美容皮膚科の施術のケミカルピーリングはその名の通り、肌に化学薬品をぬって皮膚を剥離させることで、肌が新しく生まれ変わる機能を促進させ、トラブルを改善する方法です。最近は家庭でできるケミカルピーリングのキットも販売されていますが、そもそもケミカルピーリングとはどんな薬剤を使用しているのでしょうか? どんな肌トラブルに適応なのかや医師の見解についても詳しく説明していきます!

【監修医師からのワンポイント】

ケミカルピーリングは比較的手軽で効果的な治療の一つですが、やり過ぎるとお肌のバリア機能が下がり肌トラブルの原因となることもありますので、医療機関できちんと診察を受け、治療回数や頻度を守って治療を行うことで、安全に美肌治療をすすめてくださいね。

目次

1.ケミカルピーリングってどんな施術?

1-1.ケミカルピーリングとは

古代エジプトでは乳酸を入れたお風呂に入る習慣もあり、これがケミカルピーリングの起源であるとも言われています。美容皮膚科の施術のなかでもポピュラーなイメージがあり、導入しているクリニックも多いケミカルピーリング。でも、実際には「名前は知っているけれど、施術を受けたことはない」という方も多いのではないでしょうか。まずはケミカルピーリングのメカニズムを紹介しましょう。

ケミカルピーリングではグリコール酸やAHA、サリチル酸、トリクロロ酢酸といった酸性の薬剤を肌に塗って、肌の角質をはがれやすくするというもの。薬剤によって若干効果に差があります。

  • ・グリコール酸やAHA →角質の接着をゆるめる作用
  • ・サリチル酸 →角質を柔らかくし、溶かす作用。美白作用も
  • ・乳酸 →保湿作用や抗菌作用、肌の凸凹を減少させる作用も

皆さんもご存知の通り、私たちの肌は約28日周期でターンオーバーを繰り返し、生まれ変わっています。こうした薬剤の作用で角質をはがれ落ちやすくし、ターンオーバーを早めることで、真皮層でコラーゲンが作り出される作用やメラニンの排出を促してくれるのです。

また、古い角質がはがれ落ちることでケミカルピーリング後に使用する化粧品や施術の効果を高めてくれるため、ケミカルピーリングの後にイオン導入や超音波導入を勧めているクリニックもあります。自由が丘皮膚科クリニックでは肌の悩みに合わせて、肌の悩みに合わせてビタミンAやC、トラネキサム酸、プラセンタなどの有効成分を使った超音波導入・イオン導入を組み合わせてスキンケア効果を高めているそうです。

1-2.ケミカルピーリングで改善できる肌トラブル

では、ケミカルピーリングではどんな肌トラブルの改善が期待できるのでしょうか。

■ニキビの改善や毛穴の引き締め

毛穴まわりの角質を柔らかくすることで、毛穴のつまりを改善。コメドや面皰(めんぽう=ニキビ)と呼ばれる皮脂のかたまりも減らすことが可能。毛穴が詰まりにくくなってニキビのできにくい状態に近づけてくれます。このことで毛穴が引き締まる効果も期待できます。

ただし、ニキビ肌の人がケミカルピーリングをやりすぎると、肌のバリア機能を低下させてしまい逆効果になることも。毛穴が詰まりにくくなると、ニキビの初期段階である白ニキビができにくくなりますが、その他にもいろいろなタイプのニキビを改善してくれる可能性があります。

ケミカルピーリングと合わせてニキビ治療の内服薬や外用薬を併用するとさらに高い効果が得られるようです。頑固なニキビに悩まされている方にもトライしてほしい治療方法です。

■シミや色素沈着、ニキビ跡、くすみの改善

肌のターンオーバーが促進されることで、シミや色素沈着などのメラニン色素を含んだ古い角質がはがれ落ちやすくなります。

肌への優しさを考慮して、東洋人の肌に適した乳酸を使用しているクリニックもあります。シミやくすみの改善だけではなく、肝斑の治療にも効果が期待できます。肝斑はレーザーで悪化することがあるので、気になる方はまずはケミカルピーリングを試してみてもいいかもしれませんね。

また、男性にも多いクレーター状やアイスピックで指したように穴が開いているニキビ跡の改善にも効果が期待できると言われています。こうしたニキビ跡の治療は間隔をあけながら10回以上、1年以上にわたって施術を受ける必要があるため、気になる方は早めにスタートしたほうがいいでしょう。

■小じわの改善

肌のハリが低下することによって起こる、小じわ。ケミカルピーリングで肌のターンオーバーが促進されると、ハリをキープするコラーゲンやエラスチンなどが作られる作用が活性化すると考えることができます。このことで肌がハリを取り戻し、小じわの改善効果が期待できます。

1-3.ケミカルピーリングが合わない人

ケミカルピーリングは薬剤を使用する施術。そのため、人によっては肌に合わない場合や施術を受けられないこともあります。以下に当てはまる方はクリニックで施術を受ける前に医師に相談するようにしましょう。

  • ・妊娠、授乳中の人
  • ・紫外線対策を取れない人(外で仕事をしている人など)
  • ・ケロイドになりやすい人
  • ・レチノールを外用している人
  • ・持病の治療をしている人
  • ・施術箇所にレーザーやワックスなど脱毛ケアをしている方

また、ケミカルピーリングの後は肌が乾燥するため、乾燥肌の方も注意が必要です。

1-4.ケミカルピーリングって市販されてる?

