「そばかすは可愛らしい」という印象を持つ方は多くいますが、実際にそばかすがあることで悩んでいる方が多いのも事実。「小さい頃はそばかすって言えたけど、大人になったらただのシミって思われる」、そんな友達の発言を聞くこともしばしばあります。でも現代の美容医療ならそばかすだってきれいに治療することが可能なのです。

今回はそばかすの治療方法について詳しく解説していきます。

【監修医師からのワンポイント】

そばかすは遺伝的な要因もあるため、一度改善しても再発しやすいタイプのシミです。光やレーザー治療、内服治療、外用治療などを併用することで、再発しにくくなりますので、医療機関でよく治療方針を相談して治療を行うことが大切です。

そもそもそばかすって何? シミと何が違うの?

そばかすは別名「雀卵斑(じゃくらんはん)」と呼ばれます。そばかすの見た目がすずめの卵の表面に似ているからこのような呼び名がついたそうです。そばかすの大きな特徴は幼少期に発症することが多いということです。私たちが通常思い浮かべるシミというのは「老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)」と呼ばれ、名前の通り加齢とともに目立つようになってきます。

しかし、そばかすは遺伝的に発生するものであり、大体5〜6歳ころに目立ち始め、思春期をピークに濃くなる傾向にあります。思春期を過ぎるとそばかすはだんだんと薄くなることが多いですが、それには個人差があり、自然にそばかすが完全になくなることはほとんどないと言われています。

そばかすは白人にみられることが多く、日本人でも色白の人にみられることが多いです。
そして顔の中心である鼻〜頬にかけて薄茶色の斑点が広がるように発生します。一つ一つの斑点は小さく5mm以下のものがほとんどです。顔以外にも手や腕、肩、背中などにもみられることがあります。

一般的なシミはそばかすに比べて一つ一つが大きく、数も少ないです。また、こめかみや耳の前によくできやすく、シミと地肌の境目が分かりやすいのが特徴です。シミとそばかすは似たようなものと感じる方も多いですが、このような違いがあるのです。

そばかすはどうしてできるの? その原因とは

そばかすは遺伝的な要素が大きく関係するために幼少期から発症します。またそれをさらに助長させるのは、みなさんご存じの紫外線です。

肌に紫外線が当たると肌の奥深くにあるメラノサイトと呼ばれるメラニンを作り出す場所が活性化し、メラニンが作られます。メラニンが作られることは当たり前のことで、通常は肌の奥深くで作られたメラニンはターンオーバーによって肌の表面に押し上げられ、垢となり自然に剥がれ落ちて排出されます。ですが長時間紫外線を浴びることでメラニンが過剰に作られたり、肌のターンオーバーが乱れたりしてしまうと、うまくメラニンを排出することができなくなってしまいます。その結果、肌に残ったメラニンがそばかすとして見えるようになるというわけです。

紫外線の量が多くなる春夏にはそばかすが濃くなり、反対に紫外線の量が少なくなる秋冬にはそばかすは薄くなる傾向にあります。このことからもそばかすを悪化させる原因として紫外線が大きく影響していることがわかるでしょう。

そばかすをきれいにしたい! じゃあ、どうすればいいの?

幼少期にみられ始めるそばかすは、思春期の頃をピークにし、その後は年齢を重ねるごとに落ち着いていきます。ですが落ち着く程度は個人差があり、年齢を重ねても目立ち続ける方もいますし、完全に消えてなくなってしまうという方は非常に稀です。そのため「そばかすが気になる。なんとかしたい!!」と考える場合には美容医療の力を借りることが必須となります。

多くの治療法を有する美容医療ですが、そばかすに対して効果的にアプローチできる方法は大きく分けて3つあり、①内服薬、②外用薬(塗り薬)、③レーザー(ピコレーザー、Qスイッチレーザー)とIPLの併用となります。それではここからはそれぞれの方法について詳しくみていきましょう。

