出典 https://www.shutterstock.com/

目元に次いで整形願望が多いパーツである鼻。顔の中心にある鼻の形が整うと、一気に美人顔に見せることができます。でも、実際には「上向きの鼻が気になる」「正面から見たとき鼻の穴が見えるのがイヤ」という人が多いのではないでしょうか。すっきりと美しい鼻に整えるためには鼻中隔延長という手術が有効とされてきましたが、最近では「切らない鼻中隔延長」の施術を行うクリニックも増えてきています。ここでは従来の鼻中隔延長と切らない方法との違いを詳しく説明していきます。

目次

1.切らずに鼻を美しく整える鼻中隔延長手術

鼻の手術は切らないとできないと思っていた人は多いと思いますが、そもそも「鼻中隔延長と隆鼻術って何が違うの?」「鼻中隔ってなに?」という疑問を持った方もいるかもしれません。まずは、鼻中隔延長とはどんな手術なのか、どんなメリットがあるのか理解しておきましょう。

1-1.切開する鼻中隔延長手術の効果

切らない鼻中隔延長について説明する前に、従来の切開する鼻中隔延長手術がどのように行われているかを理解しておきましょう。

■鼻中隔(びちゅうかく)とは

左右の鼻の穴の間にある壁を鼻中隔といいます。鼻中隔は軟骨でできていますが、この軟骨が小さいと鼻先が上を向いた形になってしまいます。いわゆるブタ鼻の原因にもなるということですね。

■軟骨を移植する鼻中隔延長手術

鼻中隔延長手術で耳の耳介軟骨(じかいなんこつ)または、肋軟骨(ろくなんこつ)という肋骨と胸骨を結ぶ軟骨を移植し鼻先を下に伸ばすことで、鼻を下向きにし、シャープな印象を与えるすっきりと美しい鼻に仕上げていきます。延長可能な範囲は、鼻の皮膚と粘膜が伸びる範囲。鼻先の向きや高さを大きく変えることも可能です。

移植してくる軟骨は耳の後ろか、胸の下あたりを小さく切開して採取するので傷跡はほとんど分からなくなります。

切開する方法は2種類あり、鼻の中だけを切開する「クローズ法」と鼻中隔の皮膚(鼻の穴の間の皮膚)を切開する「オープン法」の2種類があります。オープン法の方が正確な手術がしやすいものの、傷が残ってしまうというデメリットがあります。

1-2.切開する鼻中隔延長手術のダウンタイム

■「長いダウンタイム中に不安になる」という声も

手術後は1週間ギプスを装着します。腫れのピークは2~3日。一週間から10日で徐々に腫れが引いていくと言われていますが、実際には3週間マスクを外せなかったという方も。また、術後しばらくは鼻呼吸ができず、瞼から目の下、唇の裏まで広範囲にわたって腫れたという人もいます。

ギプスを取ったあとはむくみが生じるので、想像していた形の鼻にならなかったと思い込んで後悔する人も。自然な状態に落ち着くまでは4~6カ月かかると言われているため、そこに至るまでの時間が長すぎて落ち込んだり、ショックを受けたりする人も少なくありません。確かに、安定するまでにこれだけ時間がかかると「この手術は失敗なのではないか」と不安になってしまってもしかたないですよね。

必要以上に不安になるのを防ぐためにも、施術を受ける前に医師にダウンタイムがどのくらいかかるか、どんな状態になるかしっかりと説明してもらうようにしましょう。

1-3.切る鼻中隔延長手術のリスク

鼻先をすっきりさせて、シャープな印象に変えることができる鼻中隔延長手術ですが、ダウンタイムが長い以外にも、いくつかリスクもあります。

■傷が残ってしまったという声

■手術後、鼻が曲がってくるという声

鼻中隔延長手術の後、数年で鼻先が曲がってくるケースがあります。ここでの数値は鼻の美容整形に関する著書があり、症例数も多いヴェリテクリニックの福田慶三先生が行った鼻の傾きと手術に使用する軟骨との関連性を調べた統計調査の結果を参考にさせていただきました。

