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筆者の勤務するクリニックでは、美容外科だけでなくピーリングやトーニングなどの美容皮膚科の治療も根強い人気があります。体の表面を覆う皮膚は1番大きい体の臓器であるとも言われており、顔の中でも皮膚が綺麗であれば、清潔感があり綺麗な人といった印象を与えることもあるとても重要な部位です。

シミやくすみ・シワ・毛穴・ニキビやニキビ跡など、ひとりひとり患者さんによって皮膚のお悩みも変わってきます。皮膚は厚さや皮脂の量で脂性肌、乾燥肌など、それぞれ特徴が異なるため多様な悩みが起こりやすい部分なのです。そのため、ひとりひとりに合った治療が異なり、どの施術が自分に合っているのか思い悩む方も少なくないのではないでしょうか?

筆者の担当する患者さんには、この悩みにはどの施術が良いのか、別の施術も組み合わせた方が良いのか、本当にこの施術が自分に合っているのかなど悩みや不安を感じている方も数多くいます。それはレーザーなどの機械など多様な治療方法があることだけでなく、インターネットやSNSにより数多くの情報に接することにより、混乱をきたすことが原因で起こっていると考えられます。

自分の肌に何が合っているかわからないという方は、まず自分の肌がどのような状態にあるのか理解するところから始めると良いでしょう。肌は角質・表皮・真皮と3層に分かれています。

そのどの層の治療が必要なのかによっても使用するレーザー機器や薬剤が変わってきます。また、皮膚の薄さや厚さはどうなのか、皮脂の量や水分量はどうなのか、肝斑の有無やシミやイボの有無によっても治療方法が異なるため、レビューやビジアなど画像診断機器を用いて医師による適切な診察を行うことが重要です。

ご自身ではなかなかわからない肌のタイプや必要な治療を医師から診察を通して提案されると、安心して治療を選択することができますよね。それにより、施術による変化も記録できますし、今の肌状態も詳細に理解することができるでしょう。

ただ、顔の部位によっても肝斑や赤みくすみや毛穴などお悩みが違う方が多いため、単一のレーザーなどの機器では改善が難しいことが多くあります。そういった多くの悩みを改善するにはカスタマイズ治療がぴったりです。

なぜなら、カスタマイズ治療では、肌の3層にアプローチすることで肌全体の若返りやお悩み解消が期待できるよう、いくつもの施術を組合わせた治療計画を立てます。今回はそんな最新の肌治療であるカスタマイズ治療について詳しく解説していきます。

【監修医師からのワンポイント】

一人ひとり、またその時々でお肌の状態は異なります。流行っているから、皆がやっているからと言って自分の肌に合うとは限りません。その日の肌状態に最適な美容医療を提供してくれるクリニックを選ぶようにしましょう。

カスタマイズ治療とは

まず、カスタマイズ治療とはなにかというところから説明していきます。カスタマイズ治療研究会の指導施設であるKO Clinic&Labのホームページによると

【再現性のある画像診断に基づく客観的で正確な診断に沿って、複数の機器、内服や外用を適切に組み合わせ、皮膚全層にアプローチしてさらに、スキンケア指導、治療後のアフターケアまで精鋭チームが寄り添い、計画通りの「結果」へと導く。
皮膚医療の新たな価値を広げていこうとするのが、カスタマイズ治療です。】

とあります。

つまり、カスタマイズ治療は、クリニックによる施術だけでなくご自宅でのスキンケアや内服に至るまでサポートしてもらえる結果の出る治療といえます。普通の施術だと、ここまで全面的にケア方法の指導をしてもらえる治療はまずありません。

筆者もクリニックでの施術はもちろんですが、内服やスキンケアの大切さを日頃から患者さんに説明させていただいてきたので、この考えが組み込まれているカスタマイズ治療では、ただクリニックで治療するよりもしっかりと効果を実感できるものだと確信しました。

ただ、最近ではカスタマイズ治療と謳うクリニックが多くなってきていますが、肌の知識がある医師とそうでない医師で施術の内容や指導の方法が変わってきます。そのため、KOClinic&Labの黄医師を代表理事とするカスタマイズ治療研究会に所属している医師・看護師がいるクリニックを選ぶようにすると間違いないでしょう。

カスタマイズ治療の認定施設はまだまだ少ないため、カスタマイズ治療研究会の会員である医師がいるクリニックかどうか問い合わせると安心して治療できるかと思います。筆者もカスタマイズ治療を勉強しているのですが、日々治療についての討論や発表など患者さんの肌治療をより良いものにしようという医師・看護師が所属しており、筆者自身もぜひ肌治療をお任せしたいと思う方々ばかりです。

