ポツンとできた白ニキビは、ニキビの初期段階の状態です。そして、この状態のまま自然に治ってしまうこともありますが、そのときの体調や外部からの刺激などにより、黒ニキビから赤味を帯びた赤ニキビへと変化し、さらにその状態を放置していると化膿した黄ニキビへと変化します。
そして、状態が黄ニキビまで進行してしまうと皮膚を突き破って膿が出てくるようになり、最悪の場合には跡が残ってしまうことがあります。

それでは、ニキビ跡を治す方法やニキビ跡はどこまで消すことができるのかということについて、考えていくことにしましょう。

【監修医師からのワンポイント】

軽度のニキビ跡であれば食生活やスキンケア・生活習慣を見直すことで改善することがありますがなかなか治らないニキビ跡には専門機関での治療がおすすめです。ご心配な方は早めに医療機関を受診しましょう。

もくじ

1.ニキビ跡とは?
2.ニキビを悪化させると?
3.簡単、自分でできるケア方法
4. 市販薬による治療法のメリット・デメリット
5. 美容皮膚科的治療法のメリット・デメリット
6. ニキビを再発させないために
7.まとめ

1.ニキビ跡とは?

ニキビ跡とは、ニキビによって皮膚に起こった炎症が原因となって残る傷跡を指し、その程度によってセルフケアで治すことができるレベルのものと、皮膚科、美容皮膚科、美容外科などの医療機関での治療を必要とするレベルのものがあります。

ニキビ跡とは

1-1ニキビ跡はなぜできる? ニキビ跡の原因

白ニキビの段階で処置をすれば、たいていのニキビは短期間で治ることが多いものです。ところが、白ニキビの状態でなにもせずに放置しておいたために、黄ニキビにまで症状が進行すると、ニキビができた周囲の皮膚が傷ついてニキビ跡として残りやすくなります。また、にきびを無理に潰したり、引っ掻いたりすることで、炎症が周囲に広がった結果ニキビ跡ができやすくなることもあります。

1-2ニキビ跡の症状

ニキビ跡は4種類に大別することができます。

赤味が残る

ニキビができると炎症によって損傷した組織を治すために、毛細血管が患部に集中し、血液の赤い色素が濃く見えてしまいます。ニキビが治った後も皮膚の表面にいつまでも赤味が残っている状態がニキビ跡の赤みであり炎症後紅斑ともいいます。このタイプのニキビ跡ができてしまった場合には、皮下の毛細血管の修復を試みる治療が必要となります。

色素沈着が残る

ニキビが化膿すると皮膚を突き破って膿が出てきますが、このときの皮膚の状態は怪我をしているときと同様で、その周囲の細胞組織が破壊されています。このダメージによってメラノサイトが活性化し大量のメラニンが生成された結果、ニキビの炎症が治まったあとに茶色っぽいシミのような色素沈着が残ることがあります。これを炎症後色素沈着と呼びますが、この状態を放置しておいても自然治癒を望むことはできませんので、ビタミンC誘導体など美白効果のある医薬品などで治療することが必要です。

クレーター状の跡が残る

凸凹とした月面のクレーターのような跡が残った状態を指します。この状態はニキビのダメージが真皮にまで及び、真皮の組織が破壊されてしまっている状態で、ニキビ跡周辺のコラーゲンの異常生成により起こります。これは皮膚の再生機能が働くことによって起こるものですが、この状態を放置しておいても自然治癒することはありませんので、専門医による治療が必要となります。また、クレーター状のニキビ跡は数種類に分類されています。
外からは小さい点の集まりのように見え、真皮層の奥まで窪んでいる「アイスピック型」、深く真皮層まで達していて、断面からはU字形で平らな箇所が少なくひきつれたようにも見える「ローリング型」、底が平らで表面が円形な「ボックス型」に分類されます。
クレーター状とはいってもそれぞれに状態が異なりますので、やはり素人による治療は難しいということがわかります。

しこりになって残る

クレーター状の跡が残るのと同様、皮膚の再生機能が働くことによって皮膚表面に盛り上がったしこりが残る状態です。これはニキビによってダメージを受けたその周囲の細胞が再生されることによって起こりますが、細胞が過剰に再生されてしまうとその部分がポッコリと盛り上がってしまい、赤味を伴うことが多く目立ちます。

2.ニキビを悪化させると?

