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ヒアルロン酸とは
ヒアルロン酸の注入といえば頬のこけてしまったところを膨らましたり、ほうれい線を埋めたり、鼻や唇、涙袋の造形を整える施術といったイメージをされる方が多いのではないでしょうか?
そのような形を作るヒアルロン酸ではなく、自分のお肌にもともと存在するコラーゲンやエラスチンといった弾力を司る組織を増やして自然にハリや弾力を出し、引き締めやリフティング効果を発揮し、保水力も上げるといった、肌を育てるヒアルロン酸製剤の「ジャルプロ」について今回は解説していきます!
ヒアルロン酸にはどんな種類があるの?
形を整えるヒアルロン酸
最初にお話ししたほうれい線やマリオネットラインを埋めたり、唇・涙袋・頬のこけている所を膨らますようなヒアルロン酸を架橋ヒアルロン酸といいます。架橋ヒアルロン酸とはヒアルロン酸の分子同士をくっつけて、分解されるのを遅らせるよう調整されたものをいいます。
ヒアルロン酸は体内で分解、吸収される成分ですが、造形を整える目的であれば可能な限り長持ちして欲しいですよね。そのような時に使用されるのが架橋ヒアルロン酸製剤で、有名な製品名を挙げるとジュビダームビスタ(R)ボリフトXC、ボリューマXC、ボルベラXCなどがあります。架橋の多さによりヒアルロン酸製剤の硬さが変わるため、注入箇所、目的にあった製剤を医師が選択し提案していきます。
肌を育てるヒアルロン酸
肌本来が持つ機能を引き出しコラーゲンやエラスチンの生成を促す、肌を育てるヒアルロン酸をECM製剤といい非架橋ヒアルロン酸が配合されています。ECM製剤についてはジャルプロの特徴という項目で説明していきますね。
非架橋ヒアルロン酸はヒアルロン酸同士がくっついていないためお肌の中で吸収されやすいといった特徴があります。そのため非架橋ヒアルロン酸で造形を整えることはできません。非架橋ヒアルロン酸の役割としては、弾力やハリ感を司る線維芽細胞を活性化させること、ヒアルロン酸を加水分解するヒアルロニダーゼという酵素の働きを阻害する作用、製剤の足場としての機能があります。
このように架橋ヒアルロン酸と非架橋ヒアルロン酸はそもそも用途が異なるといった点がヒアルロン酸製剤という大きな括りのなかでの違いになります。
その他の相違点を挙げると、架橋ヒアルロン酸は注入後多少の腫れや内出血などの副作用は出現しますが直後から効果を感じることができますが、非架橋ヒアルロン酸は即効性は感じづらいです。
また、架橋ヒアルロン酸を使用し造形を整えるだけだと、治療を繰り返すごとにだんだんと不自然な仕上がりになってしまいます。これはヒアルロン酸の過剰注入症候群(faicial overfilled syndrome)という名前がつけられており、コブダイの様なおでこ、シマリスのような頬、魔女のような顎、アヒルのような唇と表現されることもあります。
良い治療ではあるのですが架橋ヒアルロン酸による施術は「足し算による若返り治療」のため、ハイフやRFなど機器によるタイトニングや脂肪溶解など「引き算による若返り治療」も併用しバランスを見てやっていく必要があります。
そのため、ジャルプロなど非架橋ヒアルロン酸による注入治療はヒアルロン酸の過剰注入症候群に陥らないため、より自然な仕上がりを求めたい方にはぴったりな施術となっています。
ジャルプロの特徴
ジャルプロにはアミノ酸と非架橋ヒアルロン酸が配合されており、ジャルプロのなかでも3つのシリーズがあります。それぞれ非架橋ヒアルロン酸の分子量が異なっており、分子量が低いほど、吸収されるまでの時間が短く、逆に高いほど吸収されるまでの時間が長くなっています。
ジャルプロ CLASSIC
施術箇所:目周り、額、首
主成分:アミノ酸4種類(グリシン、プロリン、リジン、ロイシン)、非架橋ヒアルロン酸(低分子:200kDa、10mg/ml)
真皮層の細胞外マトリックス(ECM)をリモデリングする製剤です。
目の下のくま、目尻のしわ、ニキビ跡、色素沈着、細じわに対して効果的です。日本ではまだあまりメジャーに行われていませんが、海外では外科手術後の傷口を癒着させ綺麗に治す目的で使用されることもあります。
最初は10日に1回を4回、その後2〜4カ月毎にメンテナンスとして行うことが推奨されています。