カスタマイズ治療、3つの重要なこと

カスタマイズ治療では、3つのことが重要視されています。それは、

  • ・美容治療機器を用いた治療
  • ・シンプルなスキンケア
  • ・内服治療

の3つです。とてもシンプルな3本柱ですが、これが肌治療にとってとても重要なものなのです。

美容治療機器を用いた治療

画像診断機器を使用して肌状態を医師が毎回診察します。その診察により、必要であるレーザーなどの機器を使用してひとりひとりの悩みやニーズに合わせた治療を行っていくのです。また、美容治療機器を用いた治療ではダウンタイムが少ないものが比較的多く、シミ取りやイボ・ホクロ除去などダウンタイムのあるものはダウンタイムが取れる時期に行うなどご予定のある方でも安心して治療が行えます。

毎回医師が診察することで今の肌状態もわかりますし、確実にひとりひとりに合った施術を行えるという大きなメリットがある治療です。肌の3層全てにアプローチするため、月に1回を平均6回程度行っていくと真皮層のコラーゲンやエラスチンが産生されハリのある肌になっていきます。

真皮層の老化によってもメラノサイトの亢進(シミや肝斑・くすみの元)が起こるとされているため、トーニングなど表皮のみの治療よりも完成度が高くなります。初めて肌治療をされる方であれば6〜12回程度の治療が必要になることもありますが、メンテナンス期に入ると2〜3カ月に1回の治療で維持することが可能であるため、長く継続しやすい治療であると言えます。

シンプルなスキンケア

月に1回クリニックにいる時間よりも普段のスキンケアの方が時間・回数として多くなりますし、肌を触りすぎることにより、炎症や肝斑の悪化などが引き起こされるため間違ったスキンケアにより逆に肌の老化やトラブルを起こす可能性もあります。

過度に肌を触るとキメがなくなって薄く突っ張ったような肌になったり、バリア機能が低下して乾燥を起こしてしまうリスクもありますし、患者さんの中にも気にしすぎてしまって触る回数が増えている方が多くいます。シンプルなスキンケアで、肌を過度に触らないことはとても重要です。

シンプルなスキンケアとは、クレンジングではなく石鹸でモコモコの泡を作り刺激のないように優しく洗ったり、スキンケアはミルク1本で終わらせて、石鹸で落ちる日焼け止め・コンシーラーを使用するというものです。

これにより毛穴詰まりも減りますし、肌のバリア機能が低下することも少なくなります。スキンケアに気をつけるだけで赤みやくすみが減った患者さんもいますので、シンプルなスキンケアはとても重要です。カスタマイズ治療では、顔の洗い方から指導を受けることができるのでどうしたら良いのかわからない方にも安心です。

内服治療

シミや肌のトラブルは炎症やアレルギーなどが深く関わっていると言われています。そのため炎症を抑えるトラネキサム酸や肌の抗酸化作用を高めるビタミンCやビタミンE、タチオンなどを内服することによって抑えていくことが必要になってきます。

ビタミンCは肌のコラーゲンを生成することも働きの一つとしてあるため、肌のハリも良くなると言われています。特に肝斑がある方は、第一選択がトラネキサム酸の内服ですので、ピルや高脂血症のお薬など飲み合わせの悪い薬は考慮しつつ、医師の診察により処方されます。

内服だけでも肌の治療になりますので、まずは内服からチャレンジされる患者さんも多くいます。肝斑やくすみの改善にも効果的であるため、3〜6カ月内服された患者さんは画像診断機器で見ても目に見えて良くなるので満足度も高くなります。

カスタマイズ治療の費用

費用はクリニックによって多少の差はあるものの、平均1回50,000円程度となっています。月に1回50,000円だと高いなと感じる方が多くいますが、メンテナンス期に入ると年に3〜4回の治療になるため長い目で見ると、たくさんのレーザー機器を併用して赤みやシミ・くすみに対して治療ができるため、コストパフォーマンスが良い治療です。最初の1年は初期投資と思って通っていただけると良いかと思います。

コース料金をお得に設定しているクリニックもあるため、そのクリニックのホームページを確認してくださいね。また、ポテンツァのチップ(針)代金やスキンケア・内服薬など別途でかかる料金もありますが、スキンケアはシンプルなのでかかる費用は安く済むことが多いためトータル的に見るとお得になる方が少なくありません。筆者の担当する患者さんでも、今まではスキンケアに月数万円かかっていた方が内服とスキンケア合わせても1万円弱で済むようになったと喜ばれるかたが多くいます。

カスタマイズ治療実際の治療例

カスタマイズ治療が適応になるのはどんなお悩みに対して?

