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Contents
- ジュべルックでキーとなるポリ乳酸とは
- ジュべルックの効果・特徴
- ジュべルックは、ヒアルロン酸・ボトックスとなにが違う?
- 手打ちだけではないジュべルックの注入方法
- ジュべルックの施術中の痛みやダウンタイム
- おわりに
韓国は“美容大国”というのがみなさんの中で認知されていると思います。最近では美容施術を受けるためにわざわざ韓国まで足を運ぶという声も増えていますね。SNSでも美容インフルエンサーたちが美容目的で渡韓しています。
そのような美容感度が高い方々の中では、韓国の美容医療のトレンドワードで『ジュべルック』という名前を見かけることが増えたのではないでしょうか? どうやらニキビ跡に効くらしいとか、毛穴が改善するらしいとかまだまだ施術として浸透していないかもしれませんが、ここ最近人気を高めています。今では韓国から日本にもジュべルックが入ってきているため、採用しているクリニックが増えています。
この記事では、ジュべルックについて、どのようなものなのか、施術はどのように行うのか、効果や向いている人、他の注入剤との違いなど詳細情報をお届けしていきます。
【監修医師からのワンポイント】
ダーマペンやCO2フラクショナルをしてもよくならなかったクレーターでも、ジュベルックで底上げをしてあげることによりより目立ちにくくすることができるようになりました。以前まではピーリングやニードル系の治療で肌を削る治療が主流でしたが、昨今では肌を育てて美肌にする人(肌育)が増えています。ジュベルックは肌を厚くし、密度を高めることができるため毛穴で悩んでいる方にもオススメできる薬剤です。
ジュべルックでキーとなるポリ乳酸とは
ジュべルック=ポリ乳酸という成分の薬剤のことです。ポリ乳酸(特にPDLLA)と非架橋ヒアルロン酸製剤を合わせて使用する注入剤です。
PLA=Poly Lactic Acid、ポリ乳酸とは
PLA(ポリ乳酸)はバイオプラスチックの一つで、化学構造を変更することでいくつかのタイプに分類することができる物質のことです。
分類はPLA、PLLA、PDLLAに分かれます。
PLA(ポリ乳酸)の原料はトウモロコシ、ジャガイモ、サトウキビなどのでんぷんからの抽出エキスを科学的に、あるいは微生物を活用してラクチド酸にし、重合を起こしてPLAを生成させています。生体適合性に優れ、米国のFDA(アメリカ食品医薬品局)で人体への使用が承認された物質です。
ポリ乳酸のまとめ
- ・乳酸を重合して作られる高分子物質
- ・生体適合性に優れ、FDAで人体への使用が承認された物質
- ・生分解性高分子であり、1〜2年程度で水と二酸化炭素に分解
- ・手術用縫合糸、整形外科用移植材料、血管移植材料などとして使用される
PLLAとPDLLAの比較
- ・粒子構造としては、PDLLAは丸く網状構造、PLLAはクリスタルのような鋭い形で内部構造はぎっしり詰まっている構造
- ・物質の特性としてPDLLAは柔らかく、PLLAは硬い
- ・酸の放出量はPDLLAが中くらいで、PLLAは強い
- ・副作用はPDLLAはほとんどなく、PLLAはシコリや小塊になることがある
- ・融点はPDLLAが55〜60度に対し、PLLAは60〜65度
- ・分解期間はPDLLAは12〜16カ月、PLLAは24カ月
PLLAは解ける際に剣山のような物質刺激になり、ベビーコラーゲンを造成します。強い効果が得られますが、その分副作用も考慮する必要があります。完全結晶体のため水分が浸透しづらく、その分、分解に時間がかかるのです。
PDLLAは丸い粒子であり網状構造なので分解しやすく、酸の放出量も少ないです。ですからボコつきがなくマイルドに作用します。皮下に浅く注入してもボコつかないのがメリットです。
現在有名なPLLA製剤には、ポテンツァという機械施術で使用されるマックームという薬剤があります。PLLAは結晶の構造などから周囲の組織に対する刺激が強く、しこりの副作用がありました。しかしポテンツァ用の製剤として製作されたマックームは機械のドラックデリバリーシステムによる均一な注入により、他製剤で起こりやすかったしこりの副作用をほとんど心配する必要がなくなりました。
