ハイフは顔のたるみ治療のイメージが強いと思いますが、実は身体についた脂肪を破壊しボリュームを減少させることもできてしまうんです!
夏など暑く露出が増える季節に、体型が気になる方や年々代謝が落ちてしまい同じ食事や活動量でも太ってしまいお悩みの方はぜひこの記事をご覧下さい。
ボディハイフ(Body Hifu)はノンサージカル治療(外科手術ではない治療)で負担が少ないため試しやすい施術になります。

【監修医師からのワンポイント】

HIFUは、脂肪層の厚さによって照射の深さを変えて施術できます。そのため、あらゆる身体の気になる部分に施術することが可能です。HIFUは、熱によって脂肪細胞を破壊します。外科的な治療と比べて皮膚表面に傷ができず、ダウンタイムも少ないのが人気です。施術後比較的すぐにひきしまり感が出始めるのも良い点です。部分痩せ、ボディーメイクに活用しやすい施術です。

ボディハイフの症例写真と施術風景

ハイフの施術ができるパーツは腹部、二の腕、膝上、ヒップ、ブラファット(ブラジャーに乗っかる脇周囲の脂肪のこと)が主になります。
※皮下脂肪の厚さにより施術可能な範囲は変わるためご了承下さい。

腹部

ヒップ

二の腕

ハイフといえば顔のたるみ治療の機械と認識されている方が多いかと思います。ボディ用、顔用のカートリッジがあるため使い分けることで、顔や顎下も施術可能となっています。

施術の様子

ボディハイフの適応はどんな人?

ボディハイフが効果的な方は以下の通りです。

部分痩せしたい

ボディハイフはお悩みのパーツの形を整える施術のため全身の痩身ではなく部分痩身にあたります。

外科的な治療には抵抗がある:脂肪吸引手術、脂肪溶解注射など

「切らない脂肪吸引」と呼ばれているのがボディハイフです。針やメスを使った施術ではなく、まずは比較的お手軽に受けられる施術を試してみたいという方に適しています。皮膚の表面に傷をつけないため施術による痕を残したくないという方にもおすすめです。

仕事や学校などがありダウンタイムがあまり取れない

脂肪吸引手術や脂肪溶解注射の後はどうしても強い痛み、腫れ、内出血(青あざ)が引き起こされてしまいます。特に脂肪吸引手術の場合、翌日から仕事などがあると痛みがあるためかなりしんどく、内出血も出現するため休みが取れない方や周りの人に施術を受けたことを知られたくない人はアグレッシブな外科の痩身治療より、マイルドなボディハイフや冷却脂肪融解(coolsculpting:クルスカ)、HIFEM(エムスカルプトNeo:エムスカ)を選ぶと良いかと思います。

二の腕、お尻、お腹、膝、下着の上に乗っかる脂肪が気になる

ボディハイフは上記のパーツの痩身治療が得意です。ウルトラセルQ+のリニアの場合、以下のように脂肪層の厚さによりそれぞれのカートリッジで施術していきます。
4.5mmカートリッジ:顎下、二の腕、ブラファット、膝上の脂肪の厚さ8.0mm以上
6.0mmカートリッジ:二の腕、ブラファット、膝上の脂肪の厚さ11.0mm以上
9.0mmカートリッジ:二の腕、ブラファット、膝上の脂肪の厚さ17.0mm以上

ダイエットを行っているがなかなか効果が目に見えない

ボディハイフは脂肪細胞を破壊することで部分痩身を行うため、効果が一定の期間継続しリバウンドが少ないと言われています。二の腕や膝上の脂肪はなかなかダイエットの効果が現れづらいパーツになるかと思います。ご自身でダイエットし、それでも残ってしまった気になる脂肪は美容クリニックの痩身治療でアプローチすると良いでしょう。

そもそもハイフとは?