筆者が実際現場で、カスタマイズ治療を提案することが多いのは、例えば肌治療は初めてで赤みやくすみ・シミ・イボなど多くの肌悩みを抱えた方をはじめ、トーニングを10回以上続けていて、あと少しなんとかしたいという患者さんに対してです。

カスタマイズ治療は一度にレーザー機器などを幾つも併用していくため、満足度も高く内服やスキンケアなどトータルサポートが可能であるため、1回施術後1カ月経ってから2回目の施術の際には画像診断機器でわかりやすく改善する方も多くいます。

実際に使用する機器とリスクなど

治療例を挙げると、赤みには532nmの波長であるエクセルVやVビーム等を使用し、イボやホクロではCO2レーザー、くすみにはピコトーニング、真皮層の治療ではポテンツァの肝斑モード、シルファーム、ジェネシス(ヤグシャワー)、フラクショナルなどその方に応じてレーザーを変更します。

状態を医師が診察して全顔にレーザーを使用することもあれば、鼻横・頬だけなど部分的に使用することもあります。ただ、AMC(メラノサイトの活動性)が亢進している状態だと、肝斑の悪化やくすみが見られることもあります。

そのような場合もシンプルなスキンケアと内服を行いながらメラノサイトの活動性を抑える治療を行うことによって、肝斑やくすみの改善を目指すことが可能です。そのような場合、システアミンやハイドロキノンなど美白剤を使用する場合もありますが、刺激が強く逆に炎症が起こる可能性もあるため、医師の指示のもと使用します。

さらに、事前にカウンセリングでメラノサイトの活動性が亢進する可能性があるという説明もしっかりと行うことや、平均6回程度の治療でお悩みを改善していくことを理解してもらうため、医療者と患者さんの信頼関係も構築され、不安なく治療を受けることがほとんどです。

今までトーニングなどの治療を長年行ってきたけれど、なかなか改善しなかった方が目に見えて改善していきますし、今まで気づいていなかった赤みやくすみも改善することで、まだ3回目の治療なのに周りにもすごく褒められるという方も中にはいらっしゃいます。

まとめ

毎回医師の診察を行うことによって、ご自身がどのような肌状態であるのか、どのような治療が必要なのかしっかりと説明があるため、とても安心できるとのお声もよくいただきます。カスタマイズ治療は患者さんと医療者のチームで結果を出していく治療になりますので、スキンケアや内服、クリニックでの治療など不安なことやわからないことはすぐに相談して、解決していくことも可能です。

今まで相談したことのなかったスキンケアについても毎回詳しく指導してもらえることがとても嬉しいと言われる患者さんも多く、スキンケアを変えるだけでこんなに肌が改善するなら、もっと早く出会いたかったと嬉しい感想もいただいたことがあります。

レーザー機器を複数使用すると、1回の治療時間が長くかかる傾向にあるのですが、その中で生活習慣やさまざまなお悩みをお話することで患者さんと毎回信頼関係も構築され、どうしたら患者さんの肌をもっと良くできるのかとスタッフの間でもディスカッションや勉強会を行うきっかけになったりもしています。カスタマイズ治療は患者さんだけでなく、医療者へも良い刺激になる治療であると筆者は考えています。

【記事の執筆・レビューに使用した参考文献等】

記事の正確性等の確保方法及び参考文献の取り扱いについては、Call to Beautyの編集プロセスをご覧ください。

『カスタマイズ治療研究会について』
カスタマイズ治療研究会ホームページ

『KO Clinic&Labホームページ』

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

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トマト看

4年制大学の看護学科を卒業後総合病院のICUで1年勤務。その後、美容クリニックに勤務して3年目の、看護師としては4年目になる。美容クリニックはパート含め計6院の美容外科・皮膚科勤務歴があり使用した機械や介助についたオペも多い。高校生の頃から肌荒れに悩んでおり、スキンケアマニアのため市販のスキンケアやドクターズコスメの知識も豊富である。

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監修:

古市ゆり 医師

ANGIE CLINIC

日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定内科医。東京医科大学医学部卒業。同大学病院で内科、皮膚科の研修後、腎臓内科の診療に従事する。その後、興味を持っていた分子栄養医学と美容皮膚科の分野に進み、都内美容皮膚科に勤務。現在はANGIE CLINIC 、上野毛駅前総合クリニックで診療を行っている。
特にレーザー治療や注入治療を得意とする。

2010年 東京医科大学医学部 卒業
2010年 東京医科大学病院 初期研修
2012年 東京医科大学病院 腎臓内科 入局
2014年 栄養療法専門クリニック 勤務
2017年 都内美容皮膚科クリニック 勤務
2020年 シロノクリニック 勤務
2022年 上野毛駅前総合クリニック 勤務
2024年 ANGIE CLINIC 入職

執筆:

トマト看看護師

4年生大学の看護科を卒業後ICUを1年経験し、救急医療や重症看護を学んだ。その後、複数の美容皮膚科や美容外科で経験を積み美容看護師として働いて3年目になる。日頃からエビデンスやその方それぞれにあった美容医療を提案している。
患者さんからの指名も多く、美容の豆知識を呟いているX(旧Twitter)ではフォロワー2,500人と支持を得ている。

3次救急病院(ICU)
美容皮膚科
美容皮膚科・外科

この記事の監修ドクターが所属するクリニック

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