薄毛に悩む人にとって、非常に力強い味方となるものがあります。それが、「プロペシア」と呼ばれる薬です。ただし、薬であるがゆえ、そこには当然「副作用」も存在します。

今回は、このプロペシアの概要や効果、使い方、そして副作用についてお話していきます。

プロペシアの効果について

まずはプロペシアの効果について見ていきましょう。

プロペシアは、「フィナステリド」とも呼ばれているもので、男性型の脱毛症(AGA)に対して優れた効果を発揮する医薬品です。
プロペシアを飲むことによって脱毛を止めることが可能です。また、髪の毛そのものを、強く、長く、太く育て上げることもできます。

このプロペシアには、きちんとしたデータがあります。
医薬品として処方されているのはそのためです。

プロペシアを利用した場合、そのうちの58パーセントには薄毛の改善が見られた、という研究結果があります。
「6割弱」というのは少ない数値のように思えますが、「改善ではないが、脱毛を止めることができた」と答えた人の割合は、ほぼ100パーセントに近い98パーセントにもなっています。
これは1年間の投与での結果ですが、3年間プロペシアを利用した場合は、78パーセントの人に「改善」がみられ、「薄毛の進行が止まった」という人の割合はやはり98パーセントに上ります。

このような特別な効果があることから、プロペシアは「ミノキシジル(現在もっとも有用な育毛薬と言われている薬)」と並び称されることが多く、薄毛に悩む人にとっての非常に力強い味方となっています。
ちなみに今まではミノキシジルとプロペシアの二強でしたが、2016年6月からは、新たに「ザガーロ」という薬も扱われるようになりました。

ただし、プロペシアの場合は「発毛させる」ということについては、それほど顕著な効果は発揮しない、と見る向きもあります。発毛をすることを目的として使うよりも、「脱毛防止」「これから先も髪の毛が抜けていくこと」を抑える効果の方に重きをおいている薬です。

このような特徴を持つため、プロペシアは初期脱毛において極めて効果的です。まだあまり髪の毛が抜け始めていない状態のときにプロペシアを使い始めることによって、「これから先抜けていくであろう髪の毛」をストップさせることが可能だからです。
薄毛の治療も、ほかの病気と同じく「早期発見・早期治療」が有効ですが、プロペシアは特にこの「早期治療」に役立ってくれます。

また、プロペシアの発毛効果の弱さを補うために、上であげたミノキシジルを同時に使うこともあります。ミノキシジルは発毛効果があると認められている薬であるため、プロペシアで脱毛を防いでミノキシジルで発毛をする、という使い方が可能だからです。

(ただし、同じデータによっていても意見は異なります。医師のなかには、「78パーセントの人に改善が見られたのであれば、「髪の毛が増えた」としてもよい」とする見方をすることもあります)

プロペシアのメカニズム

プロペシアは、アメリカのメルク社(製薬会社)が作り始めた薬で、現在、60か国を超える国で取り扱われるようになっており、薄毛に悩むさまざまな人が、このプロペシアに手を伸ばしています。
日本でプロペシアがその製造販売許可を得たのは、2005年の12月のことです。2001年から開始されていた臨床実験でしたが、4年程度の時間をかけて、やっと消費者の手に届くようになりました。

プロペシアがなぜ薄毛に効果があるのか、ということは、しっかりと研究で判明しています。

男性型脱毛症の原因は、「ジヒドロテストステロン」と呼ばれるものです。

この「ジヒドロテストステロン」は、男性ホルモンと密接な関係があります。
男性ホルモンのなかに「テストステロン」と言われるものがあるのですが、これが5α―還元酵素」と反応することで、ジヒドロテストステロンが生まれるのです。

プロペシアは、「それならば、5α―還元酵素を作らせなければよい。そうすれば、テストステロンがジヒドロテストステロンになる変わることはない」と考えて作られました。
変換酵素である5α―還元酵素の働きを妨害することによって、脱毛をブロックするようにしているのです。

