出典 http://gahag.net/

自分の体から吸引した脂肪をバストに注入してバストアップを図るのが脂肪注入豊胸です。脂肪注入による豊胸はシリコンバッグやヒアルロン酸など異物を入れる方法と比較して安心と感じている方も多いと思いますが、実際にはどんなメリット、デメリットがあるのでしょうか。また、同じように吸引した脂肪を遠心分離器にかけてから使用する「コンデンスリッチ豊胸」とはどんな違いがあるのか?など、脂肪注入豊胸に関する疑問にお答えしていきます。

【監修医師からのワンポイント】

脂肪豊胸とは自分の脂肪を胸に注入する施術です。他のヒアルロン酸注入やシリコン豊胸と違い、自然な柔らかいバストをつくることができます。足を細く胸は大きく、などスタイルも整えることが出来るかなり需要の多い施術です。脂肪注入豊胸について知りたい方も多いと思いますので、是非一度読んでみてくださいね。

目次

  • 1.脂肪注入豊胸とは
  • 1-1.脂肪注入豊胸のメリット
  • 1-2.脂肪注入豊胸のデメリット
  • 1-3.脂肪注入豊胸の痛みやダウンタイムについて
  • 1-4.脂肪注入豊胸、どのくらい定着する?効果は永久?
  • 1-5.脂肪注入豊胸とコンデンスリッチ、ピュアグラフトの違いとは
  • 1-6.脂肪注入豊胸の失敗例。しこりができる原因は
  • 1-7.脂肪注入豊胸のしこりを除去する方法
  • 1-8.脂肪注入豊胸の費用
  • 2.まとめ

1.脂肪注入豊胸とは

自分の体から脂肪吸引を行い、その脂肪をバストに注入する方法です。気になる部分から脂肪を吸引し、バストの形や体型、脂肪の付き方などによって筋肉下、筋肉内、乳腺下、皮下に細かく注入していきます。

取れる脂肪の量によってどのくらいサイズアップできるかが決まりますが、1〜1.5カップ程度のバストアップが目安です。脂肪吸引ができるのは腕やお腹、背中、太もも、ふくらはぎなど。脂肪を吸引する部分を増やすことで取れる脂肪の量も増えますが、体に負担のかからない範囲で行うべきでしょう。

シリコンバッグやヒアルロン酸などの異物を入れる豊胸術と比較すると脂肪吸引のダウンタイムはありますが、形や柔らかさなど、1番自然な胸がつくれるとされています。

1-1.脂肪注入豊胸のメリット

①不自然な硬さがない
バストはもともと乳腺と脂肪で組織されています。自分の脂肪を注入する方法なので手触りも柔らかく不自然な硬さがありません。同じ注入系の施術であるヒアルロン酸豊胸よりも自然です。

②異物による後遺症やアレルギー反応が起こりにくい
自分の脂肪を注入するため、アレルギー反応は起こりません。ヒアルロン酸やアクアフィリングなどのフィラー(注入物)による豊胸は素材の質によって後遺症が残る場合が多く、脂肪注入なら異物が残る心配もありません。

③気になる部分の痩身とバストアップを同時に実現
脂肪は気になる部分から吸引。バストは小さいのに下半身が太い、お尻が大きいという方は複数の悩みを同時に解決できます。

④レントゲンに映らず、乳がん検査も受診可能
乳がん検査は受診可能です。念のため、受診時に脂肪注入豊胸をしていることを検査担当者または医師に伝えましょう。また、脂肪注入豊胸によって乳がんができやすくなることはありません。

⑤傷が小さい
脂肪吸引や注入に用いるカニューレを入れる際に皮膚を切開しますが、傷は数ミリ。目立たない箇所から行うため、後々傷が目立つということもないでしょう。

1-2.脂肪注入豊胸デメリット

脂肪注入

出典:https://www.photo-ac.com/

①極端なバストアップはできない
サイズアップできるのは1~1.5カップ程度。バストを一回り大きくしたいという方や、授乳後ハリがなくなってしまったバストが気になるという方に適しています。シリコンバッグのように極端にバストを大きくすることはできません。

②脂肪を取る量、サイズアップに限界がある
もともと痩せている人は取れる脂肪が少ないため、極端なサイズアップが望めなかったり、脂肪注入豊胸は適していないと診断されることもあるでしょう。