クラシックは他の製剤に比べて比較的皮膚の薄いところに注入するため、痛みを感じる方が多い印象で麻酔が必要になるかと思います。
ボツリヌストキシンとの併用
ジャルプロクラシックではボツリヌストキシン、いわゆるボトックスと併用するジャルトキシンという治療もあります。ボツリヌストキシンと混ぜることでさらなる毛穴の縮小、ニキビ防止、小じわの改善、肌の引き締め効果が期待されます。ボツリヌストキシンは短い期間で注入を繰り返すと耐性がついてしまうため、単剤で注入を行うときと同様に3カ月程施術間隔を空ける必要があります。
ジャルプロ HMW
施術箇所:中顔面、下顔面、首、唇、口周り、手の甲
主成分:アミノ酸4種類(グリシン、プロリン、リジン、ロイシン)、非架橋ヒアルロン酸(高分子:1400〜1600kDa、20mg/ml)
こちらもクラシックと同様に真皮層の細胞外マトリックスをリモデリングする製剤です。肌の保水性を高め、ハリや弾力感のアップ、小じわの改善効果が期待されます。
最初は3〜4週間に1回を3〜4回、その後4〜6カ月毎にメンテナンスとして行うことが推奨されています。
ジャルプロ SUPER HYDRO
施術箇所:皮下組織
主成分:アミノ酸7種類(グリシン、プロリン、リジン、ロイシン、アラニン、バリン、アルギニン)、非架橋ヒアルロン酸(低分子:200kDa+高分子:2000kDaのブレンド、80mg/2.5ml)、ペプチド3種類(アセチルデカペプチド3、オリゴペプチド24→細胞の活性化、グロースファクター、アセチルテトラペプチド5→保水、糖化防止)
皮下組織の浅層のリガメントを再生する製剤で、リフティング効果やタイトニング効果が期待されます。
1カ月に1回を2〜3回、その後3〜6カ月毎にメンテナンスとして行うことが推奨されています。
スーパーハイドロは痛みを感じる方が比較的少ない印象です。首に使用する場合は、真皮層に近いためか痛みがあり麻酔が必要になるかと思います。
老化と真皮細胞外マトリックス(ECM)、皮下組織のリガメントのお話
ジャルプロシリーズのそれぞれの特徴を説明しましたが、そもそも老化でどのようにお肌が変化するのでしょうか? リモデリングとは再構築という言葉に言い換えることができます。どうして再構築が必要なのか老化の仕組みを知って頂くとご納得頂けるかと思います。
老化
老化には生理的老化と光老化の2つがあります。生理的老化とは年齢を重ねると生じる生物的な老化、光老化とは紫外線により生じる老化のことです。
紫外線対策をどれだけ行なってきたかにより光老化が占める比率は減っていくので、年齢相応に見える方、実際よりも若く/老けて見える方と差がでてきます。
光老化による真皮層の変化
紫外線にはUVA、UVB、UVCの3つの波長があり、お肌に影響を及ぼすのはUVAとUVBになります。皮膚は外側から表皮層→真皮層→皮下組織に大きく分類されます。
UVBは表皮層に吸収される波長で、チミンダイマーという直接的にDNAを傷つける物質を形成します。UVBは光老化も引き起こしますが、主にシミを作るような特性となっています。UVAは血清中の増殖、遊走因子が失活することで線維芽細胞の活動領域が縮小します。そのためUVAはコラーゲンマトリックス形成を著しく抑制するため、しわやたるみを引き起こします。
つまり老化が進んでいないお肌はコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の代謝がスムーズに進むよう線維芽細胞が活発に働いている一方、老化しているお肌は線維芽細胞が減少してしまっているため、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸も比例して減少するためしわやたるみが生じている状態になります。
アミノ酸を補充してあげることで線維芽細胞を活性化できるため、真皮層の細胞外マトリックス(ECM)を再構築できるため肌を育てる治療と呼ばれています。
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老化の8割は紫外線!? 光老化の予防策と美容皮膚科的ケア
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この記事は、
エルムクリニック 麻布院の
横山歩依里医師が監修しています。
加齢による皮下組織の変化
