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世の中にはさまざまな美容方法があります。新しいものが次から次に生まれてくるため、追いかけるのが大変になったり、どんなものが本当に効果があるのかわからなくなってきたりするほどです。

今回はそのなかから、「炭酸ガスパック」を取り上げます。その効果はニキビ跡を始め、美肌やアンチエイジングのためのさまざまな症状に及びます。

目次

1.炭酸とはいったいどういうものか
2.炭酸ガスパックのもたらす美容効果とは
3.炭酸ガスパックと新陳代謝
4.炭酸ガスパックとニキビの関係について
5.炭酸ガスパックの料金と考え方
6.炭酸ガスパックに対する懐疑的な見方もある
7.まとめ

私たちにとってなじみ深い「炭酸」ですが、これはそもそもどういったものなのでしょうか。まずはそこから見ていきましょう。

炭酸とは、ごく簡単に言えば、「二酸化酸素が水のなかに溶け込んだもの」を指します。水に二酸化炭素が溶け込んだこれは、わずかな酸っぱさを持つとも言われており、飲料の材料としてもよく利用されています。私たちにとってなじみ深いコーラなども、炭酸飲料のうちの一つですね。

しゅわしゅわと泡立ち、独特の食感を有するこの「炭酸」ですが、その利用方法は「飲み物」「食材」だけにとどまりません。医療や美容の分野でもよく利用されています。

炭酸を使った美容方法は、近年よく取り上げられるものです。炭酸ガスパックや炭酸を使った美容液などがその代表例でしょう。

これらは、商品によって多少の違いはありますが、肌につけたときにぱちぱちとした小さな刺激を感じるものが多いようです。特に炭酸ガスパックのなかには、かなりの刺激があるものもあります。

もちろんこのような「刺激」を嫌がる人もいます。それなのになぜ、炭酸は美容に取り入れられるようになったのでしょうか。

これには、炭酸が持つその性質が関係しています。

炭酸は二酸化炭素が溶け込んだものであるため、肌に乗せると酸素を求め始めます。
肌の下には、たくさんのヘモグロビンがいます。このヘモグロビンは、細胞に栄養や酸素を運んでいく働きがあります。炭酸は、本来ならば細胞に届けられるべき酸素を奪っていくのです。

このように聞くと、
「逆に、炭酸ガスパックを肌にのせることによって肌が荒れるのでは?」
「酸素を奪われてしまったら、肌に酸素が届かなくなって細胞が死ぬのではないか」
「刺激もあるので、肌に悪影響が及びそうだ」
と考えてしまうでしょう。

しかし、生きている人間の体は、「酸素が奪われたら奪われっぱなしになる」ということはありません。

一時的に酸素が足りなくなってしまった体は、「もっともっと酸素を供給して、細胞に酸素を届けなければならない」と考え始めるようになります。

その結果として、より多くの酸素が送り出されるようになります。これは新陳代謝の活性化につながるため、結果的に肌をより良い状態にしてくれるのです。

このような考え方を生かして、褥瘡（じょくそう=床ずれ）のケアに炭酸が使われてきたという経緯もあります。日置正人医学博士がとりあげたこの研究は、多くの人を褥瘡の苦しみから救ったとも言われています。

では、このようにして炭酸ガスパックによって新陳代謝が活性化した結果として、いったいどのようなことが起こるのでしょうか。

新陳代謝が活性化した肌というのは、効率よく老廃物をおしだすことができるようになります。その結果として、むくみが改善したり、シミの改善などに役立つことが期待できたりするようになります。

また、炭酸ガスパックによって血管が拡張します。血行不良によるくすみを改善することができる、と言われているのはこのためです。

さらに、炭酸ガスパックは脂肪の代謝に役立つと考えられています。そのため、たるみなどに対する対策としても有効です。シワの改善にも役立ってくれるでしょう。

炭酸ガスパックによってむくみを解消したことによって、顔が一回り小さくなった、という声もあります。

さて、このようにさまざまなメリットをもたらす炭酸ガスパックですが、もう1つ注目してほしいところがあります。それが、「ニキビ跡への働きかけ」です。

ニキビは非常にやっかいなものです。顔につぶつぶと発生するニキビは「青春の象徴」とも言われていますが、とても邪魔くさいものであることには変わりありません。ニキビがひどいと鏡を見たり外に行ったりするのも嫌になりますよね。また、大人になってから発生する「大人ニキビ」は、化粧を日常的に行うこともあり、なかなか治りにくいものでもあります。

この「ニキビ」は、できている間だけでも憂鬱なものですが、うっかりつぶしてしまうとさらに困ったことになります。もちろんきれいに治ることもあるのですが、つぶしてしまったニキビはしばしば「ニキビ跡」という形で肌に残り続けることがあります。これが紫外線を浴びて変色してしまったら……さらに鏡を見るのが嫌になりますよね。

