光治療は幅広いお肌の悩みに総合的にアプローチできる施術です。
使い方次第で様々な効果が期待できます。また肝斑がある方は不用意に施術すると悪化するリスクもあります。光治療とはどんなものか、効果や受けない方がいい場合、セレックVという光治療機にフォーカスして説明しています。どんな治療か気になる方は是非ご覧下さい!

【監修医師からのワンポイント】

患者様一人ひとりのお悩みに合わせた「自分仕様のスキンケア治療」が可能です。ダウンタイムはほとんどなく、茶色のシミくすみの他にも、血管病変等の赤みにも作用してさらなる美白肌へと導きます。今までの光治療で満足できなかった方にもぜひ試してもらいたい治療です。

そもそも光治療とは

光治療(IPL:Intense Plused Light)は広い波長のカメラのフラッシュのような光をお肌に照射する治療です。幅広い波長で照射できるということは、シミやくすみなどのメラニン色素に対する効果、赤みや毛細血管などの血管に対する効果、お肌の弾力感アップや毛穴、小じわの改善など真皮の再構築を促す効果、アクネ菌を殺菌するような作用がありニキビを改善する効果、光脱毛による減毛効果など幅広い肌悩みを改善できるという特徴があります。

ですので光治療はマイルドに肌質を改善することができます。また光治療機は一般的に数種類フィルターが搭載されておりフィルターによって波長を調整できます。お悩みにあった波長のフィルターを選択することで赤みをピックアップして重点的に治療したり、シミをピックアップして治療したりと使い方次第で少しアクティブに治療することも可能になります。

レーザーとは何が違うの?

レーザーはひとつの波長のみを有します。そのため普通は脱毛のためのレーザー、シミのためのレーザーなど目的用途によりそれぞれ異なった機械を使用する必要があります。その分光治療と比較すると高い効果が期待できます。

そのため
・濃いシミを数個だけ取りたい→ピコレーザーやQスイッチレーザーといったシミのレーザー
・永久脱毛をしたい→アレキサンドライトレーザーやYAGレーザー、ダイオードレーザーなどの脱毛レーザー

といったように複合的な悩みがあるのではなく、改善したいところが1つだけと決まっている方はレーザーを選択する方が治療効果が高く、治療回数も少なく済むと考えていただければいいかと思います。

光治療(セレックV)で改善可能な肌悩み

老人性色素斑(日光性色素斑)、雀卵斑、炎症後色素沈着といったシミ

老人性色素斑は紫外線ダメージの蓄積によりできる一般的にシミとして想像されるシミ、雀卵斑はそばかす、炎症後色素沈着はニキビや火傷などの炎症反応によりできてしまう茶色い跡のことです。

いずれも表皮層というお肌の表面に近い浅い層でメラニンという茶色の色素が増えている状態になっています。IPLはレーザーと違いメラニンを細かく砕くことはできませんが、メラニンをたくさん持つ細胞に熱損傷を与えることでシミを徐々に薄くすることができます

IPLの照射直後にはマイクロクラストといってシミの箇所が濃く浮き上がっているように見えます。これはIPLが良く反応している目安のようなもので1週間程で剥がれ落ち薄くなります。ピコレーザーやQスイッチレーザーのシミ取り(スポット照射)よりダウンタイムが少なく跡にもなりづらいため、治療後のダウンタイム期間がネックだという方にも受けやすい治療となっています。

お肌のターンオーバー(新陳代謝)も上げてくれるため皮膚内に滞留しているメラニンを外に排出してくれる作用もあります。

毛細血管拡張、クモ状血管腫、老人性血管腫、酒さといった赤み

血管壁細胞に熱損傷を与えることで赤みの改善効果が期待できます。IPLは皮膚の浅いところにアプローチする機械のため浅在性の血管のみ改善可能となっており、深くにある血管には治療効果がほとんどありません。表面から透けて見える赤みはIPLが有効、紫色のように見えるところはあまり改善できないと認識して頂ければ良いかと思います。

ニキビ

短めの波長で照射するとポルフィリンというアクネ菌の代謝物に吸収されニキビにも効果があります。ニキビの炎症がある程度鎮静化したものには有効ですが白くうみを持って化膿しているもの、痛みを伴うほど赤く炎症が強いものは逆に悪化させるリスクが高いため保険診療の皮膚科でまず治療しましょう。