③脂肪の生着率には個人差があり、効果の持続が短く感じることも
注入された脂肪が注入した箇所に組織としてそのまま残ることを「生着」といいます。通常、脂肪は毛細血管に取り込まれてその部分の組織になりますが、すべてが生着するわけではなく、自然に吸収されてなくなってしまう部分もあるのです。

どのくらい生着するかはどこに脂肪を注入するか、あるいは体質、体型、栄養状態、年齢さらに授乳後であるか喫煙者であるかなどのさまざまな要因によって異なり、完全に予測することはできません。一般的には注入量の半分が生着すると言われています。人によっては、脂肪を注入したのにすぐに吸収されてバストアップ効果が続かなかったと感じる人もいるでしょう。ただ、バストアップ効果は低かったものの、気になっていた脚は細くなって満足される方もいらっしゃいます。

④しこりや石灰化が起こる可能性がある
脂肪注入では脂肪に含まれる死活細胞や不純物、また脂肪の入れすぎなどが原因となってしこりができることがあります。しこりは放置すると石灰化や瘢痕化することもあるため早めに対処する必要があります。

⑤手術時間が長い
脂肪注入豊胸は脂肪吸引を行うため、手術時間が長くなります。ほとんどのクリニックで静脈麻酔を使用して行っております。

1-3.脂肪注入豊胸の痛みやダウンタイムについて

脂肪注入

出典:http://gahag.net/

バストの腫れ、痛みは1~2週間程度。筋肉痛のような痛みがありますが、術後に痛み止めが処方されます。また、脂肪吸引した箇所も同様に痛み、ダウンタイムがあります。痛みはバストより長引くことが多く、腫れやむくみ、内出血によるあざが広範囲にできます。こちらも1~2週間程度残ります。

傷跡についてはどうでしょうか。脂肪を吸引する箇所はカニューレと呼ばれる細い管を入れるために数ミリの皮膚を切開します。目立たない箇所から行うため、傷跡が目立つことはまずありません。

また、脂肪の注入にカニューレを使用する場合もあります。カニューレを挿入した箇所は縫合する必要があるため、施術後1週間で抜糸が必要です。

1-4.脂肪注入豊胸、どのくらい定着する?効果は永久?

生着した脂肪は半永久的に残ります。ただし、注入したすべての脂肪が生着するわけではありません。どのくらい生着するかは前述したように個人差があります。

吸収される量を見越して多めに注入するのがベストですが、あまりたくさん入れすぎると生着が悪くなる可能性があります。このあたりのバランスを見きわめて注入できる医師が施術してくれるかどうかで、術後の満足度、結果が左右されると言っていいでしょう。

1-5.脂肪注入豊胸とコンデンスリッチ、ピュアグラフトの違いとは

「自己組織である脂肪を注入する」豊胸術には、通常の脂肪注入の他、コンデンスリッチやピュアグラフトといった方法があります。これらの違いは何でしょうか。通常の脂肪注入が、吸引した脂肪をそのまま注入するのに対し他の2つは以下のようなプロセスを経てから注入を行います。

・コンデンスリッチ
脂肪を濃縮し、特殊な遠心分離器にかけて老化した細胞や死活した細胞、細胞膜のみを除去。質の高い幹細胞を含む脂肪を注入できる。

・ピュアグラフト
フィルターによって分離し、老化細胞や死活細胞、細胞膜などを除去。幹細胞を含むクリーンな脂肪を注入できるため、感染症を起こすリスクが下がる。

こうしたプロセスを行う目的は、脂肪注入の結果をより高めるために遊離脂質や赤血球などを取り除き、いかに活性度の高い脂肪を注入できるかという点にあります。

■脂肪注入はコンデンスリッチやピュアグラフトより劣る?

コンデンスリッチやピュアグラフトはより質の高い脂肪を抽出した上で注入するため以下のメリットがあると言われています。

  • ・しこりや石灰化が起こりにくい
  • ・脂肪の生着率が高まる
  • ・感染症を起こすリスクが低くなる

クリニックによってはコンデンスリッチやピュアグラフトでこの2つの点が飛躍的に改善されるとしているところもありますが、紹介されている数値は理論的なものであり、実際の生着率や臨床結果はそれほど変わらないという意見を持つ医師も少なくありません。

しかし、一回の施術で片胸に注入できる液体量は200〜300cc程度であり、遠心分離にかけずに採取した脂肪を注入した場合には麻酔液等も含めて200〜300ccになるのに対し、コンデンスリッチやピュアグラフトによる豊胸では濃縮した脂肪のみを注入できるため、結果的によりたくさんの脂肪を胸に送り込むことが可能となります。

