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初めてカウンセリングに来院される患者さんにお肌で気になっているところはどこですかと聞くと、「赤みやシミシワなど全部です」「ニキビ治療の後の赤みやくすみが……」とおっしゃる方がとても多いです。

確かに、顔に赤みのない方はほぼいないですし、40代以上の方でシミが全くない方もほぼいないかと思います。そういった複合的なお悩みをお持ちの方には、さまざまな治療を組み合わせて提案させていただくのですが、予算や時間・ダウンタイムなど許容範囲がさまざまですよね。

そのような方には、IPL治療をお勧めすることがあります。肝斑のある方には他の治療を提案することもありますが、お肌の複合的なお悩みに対してはIPLの光治療はとても良い治療と考えています。シミやくすみだけでなく、赤みや肌のハリなど多岐にわたる効果があると聞くととても魅力的な施術に感じますよね。そんなIPL治療ですが、どんな施術なのか、痛みやダウンタイムの長さなど不安な方も多いと思います。

また、IPL治療は多くの論文も出ているためエビデンスもある治療なので、安心してうけることができると思います。ただ、一言でIPL治療といっても機械や光の種類など選択肢は多くなるため、今回はIPL治療についてエビデンスを用いて詳しく説明していきます。

【監修医師からのワンポイント】

私の勤務するさくらこまち皮フ科クリニックは開院して10年目になりますが、患者様の9割がIPL治療(Joule)を受けられています。IPL治療は、肌の色むらを改善し、ハリ、ツヤをもたらしてくれるので多くの患者様に喜んで頂いています。日光性色素斑や雀卵斑への照射は1週間程度ダウンタイムはありますが、ダウンタイム中もテープ保護の必要がなくいつも通りのメイクが可能な事と、照射後の炎症後色素沈着のリスクが低いことも人気の理由ではないでしょうか。当院で10年間毎月IPL治療を受けられている患者様はとても若々しい美しい肌を保たれているので、私もIPL治療は大好きな治療の1つです。 

IPLとは

まず、IPL治療とはなんぞやというところですが、Intense Pulsed Lightの頭文字をとったもので広帯域波長を発振するフラッシュランプ光源のことです。端的にいうと光エネルギーによる治療ということですね。1990年代に皮膚治療に使用されるようになり、広帯域波長を出すことによりヘモグロビンやメラニンが異常をきたす病変に対して治療が行われてきました。

レーザーは1990年代後半に抗加齢目的で美容皮膚科治療に使用され、注目を浴びIPLも応用できると報告されました。その後、日本でも2000年ごろからIPL治療の様々な治療効果が報告されてきました。
ただ、魅力的な効果をイメージさせていたため治療効果に満足できないこともありました。しかし、その後臨床でも多くの治療が行われることで、IPL治療の理解が深まって有効に使用されるようになりました。

レーザーと混同される方が多いIPLですが、IPLはレーザーとは違い、非可干渉性、多波長、散乱性の特徴をもつ「光」です。用途に応じてフィルターを使い多波長である光の波長帯を限定することで、肌状態に合わせた治療を行っています。

また、スポットサイズがレーザーよりも広いため短時間で施術が可能であり、機械によって異なりますが冷却システムによって痛みを最小限にすることが可能です。ぱちんとゴムを弾いたような痛みで、患者さんは皆さん全然大丈夫、我慢すれば大丈夫と言われる方がほとんどです。
ただ、機械によって治療効果や痛み、ダウンタイムなどが異なることがあり、同じIPL(フォトフェイシャル)治療という名目でも異なると思っておいた方が良いでしょう。

韓国製やイスラエル製、アメリカ製などメーカーによる違いも大きいため、どのメーカーのIPL治療機器が適しているか検討されるとより効果実感を得ることができるかと思います。肌の敏感さや、お悩みに応じてさらに詳しく説明していきます。

IPL治療機器

IPL治療機器の種類は多数存在します。

Joule

Jouleというアメリカのサイトン社の機械は、BBL(ブロードバンドライト)というサイトン社独自の高機能化技術の採用により、従来のフォト治療とは一線を画す強力なフラッシュランプで肌トラブルを改善する光治療です。

2つのフラッシュランプの搭載と、7種類のフィルターを使い分けることで、一人一人の肌質やお悩みに合わせて強力な照射パワーで細かく調整をすることができます。

また脱毛と同時に肌の色調まで改善できるIPL脱毛や、赤外線波長を用いた引き締め治療のスキンタイトができるのも人気の理由です。

ステラM22

ステラM22(M22の最新機器)というイスラエルのルミナス社の機械は、フォトフェイシャルと言える唯一のものであり、厚生労働省から認可を受けています。従来の機器よりも光の波長の選択肢が増えたことでシミだけでなく、赤みやニキビ・肌のハリ(スキンリジュビネーション)に対して効果的に治療することができます。