脱毛

機械や設定によっては毛母やバルジ領域といった毛を作る器官を壊してレーザーによる永久脱毛同様の効果を期待できることもありますが、通常の総合的な肌質改善のモードの照射ではエステ脱毛のような一時的な減毛効果が出ます。なので脱毛を目的とする方は基本的にレーザーを選択しましょう。また、男性で髭を残しておきたいなど脱毛効果があると困る場合はその箇所は照射しないようにしましょう。

肝斑

肝斑とは紫外線やホルモンバランス、慢性的に刺激が加わることなど様々な要因で出現する炎症性のシミです。左右対称に両頬弓状にもやっとしたシミができるのが典型的です。基本的に肝斑は保存療法でトラネキサム酸の内服・外用、ハイドロキノンという美白剤の外用がスタンダードです。

肝斑は真皮浅層の紫外線による老化症状が顕著だといわれています。IPLを照射すると真皮層に熱が加わることでコラーゲンの生産が促進され健やかな真皮層の再構築(リモデリング)が促進されます。真皮層の状態が良好になることで肝斑が改善することがあります。

しかし不用意な照射では真皮層の再構築より炎症が増強してしまい逆に肝斑が悪化してしまいます。肝斑への照射はリスクも伴うためトラネキサム酸の内服などインナーケアも行い、画像診断機(VISIAやネオボワールなど)で定期的にモニタリングしてくれるクリニックを選びましょう。

出典 https://www.jeisys.com/

光治療(セレックV)で適応とならない肌悩み

真皮メラノサイトーシス(ADM、両側性太田母斑様色素斑)

真皮メラノサイトーシスとは真皮層という表面から深い層にメラニンが増えることが特徴です。小さい小豆のようなシミが両頬や鼻翼(小鼻)に20歳以降できるのがスタンダードな例です。
IPLは表皮にあるメラニンへの吸収性が高いため、表皮より深い位置にある真皮の色素に対しての改善効果は乏しいです。

脂漏性角化症

脂漏性角化症とはイボのように盛り上がった良性のシミです。初期段階では平たいため老人性色素斑(紫外線によってできる一般的によくイメージされるシミ)と見分けがつきづらいです。
脂漏性角化症にIPLを照射すると一時的に薄くなることがありますが、すぐに再発してしまうため脂漏性角化症の治療としてIPLを選択する必要はないでしょう。

光治療(セレックV)のダウンタイムとリスク

モードにより異なりますがダウンタイムでは一時的に赤みが出現したり、照射したシミの箇所が一時的に濃く浮き上がって見えることがあります。
リスクとしては火傷によるひりつき、水ぶくれ、色素沈着、瘢痕やケロイドが引き起こされる可能性があります。

またリフトアップのための金の糸など顔に金属が入っている場合、火傷や変色などのリスクがあるため注意が必要です。

                                    

セレックVについて

今回は光治療機セッレクVについて解説していきます。

セレックVの症例について

まずは実際にセレックVを用いて行った治療の症例をご覧下さい。

①毛細血管拡張(赤ら顔)とニキビ跡の赤みに対する治療効果

②シミに対する治療効果

③セラピューティック(トレチノイン:ビタミンA、ハイドロキノンの塗布)との併用による治療効果

※ゼオスキンやガウディスキンなどターンオーバーを促進するビタミンA、漂白作用のあるハイドロキノンを含むスキンケアの併用は高い効果が期待できますが、適切に使用しないと火傷のリスクも高くなります。

クリニックの方針により異なりますが、皮が剥ける程強く反応が出ている場合はIPL照射はNGです。このようなドクターズコスメを使用している場合は予め使用していることを申告し、施術前後でどの程度の期間休止が必要か確認しましょう。

それぞれシミ、赤みといった肌の質感が改善していることが分かるかと思います。

セレックVは9つのフィルターを搭載

肌悩み、肌の色味に合わせてフィルターを選択していきます。原則、クリニック側で安全と効果を考えて選んでいますが、フィルターの使い分けをしていないクリニックもあるためカウンセリング時に、どのように施術していくのか心配であれば聞き納得して治療を受けるようにしましょう。