ただ、脂肪注入豊胸の結果を左右する一番大きな要因は「脂肪の注入方法」にあります。細かくいろいろな層に脂肪を注入する技術が最も大切であり、その技術力と経験が豊富な医師を選ぶことが最も大切だと思います。

1-6.脂肪注入豊胸の失敗例。しこりができる原因は

脂肪注入

出典:https://www.photo-ac.com/

脂肪注入豊胸の失敗例には以下のような例があります。

  • ・しこりができる
  • ・痛みや発熱が起こる
  • ・脂肪吸引した箇所に跡が残る
  • ・脂肪が吸収されてしまい、効果が感じられない

しこりは注入した脂肪の量が多すぎたり、注入した箇所が適切でなかったりした場合などで起こります。脂肪は塊で入れず、筋肉下、筋肉内、乳腺下、皮下の層に少しずつ入れるのが適切な方法ですが、施術する医師によってこれができない可能性もあります。しこりを放置すると、石灰化や瘢痕化(しこりが繊維化すること)となり、バストの形や見た目に影響しますのでしこりができたら施術を受けたクリニックで相談しましょう。

しこりは脂肪に含まれる不純物が原因になるとも言われていますが、通常の脂肪注入だけではなく、コンデンスリッチでもしこりができるケースはあります。どれだけ細かく脂肪注入できるかと言う、注入技術がしこりのリスクを左右するとも言えるでしょう。

痛みや発熱が起こるケースはどうでしょうか。これは、脂肪に含まれている不純物、衛生的でない手術環境などに原因があると考えられます。また、脂肪吸引する箇所への影響も考慮しなければなりません。施術した医師の技術レベルが低い場合、吸引の痕が残ることもあるでしょう。

脂肪の生着率には個人差がありますが、体質によっては満足した豊胸効果が得られないことも考えられます。

1-7.脂肪注入豊胸のしこりを除去する方法

しこりは石灰化していない軽度の段階であれば、注射器で吸引することができます。石灰化や瘢痕化が起きてしまった場合は脂肪吸引に使用する超音波の吸引機であるベイザーリポを使って除去する場合もありますが、確実に除去するために切開する方法が取られることも。いずれもエコーでしこりの状態を正しく判断することが前提となります。

1-8.脂肪注入豊胸の費用

クリニックにより価格差があります。費用は350,000~800,000円程度。最近はコンデンスリッチやピュアグラフトを行うクリニックが多いので、どんな施術内容なのか確認するようにしましょう。

2.まとめ

注入による豊胸術はいくつか方法がありますが、脂肪の生着率や効果はほとんど変わらないという意見が目立つようになっています。結果を左右するのは、脂肪を抽出する方法よりも、脂肪をどのように注入するかによるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。脂肪吸引と注入を同時に行うこの施術は、医師の高い技術と判断力、美的センスが要求される難易度の高い施術です。価格の安さだけでクリニックを選ぶことのないよう注意してください。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込です。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

Emiri

Emiri

美容系全般得意なライター。自身でも美容医療を実践。

閲覧中の記事:

監修:

澤口悠 医師

豊洲内科・糖尿病 / 形成・美容外科クリニック

関西医科大学卒業。同大学病院、地域の中核病院等に形成外科医として勤務後、美容医療の分野へすすむ。形成外科専門医。
大手美容クリニック分院長、都内皮膚科クリニック等では、形成外科疾患にとどまらず皮膚疾患の診療も行う。2023年4月豊洲内科・糖尿病 / 形成・美容外科クリニック所属。クリニックは内科、皮膚科、形成外科の保険診療に加え美容外科、美容皮膚科、エイジングケア等の自由診療を行う。自身は形成外科、皮膚科、美容外科、美容皮膚科を担当。
得意な施術は、脂肪吸引、豊胸、脂肪注入、婦人科形成、美肌治療等。趣味は筋力トレーニング。

関西医科大学 医学部 医学科 卒業
関西医科大学附属病院 初期臨床研修医
関西医科大学附属病院 形成外科
関西医科大学 総合医療センター 形成外科
大阪府済生会 野江病院 形成外科
埼玉医科大学 総合医療センター 形成外科 助教
都内大手美容クリニック 分院長
豊洲内科・糖尿病 / 形成・美容外科クリニック