そこで現在注目を浴びているのが、「炭酸ガスパック」です。

ニキビ跡を癒し、肌を滑らかにするためには、天然の保湿成分であるセラミドや肌のハリツヤをもたらすコラーゲンが重要です。

よく勘違いされることですが、コラーゲンは肌の上からコラーゲンをのせても、それがそのまま「肌のコラーゲン」として活躍することはありません。コラーゲンの分子の方が肌の分子よりもずっと大きいため、吸収されることはないのです（ただし保湿効果はあります）。

また、コラーゲンの入った料理を食べても、あまり意味はないと考えられています。口から入ったコラーゲンは、そのまま分解されて吸収されていくだけだからです。

そのため、「体の内側からコラーゲンを作り上げること」が重要になります。

コラーゲンを生成するためには、酸素が必要です。私たちの体は常に酸素を細胞に運び続けていますが、そのすべてが肌に届くわけではありません。効率よくコラーゲンを作り出すためには、通常状態で運ばれる量よりももっと多くの酸素が必要になることがあるのです。

上でも話したように炭酸ガスパックには、肌の酸素を奪う効果があります。これによって体は、「酸素が足りないから危険だ」と考え、多くの酸素を送り出そうとします。この酸素を基にコラーゲンなどの生成が行われます。このため、炭酸ガスパックは、ニキビ跡にも効果的な美容方法だと言えるのです。

「ニキビにもきくし、シミやシワ対策、くすみやむくみ対策にもなるのだったら、ぜひ炭酸ガスパックを受けたい」と思う人もいるでしょう。

でも、ちょっと待ってください。

炭酸ガスパックはそれ自体は無害なものではありますが、刺激が強いこともありますし、絶対に肌トラブルが起きない、と言い切ることはできません。人によっては赤みやかゆみ、痛みを覚えることもあるでしょう。万人にとって、「絶対に副作用もトラブルも出ない美容法」はないからです。

肌の調子を整えるために炭酸ガスパックをしたいのに、それでトラブルが起きてしまっては本末転倒です。

そのため、
「昔から極端に肌が弱い」
「以前、市販の炭酸ガスパックを使って赤みが出た」
「痛みや刺激にとても弱い」
という人の場合は、クリニックで炭酸ガスパックをやってもらうことをおすすめします。クリニックならば「医療機関」ですから、何かあったときにでもすぐに対応をしてもらうことができます。特に、「以前市販品でトラブルが起きた」という人の場合は、それも含めて相談するとよいでしょう。

次に考えたいのは「値段」です。
このような「炭酸を使った美容方法」はいったいいくらくらいかかるのでしょうか。

炭酸ガスパックは保険適用外の施術です。そのため、料金に関しては各クリニックで自由に定めています。
「炭酸ガスパックではなく、炭酸ガスを吹き付ける形で対応している」というところならば、1500円～2500円というとてもリーズナブルな価格で展開しているクリニックもあります。

「20分で6000円程度」としているところや、「90分でいろいろコミで20000円」としているところ、「5枚で6000円」としているところなどがあり、その価格設定はさまざまです。

ただ、いずれにしろ、「試してみること」をためらうほどの高額設定ではありません。
気になるのなら一度試してみるとよいでしょう。

ここまで炭酸ガスパックの魅力と受け方について見てきましたが、炭酸ガスパックに対して懐疑的な見方をする専門家がいることも合わせて紹介しておきます。
何かのサービスや商品を見るとき、一方側からだけの意見を見るだけにとどまってしまうときちんとした判断ができないからです。

炭酸ガスパックに対する懐疑的な見方のなかでも一番取り上げたいのは、その「持続性」についてでしょう。

市販の炭酸ガスパックでむくみをとることもできますが、その持続効果は半日～1日程度で切れてしまいます。炭酸ガスパックを使ったらずっと血行がよくなり、むくみが解消される、というわけではないのです。

「そもそも、カテゴリー的に『化粧品』に位置づけられる市販品の炭酸ガスパックの場合は、血管に対して作用できるのかどうかが疑わしい」という見方をする向きもあります。

加えて、質の悪い炭酸ガスパックの場合は、商品のなかにしっかりと炭酸が含まれていないこともあるので注意が必要です。
市販品を買う場合は特に、その商品が信頼できるものであるかどうかを見極めることが大切です。

シワやシミ、むくみ、くすみ対策だけでなく、ニキビ跡にも効果があると言われている炭酸ガスパック。これは医療現場などでも取り上げられており、よく知られています。酸素を多く放出させることによって肌の新陳代謝を活性化させることができるため、さまざまなことに効果を発揮します。

炭酸ガスパックの値段は、クリニックによってさまざまです。ただ、高すぎるものではないため、一度試してみるのもよいでしょう。

市販品については懐疑的な見方もあるため、信頼できる商品を選ぶ姿勢が求められます。

＊本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込です。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

moeko

美容系全般に造詣が深いライター。