①内服薬

こちらはそばかすを薄くするために効果的な内服薬を服用することにより、身体の内側からそばかすを改善していくための方法です。
そばかすを薄くするため主に処方される内服薬は「トラネキサム酸」、「ハイチオール」、「シナール」、「ユべラ」の4種類です。

●トラネキサム酸

トラネキサム酸は必須アミノ酸であるリシンをベースとして人工的に合成されたアミノ酸の一種です。トラネキサム酸にはプラスミンとプロスタグランジンの働きを抑制する効果があります。プラスミンとプロスタグランジンはメラニンを作り出す場所であるメラノサイトを活性化させる働きがあるため、この2つの働きが抑えられることでメラニンが過剰に作り出されることを防ぐことができます。また、肌内部にすでに存在しているメラニンを除去する働きもあります。

シミ・そばかす予防に効果のあるトラネキサム酸ですが、血栓ができやすくなる作用もあるため、ピルを内服中の方はトラネキサム酸を服用する際は主治医と相談する必要があるので注意しておきましょう。

●ハイチオール

ハイチオールはL-システインが主成分となる薬剤で、L-システインは必須アミノ酸の一つです。
メラニンの産生を抑制するほか、新陳代謝を促して肌のターンオーバーを正常化させることで、今あるメラニンの排出を促します。

また高い抗酸化作用を持っているため、外部刺激から肌の細胞を守る働きもあります。

●シナール

シナールはアスコルビン酸、つまりビタミンCを主成分としたビタミン剤です。アスコルビン酸にはメラニンの産生を抑制する、肌の細胞を刺激から守る、コラーゲンの生成を促すなどの働きがあります。このアスコルビン酸の働きをさらに高めるために、アスコルビン酸の体内吸収を促すパントテン酸カルシウムも配合されているのがシナールとなります。

シミやそばかす予防のほか、シミ予防、ニキビ改善の効果も期待できる美肌になるために必須の薬剤です。

●ユベラ

ユベラはトコフェロール酢酸エステル、つまりビタミンEを主成分としたビタミン剤です。新陳代謝を促す効果があるため、肌のターンオーバーを促し、今あるメラニンの排出を促します。

また、高い抗酸化作用も持っているため、肌を紫外線などから守り、そばかすの悪化を防ぐ、薄くする効果が期待できます。

内服薬は肌のターンオーバーに合わせて肌を生まれ変わらせるのをサポートする役目を持つため、1日2日での劇的な変化は望めず、最低でも3カ月といった、長期にわたって行う治療法となります。「今すぐそばかすをなんとかしたい!」という希望を持つ人にとっては物足りなさがあるかもしれませんが、他の治療法と併用しながら将来にわたってきれいな状態を保つためには内服治療は重要となります。

②外用薬(塗り薬)

次にそばかすを改善するための二つ目の治療法、外用薬について説明していきます。そばかすにアプローチするための外用薬は「トレチノイン」と「ハイドロキノン」の2種類の成分が使用されることが多いです。

●トレチノイン

トレチノインはビタミンA誘導体で、ビタミンAの50〜100倍の効果があるといわれています。もともとはアメリカでニキビの治療薬として使用されていましたが、紫外線によるシミ・シワなどの光老化にも効果があることが研究で明らかとなり、美肌にする成分として広く使われるようになりました。

トレチノインにはピーリング作用、つまり肌表面の角質を剥がす作用と、新陳代謝が上がり肌のターンオーバーを促す作用があります。これにより肌内部にあるメラニンを排出することができ、そばかすの改善が期待できるというわけです。

ビタミンAは体内に微量が常に流れているため、トレチノインによってアレルギー反応が起きてしまうということはありません。ですが、トレチノインは使用すると皮膚が赤くなる、ひりつく、角質がポロポロと落ちるなどといった反応性の皮膚炎が起こります。肌をきれいにしようとしているのに逆に肌が荒れたような気がするので使い初めは心配になりますが、これは効果が出ているサインでもあるのです。

