夏になると女性を悩ませるのがムダ毛! 毎日剃っていても肌触りがなんかチクチクするし、
毛の太いところは剃り跡が目立って黒いツブツブが……。
ちゃんと処理しているのにお肌が綺麗に見えなくて恥ずかしいと感じたことがある人も多いのではないでしょうか?

また、最近では男性も脱毛をしている方が増えており、特に若い世代ではヒゲ脱毛はマストな風潮もあります。男女共に腕や脚、VIOなどのボディの脱毛をしている方も増えています。
「今年こそ脱毛をしたい!」と意気込んでいる方、早速WebやSNSで「医療脱毛」と検索しても多くの脱毛クリニックがヒットして一体どこに行けばいいのかわからない!と感じるのではないでしょうか。

医療で調べているのにエステ脱毛も同時に検索でヒットするし、医療とエステ、どちらに行ったらいいのやら……? さらに医療脱毛には機械や照射方式の種類がありますので、チンプンカンプンで混乱を極めます。
今回は医療脱毛とは? 何回くらい照射が必要なの?といった話から、どんな医療脱毛機の種類があるのか等を整理してクリニックを見極めるポイントを解説していきます。

そもそも医療脱毛とは

医療脱毛の仕組みはレーザーやIPL(医療でもIPLを使用する場合があります)を照射し毛の黒い色味であるメラニン色素に反応させることで熱を発生させ、毛の周囲にある発毛に関わる組織を焼いて破壊し、発毛のサイクルを止めることです。

この「組織を焼いて破壊する」という行為が医療行為になります。ですから、脱毛施術は医療機関であるクリニックでしか行うことができません
ではエステでの脱毛は何が行われているのかという疑問が生まれると思います。エステでの脱毛の仕組みも医療と似ているのですが、エステではIPLを照射することで発毛に関わる組織の働きを弱めているというのが真実であり、これは脱毛ではなく抑毛にあたります。

エステで脱毛をしてしまうと医師法違反になります。ですからしっかりと毛を無くしたい場合はクリニックで施術を受けることが必須になります。

脱毛の必要回数は?

脱毛をするにあたって照射回数を考える時、毛周期(ヘアサイクル)の考え方が大切です。毛周期(ヘアサイクル)とは一つの毛穴で毛が生まれ→成長し→少しずつ衰え→お休みする、そしてまた毛が生まれるといった発毛サイクルのことです。

脱毛は毛のメラニン色素にレーザーを反応させているため、毛が元気に生えている成長期の毛にのみ効果があります。人の体の毛のうち成長期にある毛は全体の毛の2割弱と言われており、残りの毛は衰えていたりお休みしている状態です。ですから、どんなにうまく脱毛が進んだとしても一回で終わらせるのは不可能であることがお分かりいただけたでしょうか?

回数は単純に考えても5回以上必要であり、肌の色、毛質、毛の量など個人差があるためおおよそ5〜10回前後はかかるものと考えておいた方が良いです。

脱毛の照射方式の種類

医療脱毛には大きく分けて2パターンの照射方式があります。熱破壊式と蓄熱式です。熱破壊式はクリニックによってはショット式と呼ばれており、1ショットずつ照射していく方法の機械のことです。
蓄熱式は読んで字の如く蓄熱していく機械で、同じ箇所を何度も重ねて照射することでじわじわと熱を込めていく照射方法の機械のことを指します。

主な機械の例としては

熱破壊式

  • ・ジェントルシリーズ(ジェントルレーズプロ、ジェントルマックスプロ、ジェントルマックスプロプラス等)
  • ・エリートシリーズ(エリートiQ、エリートプラス)
  • ・クラリティツイン
  • ・ライトシェアシリーズ(デュエット、クアトロ)
  • ・スプレンダーX

など

蓄熱式(設定によって熱破壊式が打てるものもあり)

  • ・メディオスターシリーズ(ネクストプロ、モノリス)
  • ・ソプラノシリーズ(アイス、チタニウム等)
  • ・ラシャ

などがあります。

熱破壊式と蓄熱式の比較図を掲載します。

痛みに着目すると、蓄熱式の方が痛みが少ない傾向にあります。しかし効果にばらつきが出やすいという欠点があり、扱いが難しい機械です。対して熱破壊式は1ショットに込めるエネルギーが高いため多少の痛みを伴いますが、機械の性質上当たれば効果が出やすいというメリットがあります。