ハイフとは高密度焦点式超音波:Hight Intensity Focused Ultrasound の頭文字を取ったものです。高密度焦点式超音波といってもなかなかどんなものか想像がつかないと思うので例えると、太陽の光を虫眼鏡で1点に集めることで熱エネルギーを作るようなイメージになります。このように、ハイフでは超音波を点状に集めることで熱エネルギーを発生させています。
脂肪に熱を与えることでハイフは痩身効果が期待できる仕組みとなっています。

脂肪に熱を与えると起こること

熱によって以下のような生体反応が起きることを利用します。

  • 37〜42℃:生化学物質の活性化、受容器の刺激、蛋白分子の励起
  • 43〜60℃:加熱 ◀︎ハイフでの部分痩身治療で生じる温度
  • 61〜65℃:蛋白質変性、凝固
  • 90〜100℃:水分蒸発
  • 100℃以上:炭化、気化、蒸散

43℃以上の熱を脂肪細胞に与えることで脂肪細胞の細胞膜を損傷させ減少させることができます。加熱中心部とその周囲の組織で反応が異なるため、それぞれ説明していきます。

加熱中心部:超音波の熱エネルギーが集まった焦点の部分の反応

脂肪細胞に即時的な熱が集まることで熱変性と線維化が起きます。線維化とは組織が膠原線維(コラーゲン)に置き換わり、膠原線維の増殖により硬くなることです。硬くなるといっても、表面から触ってしこりのように感じるものではなく試験上の皮膚内部の所見になるため、ほとんど心配する必要はないかと思います。

周囲組織の反応

以下のように、8カ月程度で脂肪細胞がだんだん代謝されることでボリュームが減少します

  • 1〜2カ月後:脂肪細胞の核が消失し、大小ばらつきが出てくる
  • 3カ月後:膜様脂肪壊死像(細胞膜の構造が破綻し壊死した細胞)が確認される
  • 8カ月後:脂肪細胞が抱え込んでいた中性脂肪が分解・代謝され排出される

ボディハイフのダウンタイムと副作用、注意事項

ハイフは皮膚を加熱する施術のため、赤みが出現したり火傷による水疱(水脹れ)形成、炎症後色素沈着の可能性があります。
ハイフによる部分痩身は体重減少というよりもボディコントアリング(輪郭を整える)目的です。そのため、全体的に体重を落として痩せたい方はハイフよりも糖尿病治療薬:GLP-1や食欲抑制効果のある漢方薬などの内服が適応になります。

その他美容クリニックで受けられる痩身治療のバリエーションはHIFEM(エムスカルプトNeo)をはじめ、脂肪冷却融解、脂肪溶解注射、脂肪吸引手術と多くあります。
こちらの記事でそれぞれの特徴を紹介しているので本記事と併せてご覧下さい!

▼GLP-1、エムスカルプトNeoの詳細記事はこちら


ボディハイフの機械の種類

今回は主要なハイフの機械について説明していきます。

LIPOcel Ⅱ

8mm/11mm/13mmの深さにアプローチし脂肪細胞に熱を加えることができる機械です。25mm以上の皮下脂肪厚のあるパーツが適応となります。効果実感として、照射箇所が引き締まってきたという感覚を抱き始めるのは施術後1〜3カ月後で、その後6〜12カ月をかけてさらにボリュームの減少を感じることが多くなっています。

ウルトラセルQ+

4.5mm/6mm/9mmの深さにアプローチすることが可能となっています。基本的にはリニアという脂肪を溶かすモードで照射していきますが、さらにタイトニング効果をしっかり出したい場合はドットという真皮層から筋膜の上層に熱を加えるモードを組み合わせて照射することもできます。

※オーバーラップやスタッキング(重ね打ち)をするとその分火傷のリスクが高くなるため皮膚の状態を見ながら施術していきます。

▼ウルトラセルQ+の医師監修記事はこちら

ボディハイフの効果をより実感するためには

ハイフを受けた後、脂肪細胞が破壊され代謝されるまでに6〜12カ月かかります。その間内服薬やサプリメント、脂肪溶解注射など他の痩身治療を併用してもらうと効果を最大限に引き出せます。またボディハイフを施術している期間に体重を減少できた症例の方が施中の効果の出現が早いという結果も出ています。そのため可能ならば痩せられるよう、少なくとも太らないようには注意しなくてはなりません。
ここから併用がおすすめの治療を紹介していきます。

内服薬

GLP-1 糖尿病治療薬

糖尿病の治療薬は食欲を抑える効果もあります。血糖値を下げるインスリンの分泌を促すことで胃腸の動きが抑制されます。消化器の動きが抑えられると満腹感を感じ、食欲中枢に働きかけることで食欲を抑えるような効果がでます。
糖尿病治療薬のため低血糖を引き起こすリスクがありますので、きちんと医療機関で診察や説明を聞いて服用するようにしましょう。