PDLLA製剤であるジュべルックは、そもそもしこり等の副作用が少なく安全に施術することができます。
ジュべルックの効果・特徴
ジュべルックは効果の持続時間が長く、1年ほどかけてゆっくりと分解されていきます。その間にポリ乳酸が真皮層で線維芽細胞を刺激し効果を維持してくれます。また、上記でも触れたように、アメリカのFDAに承認されているほか、韓国のMFDS(食品医薬品安全処)でも承認されており安全性が高い製剤といえます。
原材料がトウモロコシなどのでんぷんから抽出していることもあり、生体適合性に優れ酸の放出量も程よいため、副作用が少ないという特徴があります。
ニキビ跡、クレーター治療で行き詰まったらジュべルック
こんな人に向いている
- ・ニキビ跡、クレーターが気になっている方
- ・毛穴が気になる方
- ・全体的に肌の調子を良くしたい方
- ・肌にハリ感が欲しい方
- ・小じわが気になる方
- ・眉間や額のシワが気になる方
- ・首のシワが気になる方
- ・自然な仕上がりを希望する方
美肌目的でもジュべルックは効果を発揮しますので、基本的にはどんな肌質の方でも受けることが可能です。施術可能なパーツは、全顔、首、デコルテと幅広い部分で注入することができます。
ジュべルックを注入すると、非架橋のヒアルロン酸が肌で水分を吸収して、弾力感やハリを出す働きをします。その後ポリ乳酸が時間をかけて分解されていき、コラーゲンの生成を促進していきます。コラーゲンが生成されることによって肌に弾力やハリを出すことが可能になります。また、これらの効果により毛穴目立ちが改善したり、小じわが目立ちにくくなるのです。
ジュべルックは真皮層に働きかける力があるため、ニキビ跡であるクレーターにも有効です。クレーターはニキビの炎症によって皮膚の真皮層までダメージが及んでしまったために起こる瘢痕です。
真皮に働きかけるジュべルックは、コラーゲン造成によって凹凸を自然に底上げしクレーターを浅くしていくことができるのです。ただ、クレーターの種類によっては苦手なタイプもあるため医師に相談してみてください。ニキビ跡治療がうまくいかず、手詰まり状態になってしまっている方は一度検討してみても良いかもしれません。
ジュべルックは、ヒアルロン酸・ボトックスとなにが違う?
一般的に注射をする施術で真っ先に思いつくのは、ボトックスやヒアルロン酸注射ではないでしょうか? ジュべルックはそれらの注射剤とは何が違うのかいくつかの製剤をもとに少し解説していきます。
ボトックス製剤
ボトックスとは、ボツリヌス菌によって作り出されるA型ボトックス毒素という天然タンパク質を有効成分とする製剤のことです。筋肉を動かす神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を抑える働きがあり、緊張している筋肉に注入することで筋肉を弛緩させます。ですから、筋肉によるエラの張り出しをスッキリさせたり、シワを軽減したりすることが可能になります。
架橋ありヒアルロン酸
一般的なヒアルロン酸のことです。ジュビダームやレスチレンなどの製品が有名です。架橋ありヒアルロン酸の架橋とは、ヒアルロン酸同士を結びつけ、吸収されにくくする構造のことです。含まれる架橋の方法によって、ヒアルロン酸の硬さや持続力、使用用途が変わるため、パーツによって使用するヒアルロン酸の種類を変更します。
顎の形を整える、鼻の高さや形を整える、ほうれい線を浅くする、顔の土台を整えるなど、基本的には形を変えたり、ボリュームを補ったりして骨格や土台を作ることは架橋ありヒアルロン酸が得意です。
最近は形を作るのではない、柔らかいヒアルロン酸製剤でジュビダームボライトという製品が肌の水分量を増やし、みずみずしいハリのある肌を長期的に作ることができるため人気となっています。
非架橋ヒアルロン酸