それぞれのフィルターの特徴は以下に示す通りです。

  • 【420(S)】420〜600nmの波長でポルフィリン(アクネ菌の代謝物)へよく吸収されニキビを改善する。
  • 【500(S)】500〜600nmの波長で赤みを改善する。明るい肌色が適応。
  • 【530(S)】530〜600nmの波長で赤みを改善する。明るい肌色が適応。
  • 【530(D)】530〜650nm/900〜1200nmの波長で赤みを改善する。(D)とはドゥアルフィルターのことでオキシヘモグロビンとメトヘモグロビンという2種類のヘモグロビンにアプローチできる。全ての肌色が適応。
  • 【550(S)】550〜650nmで赤みを改善する。他のフィルターよりもアクティブでピンポイントで使われることが多い。暗めの肌色が適応。
  • 【560】560〜950nmの波長でメラニン色素を改善する。フォトシャワーで使用することでブライトニング(美白)効果が期待できる。
  • 【590】590〜950nmの波長でメラニン色素を改善する。
  • 【640】640〜950nmの波長でメラニン色素を改善する。
  • 【700】700〜950nmの波長で光脱毛の効果、減毛の効果が期待できる。

なぜ肌の色味を考慮する必要があるのか

上記のようにフィルターを選ぶ時や出力を設定するとき、施術者は肌の色味(スキンタイプ)を考えて調整していきます。それはなぜかというと肌の色味がもともと濃い方や日焼けをしている方は火傷をしてしまう可能性が高くなるからです。

肌の色味が濃いということはメラニンという茶色の色素が皮膚にたくさんある状態になります。そのため表面にあるメラニンへの吸収性が高い機械を使用する際は過度に反応が起き火傷を引き起こすリスクがあるという理由からです。

また、IPLやレーザーは皮膚に熱を加える施術のため肌が乾燥していても火傷のリスクが高くなるため出力を通常通り上げることが難しくなります。
そのためせっかく美容医療を受けるのであれば安全に治療効果を出したいので、紫外線対策と保湿をしっかり行って下さい。

▼日本人のスキンタイプはⅢ程度と言われています。こちらの投稿で色味について説明してます。スキンタイプⅢが維持できるようしっかり日々ケアをしましょう!

セレックV独自のクーリングシステム

ATCテクノロジーというセレックV独自の冷却システムを搭載しており、一般的なIPLの機械より火傷のリスクが低くなっています。
ATCとはAutomatic Temperature Controller の略で表皮の温度をリアルタイムでモニタリングしながら施術することが可能となっています。光を照射するとお肌に熱が加わるためどうしても光治療に火傷のリスクはつきものですが、セレックVは機械が設定している皮膚表面の温度を超えると照射できないような設計になっているため火傷リスクを最低限に抑えることができます。

シミ、赤み、ニキビ、毛穴、弾力、脱毛と幅広く効果が出せるのが光治療の魅力です!
ご自身でシミや赤みの種類を判断することはできないためクリニックでしっかり判別してもらい適切な治療を提案してもらいましょう。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

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まいまい

都内の美容皮膚科メインで働く正看護師。新人の教育担当も経験。現在は保険診療も併設されているクリニックで勤務中。美容と保険をうまく組み合わせ患者様のお悩みを解決したいと考えている。美容について勉強したことを発信しており、Twitterでは1,000人以上のフォロワーも。医療従事者としてエビデンス(根拠)に基づいた内容を伝えることを心掛けている。

                                 

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監修:

田尻友恵 医師

錦糸町皮膚科内科クリニック

北里大学卒業。東京医科歯科大学、慈恵医科大学、都内クリニックで皮膚科、一般内科、美容皮膚科等で研磨を積み、2022年7月錦糸町皮膚科内科クリニックを開院。皮膚科・内科を始めとしアレルギー・ペインクリニック・美容皮膚科まで幅広く疾患を診る。自費診療ではシミ・ほくろ・いぼ・ニキビあと・赤ら顔等に対し各種レーザーを組み合わせたカスタマイズ美肌治療にも力を入れています。また自宅でできるケア、予防法やドクターズコスメの提案も行なう。

2012年 北里大学 卒業
東京医科歯科大学 勤務
慈恵医科大学 勤務
都内総合病院 勤務
都内クリニック 皮膚科・一般内科・アレルギー科・ペインクリニック科・美容皮膚科 勤務
2022年7月 錦糸町皮膚科内科クリニック 開院

執筆:

まいまい看護師

都内美容皮膚科、保険診療皮膚科その他形成外科などが併設しているクリニックで働く正看護師。自身がニキビで悩み、SNSや雑誌などで知った情報を試すも良くならなかった経験からお肌の状態が自信をなくしたり、QOLを下げる原因にならないよう美容看護師になる。

また誤った情報で悲しい思いをする方を減らすため根拠に基づいた美容法をSNSで紹介している。クリニックでは前職、現職でも指導者・プリセプターを担当。施術だけでなくカウンセリングも行っている経験から現実的に実践できるような手軽な美容から幅広く発信。

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