保険治療でのニキビ治療

保険診療で処方されるお薬にはいくつか種類があり、外用(塗り薬)や内服(飲み薬)を患者さんの肌の状況に合わせて医師が判断し、処方します。

現在処方されている代表的な外用剤は以下の4つです。
・ベピオゲル:BPO(過酸化ベンゾイル)
・デュアック配合ゲル:BPO+抗菌薬
・エピデュオゲル:BPO+アダパレン
・ディフェリンゲル:アダパレン
BPOは強力な酸化剤で、抗菌作用と角層剥離作用(ピーリング)が特徴です。角層剥離作用により毛穴の詰まりを防ぎ、ニキビの予防に効果を発揮します。さらに抗菌作用により、今できているニキビの治療も可能です。
アダパレンは角層が厚くなるのを防ぐ作用があり、毛穴の詰まりを予防します。また、瘢痕形成を予防する作用もあります。

また、抗菌薬の外用や内服も状況に応じて組み合わせて処方されることがあります。抗菌薬の内服以外にも、ビタミン剤や漢方が処方されることがあり、女性であれば月経異常を伴ったりすると産婦人科やレディースクリニックでホルモンバランスを検査して低用量ピルを処方されることもあります。

保険治療で気をつけるポイントは、外用薬で乾燥や赤みが出たり、刺激が強かったりしても最低3カ月は塗り続ける必要があることです。私も中学生の頃ニキビができて皮膚科に行き、薬をもらって塗ると、赤みやひりつきが出て塗布したり塗布しなかったりと薬をきちんと使うことができていませんでした。
そうすると治りかけていたニキビがまた再発してイタチごっこの状態になり、今でもニキビ跡が残ってしまっています。相談に来られる患者様のなかにも正しく外用薬を使えていない方が多く、指導させていただくこともあります。ニキビがニキビ跡になると治療が難しいので、ニキビ跡にならないよう今あるニキビを根気強く治療することが大切です。

美容皮膚科でのニキビ治療(自費治療)

自費治療では重症ニキビに対する内服薬や、ニキビ予防に効果的な施術を受けることができます。

ピーリング

ピーリングは肌の角質層のゴワつきや毛穴詰まりを薬剤によって取り除くというもので、薬剤にも種類がありサリチル酸(BHA)やグリコール酸(AHA)がよく使われます。
サリチル酸は肌の角質層まで浸透して刺激が少ない特徴があります。グリコール酸はサリチル酸より粒子が細かく角質層の奥にある真皮層まで浸透して、少し刺激はありますが線維芽細胞が刺激されコラーゲンが生成されるためニキビ跡もふっくらするという特徴があります。

どちらも平均8,000円程度と他の治療と比較すると安く、月に1度通うと毛穴詰まりが改善しニキビが出来づらくなります。私も肌がごわついたり化粧ノリが悪くコメドができてくるとピーリングをしています。
くすみも飛び、トーンアップしますしつるんと剥きたて卵肌のようになるのでとても気に入っています。敏感肌なので刺激の少ないサリチル酸ピーリングをすることが多いですが、グリコール酸ピーリングも多少ピリッとするくらいで肌にハリが出てもちっと肌に導いてくれます。

フォトフェイシャル(IPL)

シミ治療でよく知られているフォトフェイシャルですが、光を利用してニキビの原因であるアクネ菌を殺菌し肌のターンオーバーを整えることでニキビのできにくい肌を目指せます。さらに、ニキビの赤みに対して反応する光の波長を使うことで赤みを軽減することも可能です。輪ゴムで弾かれたようなパチンというくらいの痛みでダウンタイムもほとんどない施術ですので気軽に取り入れやすいかと思います。

回数は3〜5回程度通うと効果が分かりやすいです。3〜5回程度は継続する必要がありますが、平均12,000円程度のため若い方でも通いやすく、ハリツヤが出ますし、肌のトーンも上がるので満足度も高い施術です。

ダーマペン(薬剤:ウーバーピール)

ダーマペンは細かい穴を針で開けていくため、炎症ニキビには良くないと思われる方も多いのですが、導入する薬剤をニキビ用に開発されたウーバーピールにすると、炎症しているニキビの改善にも有効です。

まず、麻酔クリームをしっかり塗布し、ダーマペンで顔中に細かく穴を開けます。この穴は30分程度で塞がるため、穴が塞がる前にピーリング剤を塗布して数分おき、拭き取ります。穴を開けることによりコメドで塞がれた毛穴にウーバーピールの主成分であるマンデル酸や乳酸など低刺激なピーリング剤が浸透し、ターンオーバーが促されます。

施術の痛みはほとんどなく、ダウンタイムは赤みが2〜3日出るくらいと軽いです。炎症ニキビや色素沈着の赤みも改善するため、施術をしていて目に見えて改善していく方が多い印象です。炎症が多い方だと5〜10回、平均的なニキビ肌の方だと3〜5回ほどで皆様満足されています。平均3万円程度でコストはかかりますが1回でも変化が出る治療なのでまずは1回トライするのもおすすめです。

ニードルRF(アグネスやポテンツァなど)

ニードルRFは肌に刺した針からRF(ラジオ波)が出ることにより、皮脂を分泌する皮脂腺を焼いて破壊し、皮脂の分泌を止めることによりニキビが出来ない肌にしていく治療です。

アグネスは1本の針でニキビのできやすい毛穴やニキビができている毛穴にピンポイントで熱を与えるため痛みが少なくダウンタイムもほとんどありません。

ポテンツァは複数の針で全顔に針を刺していく施術です。表面麻酔をしていればそんなに痛くありませんが、赤みやひりつきなどのダウンタイムが1週間程度あります。熱を加えることにより線維芽細胞を刺激してコラーゲンが生成されハリツヤが出ますし、赤みも軽減するというメリットがあります。