また、光の強さが均一化(オプティマル・パルス・テクノロジー)により肌へのダメージや痛みを最小限に抑えることができます。また、スピーディーな施術が可能であるため、1回の照射が短時間で完了します。初めてIPL治療を受ける方や、肌が敏感でIPL治療が不安な方に適した機械だと言えるでしょう。

ルメッカ

ルメッカというイスラエルのINVASIX社の機械も人気です。特徴としては、500nm〜650nmの波長が多く含まれており、メラニンやヘモグロビンに対して効率よく反応することができます。

また、他の機器と比べパルス幅が短いため効果的な治療が行えるようになっています。さらに、ピークパワーが業界トップレベルに高く、IPL治療経験のある方であまり実感がなかった方でも、ルメッカであれば効果がわかりやすかったという方が多くいらっしゃいます。

薄いシミ・赤みしかない方や、今までIPL治療を受けて効果がわかりづらかった方や治療に時間のかかる方におすすめです。通常のIPL機器では4〜5回かかるところをルメッカであれば2〜3回と少ない回数で治療が可能であると言われています。治療後の反応が出やすいためダウンタイムが取れない方はダウンタイムが取れるようになってから受けられる方が無難でしょう。

ライムライト

ライムライトというアメリカのキュテラ社の機器は日本人医師と共同開発しており、日本人の肌質を考えられたものです。日本人の幅広い肌の色調に合わせて波長を細かくコントロールできることが大きな特徴です。日本人に多い薄いシミにも波長を細かくコントロールすることによって効果的に治療することができます。薄いシミが気になっている方や初めてIPL治療を行う方におすすめです。

セレックV

セレックVという韓国のJeisis社の機器はATCテクノロジーという冷却機能が特徴であり、強力な冷却により火傷のリスクを軽減させ安心して施術することができます。光治療でも火傷のリスクはありますので、お肌の弱い方(敏感肌)や炎症を起こしやすい方におすすめできる機器です。

IPLの効果

シミ、そばかすの改善

IPLの効果として有名なものといえば、シミやそばかすを除去したり肌の色味を明るくするというものです。これは、メラノソーム自体を破壊しているのではなく、メラノソームを豊富に持つメラニン細胞と表皮細胞に強い熱を加え、マイクロクラスト(怪我をした時のかさぶたのようなもの)を作り、排出することでシミやそばかすの改善を行っています。

Qスイッチレーザーやピコスポットはメラノソーム自体を破壊するためIPL治療とは作用機序が異なっています。また、Qスイッチレーザーやピコスポットなどでは炎症後色素沈着が約40%と報告されていますが、IPL治療では炎症を抑えることが可能であるため、合併する副作用(炎症後色素沈着のリスク)が少ないと言えるでしょう。

IPL治療は複数回の施術を要しますが、施術後のトラブルが少なく炎症後色素沈着が起きやすい方や心配な方には安心して行えるシミ治療です。

赤みの改善

IPLはシミやそばかす治療だけでなく、赤みの治療も可能です。光老化による毛細血管の拡張や加齢によるクモ状血管腫、老人性血管腫、第1度酒さ等がIPL治療の適応となります。ヘモグロビンに反応の良い542nmや577nmの光を含む波長帯を用いると、ヘモグロビンの赤みを治療できます。

ただ、深部にある紫色や青色の血管拡張には効果が出づらいと報告されています。また、毛細血管拡張に効果を発揮しますが、温度差や緊張時のように常時赤みがあるのではなく、場合によって出現する赤潮には効果的ではありません。

スキンリジュビネーション

他にも、スキンリジュビネーションといって皮膚の若返りにも効果的です。表皮と真皮の両方に働きかけるため、肌のハリやツヤもよくなります。肌の奥にある真皮層に働きかけるとコラーゲンやエラスチンを生成促進させ、肌のたるみや元気のなさに悩んでいる方にもシミやくすみ治療ができるだけでなく、ハリが出ると人気です。肌のコラーゲンは30代から減少してしまい、たるみやしわにつながるため30代から肌のコラーゲンを生成させる治療を行っておくとその後の肌が変わっていきます。

ニキビ、ニキビ跡の改善

さらに、ニキビに悩んでいる方やニキビ跡の赤みにもIPL治療は有効です。ニキビに施術すると、アクネ菌の殺菌や赤みの改善を行うことができます。ニキビの原因はアクネ菌のため、光エネルギーによりニキビ菌を殺菌することでニキビ菌の増殖を抑えて炎症も抑えることが可能です。

また、ニキビ跡の赤みに対しても赤み治療の場合と同じく効果を発揮するためなかなかニキビ跡の赤みが引かずに悩んでいる方にもおすすめできます。ニキビ跡の赤みは治るのに半年ほど長くかかるため、早く治したい方はIPL治療を複数回行われると良いでしょう。