ただ出力を間違えると簡単に火傷しやすいのは熱破壊式です。このように機械は照射方式によって一長一短です。
脱毛する際には、痛みをとるか、ある程度の安定した効果を取るかなど、どこを優先にするかを考えると良いでしょう。

レーザーの種類

脱毛レーザーにはいくつか種類があり、今のところ3種類のレーザーが主流になっています。アレキサンドライトレーザー(755nm)、ダイオードレーザー(800nm台〜)、ヤグレーザー(1064nm)の3つです。ダイオードレーザーは人工物であり、装置の調整によってさらにレーザーの種類を増やすこともできます。

毛の色味への反応の良さで比較するとアレキサンドライトレーザーが最もよく反応し、ヤグレーザーが反応しにくいレーザーです。しかし深達性(※どこまで深く照射できるか)に関してはヤグレーザーが一番深く照射することができ、アレキサンドライトレーザーは浅めの部分までの照射となります。

ダイオードレーザーは大体それぞれの真ん中くらいです。それぞれのレーザーは毛質や肌の色によって使い分けを行います。メリットデメリットがあるためどれが一番すごいレーザーというのは選べませんが、比較的アレキサンドライトレーザーやダイオードレーザーから脱毛を開始し、残った毛に対してヤグレーザーに変更して使用している場合が多いです。ヒゲやVIOといった根深い毛に関しては最初からヤグレーザーを使用しているクリニックもあります。

レーザーごとの機械の例

アレキサンドライトレーザー

  • ・ジェントルシリーズ(ジェントルレーズプロ、ジェントルマックスプロ、ジェントルマックスプロプラス等)
  • ・エリートシリーズ(エリートiQ、エリートプラス)
  • ・クラリティツイン

など

ダイオードレーザー

  • ・ライトシェアシリーズ(デュエット、クアトロ)
  • ・スプレンダーX
  • ・メディオスターシリーズ(ネクストプロ、モノリス)
  • ・ソプラノシリーズ(アイス、チタニウム等)
  • ・ラシャ

など

ヤグレーザー、アレキサンドライトレーザー

  • ・ジェントルシリーズ(ジェントルマックスプロ、ジェントルマックスプロプラス等)
  • ・エリートシリーズ(エリートiQ、エリートプラス)
  • ・クラリティツイン

など

機械によって数種類のレーザーが出る場合があります。例えば、アレキサンドライトレーザーとヤグレーザーを搭載しているなど。また、数種類のレーザーが同時に出るものもあります。同時照射は蓄熱式の機械に多く、メディオスターやソプラノは複数のレーザーが同時に出ています。

医療脱毛クリニック見極めポイント7選

スタッフの対応、接遇

当たり前のことですが、気持ちよく通うためにはスタッフの対応が良いところに通うべきです。脱毛は年単位で通う必要があるため、クリニックとは長いお付き合いになります。受付対応、電話対応、トラブル時の説明など丁寧に対応してくれそうなクリニックを選びましょう。

院内の清潔さ

言わずもがな、院内は綺麗であるべきです。しかしクリニックによっては清掃が行き届いておらずベッドシーツがシワシワ、タオルが交換されていないなどの問題がある場合があります。入り口に入ってみて建物の古さに関係なくあまり綺麗な印象を受けない場合は、もしかするとクリニックの内部が汚い可能性があります。きれいなクリニックで施術を受けてください。

通いやすさ

脱毛は2カ月おきに定期的に通う必要があり、期間も年単位になってしまうため基本的には自分自身の通いやすい立地を選ぶのが無難です。ただ、少し遠くても使用したい機械がある、信頼できる医師がいる、施術者の技術が高いなどのメリットがあるのであればそちらを優先しても良いと思います。

契約期間

脱毛施術は1度では終了しないため、おおよそ5〜10回程度のコース契約をする場合が多いと思います。その際にそのコースをどのくらいの期間で消化しなければいけないのか確認しましょう。

脱毛は基本的に、顔は1カ月おきに、体は約2か月おきに通い始めます。毛の全体量が減ってきた際にはさらに照射の間隔を伸ばしたほうが効果的です。ですから、例えば8回コースで1年以内に消化しなければいけない契約などは効率的に脱毛をするのが難しいと言えます。

5回コースであれば1年の契約期間でもなんとかなりますが、それ以上の回数のコースを組まれるときは2〜3年くらいは契約期間があった方が無難です。

予約の取りやすさと施術間隔

クリニックによっては患者様の数が多すぎてなかなか予約が取れないことがあります。また最初のうちから3〜4カ月照射の間隔を開けた方が良いと説明しているクリニックもあります。そうすると効率的に脱毛することが難しくなってしまうことがあり、最初の契約の時点で予約の取りやすさや脱毛施術の間隔に対して聞いておくと良いでしょう。