皮下組織は腱細胞や脂肪が存在する皮下組織浅層→SMAS(筋膜上層)→リガメント(靭帯)→骨膜という構造になっています。皮膚が重力で引っ張られることにより、線維組織も伸びてたるみが生じたり、靭帯が弱り、脂肪を支えきれなくなり脂肪そのものがたるみの原因となったりします。
靭帯はコラーゲンやエラスチンで構成されているため、コラーゲンの生成を促すアミノ酸を補充することで靭帯の強化、再生を図ることができ、引き締めやリフトアップを行うことができます。
ジャルプロに似ている施術、組み合わせたい施術
ジャルプロに似ている施術
スネコスという製剤もジャルプロと同じ非架橋ヒアルロン酸とアミノ酸が主成分になっています。ジャルプロクラシック、HMWはアミノ酸が4種類配合なのに対し、スネコスは6種類配合されているという点が違いです。
日本ではスネコスの方が名前をよく耳にするかもしれませんが、実は先に販売されているのはジャルプロで、スネコスはジャルプロの開発者が独立して開発したものになっています。大きな効果の差はないと言われているため、製剤の取り扱いでクリニックを選ぶというよりは手技や説明、接遇、料金など総合的に信頼できるクリニックを選び施術を受けると良いかと思います。
▼原医師によるスネコスの詳細インタビューはこちら
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原かや医師(八重洲形成外科・美容皮膚科)が語る“第3”のヒアルロン酸治療とコロナ禍での美容医療、SNS論など
新連載企画『美容医療よもやま話』は、開業されている医師を中心に、最新の美容医療事情はもちろんのこと、経営論、医師論、SNS論、美容論など、メディアなどでもあまり話す機会のない視点のインタビューにしています。激変する美容医療業界で、普段どんなことを考えて診療しているのか、患者側からの視点ではなかなか見えないこと、美容業界裏話!まで、さまざまな角度からの質問で、医師の人柄、美容医療に対する姿勢がよくわかる! 第一回は、「美人女医インタビュー」にも出ていただいた東京駅チカの八重洲形成外科・美容皮膚科の原かや院長です。 目次 ・最近の美容医療の流れ ・開院してからの患者様に対する気持ちの変化、クリニックの運営方針の変化 ・男性の美容医療に対する意識の変化やどんなご要望が多いか ・美容女医としてのあり方、若手美容医師に対するアドバイス ・美容クリニック新規開院が多いことについ
この記事は、
八重洲形成外科・美容皮膚科の
原かや医師が監修しています。
ジャルプロと組み合わせたい施術
浅い層へアプローチする治療
ノンアブレーションフラクショナルやレーザーシャワーは熱作用によりコラーゲン生成を促しハリ感のあるお肌に導きます。エレクトロポレーションを用いた導入ではイオン導入では難しかった分子の大きなヒアルロン酸や成長因子といった成分を真皮層にまで届け、乾燥による小じわを改善したり、選択する薬剤により効果は異なりますがペップビュー(美容液)では塗るボトックスと呼ばれている、穏やかなしわ改善効果のあるアルジルリンをダウンタイムなく導入したりすることができます。
くすみや薄いシミが気になる方はトーニングを行うことで、色調改善と弾力アップをはかることができます。
どれも真皮層に働きかける施術になりますが、ジャルプロやスネコスとは違ったアプローチのため、その他のお悩み改善も考慮し選択すると、より高い効果実感を得られるかと思います。
深い層へアプローチする治療
ジャルプロやスネコスはナチュラルなハリや弾力、しわの改善を行う施術です。自然な若返りを求める方はハイフでSMASに熱を加えることで引き締め+熱によるコラーゲンを生成し、リニアハイフで脂肪を溶かしてあげると良いかと思います。
適量であれば架橋ヒアルロン酸による充填治療も即効性があり、高い満足感を得られるかと思います。また、表情筋の動きでできるしわはボトックス注射を打つことで改善、予防ができます。しわができてしまっている原因により適応となる施術が異なるため、カウンセリングで医師に相談してみるのがよいでしょう。
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ヒアルロン酸製剤の種類と新しいヒアルロン酸製剤の解説、最近の施術傾向とは