IPLの副作用

IPL治療の副作用として挙げられるのは、比較的少ないですが、いくつかあります。ただ、アグレッシブな治療と比較するととても少なく、肌の敏感な方や弱い方でもチャレンジしやすい治療かと思います。

肝斑の悪化

まず、肝斑の悪化が女性では気をつけなければならない副作用のひとつです。肝斑は刺激で悪化してしまうので、刺激の強いレーザーや光は施術を行う際に気をつけなければなりません。

特に、色調の濃い肝斑の場合は照射の強弱のすこしの加減で肝斑を悪化させてしまうことがあります。できるだけ肝斑の部分は避けて照射したり、トラネキサム酸の内服やハイドロキノンの外用を併用しながら行うと良いでしょう。肝斑の治療としてIPL治療は第一選択ではないため、肝斑が改善してから行う方が良いかと思います。

炎症や色素沈着

さらに、頻度の多い副作用としてあげられるものは炎症や色素沈着です。光エネルギーを肌に与えることにより熱がこもったり、それにより炎症が強く出る可能性があります。特に日焼けしている顔の方や地黒の方は強く反応が出る場合がありますし、肌が敏感な方は炎症や赤みが強く出る可能性があります。肌が敏感な時期は避けて行うとトラブルも出にくくなります。

ダウンタイムは直後から翌日くらいまで赤みがでたり、シミに反応すると一時的にかさぶたになり濃く見えた後1〜2週間するとぽろっと取れてしまいます。そのため、かさぶたがついている時期はシミが濃くなったように見えるため、予定のある方は予定のない時期に行うと良いでしょう。

IPLの価格

IPL治療の価格帯は機械によりますが、1回15,000円から25,000円程度です。平均して5回程度は治療に回数がかかってくるため、5回コースや初回価格などお得に設定されているクリニックを選ばれると良いでしょう。

また、機械に応じて必要回数や値段が変わってしまうため注意が必要です。また、肌診断をしてIPL治療だけでなく他の治療が必要な場合もありますのでしっかり肌の状態を撮影してもらい、確認してからの治療をおすすめします。肝斑が目には見えない程度の薄さで混在している場合も多いので注意しましょう。

まとめ

シミやくすみ治療だけでなく、赤みやニキビなど多岐にわたる治療ができるIPL治療は多くの論文もあるエビデンスに則ったものです。そのため、安心して治療を行うことができます。

また、副作用やダウンタイムも比較的少ない治療であり肌の弱い方にとってもチャレンジしやすいのではないかと思います。他にも、痛みも少なく、ダウンタイムもほぼないということやニキビ跡やニキビに効果的であり費用も比較的かからないため、初めての美容医療で何をしたら良いかわからないという方にもIPL治療はおすすめです。

美容医療は継続も大切になります。その時の肌状態を肌診断器などを用いて把握した上で光の波長を選択しパワーなどの設定を行う必要があります。診察してすぐに施術を行うのではなく、肌診断器で今の肌状態を理解した上でどこを改善すると良いのか相談してから施術を行うと満足度も高くなります。
それぞれ異なる肌に合わせてオーダーメイドに施術できるようなクリニックを選ばれることをおすすめします。

【記事の執筆・レビューに使用した参考文献等】

記事の正確性等の確保方法及び参考文献の取り扱いについては、Call to Beautyの編集プロセスをご覧ください。

『intense pulsed lightによる美容皮膚治療』(2010年JJSLM Vol.31 No.1)
根岸圭(東京女子医科大学附属青山女性医療研究所美容医療科/藤田保健衛生大学医学部皮膚科学講座) 
松永佳世子(藤田保健衛生大学医学部皮膚科学講座) 

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

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ゆー

4年制大学の看護学科を卒業後総合病院のICUで1年勤務。その後、美容クリニックに勤務して3年目の、看護師としては4年目になる。美容クリニックはパート含め計6院の美容外科・皮膚科勤務歴があり使用した機械や介助についたオペも多い。高校生の頃から肌荒れに悩んでおり、スキンケアマニアのため市販のスキンケアやドクターズコスメの知識も豊富である。

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監修:

笠井彩香 医師

さくらこまち皮フ科クリニック

愛知医科大学医学部卒業。
さくらこまち皮フ科クリニックでは、患者さんの悩みに合わせ、保険診療から自費診療まで総合的な治療を提供。また、老舗化粧品メーカーとの共同で最新の皮膚医学と化粧品の研究開発を行い、地域医療の貢献を目指している。
自身もSNSで手術以外でも綺麗になれる美容医療を情報発信中。
医療法人桃美会理事長、スキンケア開発監修医。

愛知医科大学医学部 卒業
近畿大学医学部附属病院初期研修医終了
Wクリニック、さくらこまち皮フ科クリニック 勤務
医療法人桃美会理事長

この記事の監修ドクターが所属するクリニック

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