2008年4月から2010年3月までの2年間に行われた鼻中隔軟骨手術において、使用した軟骨

●76% 鼻中隔軟骨
・約半数には保存軟骨を併用
●16% 肋軟骨
●8% 耳介軟骨(10人)
・5% 採取した鼻中隔軟骨が小さすぎた
・3% 鼻中隔軟骨がすでに切除されていた

出典 https://www.veriteclinic.or.jp/

オープン法で、鼻先や鼻柱の傾き、鼻孔の左右差が起こりやすいこと、耳の軟骨を使用するケースで傾き、左右差が起こりやすいことが分かりました。反面、鼻中隔軟骨と肋軟骨を使用したケースにおいて、鼻が曲がってくる確率は比較的少なかったとのこと。

■鼻呼吸がしづらい、鼻詰まりが起こるようになるケース

切開する鼻中隔延長手術は、術後、1~2週間は鼻の粘膜が腫れているため、鼻呼吸がしづらくなるケースがあります。これはダウンタイムのひとつの症状なので、心配ありませんが、まれに鼻づまりのような症状が数カ月たってもおさまらないことがあります。これは手術によって鼻の気道を塞いでしまったことが考えられます。この場合、移植した軟骨を削るなどして、位置や厚みを調整する修正手術をする必要があります。

1-4.切開する鼻中隔延長手術の失敗例

顔の印象を大きく左右する鼻の手術。鼻中隔延長だけに限りませんが、患者さんの顔のバランスを考えて最適な方法を勧めてくれるクリニックを選ばなければなりません。患者さんの要望を100%聞くこと=成功とは限らないからです。手術に必要な高い技術はもちろん、美的センスを持ち合わせた医師に執刀してもらうことがなにより大切。こうした意味からも、言葉が確実に伝わりにくい海外での手術はおすすめできません。

■鼻先を伸ばすことによって鼻の穴の中が見えやすくなるケース

鼻先を伸ばしすぎることによって、鼻の穴の形が変わり中が見えやすくなることがあります。顔の印象がきつく見えたり、鼻毛が覗いてしまうこともあるので延長のしすぎには注意が必要です。

2.切らない鼻中隔延長術とは

切らない鼻中隔延長術とは

出典 http://gahag.net/

シャープで美しい印象の鼻にすることで、一気に美人顔が目指せる鼻中隔延長手術。「やってみたいけど、切るのは怖い」という方に人気が高いのが、切らない鼻中隔延長手術です。ここからは切らない鼻中隔延長手術について詳しく説明していきます。

2-1.切らない鼻中隔延長術の方法

切らない鼻中隔延長とはコグと呼ばれるトゲがついた手術用の糸を使って、鼻先を伸ばした状態で固定する方法です。クリニックによって「MISKO(ミスコ)」、「Y-KO(ワイコ)」など糸の名称で呼んでいるところもあれば、品川美容外科のフレックスノーズのようにオリジナルの術名がついているところもありますが、10~16本の糸で鼻先の角度を変え、引き伸ばして固定するというメカニズムは共通です。

■糸が溶けたあとも、効果が残る?

日本人の平坦な鼻は鼻中隔の強度が弱いことも原因しています。切らない鼻中隔延長の特殊な糸を入れることで周辺の組織のコラーゲン組織が増加するため、鼻中隔の強度が補強されます。糸が溶けたあともコラーゲンで線維化された組織は残り、鼻中隔を支える効果がある程度、維持されると考えられています。

2-2.切らない鼻中隔延長術のメリット

切らない鼻中隔延長術のメリット

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■跡がほとんど残らない

鼻に針穴が開くだけなので、術後はニキビ跡のように赤くなるだけで後はほとんど残りません。メイクで十分に隠せる程度なので、仕事を休む必要もなく、術後の予定も立てやすい方法です。