薬剤の濃度が低く、効果はマイルドであるものの、家庭でできるキットやピーリング効果のある洗顔料なども市販されています。家庭でケミカルピーリングをしたあとは「必ず紫外線カット剤を使用する」「いつもよりていねいに保湿する」ことを忘れないようにしましょう。

■デルファーマ 本格ホームピーリングセット

デルファーマ 本格ホームピーリングセット

出典 https://peeling.co.jp

角質を柔らかくする酵素ジェル、グリコール酸のピーリング、ピーリング後の保湿に使用する化粧水がセットになったホームキット。9,570円です。

■ピールソープAHA

ピールソープAHA

出典 https://pluskirei.com

ケミカルピーリングの定番成分であるAHAを配合した洗顔ソープ。ニキビ予防効果もあるティートゥリーオイル、ビタミンBの一種類・ナイアシン、3種類のヒト型セラミド等配合で、洗い上がりはすっきり、しっとりした質感が楽しめます。

1-5.ケミカルピーリングはエステでできる? クリニックでできる?

ケミカルピーリングはエステでできる? クリニックでできる?

ケミカルピーリングは美容皮膚科だけではなく、エステサロンでも行っています。ただし、エステのケミカルピーリングは使用する薬剤の濃度に限りがあるため、効果が低いと言われています。効果が感じられないだけではなく、場合によっては濃度が濃すぎてトラブルになる場合もあるので、ケミカルピーリングを受けるときは美容皮膚科を選んだ方がいいでしょう。各クリニックでも「ケミカルピーリングは医療行為であるためエステで受けるべきではない」という警鐘を鳴らしています。

2.美容皮膚科で行われているケミカルピーリング

美容皮膚科で行われているケミカルピーリング

つるんとしたむき卵のような肌になれる!と人気が高い美容皮膚科でのケミカルピーリング。ここからは美容皮膚で行われている施術の内容について詳しくみていきます。

2-1.美容皮膚科で行われる施術の流れ

美容皮膚科では肌トラブルや解決したい悩みによって使用する薬剤を選んでいるところがほとんど。まずは

・カウンセリングで正確な診断をして、肌の状態を正しく把握してもらうこと

・トラブルの度合いによってどの薬剤をどのくらいの濃度で使用するか判断すること

がベースとなり、その後適切な治療と術後のスキンケアアドバイス、生活指導、内服治療などまでが治療となります。一言でケミカルピーリングといっても、患者さんによって最適な治療は違うというわけです。

3種類の薬剤を患者さんによって使い分けているオーダーメイドピーリングをしているクリニックや、ケミカルピーリングの効果をさらに高めるためにビタミンCやトラネキサム酸、Lシステインといったシミや色素沈着に効果のある内服薬やニキビ治療のための抗生剤、ビタミン剤などを処方したり、ハイドロキノンやニキビ用の外用薬を合わせて処方することころもあります。

2-2.1回でも効果ある? 回数は何回がベスト?

1回でも効果ある? 回数は何回がベスト?

ケミカルピーリングは何回くらい受けると効果が実感できるのでしょうか。その回数は肌の状態やどんな肌トラブルを改善したいのかによって異なります。最低でも5~6回、頑固なニキビ跡などでも10回程度で変化を感じる人が多いようです。肌トラブルが少ない人は1回でも違いを実感できるという声もあります。

まとめ

いかがでしたか。ケミカルピーリングといっても、日々、薬剤の質は向上し、より肌に優しく、かつ高い効果が得られるようになってきています。キャンペーンなどを利用すれば安く施術を受けられるところも多いので、口コミなどをチェックして評判のいいクリニックでケミカルピーリングにトライしてみてはいかがでしょうか。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

Emiri

Emiri

美容系全般得意なライター。自身でも美容医療を実践。

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監修:

佐藤亜美子 医師

PRIMA CLINIC (プリマクリニック)

広島大学医学部医学科卒業。広島赤十字・原爆病院、広島市立広島市民病院、中国労災病院に勤務。美容皮膚科エルムクリニック広島院院長、エルムクリニック副総院長・技術指導医を経て2022年10月プリマクリニック開業。得意分野はヒアルロン酸注入、ボトックス注射、糸リフト、レーザー治療。またドクターズコスメを開発する。

広島大学医学部医学科卒業
広島赤十字・原爆病院
広島市立広島市民病院
中国労災病院
2014年 美容皮膚科エルムクリニック広島院 
2018年 同院院長
2022年10月 プリマクリニック開業