出典 http://free-photos.gatag.net/
ぱっちりした目元を演出してくれる、つけまつげやまつげエクステ。繰り返しているうちに自分のまつげが抜けたり、短くなってしまったりする人が多いのではないでしょうか。そんなまつげのダメージに悩む人から人気が高いのがグラッシュビスタ。グラッシュビスタはまつげ育毛剤として厚生労働省の認可を受けた医薬品です。ここでは、今人気のグラッシュビスタについて詳しく説明していきます。
グラッシュビスタとはどんな治療薬なのでしょうか。
グラッシュビスタとはボトックス製剤で知られるアメリカの製薬会社・アラガン社の製品です。有効成分はビマトプロストと呼ばれる成分。もともとは緑内障の治療薬として「ルミガン」という名前で販売されていたものをまつげ貧毛症の治療に転用したものがグラッシュビスタになります。
「この薬は、上まつ毛の長さ、豊かさ(太さ)、濃さを改善する外用薬です。ただし、発毛可能な毛包(もうほう)が存在ない場合には本来の効果が得られないことがあります。この薬は、睫毛貧毛症(しょうもうひんうしょう)の患者に処方されます。睫毛貧毛症とは、まつ毛が不足していたり、不十分であったりすることです」
緑内障の患者さんが点眼薬としてルミガンを使用していたところ、まつげが伸びた、濃くなったという声があがり、まつげ貧毛症治療へ転用されるようになったのです。
まつげにも頭髪と同じように、上の画像のような毛周期があるということをご存知でしょうか。グラッシュビスタの成分は成長期や休止期の毛包に作用し、以下のような効果をもたらします。
まつげの毛包にアプローチするお薬ですので、もともと毛包がないようなケースでは効果がありません。
点眼薬としても使われていた成分を応用したお薬ですが、グラッシュビスタは点眼使用せず、まつげの生え際にアイラインを引くようなイメージで塗布します。使用するときはクレンジング、洗顔を済ませた清潔な肌に塗るようにしましょう。使用するタイミングは就寝前です。なお、下まぶたには塗らないようにしてください。
「通常、使用する量及び回数は、次のとおりです。片目ごとに、1日に1回1滴を専用のブラシに滴下し、上まつ毛の生え際に夜に塗布します。頻繁に塗布しても効果が促進されませんので、1日1回を超えて塗布しないでください。一度使用したブラシは廃棄してください。再使用はしないでください」
塗布するときには添付のアプリケーターを使用します。感染症を防ぐために、片目ごとに新しいアプリケーターを使い再利用はしないこと。まつげの生え際以外の部分についてしまったら、コットンなどでふき取っておくようにしてください。
まつげ育毛剤といえば、海外のお土産などで、アラガン社のまつげ美容液ラティースをもらって使ったことがあるという方がいるのではないでしょうか。実はグラッシュビスタとルミガン、ラティースはどれもアラガン社の製品でかつ、ビマトプロスト0.03%配合。「じゃあ、どれを使っても同じってこと?」と考えるかもしれませんが、確かに効果や安全性面では同等なのですが、厳密にいうと少し違いがあります。どこにその違いがあるのか見てみましょう。
結局なにが違うかというと、「万が一のトラブルがあったときに、日本の『医薬品副作用救済制度』の救済給付や措置を受けられるかどうか」という点にあります。この点のみを考えると、まずラティースはNGということになります。また、ルミガンも副作用救済制度の対象となるのは本来の目的である緑内障や高眼圧症の治療に用いた場合のみで、まつげ育毛のために使用した場合は対象外となることを忘れないようにしてくださいね。
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残念ながら、まつげ貧毛症の治療はすべて自費診療となるため、健康保険は使えません。ルミガンをまつげ育毛のために処方してもらう場合も同様に自費診療となります。
グラッシュビスタは効果が高いお薬であるものの、以下のような副作用が起こることもあります。
一番、起こりやすい副作用がまぶたへの色素沈着です。正しく塗れば色素沈着は起こらないという意見もありますが、まぶたの閉じ具合やまつげの生え方は人それぞれ。場合によっては上手に塗っても色素沈着を避けられない人もいるかもしれません。グラッシュビスタは下まぶたに塗らないようにということになっていますが、これも下まぶたに色素沈着が起こるとクマのようになって目立ってしまうからなのだそう。
また、ごくまれにですが、重大な副作用として
といった症状がみられることがあります。といってもこれではなんのことだか分かりませんよね。虹彩色素過剰というのは、黒目の部分の色が濃くなること。私たち日本人の瞳はもともと黒っぽい色をしているので、虹彩色素過剰が起きても気がつかないことが多く、日常生活にも支障はないと考えられています。でも、欧米のブルーやグリーンの瞳をもつ人に虹彩色素過剰が起こると、かなり目立ってしまうのです。
また、虹彩色素過剰は一度認められると、元に戻らないこともあります。一度症状が認められた場合、長期にわたって異常がないか経過観察をしなければなりません。
眼瞼溝深化というのは上まぶたがへこんで深いしわのようになってしまうこと。グラッシュビスタの添付文書にも、以下の記載があります。
「海外臨床試験において、安全性評価対象541例中、1例(0.2%)に眼瞼溝深化が認められた。眼瞼溝深化があらわれた場合には症状に応じて投与継続の可否を検討すること」とあります。確率としては高くありませんし、40代以降は程度に差はあれど、まぶたがくぼんでくるものです。とはいえ、使ってみておかしいなと感じたら、使用を中断するようにしてください」