注意点としては妊娠中、授乳中、妊娠を予定している方は使用することができないということです。なぜかというと、ビタミンAを内服すると副作用として催奇形性が現れる可能性があるからです。肌に塗ることで体内に吸収されるビタミンAはごく僅かなため、外用での同様の副作用は認められていませんが、日本では念のため外用での使用も禁止しています。

●ハイドロキノン

ハイドロキノンは「肌の漂白剤」とも言われるシミ治療にもってこいの成分です。なぜこのような呼び方をされるかというと、ハイドロキノンを肌に塗ることでメラニンを作るために必要なチロシナーゼという酵素の働きを抑えることができるとともに、メラニンを作り出すメラノサイトそのものの数を減らすことができます。シミ・そばかすの原因であるメラニンを作らせなくする働きを持つため、新たにそばかすができるのを予防することができるのです。

ハイドロキノンを使用することで出てくる副作用としては赤みやひりつきがあります。症状が出た場合には塗る頻度を減らしてみたり、一旦中止をしてみましょう。使用頻度を控えると基本的にはすぐに症状が落ち着いてきますし、続けて使用していると徐々に肌も慣れてきて耐性もつきます。あまりにも症状が落ち着かないときにはアレルギーの可能性もあるので主治医に相談をするようにしてください。

また、ハイドロキノンの副作用に肌の色が白く抜けてしまう白斑というのもあります。これは濃い濃度のものを使用したり、長期間にわたって使用したりすることでメラノサイトという細胞自体がなくなり、その部分だけ色素がないように見えてしまうのです。濃度が濃いものを使用したり、長期間にわたって使用したりした場合にみられるため、使用の際は主治医の指示に従うようにしましょう。

そばかすの原因となるメラニンですが、メラニンには紫外線を吸収をするという役目もあります。ハイドロキノンを使用してメラニンがなくなると紫外線が当たったときに吸収してくれるものがなくなり、とても無防備な状態となり、かえって新しいそばかすができたり、そばかすが濃くなってしまったりします。そのためハイドロキノンを使用する際はさらに念入りなUVケアが必要となります。

トレチノインでメラニンを排出し、ハイドロキノンでメラニンが作られることを予防するというそれぞれ異なった効果があるため、2種類の薬剤を併用することでより効率よくそばかすを治療することができます。ですが2種類とも使用方法を誤ると逆に副作用に苦しむことにもなりかねません。より高い効果を得るためにも薬剤の濃度や塗布の仕方、治療期間などに関しては主治医の指示に従うようにしましょう。

③ピコレーザー、QスイッチレーザーとIPLの併用

内服薬や外用薬はいずれも長期的な継続が必要で即効性は期待できません。今あるそばかすを短期間で確実にきれいにしたいというならばピコレーザー、Qスイッチレーザーを治療の第一選択として、補助的にIPLを併用していくのがおすすめです。

●ピコレーザー、Qスイッチレーザー

ピコレーザーでのそばかす治療が主流になってきています。従来のレーザーより、少ない回数で治療でき、周囲の肌へのダメージも少ないので、ダウンタイムが比較的少なくすみます。ピコトーニングでメラニンにアプローチすることにより、美白効果も期待できます。

Qスイッチレーザーは非常に短い時間で高出力のエネルギーを与えることのできる構造になっています。レーザーの種類はアレキサンドライト、ルビー、YAGとありますが、いずれもメラニン色素への反応がいいレーザーです。

そばかすの部分にレーザーを照射するとレーザーはメラニンに吸収されます。吸収されたレーザーはそこで大きなエネルギーを放ち、メラニンが破壊されます。このとき他の部分にはほとんどダメージを加えることはありません。

薄いそばかすや深い部分にできたそばかすも1回の照射でほぼ確実に改善することができ、再発のリスクも低い治療法です。ピンポイントで照射することができるので細かい部分まで照射できる点もメリットでしょう。

しかしデメリットもあります。そばかすは小さなものが広範囲に多数広がっているため、照射にかなりの時間と手間がかかります。そのためクリニックによってはそばかす治療としてのQスイッチレーザーの使用を推奨しない場合もあります。また個数や範囲によって金額が変動するため、Qスイッチレーザーでの治療は高額になりやすいです。