成長因子などの薬剤を狙った深さに届ける(ドラッグデリバリー)こともできるので創傷治癒過程が促され遅くなっていたターンオーバーを正常化してくれます。

アグネスは1カ所に対して平均2,000円程度なのでニキビの少ない方向けとなっています。ポテンツァは、平均5万円プラス薬剤の値段がかかるためコストはかかりますが毛穴やニキビ跡、赤み、もたつきの改善までできるため5回程度継続されている方が多く、施術していて高い値段を加味しても満足度がとても高い施術です。

ロアキュタン(イソトレチノイン)内服

重症ニキビの治療として、ビタミンA類似薬のロアキュタンが適応になる場合もあります。男性に多いのですが、炎症ニキビが顔中にできたり何年も炎症を続けるなど、重症ニキビの方は保険適応の外用薬を使用してもなかなか改善しないことがあります。その場合、皮脂分泌を抑制しアクネ菌殺菌や抗炎症作用に優れたロアキュタンが海外では強く推奨されています。

しかし、副作用の強い薬のため日本では慎重に投与する必要があると言われています。副作用としては胎児に奇形が出る影響があり、避妊する必要があります。他にも、肌の乾燥や皮膚の粘膜が荒れる、肝障害、頭蓋内圧亢進、鬱傾向といった副作用があり、簡単に内服すれば良いというものではありません。しっかり副作用や注意事項を理解した上で飲む必要がある薬です。

ニキビ時のスキンケア

患者様からニキビが出来やすい時のスキンケアについてもよく質問があります。ドラッグストアやネットに商品が溢れており、私自身も何を使ったら良いのかわからなくなったことがありとても気持ちが分かります。

スキンケアジプシーになった時には、成分をしっかり見るようにしています。その中でも、サリチル酸(BHA)やグリコール酸(AHA)はご自宅でも毛穴の詰まりを改善できるピーリング成分なので、AHA配合のサンソリットスキンピールバー(2,750円税込み)やサリチル酸配合のゼオスキンエクスフォリエーティングクレンザー(6,160円税込み)を使用することによりコメドを軽減してくれる効果があります。

私自身、洗顔ジプシーで様々な種類を使っていましたが、エクスフォリエーティングクレンザーにしてからは他の洗顔を使うとニキビが出来てしまうことがあるので手放せない商品です。
ビタミンCは皮脂の分泌を抑制してくれるので美容液で取り入れるのがおすすめです。ピュアメルのリセットビタミンC(14,300円税込み)やゼオスキンのシーセラム(15,840円税込み)のように高濃度でビタミンCが配合されている場合、使用感が少しピリっとするのですが、使用すると肌がサラサラになるので思春期ニキビの方やTゾーンのべたつきに悩んでいる方におすすめです。

また、保湿剤でセラミドの配合されているものを使用すると肌のバリア機能を補強してくれるため、ゆらぎ肌の改善やニキビ治療中の敏感肌にとてもよいです。私も、花粉の時期は肌が揺らぎニキビが出来やすいのですが、セラミドを取り入れることによって荒れにくくなりました。さらに、ニキビの外用薬は乾燥したり赤みが出たりするものなのでお守りのような気持ちでセラミドは使用しています。

まとめ〜ニキビは必ず良くなります

現在、ニキビで悩んでいる方はよくなってもまた悪化したり、全然改善しないなど悩んでいる方がとても多いと思います。実際、私も毎日鏡を見て泣いていた経験があり、途方に暮れていました。
周りの子は肌荒れしていても1〜2個しかニキビが出来ないのになんで自分にはこんなにニキビができるのだろうと。人一倍肌にお金をかけて気を遣っているのに、どうして自分だけニキビがあるのだろうと。
ただ、その気をつけ方が違っていただけなのだと美容クリニックに勤務して尋常性ざ瘡のガイドラインを読んだり肌の構造を学んでわかりました。その気をつけるポイントさえ分かれば肌はどんどん綺麗になります。

今、ニキビに悩んでいる方にはこの記事を通して様々な治療があることを知っていただけたかと思うので、多様な治療から自分に合ったものを選択していただけたらと思います。自分に合ったものと言われても難しいなと思う方は、医師の診察のもとカウンセリングしてご自身にあった治療やスキンケアを見つけていただければ幸いです。ニキビ治療も日々新しいものが出てくるので同じ治療をずっと続けるのではなく、自分に合うものを取捨選択しながら根気強くご自身の肌質に向き合って治療していきましょう。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

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ゆー

4年制大学の看護学科を卒業後総合病院のICUで1年勤務。その後、美容クリニックに勤務して3年目の、看護師としては4年目になる。美容クリニックはパート含め計6院の美容外科・皮膚科勤務歴があり使用した機械や介助についたオペも多い。高校生の頃から肌荒れに悩んでおり、スキンケアマニアのため市販のスキンケアやドクターズコスメの知識も豊富である。

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監修:

下里柚季医師

ウェンデルクリニック

日本大学医学部医学科卒。大学病院、市中病院で皮膚科医として幅広い皮膚疾患治療に携わり研磨を積む。大学病院勤務時代に、日本皮膚科学会総会で優秀演題賞を受賞。 2022年ウェンデルクリニック 入職。
趣味・特技は、バレーボール、旅行、スキューバダイビング、料理。

日本大学医学部医学科卒業
信州大学医学部附属病院
まつもと医療センター
信州大学医学部附属病院皮膚科
ウェンデルクリニック 入職