ニキビを悪化させると、上記でご説明したようにニキビ跡として傷跡が残ってしまうことがあります。ニキビ跡を防ぐためには普段からニキビ予防のケアを行っておく必要があります。間違ったケアを行ってしまうとますます悪化させてしまうことになりますので十分な注意が必要です。以下ではニキビを悪化させる事柄をまとめてありますので、ニキビケアの際の参考にしてみて下さいね。

2-1過剰なケア

ニキビができると、それが皮脂の過剰分泌によるものだと思い込み、ひたすら洗顔に走る方がいますが、それは間違いです。過剰なまでの洗顔を繰り返し行っていると、皮膚が必要としている皮脂が皮膚表面に残っていない状態となるため、皮膚が持つ防衛機能が働いてさらなる皮脂の過剰分泌がおこります。
こうなってしまうと過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まりやすくなり、ニキビを悪化させてしまうことがありますので、1日2回以上の洗顔は避け、皮膚に適度な皮脂を残しておくことを心がけましょう。

ニキビ肌に毛穴を塞いでしまうようなカバー力の高いメイクはあまりおススメできませんが、メイクをした日には、特に適切な洗顔をする必要があるということがわかりますね。

ニキビ跡がない女性

2-2頻繁にピーリングを行う

ニキビ予防にはピーリングがよいとされており、こまめに行っている方は多いのではないでしょうか? ピーリングとは、フルーツ酸などの成分により、表皮の角質層を軟らかくして剥がれやすくするために行うケア方法です。
しかし、ニキビやニキビ跡に有効とされるピーリングであっても、余りにも頻繁に行ってしまうと皮膚への負担が大きくなり、ニキビを刺激して悪化させる原因となります。また、ピーリングは角質層を取り除く働きがあり、角質層が完全に取り除かれた皮膚は、皮脂分泌を増やしてバリア機能を保とうと頑張りはじめます。
つまり、過剰な洗顔と同様に皮脂分泌を多くしてニキビを悪化させる可能性が大きくなるということです。

2-3ニキビを触り続ける

できてしまったニキビはどうしても気になりますので、触りたくなる気持ちはよくわかります。ですが、ニキビに触れている指はいつでも清潔な状態だとは限らず、そこに雑菌が付着していると指先から細菌が入って炎症が悪化してしまう原因に。また指で触ることで肌への刺激となり炎症が悪化してしまうことも。できてしまったニキビには触らないこと。これが鉄則です。

3.簡単、自分でできるケア方法

それでは、できてしまったニキビ跡に対してはどのようなケアを行えばよいのでしょうか? ここでは、自分で消すことができる可能性が高い赤味が残るタイプのニキビ跡、そして、色素沈着が残るタイプのニキビ跡に対するセルフケア、そして、セルフケアでは完全に消すことが難しいと考えられているクレーター状の跡が残るニキビ跡のセルフケアをご紹介しておくことにします。
しこりができてしまった場合ではセルフケアではどうにもなりませんので、ここではケア方法をご紹介することができません。

3-1赤味や色素沈着が残ってしまったら

皮膚のターンオーバーの周期を正常化させるためビタミンC誘導体配合の化粧品でのケアが有効です。まず洗顔を行いますが、このときに手を清潔な状態に保つことが大切ですので、洗顔前には必ず手洗いを行っておきます。

また、洗顔後に水分を拭き取るタオルが清潔な状態でないと意味がありませんので、使用済みのタオルの使用は避け、清潔で乾燥した状態のタオルで水分を拭き取りましょう。そして、洗顔後すぐにビタミンC誘導体配合の化粧水を皮膚にしっかりとしみ込ませ、保湿クリームで化粧水の成分と水分を逃がさないようにフタをします。ピーリングは週2回までであればターンオーバーの正常化に役立ちますが、あまり頻繁に行い過ぎると前述のとおり逆効果となりますので十分に注意しましょう。

ニキビ治療の市販薬を併用する場合には、その種類によって化粧水の前に使用するものとあとに使用するものがありますので、説明書にきちんと目を通し、用法・容量を守って使用して下さい。

また、上記は体の外部からのケア方法ですが、ターンオーバーを正常化させるためには栄養バランスの整った食事の摂取、つまり体の内部からのケアも必要です。とりわけ代謝を促進させる働きを持つビタミン類とミネラル類の摂取は必要不可欠ですので、緑黄色野菜、グレープフルーツなどの果実、海藻類、大豆製品などを毎日のメニューの中に積極的に取り入れる工夫を行ってみましょう。

特にビタミンCは美白効果が高い成分として知られています。

フルーツでビタミンを摂る

3-2クレーター状の跡が残ってしまったら

この状態もまた、ターンオーバーの正常化がなによりも大切ですが、クレーター状となってしまった皮膚は真皮の組織が破壊されてしまっていますので、年単位の長期戦で改善に臨まなければなりません。

クレーター状となってしまったニキビ跡を治すには、体の内部からもケアを行って行く必要があり、それにはやはり普段の食事からビタミン類とミネラル類を摂取して行く必要があります。また、睡眠不足はターンオーバーの正常化の妨げとなりますので、少なくとも1日6時間以上の睡眠を心がけましょう。

