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ふと鏡を見るとそこに映る「シミ」に自分の年齢を感じるのは誰もが一度は経験することかと思います。シワやたるみより自分自身で1番気になるところはシミだと言われています。シミがあるだけで隠すためにメイクの時間もかかり、憂鬱な気持ちになった方も多いのではないでしょうか? 今回は、そんな年齢を感じるシミについて、一言でシミと言っても様々な種類があるため、まずはシミの種類について大まかに解説、その後美容クリニックでの治療法にもふれます。
【監修医師からのワンポイント】
女性は、肝斑というもやもやしたシミが出現しやすいです。一般的なシミである老人性色素斑は、シミ取りレーザーでの治療が一般的ですが、肝斑に対しシミ取りレーザーを当てると逆に悪化してしまいます。そのため、肝斑の有無や適切な治療方針を考えることが非常に大切です。
判別が難しいものも。シミの種類とは
老人性色素斑
老人性色素斑とは、老化で出てくる一般的にシミと言われるものです。これは、日光による光老化や加齢によってできるものでほとんどは30代からできてきます。ほとんどは膨らみがなくフラットで円形の明るめの茶色のもので、中には膨らんで脂漏性角化症に移行するものもあります。
加齢により増えるため、放置していると大きくなるだけでなく数が増えていき頬に点在したりすると顔がくすんで見え老けた印象になってしまいます。患者さんの中では老人性色素斑に悩んで来院される方がもっとも多く、皆さんがお悩みのものは老人性色素斑のことがほとんどです。
しかし、老人性色素斑だけでなく肝斑やそばかすが混ざっていたりとすぐにはわかりにくい場合もあり、画像診断や皮膚科専門医の診断をうけて治療を開始することをおすすめします。
治療方法:ピコレーザー、Qスイッチレーザー、IPL、内服薬、スキンケア
肝斑
肝斑はよく、老人性色素斑と混同されるのですが薄いことが多くハケで履いたように境界の曖昧なことが多いです。原因としては女性ホルモンの影響と言われ妊娠中やピルの内服や更年期によって発生することもあります。女性だけでなく、稀に男性にも発生するものです。
30代以降に頬や鼻、額に左右対称に、もやっと出現します。慢性炎症であり日々の皮膚刺激で悪化しやすいもので、完治することは難しく悪化しないように維持していくことが大切です。徐々に軽快したと思えば悪化したりと治療は長期に渡るため、根気のいる治療です。ただのシミだと思って来院され、実際には肝斑だったという方も少なくありません。
治療方法:トーニング、内服薬、スキンケア
ADM
ADMは老人性色素斑や肝斑と違い20代から出てきます。これは、アザと呼ばれることが多く皮膚の深い部分の頬上部に左右対称で現れることが多いです。色はグレーがかった独特な色をしており小さいものが複数見られるのが一般的です。肝斑と間違われることもあり、肝斑と混在することもあるアザのため、発見や治療が比較的難しいものです。美容クリニックでは治療できるところが少なく、皮膚科で治療を行っているところもあります。
治療方法:Qスイッチレーザー
雀卵斑(そばかす)
雀卵斑はそばかすのことです。幼少期から現れて遺伝する傾向があると言われています。そばかすは老人性色素斑より明るめの茶色でサイズは小さく頬や鼻の上にできます。紫外線の強い夏は濃くなり目立ちやすくなるのが特徴的です。数が多く再発しやすいため、完治が難しいシミのひとつです。20代から悩んでいる方が多く、学生の頃日焼け対策を怠ってしまったと後悔している方も少なくありません。
治療方法:Qスイッチレーザー、ピコレーザー、トーニング、IPL
炎症後色素沈着
炎症後色素沈着はシミではありませんが、シミだと思ってシミ治療で来院される方が多いものです。ニキビや皮膚炎などで皮膚に強い炎症が起こることで色素細胞が一時的に活性化されて色素沈着を起こしたものです。
これは時間経過とともにほとんどは消失するものですが長く残存してしまうものも中にはあります。炎症が起きた時に擦ったり刺激して炎症をより強くしてしまうと長期間残存するため、炎症が起きた際のケアを間違えないことが重要です。
炎症が起こった場合は早めに皮膚科へ行き、炎症を抑える薬を処方してもらったり面圧などで炎症が長続きしないようにしてもらいましょう。