非架橋ヒアルロン酸はジャルプロやスネコスといった製剤が有名です。ジュべルックを注入する際にも非架橋のヒアルロン酸が使用されますが、ジュべルックはポリ乳酸+非架橋ヒアルロン酸なのに対し、ジャルプロやスネコスはアミノ酸(もしくはペプチドも含む)+非架橋ヒアルロン酸の製剤です。
いくつか種類があり、ターゲットごとに製剤を使い分けます。細胞外マトリックス(ECM)のリモデリングを目的としており、アンチエイジングとして優秀です。肌の線維芽細胞を活性化してコラーゲンやエラスチンなどの産生を促します。ジャルプロやスネコスは肌を育てることが得意です。
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ポリヌクレオチド
ポリヌクレオチドはリジュランという製剤が有名です。この製剤も韓国で流行しており、日本からわざわざ韓国に施術を受けに行く方が多くいます。そしてよくジュべルックと比較される製剤でもあります。
リジュランはサーモンのDNAから抽出された分子で、ポリヌクレオチド(PN)を有効成分として含み、皮下に注入することで皮膚の自己再生能力を活性化させます。
リジュランは肌を元気にしてハリやうるおいを出すのに対して、ジュベルックは肌のコラーゲン造成によりボリュームを出し肌に弾力を出すイメージです。
成長因子を含む製剤
成長因子が含まれる製剤で有名なものとして、サイトプロという製剤があります。サイトカイン・成長因子・ヒアルロン酸が配合されており、肌本来の自活力を引き出します。肌の再生能力を高める製剤です。PRPもここに含まれます。
色々な製剤があり、迷ってしまうと思いますので、まずはカウンセリングで医師に相談してみましょう。
手打ちだけではないジュべルックの注入方法
ジュべルックの施術は、なんらかの方法でジュべルックを肌に注入していきます。クリニックによって注入方法は異なりますが、大きく分けて医師による手打ちか水光注射やメソガンによる機械もしくはRFニードルによる機械注入に分かれます。
医師の手打ち
医師による手打ちでは、クレーターなどの部分にピンポイントで注入することが可能です。その方のお悩みに沿って注入量を調整することができます。クレーターに1箇所だけ注入したいというご希望も可能です。
また手打ちでの注入は漏れがなく、薬剤を全量余すことなく使用することが可能です。ただ、範囲によっては時間がかかったり、医師の施術のため料金が高めに設定されている場合があります。
水光注射やメソガンによる機械注入
使用機器により薬剤の液漏れが多くなる場合がありますが、全顔の注入をスムーズに行うことが可能です。満遍なく、一定の深さで均一に一気に薬剤を注入するのが得意です。
ポテンツァなどRFニードルによる薬剤注入
ダーマペンで穴を開けた後に薬剤を押し込む方法では出血により薬剤が押し返され、肌に浸透しないことが問題でした。ポテンツァでは針を刺した後に高周波(RF)で熱を加えることにより止血を行い、同時に針を深部に刺した状態で薬剤注入するため薬剤浸透率が高いです。それだけではなく、肌を傷つけることで起こる創傷治癒効果やRFの熱作用によってもコラーゲン生成されるのが特徴です。
ジュべルックの施術中の痛みやダウンタイム
注射をする施術のため痛みが伴います。ただし、基本的には表面麻酔をして行うためある程度痛みは和らぎます。針を刺す痛みよりも、薬液が入る際に痛みを感じやすいです。しかし我慢できないほどの痛みではありません。
ジュべルックの施術の流れ
- ・医師の診察により、注入する範囲を相談します。
- ・麻酔を行います。おおよそ15〜30分、長く麻酔を置くクリニックだと60分ほどです。麻酔の時間が気になる方は、自身が通うクリニックに問い合わせましょう。また、麻酔に料金がかかる場合があるため、同じくクリニックに確認しましょう。
- ・麻酔を拭き取って施術開始です。範囲が狭ければ、医師の手打ちで行ってもすぐに終わります。顔全体など広い範囲を水光注射等で施術する場合は注入に30〜60分ほどかかります。
- ・施術後はそのまま帰れます。薬剤注入によるポコポコとした跡ができますが、数時間で落ち着きます。
ジュべルックの施術間隔は?