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グラッシュビスタを妊娠中の動物に投与したところ、早産や流産、胎児死亡などの例が確認されたそうです。また、母乳への成分移行も認められました。動物実験での結果であり、人間でどのように作用するかは分かりませんが、妊娠中や授乳中の使用はしないでください。
グラッシュビスタは効果を実感しやすいお薬です。口コミでも「使ってみて効果がなかった」というものはほとんどなく、「使って効果があったけれど、副作用で使い続けられなかった」というものが多くなっています。
グラッシュビスタでまつ育して丸4ヶ月、今日コスメカウンターのBAさんに「マツエクですか?」って聞かれた♡やった♡
— いずみん (@yizumineee) January 16, 2017
「1日1回夜就寝前にだけ塗り、忘れたりもしたけど、徐々に睫毛が濃くなってくのを実感しました。2カ月経つ頃には長さも出て睫毛の長さが大体2センチ位になりました。自分の元々の睫毛の倍以上になったので、効果としてはかなり大満足でした! デメリットは、コスパと、一番は色素沈着でした。コスパはそれぞれ病院によって違うかと思いますが、私の行ってる病院では診療込みで2万くらいでした。2カ月で大体なくなるので、継続するのは少し考えてしまいます。睫毛も生え変わりがあるので抜けたら元の長さに戻ってしまいますし。
一番悩んだのは色素沈着でした。目の周りが赤黒くなり、周りからも体調悪いの? とか、そんな色のアイシャドウを塗ってるんじゃないかと思われるくらいでした。あと、目の周りの産毛も濃くなります」
グラッシュビスタ使ったら 睫毛がめっちゃ伸びたのに 使うのやめたら また薄くなってしまった 悲しい
— ハッピー魚肉ソーセージ (@Diavolo_Diva) March 6, 2017
グラッシュビスタ使い始めたけどアプリケータが太すぎてだめだこれ
こんな太いので根元だけに塗るの無理じゃん 赤黒くなりそう— みわ@進撃 (@miwashingeki) January 22, 2017
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グラッシュビスタは医薬品です。といってもドラッグストアや薬局で購入することはできません。ここからはグラッシュビスタの入手方法と価格について説明していきます。
グラッシュビスタは医薬品であるため、ドラッグストアや薬局はもちろんのこと通販でも購入することはできません。よく「グラッシュビスタのジェネリック」として、同じ成分を配合した医薬品が5,000円以下という安価な価格で個人輸入サイトで売られています。でも、これは「同じ成分のものを使用して作った薬剤」であり、ジェネリック医薬品ではありませんので、注意してください。
ジェネリックとは「後発医薬品」のこと。先発医薬品の特許が切れたあとにほかの製薬会社が同じ有効成分を使って同じ効果が得られるように作った医薬品です。グラッシュビスタが厚生労働省から認可を受けたのは2014年3月。ですから、特許が切れるのはまだまだ先のこと。
通販サイトで販売されているものはインドの製薬会社が製造しているのですが、インドは世界のなかで医薬品の成分に対する法律が異なるため、このような「同じ成分のものを使用して作った薬剤」が製造できてしまうという背景があります。ビマトプロスト以外に配合されている成分までグラッシュビスタとすべて同じとは限りません。
個人輸入サイトでは緑内障の治療薬であるルミガンが販売されていることがあります。ネットで販売されているものは偽造品である可能性もありますので通販での購入はおすすめしません。
また、twitterで「グラッシュビスタがほしい人はメッセージください」というようなツイートを見かけることがありますが、どんなトラブルに巻き込まれるか分かりませんので、こうした手段での購入も避けるべきでしょう。
やはり入手方法として安全なのは、グラッシュビスタを美容皮膚科や眼科などで処方してもらうこと。医療機関で処方してもらう場合、費用は1万円から2万円程度となります。5mlで約70日程度使用することができますが、高価かつ、かなり値段に開きがあるので、事前にグラッシュビスタの取り扱いがあるか、初診料なども含めて、総額でいくらかかるか事前に問いあわせてからクリニックに行くとよいでしょう。
クリニックによっては緑内障の治療薬であるルミガンを自費診療で処方してくれるところもあるようです。この場合、量はグラッシュビスタの半分である2.5mlとなり、価格は5,000〜7,000円程度となっています。
これまでのまつげ美容液とはまったく違う効果をもたらしてくれる、グラッシュビスタ。市販のまつげ育毛剤では効果がなかったという方にも是非トライしてみてほしいお薬です。購入するときは、価格は高いものの安全性を考えてクリニックで処方してもらうことをおすすめします!
*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税抜きです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。
美容系全般得意なライター。自身でも美容医療を実践。
いなばクリニック
東京慈恵会医科大医学部卒業。大学病院にて経験を積み、横浜市でいなばクリニックを開院する。一般皮膚科をメインにしつつも、美容皮膚科治療も積極的に行っています。
特に、多くの機器を導入しているレーザー治療、光治療においては地域の美容かかりつけクリニックとしてリピーターが多い。HIFUテクノロジーのウルトラセルQプラスなど話題の機器も抑えています。
東京慈恵会医科大医学部卒
慈恵医大附属病院
聖路加国際病院
いなばクリニック院長
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