さらに洗顔後には保湿効果の高い化粧水を浸み込ませ、クリームで保湿することをお忘れなく。ここまでがクレーター状のニキビ跡に対するセルフケアの方法ですが、ターンオーバーに数年かかってしまう真皮の組織が傷ついてしまっている状態ですので、基本的にはセルフケアだけではなく専門医による治療を受けることが適切な対処法であるといえるでしょう。

クレーター状のニキビ跡はセルフケアだけでは改善が望めない可能性が高いということになりますが、ニキビの再発予防という意味でも食事や睡眠など生活習慣を整えることは大切です。

4.市販薬による治療法のメリット・デメリット

ドラックストアなどで入手することのできる市販薬でのニキビ跡治療は、安価で行えるという点が大きなメリットであるといえるでしょう。ただし、ニキビ跡の状態によっては効果が現れない可能性があるというデメリットも持ち合わせています。クレーター状になってしまったニキビ跡を市販薬で治すのは難しく医療機関にかかる必要があるでしょう。

現在、ニキビ跡治療に特化した市販薬が何種類も販売されていますが、それぞれの特徴をきちんと理解した上で使用することがなによりも大切です。また、市販薬やコスメでニキビ跡がいつまでも改善されないのであれば、それは対処方法が間違っている可能性が高いです。自己判断に頼るよりも初期の段階から専門医の知識に基づいた治療を行うことがニキビ跡を消すことのできるいちばんの近道かもしれません。

5.美容皮膚科的治療法のメリット・デメリット

美容皮膚科的治療とは、もともと皮膚科で行っている皮膚疾患の治療だけに留まらず、皮膚加齢現象や角層バリア機能などを科学的に分析し、美容の観点からも根拠に基づいた治療を行う治療法を指します。そして、このような治療法を採用しているのが美容皮膚科です。ニキビを治すことができても、ニキビ跡を消すことができなければがっかりしてしまいます。

ただ単にニキビの治療を行うだけではなく、美容面を重視した観点からニキビのタイプや肌状態にあった治療を行い、ニキビ跡に対してもしっかりとしたアプローチを行うことができる、これが美容皮膚科的治療法のメリットと言えるでしょう。

では逆に、美容皮膚科的治療法にはどのようなデメリットがあるのでしょうか? その最も大きなデメリットは、皮膚科での保険診療と比べて高額な費用を必要とする自費診療がほとんどであるという点でしょう。そして、治療期間が長期化すればするだけ費用がかさみますので、美容皮膚科的治療法で治療を受けるからには、費用の負担が大きくなることを覚悟しなくてはなりません。

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6.ニキビを再発させないために

ご自身で行うことのできるスキンケアや食事の摂取、睡眠時間の確保などに注意を払うことももちろんニキビを再発させないための大切な心構えです。また根本的なニキビの再発防止については、その原因である皮脂腺を美容皮膚科でレーザー、ラジオ波等で破壊することにより期待できます。

まどろむ女性

7.まとめ

重度のニキビは跡になりやすく、ひとたびできてしまうと簡単に消すことが難しくなります。ですが、できてしまったニキビ跡は放置していて自然治癒することが少ないため、セルフケアはもちろんのこと医療機関で治療を行うことが必要です。
また、ただ単にニキビを治すだけなのであれば皮膚科でも対応できますが、ニキビ跡をきれいに消すという美容的観点を重要視するのであれば、美容皮膚科や美容外科での治療が望ましいといえるでしょう。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

yamada

山田美羽

美容系ライター。エステから美容医療まで歴20年。

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監修:

近藤千種 医師

ちぐさ内科クリニック覚王山

日本内科学会認定内科医。日本抗加齢医学会認定専門医。帝京大学医学部卒業。総合内科等で研鑽を重ね、2023年10月名古屋市千種区にちぐさ内科クリニック覚王山を開院。
「この先生にずっと診てもらいたい」と言っていただける覚王山のかかりつけ医を目指す。内科全般をはじめとする幅広い診療を提供し、特に生活習慣病に関しては丁寧な治療と指導に注力している。美容内科、美容皮膚科では美容点滴やHIFU、IPL光治療、水光注射など多彩なメニューを用意し、患者様の肌悩みに合わせた治療を行う。
プライベートでは、2022ミセス・グローバル・アース準グランプリ、Mrs. Universal 2020年・2021年日本代表、Mrs ECO International 2019 日本代表など数々のタイトルを獲得している。

2013年 帝京大学医学部 卒業
2013年 総合犬山中央病院 総合内科
2016年 北林病院 精神科
2016年 ながお在宅クリニック 多治見分院長
2018年 ちくさ病院 副院長
2023年 ちぐさ内科クリニック覚王山 開業

この記事の監修ドクターが所属するクリニック

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