そして照射後にはダウンタイムがあります。高出力のエネルギーを与えているため、照射した部分はかさぶたになり、それが1〜2週間かけて剥がれ落ち、周りの肌の状態と同じ状態になるためには3カ月〜半年ほどかかります。

治療効果が高い分、デメリットも大きいですが、確実にそばかすをなくしたい方はQスイッチレーザーを検討してみることをおすすめします。

●IPL治療

IPL治療とはIPLという特殊な光を当てて、シミやそばかすの他、くすみ、ニキビ、ニキビ跡、赤ら顔を改善する治療法です。

IPLは黒色、赤色、水分に吸収されるという性質があり、そばかすの原因である黒色のメラニンにも反応します。反応したメラニンは老廃物として肌のターンオーバーに合わせて外に排出されます。一度に広範囲に照射することができ、ダウンタイムもなく行える治療法のため、そばかす治療に用いているクリニックも多いです。

しかしIPLは肌の深い部分にまでは届かないため、深いところにあるそばかすには効果がありません。またIPLの機械の構造上、照射面が大きいために、そばかすができやすい鼻の凹凸や目元ギリギリの部分をきれいに照射することが難しいのです。

そこでベストなのはQスイッチレーザーの治療補助としてIPL治療を用いることです。IPLの効果として色ムラを整えるというものがあります。Qスイッチレーザーでそばかす治療をすると、ピンポイントでレーザーを当てている影響で、当てた部分と当たっていない部分で肌に色ムラがでてしまうことがあります。そこにIPLを照射することで顔全体の色ムラが改善し、よりきれいな仕上がりになります。

マイルドなエネルギーで広範囲に照射できるというメリットがあるIPLの良さを活用することで、より満足度の高い治療が可能となります。

遺伝的な要因が絡んでくるため治療が難しいそばかすですが、そばかすをなくしてきれいな肌になることは決して不可能なことではありません。ですが、自分の努力だけでは難しく、正しい治療を受ける必要が不可欠です。自分自身でも正しい知識を身につけ、信頼できるドクターとともにそばかす治療を乗り越えましょう!

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

つーさん

つーさん

ナース歴11年目。岩手県出身。地元の大学卒業後、都内の大学病院にてNICU勤務→美容ナースとして5年間勤務→現在は保険診療のクリニックで勤務中。美容ナース時代は大手美容クリニックにて2年間勤務し、その後個人クリニックへ転職、脱毛クリニックでアルバイトをしていたため、美容外科・美容皮膚科を幅広く学んできた経験がある。

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監修:

佐藤亜美子 医師

PRIMA CLINIC (プリマクリニック)

広島大学医学部医学科卒業。広島赤十字・原爆病院、広島市立広島市民病院、中国労災病院に勤務。美容皮膚科エルムクリニック広島院院長、エルムクリニック副総院長・技術指導医を経て2022年10月プリマクリニック開業。得意分野はヒアルロン酸注入、ボトックス注射、糸リフト、レーザー治療。またドクターズコスメを開発する。

広島大学医学部医学科卒業
広島赤十字・原爆病院
広島市立広島市民病院
中国労災病院
2014年 美容皮膚科エルムクリニック広島院 
2018年 同院院長
2022年10月 プリマクリニック開業

執筆:

つーさん看護師

大手美容クリニックにて美容ナースとして働き始め、現在は個人の美容クリニックで勤務しており、美容ナース歴は7年目。
これまで複数のクリニックで医療脱毛、美容皮膚科、美容外科の領域を学び、幅広く経験を重ねている。
そのため、患者様に対して必要な治療をピックアップし、サポートできるのが強み。
個人クリニックでは管理職の経験があり、スタッフ育成やクリニック運営に携わってきた。

都内大学病院勤務(NICU)
大手美容クリニック(美容皮膚科・美容外科)
美容クリニック(美容皮膚科・美容外科、医療脱毛)
内視鏡クリニック
美容クリニック(美容皮膚科・美容外科、医療脱毛)