1カ月おきに3回施術し、その後は1年おきに繰り返し行うのが理想です。ジュべルックの持続期間が12〜16カ月です。時間をかけてゆっくりとポリ乳酸が分解されていきます。
ジュべルックのダウンタイム
ジュべルックのダウンタイムはほとんどありません。注入治療のため、針を刺す以上は内出血のリスクはありますが、基本的にはほぼ起こりません。赤みや腫れ、むくみが出る場合がありますが、ほとんどの場合は数時間から数日、長くても1週間程度で治ります。
おわりに
韓国で人気のジュべルック。肌のハリや毛穴、ニキビ跡などみなさんの幅広いお悩みに対応できる薬剤です。薬剤の安全性も問題なく日本でも受けることができるため、気になる方はクリニックにお問合せをしてみてはいかがでしょうか。
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この記事は、
麗ビューティー皮フ科クリニックの
居原田麗医師が監修しています。
【記事の執筆・レビューに使用した参考文献等】
記事の正確性等の確保方法及び参考文献の取り扱いについては、Call to Beautyの編集プロセスをご覧ください。
・『ジュべルック製剤資料』(VAIM Co., Ltd.)韓国
・『ジャルプロ製剤資料』(ProfessionalDerma社)スイス
*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

YuNi
都内で働くフリーランス美容ナース。美容皮膚科、脱毛専門、痩身クリニックにて勤務経験あり。クリニックの立ち上げに関わり、師長を務めていたことも。現在はいくつかの美容皮膚科にて勤務しており美容皮膚施術とアートメイクを担当している。Twitterでは同名義で4000人以上のフォロワーがおり、正しい美容医療の知識の普及に努めている。飛鳥塾という講習会にて講師を務め、美容看護師の知識や技術の向上に尽力している。
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監修:
上井廉絵 医師
X CLINIC 恵比寿院
形成外科専門医。日本医科大学医学部卒業。同大学病院で形成外科に従事。全身の皮膚・皮下解剖に精通し、眼瞼や鼻手術、傷跡修正、乳房再建など幅広い手術を年間1,000件以上執刀する。また総合診療科や救急科、麻酔科などでも勤務し緊急時にも迅速かつ的確な処置を行える。英会話が堪能。
得意施術は、二重術、目元のクマ取り、鼻整形、美容後遺症の治療。
医療イラストなども描くイラストレーターとしても活動している。
2016年 日本医科大学医学部 卒業
彩の国東大宮メディカルセンター(外科、整形外科、麻酔科)
2018年 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科
2024年 X CLINIC 入職
執筆:
YuNi看護師
都内で働くフリーランス美容ナース。美容皮膚科、脱毛専門、痩身クリニックにて勤務経験あり。クリニックの立ち上げに関わり、師長を務めていたことも。現在はいくつかの美容皮膚科にて勤務しており美容皮膚施術とアートメイクを担当している。
X(旧Twitter)では同名義で4,000人以上のフォロワーがおり、正しい美容医療の知識の普及に努めている。飛鳥塾という講習会にて講師を務め、美容看護師の知識や技術の向上に尽力している。
大学病院勤務(血液内科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科勤務)
大手美容皮膚科
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脱毛専門クリニック立ち上げ協力
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