脂肪溶解注射

主な脂肪溶解注射にはデオキシコール酸が含まれます。
それぞれ製剤により含まれる濃度が以下のように異なります。

  • ・Fat X core、Fat X:1%
  • ・Kabelline:0.50%
  • ・チンセラプラス:0.80%
  • ※BNLSシリーズ:0.0001〜0.02% と極微量。主成分はセイヨウトチノキやカラクサケマンなど。

デオキシコール酸濃度が高ければ施術回数は少なくなりますが腫れはしっかり出現します。効果とダウンタイムを天秤にかけ製剤を選択していく必要があります。

ハイフによる部分痩身は脂肪をしっかりと破壊することができるものの、その効果が出現するまでに6カ月以上と長い時間がかかってしまいます。そのため「いつまでにここのパーツを細くしたい!」と目標期間に合わせて余裕を持ち、治療を始める必要があります。

逆に言えば、短期間で痩せる必要がある場合は、ダウンタイムが大きく生じても問題なければ脂肪吸引手術、全身の痩身を望むようであればGLP-1など糖尿病治療薬や漢方薬など他の医療痩身を選択する必要があります。ご自身の目標と許容できるダウンタイムなどそれぞれ状況に合わせて最適な施術は異なりますので、痩身治療の取り扱いがあるクリニックへ相談し、施術を選んで頂くと良いと思います!

【記事の執筆・レビューに使用した参考文献等】

記事の正確性等の確保方法及び参考文献の取り扱いについては、Call to Beautyの編集プロセスをご覧ください。

『あたらしい美容皮膚科学』(2022年南山堂)
日本美容皮膚科学会 監修
クイーンズスクエアメディカルセンター皮膚科 部長 尾見徳弥 編
みやた形成外科・皮ふクリニック 院長 宮田成章 編
静岡社会健康医学大学院大学 学長・理事長 宮地良樹 編
大阪医科薬科大学 教授 森脇真一 編

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

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まいまい

都内の美容皮膚科メインで働く正看護師。新人の教育担当も経験。現在は保険診療も併設されているクリニックで勤務中。美容と保険をうまく組み合わせ患者様のお悩みを解決したいと考えている。美容について勉強したことを発信しており、Twitterでは1,000人以上のフォロワーも。医療従事者としてエビデンス(根拠)に基づいた内容を伝えることを心掛けている。

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監修:

長谷川悠 医師

You's clinic Aoyama

順天堂大学医学部・大学院を卒業後、初期臨床研修を経て順天堂医院に所属。その間、都内の美容クリニックで非常勤として約3年半勤務し、豊富な美容施術の経験を積む。その後、複数の美容クリニックで院長として活躍し、注入系の肌治療や糸リフト、目元の施術、脂肪吸引、豊胸、婦人科美容、再生医療など幅広い手術を手掛ける。2021年3月、東京・南青山にYou's clinic Aoyamaを開院。糸リフト、ヒアルロン酸注入、ボトックス注射などの注入系治療や点滴を組み合わせ、必要に応じて機器を使用する治療を主体とし、再生医療も提供しています。

順天堂大学医学部・同大学大学院 卒業
順天堂医院 初期臨床研修、同病院形成外科・放射線科 所属
都内複数の美容クリニック 非常勤
PICO BEAUTY CLINIC新宿院 院長
東京中央美容外科福島院 院長
オザキクリニック新宿院等 非常勤
IDGクリニック日本橋 院長
2021年3月 You's clinic Aoyama 開院

執筆:

まいまい看護師

都内美容皮膚科、保険診療皮膚科その他形成外科などが併設しているクリニックで働く正看護師。自身がニキビで悩み、SNSや雑誌などで知った情報を試すも良くならなかった経験からお肌の状態が自信をなくしたり、QOLを下げる原因にならないよう美容看護師になる。

また誤った情報で悲しい思いをする方を減らすため根拠に基づいた美容法をSNSで紹介している。クリニックでは前職、現職でも指導者・プリセプターを担当。施術だけでなくカウンセリングも行っている経験から現実的に実践できるような手軽な美容から幅広く発信。

愛知県の大学病院(救急病棟)
都内美容皮膚科クリニック
都内美容皮膚科、保険診療皮膚科その他形成外科などが併設しているクリニック