シミの治療法とは
上記でシミの種類について解説しましたが、治療方法はそれぞれ異なっています。また、それぞれのシミが混在していることもあるためどの治療を選ぶのかは直接クリニックで診察を受けてから決定するようにしましょう。
次に、シミの治療法について詳しく解説していきます。
Qスイッチ(ナノ秒)レーザー
Qスイッチレーザーとは、高いパワーのレーザーを照射してバチっとシミにレーザーを反応させメラニンを破壊するものです。Qスイッチレーザーといっても、波長の違うヤグレーザーとアレキサンドライトレーザー、ルビーレーザーの3種類がありシミの色味によって使い分けされています。
ヤグレーザー・アレキサンドライトレーザーはメラニン色素(茶色や黒)に反応が強く、ルビーレーザーはヘモグロビンにも反応するため青あざやADMの治療に用いられます。パワーが強く、シミに照射すると1〜3回でほぼ取り切れるものもあるのですが、パワーが強い故に炎症を起こしPIH(炎症後色素沈着)になってしまう場合もあります。
経過としてはレーザーを当てた部分がかさぶたになり、約2週間程度でかさぶたが剥がれ新しい皮膚ができます。その後、二次性色素沈着といって一時的にシミ戻りしたような状態になりますが徐々に周りの皮膚と馴染んでくるので内服薬やスキンケア、UV対策をしっかりと行います。
また、刺激により肝斑が悪化するリスクもあるためシミ取り後のケア(トーニングや内服薬、スキンケア)が重要です。
料金:1ショット5,000円程度から、シミ取り放題50,000円程度
PTPトーニング
ピコトーニングでも僅かに肝斑の悪化リスクがあるため、PTPトーニングといってさらにマイルドなレーザートーニングをすることによって肝斑とシミやくすみのケアが可能です。PTPトーニングとは、ヤグレーザーを2回に分けて同時に照射可能な施術です。通常だとレーザーを1回で照射するところを、肌の負担を減らすためにレーザーを2回に分けて同時に照射することで効果は落とさずに刺激をマイルドにできるというものです。
回数はかかりますが、マイルドにしっかりとトーンアップやシミの改善が可能です。ダウンタイムも直後の赤み程度でほとんどありません。ただ、効果を実感するのに5〜10回と回数がかかり、効果を実感したからといってすぐにやめてしまうと徐々にくすんだりシミはまた作られるため、定期的にメンテナンスとして照射することをお勧めします。
料金:1回12,000円程度でクリニックによってコースの方がお得なことも
ピコレーザー
ピコレーザーは、ピコ秒(Qスイッチレーザーはナノ秒)のとても短い時間レーザーが照射されることによって痛みが少なく色素沈着を起こしにくいと言われています。ピコレーザーには主に①ピコスポット②ピコトーニング③ピコフラクショナルという3種類の照射モードがあります。
ピコスポット
ピコスポットはQスイッチレーザーと同じように高出力のレーザーを出して気になるシミを取るものです。ピコ秒と短い時間しかレーザーが出ないため、Qスイッチレーザーに比べて痛みが少なく、ダウンタイムが短く、色素沈着になりにくいといったメリットがあります。
かさぶたはQスイッチレーザーと同じく2週間程度で剥がれて新しい皮膚ができます。デメリットとしては、Qスイッチレーザーがほぼ1回でシミが取れるのに対してピコスポットでは1〜2回程度照射が必要なシミがあったり、時間が多少かかるというところです。ただ、PIH(炎症後色素沈着)が起こりづらいため安心してシミ取りができます。
ピコトーニング
ピコトーニングは低出力のレーザーを顔全体に当てることでメラニンを少しずつ細かくして排出し、くすみを取ったりシミを徐々に薄くする効果があります。肝斑にも比較的刺激が少なく悪化のリスクは低いと言われています。しかし、悪化のリスクはもちろんあり、悪化した場合は肝斑に刺激を与えないようにケアしていく必要があります。
ピコフラクショナル
ピコフラクショナルは毛穴に効果的な施術で、点状に集中したレーザーを照射することで肌にわざと傷をつけてコラーゲンやエラスチンを増加させ、小皺や毛穴をふっくらさせることができます。ダウンタイムも短く直後の赤みと乾燥が数日続く程度です。
料金:1ショット5,000円程度から、シミ取り放題50,000円程度