■ダウンタイムが短い

針を使って糸を通すだけなので、数日間痛みや内出血が続くものの、赤みは1週間程度で引いていきます。ダウンタイムはほとんどないと言っていいでしょう。

■施術時間が短く、費用が安い

どのくらい角度を変えるかによって挿入する糸の本数が異なり、料金も糸が増えると高くなります。ただし、切開する鼻中隔延長手術と比べると費用は半分程度と安め。糸の本数にもよりますが、一般的に12~16万円程度で施術を受けることができます。

施術時間は挿入する糸の本数によりますが、10~20分程度と短時間で済みます。麻酔は注射による局所麻酔のみで、切開する方法のように全身麻酔をする必要がなく、麻酔によるリスクも最小限で済みます。術後、通院する必要もありません。

■万が一、気に入らなくても元に戻る

切開する鼻中隔延長手術は効果が半永久的に持続するため、万が一気に入らなかった場合、修正手術を受けなければなりません。それに対して、切らない鼻中隔延長は溶ける糸を使用しているため、効果の持続は半年から1年程度。プチ整形の部類なので、安心して施術を受けることができます。

2-3.切らない鼻中隔延長術のデメリット

切らない鼻中隔延長術のデメリット

出典 http://www.photo-ac.com/

手軽に行える切らない鼻中隔延長ですが、デメリットもあります。施術を受けるまえに必ずデメリットを理解しておきましょう。

■効果の持続期間が短い

挿入した糸が溶けると鼻はほぼ元の状態に戻ります。持続期間は長くて1年程度。鼻のヒアルロン酸注射のような感覚と考えると分かりやすいかもしれません。ただし、これはメリットと考えることもできます。

■注射が痛い

切開する鼻中隔延長は全身麻酔で行うことが多いのですが、切らない鼻中隔延長は局所麻酔を使用します。ただし、この注射が痛いという声もあります。

■術後、1週間から10日は痛みが残る

クリニックのサイトを見ていると、切らない鼻中隔延長はダウンタイムがほとんどないと書かれているものもあります。ただし、これはあくまで「切開する鼻中隔延長手術と比較して」という意味。確かに、内出血や傷跡はほとんど分からないようですが、痛みは1週間から10日程度残るのが普通のようです。

「ダウンタイムがないと言っていたのに、痛いってことは失敗?」と不安になってしまう方がいるようですが、術後しばらく痛みが残るのは自然なことなので、安心してください。10日以上痛みが続く場合、施術を受けたクリニックに連絡しましょう。

2-4.切らない鼻中隔延長手術の口コミ

切開する必要がない切らない鼻中隔延長。切る手術やプロテーゼ挿入よりもはるかに短いダウンタイムで恐怖感も少なくて済むため、施術を受けることを検討している方は多いようです。ここでは、実際に施術を受けた方の声を紹介していきます。

■ポジティブな口コミ

術後、10日くらいで痛みがなくなり、満足のいく結果になったという方の声。「DT(ダウンタイム)なし」と書かれていますが、1週間程度は鼻の穴が痛くて不安になったということですから、やはりまったく痛みが残らないというわけではないようです。その後、痛みも違和感もなくなったとのこと。

■鼻から糸が飛び出すというケース

少数の意見ではありますが、切らない鼻中隔延長の施術を受けたあと、糸が鼻から飛び出してきたという口コミがいくつかあります。これは施術の是非を問う事象ではなく、医師の技術レベルに問題があると言えます。当然ですが、このような口コミのあるクリニックで施術を受けるのは避けてください。

3.まとめ

切らない鼻中隔延長は切開する方法と異なり、効果の持続は1年程度。美容整形手術のなかでも鼻の手術は比較的難しく、その点を考えると「1年で効果がほぼなくなる」、「個人差はあるものの線維化した組織が残ってある程度、高さが維持できるケースもある」というメリットは、一考してみるは価値はありそうです。
ただし、糸を入れるだけといっても、糸を何本どの位置に入れるかは高い技術と医師のセンスが求められることは言うまでもありません。価格の安さだけではないクリニックの吟味が必要になる場合があります。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込です。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

Emiri

Emiri

美容系全般得意なライター。自身でも美容医療を実践。

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