ミノキシジルとプロペシア、そしてザガーロは、現在の日本で厚生労働省が「確かな効果がある」と認定している数少ない薬です。それ以外の、たとえばサプリメントに入っている成分などは、あくまで「頭皮を保護する役割」「血行を良くする効果がある」というだけであって、「髪の毛を生やすこと」「毛生え薬」とは言えないのです。

プロペシアの副作用とは

プロペシアの効果について<

このように、非常に有用な薬であるプロペシアですが、薬であるからこそ副作用も存在します。
どんな薬であっても、多かれ少なかれ、副作用は存在します。一般的に、強力な薬であればあるほど副作用は強く出ると言われていますが、その出方には個人差もあります。

これを念頭において、プロペシアの副作用について見ていきましょう。

プロペシアの副作用の一つとして、肝機能の障害が挙げられます。ただしこれについては、「どれくらいの確率で起こり得るのか」ということについては不明点が多く、断言はできません。

また、プロペシアの副作用としてよく取り上げられるものに、「勃起不全」があります。EDとも呼ばれており、性生活に大きな影響を与えます。
勃起不全とまではいかなくても、性欲が減退するケースもときどき見られます。

この「性の副作用」については、全体で1.8パーセントという説があります。
プロペシアの副作用というと、肝機能や性関係についてのものがよくピックアップされます。
しかし、それ以外にもプロペシアの副作用はあります。
じんましんが起きてしまったり、浮腫が起きてしまったりする可能性があるのです。

また、プロペシアの副作用は身体的なものだけにとどまりません。抑うつ症状が出て気分がおちこんでしまったり、めまいに悩まされたりする可能性もゼロではありません。

さらに、前立腺がんの検査結果にも大きな影響を与えるということで、プロペシアを服用している人は、検査時にそれを医師に知らせなければいけないという注意点もあります。

上記でも述べたように、プロペシアの開発経緯は、「プロペシアを使用中に多毛症になったこと」がきっかけです。
男性ホルモンに対する働きかけでもあるため、女性に対しては適用されない点も併せて押さえておきましょう。
特に妊婦さんがこのプロペシアを服用してしまうと大変です。おなかのお子さんが男の子であった場合、その子どもの生殖器官などの発達に影響を及ぼす可能性があります。また、授乳中の女性も使用できません。

子ども(20歳未満)についても、その服用が禁止されています。安全性が担保されていないというのがその理由です。

プロペシアの使い方について

プロペシアは、半年間以上使いつづけないとその結果が表れにくいと言われています。そのため、使い続けることがもっとも大切です。

また上でも「副作用」に着目してお話してきたように、プロペシアは、確率は低いものの重い副作用をもたらしかねないものでもあります。
現在は個人輸入などで安く買うこともできるようになっていますが、安全性のことを考えれば、このような行動は慎んだ方がよいでしょう。そのプロペシアが本物かどうかもわかりません。

プロペシアを使う場合は、

  • ・20歳以上で
  • ・前立腺がんの検査を近くに控えておらず(控えていた場合は告知が必要)
  • ・男性で
  • ・医師の処方をきちんと受けて
  • ・半年以上使い続けること

が重要です。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

moeko

moeko

美容系全般に造詣が深いライター。

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監修:

戸澤法也 医師

東京上野クリニック金沢医院

福井大学医学部を卒業後、名古屋大学医学部付属病院形成外科に勤務後、東京上野クリニックに入職、2022年に金沢院の院長就任。
現在、髪の毛と下半身の男性専門医療に従事する日々。

日本形成外科学会
日本形成外科手術手技学会

2018年 福井大学医学部 卒業
2020年 名古屋大学医学部附属病院 形成外科 勤務
2021年 東京上野クリニック 入職
2022年 東京上野クリニック 金沢医院 院長



この記事の監修ドクターが所属するクリニック

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