IPL
IPLはレーザーではなく光を使った治療で、特に老人性色素斑や雀卵斑(そばかす)に効果的です。ステラm22やルメッカなど様々な機械があり、それぞれ特徴もありますが総合的に説明するとメラニン色素やヘモグロビン色素に反応しやすい光を選択して顔全体に照射することで色素を破壊してシミを取ることができます。
Qスイッチレーザーやピコスポットよりもマイルドで5〜6回の施術が必要ですが、反応するとシミが一旦濃くなり徐々にメラニン色素が排出されていきます。こちらも肝斑を刺激して悪化するリスクがあるため、肝斑にお悩みの方は慎重に検討した方が良いでしょう。
料金:1回20,000円程度(機械やクリニックによって差があります)
内服薬
内服薬は主に、ビタミンとトラネキサム酸について解説していきます。まず、ビタミンCとビタミンEはどちらも抗酸化作用が高く美白効果があり、ビタミンEは血流を良くする作用があるためシミの排出を促してくれると言われています。
ビタミンCとEはセットで飲む方が効果があると言われているため一緒に飲むことをおすすめします。
トラネキサム酸は抗炎症作用やメラニン生成を抑制する働きがあります。肝斑は慢性的な炎症のためトラネキサム酸の薬を内服すると軽快することが報告されています。肝斑治療の第一選択とよく言われるくらいトラネキサム酸は肝斑治療にとって大切です。しかし、血栓のリスクがあるためピル内服中の方は3カ月おきの採血が推奨されており血圧の薬を飲まれている方も主治医への相談が必要なお薬です。
スキンケア
スキンケアでは、特に美白効果の高いハイドロキノンとシステアミンについて解説していきます。
ハイドロキノン
シミの改善や予防に用いられる「薬」といった位置付けにあります。メラニンの生成を阻害する効果があるためシミや肝斑だけでなく、ニキビ跡の色素沈着にも有効です。効果の高いハイドロキノンですが、刺激があるため赤みが出たり乾燥する可能性があります。塗布し続けることで耐性ができるため2〜3週間で慣れますが、慣れるまでは赤みと乾燥が気になる方も。
さらに、長期間使用を続けると白斑のリスクがあるため5カ月程度使用した後は2カ月程度の休薬期間を設ける必要があります。
皮膚科で調合されているものやゼオスキンのミラミンがあり、ミラミンは14,000円程度でクリニックで販売されています。
システアミン
システアミンとはアミノ酸の一種で高い美白効果と抗酸化作用があります。こちらもシミや肝斑、にきび跡に効果的でハイドロキノンアレルギーの方でも使用できます。また、赤みや乾燥など副作用も出づらくリニューアル前のシスペラ(システアミン5%)はデリケートゾーンや乳輪にも使用できるため人気がある製品です。シスペラは32,000円程度でクリニックで販売されています。
まとめ
シミ治療はシミの種類によって様々なレパートリーがあります。それぞれのシミで対処が異なってくるため、どの治療が自分に向いているのかわからない方がほとんどです。さらに様々なシミが混在していることが非常に多く、特に肝斑は30代以降のほとんどの女性で潜在しているため、しっかりと画像診断をすることで肝斑の有無を判別し悪化させないように対処することが重要です。
シミが気になる方は日々増加するシミを放置せずに少しずつでもケアすることで透明感のある肌を手に入れることができます。実際、私が勤務しているクリニックでもシミ取りをされた患者さんの満足度は非常に高く、やって良かったと言われる方が多いため、お悩みの方はまず自分のシミはどの種類なのかお気軽に診察からされてみることをおすすめします。
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監修:
執筆:
トマト看看護師
4年生大学の看護科を卒業後ICUを1年経験し、救急医療や重症看護を学んだ。その後、複数の美容皮膚科や美容外科で経験を積み美容看護師として働いて3年目になる。日頃からエビデンスやその方それぞれにあった美容医療を提案している。
患者さんからの指名も多く、美容の豆知識を呟いているX(旧Twitter)ではフォロワー2,500人と支持を得ている。
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