機械の種類

少し前の項目でも説明していますが、機械にはレーザーの種類と照射方式が違うものがあります。行きたいと考えているクリニックがどんな機械を使用しているか確認しましょう。医療脱毛であったとしても、レーザーではなくIPLの機械を使用しているところもあります。IPLでの脱毛でも脱毛ができないというわけではないのですが、レーザーよりも効果は落ちてしまいますので最初から選択しないことをお勧めします。レーザーで脱毛をしましょう。

また、機械の特性から熱破壊式の方が効果のブレが少ないため、特にこだわりのない方は熱破壊式の脱毛機を選択することをお勧めします。

技術力と安全性

脱毛施術は実は意外と施術者の技術力が試されます。綺麗に照射しないと照射漏れが起こってしまったり、照射していたとしても反応漏れとして毛が残ってしまうことがあります。特に蓄熱式は徐々に熱をこめていく仕様のため、上手く均等に熱を入れることができないと効果がまばらになってしまい、技術者の力量が試される機械です。

安全性の面からも正しく機械を使用でき、綺麗に照射できないと火傷などの肌トラブルを起こすことがあります。通いたいクリニックでベテランの技術指導者がいるかなど確認しても良いかもしれません。

肌トラブル対応

脱毛施術ではレーザーを照射して熱を発生させて毛を焼いているわけですから当然リスクがあります。いくつか挙げると、赤み、痒み、ひりつき、毛嚢炎、火傷といった症状です。これらのことが起こった際にしっかりと対応してもらえるかを確認しておくと良いです。

硬毛化対応

脱毛施術では硬毛化という症状が出てしまうことがあります。硬毛化とは、脱毛施術によって最初よりも太い毛が生えてきてしまう症状のことです。現在医学的に解明はされていませんが、おおよそ脱毛施術が刺激になってしまい、発毛組織の活動性が高まってしまったことが原因と考えられています。

人によっては毛が増えた感じがする増毛化をきたすことがあります。この症状は、どのような人にも、どのような機械を使っても起こってしまう可能性があります。比較的もともと産毛のところである背中、うなじ、肩、二の腕、フェイスラインなどがよく起こる部位と言われています。

この硬毛化が契約期間中に起こってしまった際にどのような対応をクリニックがしてくれるのか確かめておく必要があります。クリニックによっては硬毛化のこと自体を説明しないところもありますし、硬毛化は当院では発生したことがありませんと声を大にして説明するクリニックがあります。

現役で脱毛施術を行い、これまで数千件以上対応している身からすると、患者さんの母数にもよりますが硬毛化が一人もいないという状態はあり得ないと感じます。
硬毛化になってしまった場合2パターンの対処方法があります。①長期間(半年から1年以上)脱毛施術をお休みする。②硬毛化に対する施術を行う。この2パターンを提示してくれるクリニックは優良といえます。

おわりに

脱毛施術の仕組みや機械のことを理解して、見極めポイントを確認しながら通うクリニックを選んでみてください。

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*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

MarkeTech

YuNi

都内で働くフリーランス美容ナース。美容皮膚科、脱毛専門、痩身クリニックにて勤務経験あり。クリニックの立ち上げに関わり、師長を務めていたことも。現在はいくつかの美容皮膚科にて勤務しており美容皮膚施術とアートメイクを担当している。Twitterでは同名義で4000人以上のフォロワーがおり、正しい美容医療の知識の普及に努めている。飛鳥塾という講習会にて講師を務め、美容看護師の知識や技術の向上に尽力している。

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YuNi看護師

都内で働くフリーランス美容ナース。美容皮膚科、脱毛専門、痩身クリニックにて勤務経験あり。クリニックの立ち上げに関わり、師長を務めていたことも。現在はいくつかの美容皮膚科にて勤務しており美容皮膚施術とアートメイクを担当している。

X(旧Twitter)では同名義で4,000人以上のフォロワーがおり、正しい美容医療の知識の普及に努めている。飛鳥塾という講習会にて講師を務め、美容看護師の知識や技術の向上に尽力している。

大学病院勤務(血液内科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科勤務)
大手美容皮膚科
個人美容皮膚科
大手脱毛専門クリニック
脱毛専門クリニック
脱毛専門クリニック立ち上げ協力
個人美容皮膚科(保険診療込み)
バイト勤務含め10院以上のクリニック勤務経験あり