Contents ヒアルロン酸とは ヒアルロン酸を入れる場所 ヒアルロン酸の種類 最近のヒアルロン酸注入の傾向 まとめ ボトックスやヒアルロン酸製剤を用いた治療は美容皮膚科でも美容外科でも毎日たくさんの方が受けられている施術です。数年前まではボトックスやヒアルロン酸といってもまだまだ敷居が高かったり、存在すら知らない方がほとんどでした。 しかし、レーザー治療などで美容医療が広く一般的になってきたことによりボトックスやヒアルロン酸などの注入治療も身近な存在と感じるようになった患者さんが増えています。美容クリニックで勤務する看護師として肌の施術をしながらお話していると、「気になっているけれど私に合っているのかしら?」というお声をよくいただきます。また、ボトックスは定期的に受けているものの、ヒアルロン酸は価格がやや高いため悩んでいるという方も多くいらっし
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Bellefeel Clinic新宿の
中務秀一医師が監修しています。 -
顔のボリュームアップだけじゃない! 肌を育てるプロファイロとは
肌に注入する薬剤も成長因子からスネコス、ボトックスやヒアルロン酸など多くの種類があります。ここ2〜3年みても、どんどん新しいものが出ており、プルプル注射などユニークなネーミングのものもあります。 エクソソームも最近人気が出ている薬剤のひとつです。そんな薬剤もひとつひとつ特徴がありお悩みに合わせて注入していくのですが、よく注入治療をしたいけれど何を注入して良いのかわからないと相談を受けます。 特に、筆者が相談されるのは目元や首の小ジワや加齢によるボリュームの減少を気にされる方が多いです。目元や首に向いている製剤は少なく、さらに同時にボリュームを出すだけでなく肌を再構築して修復(肌を育てる)ものとなるとおすすめはプロファイロです。 このプロファイロについて今回は詳しく解説していきます。 【監修医師からのワンポイント】プロファイロは自然な若返り治療を希望される
この記事は、
自由が丘ウェルエイジングビューティークリニックの
福田知佐子医師が監修しています。
【記事の執筆・レビューに使用した参考文献等】
記事の正確性等の確保方法及び参考文献の取り扱いについては、Call to Beautyの編集プロセスをご覧ください。
・『新しい美容皮膚科学』(2022南山堂)
日本美容皮膚科学会 監修
クイーンズスクエアメディカルセンター皮膚科 部長 尾見徳弥 編
みやた形成外科・皮ふクリニック 院長 宮田成章 編
静岡社会健康医学大学院大学 学長・理事長 宮地良樹 編
大阪医科薬科大学 教授 森脇真一 編
・『ヒト皮膚線維芽細胞に対する長期UVA照射の作用-増殖および細胞外マトリックス形成に及ぼす影響』(1999)
日本化粧品技術者会誌
池谷 宗大、松永 由紀子、西山 敏夫、福田 實、高松 翼
*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。
まいまい
都内の美容皮膚科メインで働く正看護師。新人の教育担当も経験。現在は保険診療も併設されているクリニックで勤務中。美容と保険をうまく組み合わせ患者様のお悩みを解決したいと考えている。美容について勉強したことを発信しており、Twitterでは1,000人以上のフォロワーも。医療従事者としてエビデンス(根拠)に基づいた内容を伝えることを心掛けている。
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執筆:
まいまい看護師
都内美容皮膚科、保険診療皮膚科その他形成外科などが併設しているクリニックで働く正看護師。自身がニキビで悩み、SNSや雑誌などで知った情報を試すも良くならなかった経験からお肌の状態が自信をなくしたり、QOLを下げる原因にならないよう美容看護師になる。
また誤った情報で悲しい思いをする方を減らすため根拠に基づいた美容法をSNSで紹介している。クリニックでは前職、現職でも指導者・プリセプターを担当。施術だけでなくカウンセリングも行っている経験から現実的に実践できるような手軽な美容から幅広く発信。
愛知県の大学病院(救急病棟)
都内美容皮膚科クリニック
都内美容皮膚科、保険診療皮膚科その他形成外科などが併設しているクリニック
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