今やすっかり美容医療における定番メニューとなった感のあるダーマペン。
ニキビ跡や毛穴の開きの改善だけでなくシミ・くすみ、小じわの改善など美肌治療として汎用性があることから様々なスキントラブルの改善治療として多くの方が受けられています。

本記事ではダーマペンの基本情報をお伝えした上で、近年選択肢が広がってきたダーマペンのコンビネーション治療の特徴や料金相場などを解説します。

どの施術を組み合わせれば自分に最も適しているかを迷われている方の一助になれば幸いです。

【監修医師からのワンポイント】

毛穴、肌質改善、ニキビ跡に対して薬剤を併用することで肌に合ったものや相乗効果が期待されます。どの薬剤が適しているか医師と相談しましょう。また、施術後の炎症後色素沈着を抑えるための保湿や日焼け止めなどの遮光は必須です。

ダーマペンとは

出典 https://www.dermapenworld.com/

最初にダーマペンの基本情報をお伝えします。
ダーマペンとは肌に髪の毛よりも細い針で穴を開けることで、肌が本来持つ自然修復能力を引き出し、肌の若返りを促す美容施術であり、機器です。

2011年にアメリカのダーマペンワールド社から医療機器として発売され、その後FDA(アメリカにおける日本の厚生労働省にあたる機関)の認可を経て、ダーマペン2,3と進化を遂げて2018年に最新機器であるダーマペン4が発売され、2022年11月現在、美容クリニックで幅広く提供されているダーマペンはダーマペン4を使用した施術です。

最近ではドイツで開発されたダーマペンGHDを導入しているクリニックもあります。
ダーマペンGHDはモーター性能が優れ、針を高速振動させることにより施術時の痛みを軽減できることが特長です。

ダーマペンの作用機序と効果

ダーマペンでは太さ0.2ミリの極細針を使って肌に垂直で微細な穴を開けます。
穴を開ける深さは肌の状態や改善を求める症状に応じて0.25mmから3mmくらいの深さで調整されて施術が実施されることが一般的です。

穴の開いた肌は損傷した状態を治すために、皮膚の内部の線維芽細胞が活性化されます。
そして、肌の弾力や潤いの素となるコラーゲンやエラスチンの生成を促します。

前述したようにニキビ跡やニキビ肌の改善、毛穴の開きの改善のほか、シミ・くすみや小ジワ、たるみの改善効果も見込めて、珍しいところでは毛孔性苔癬(二の腕のブツブツ)、妊娠線、傷跡などの改善治療に採用されていることもあります。

ダーマペンのリスク・副作用・ダウンタイム

ダーマペンの術後におけるリスク・副作用・ダウンタイムを紹介します。

  • ○炎症(赤み・腫れ)
  • ○発疹、痒み
  • ○皮剥け
  • ○肌が乾燥しやすくなる
  • ○ニキビがある場合一時的にニキビが悪化する
  • ○内出血

ダーマペンの術後のダウンタイムは針を刺した深さによって変わります。
針を刺した深さが0.5mm程度(皮膚の真皮層まで到達)施術であれば2日〜3日、2.0〜3.0mm(皮下組織まで到達)の施術であれば、5〜7日前後がダウンタイムとしてかかる目安ですが、個人差により異なります。

ダウンタイム中の注意事項としては紫外線を受けないこと、刺激の強いコスメ(トレチノイン・ハイドロキノン配合の商品など)を使用したスキンケアは行わないこと、サウナや長時間の入浴、飲酒などは控えることです。

特に紫外線は要注意です。
術後は肌のバリア機能が低下していることもあり、紫外線ダメージを受けると色素沈着が起きるケースがよくあるので、術後のダウンタイム中はなるべく外出を控えましょう。

▼ダーマペンをもっと深く知りたい方はこちらの医師監修記事も

ダーマペンの料金相場

ダーマペンの料金相場は1回2.5万円前後です。
トライアルで初回1万円前後で設定しているクリニックもありますが、2回目以降は2.5万円前後で設定されていることがほとんどです。

クリニックによっては3回/5回/10回などのコース料金も設定されており、1回あたり1.5万円前後で受けることができます。

ダーマペンが効果がないと言われる理由

ダーマペン1回の施術でも多少効果はあるものの、1回だけの施術で肌が劇的に綺麗になることはなく、即効性は乏しい傾向にあります。

特に刃型のように深く皮膚に刻まれたニキビ跡やクレーター型のニキビ跡、毛穴の開きが深刻化しているいちご鼻、みかん肌のような症状の改善には時間がかかる傾向があり、ダーマペンを1回受けただけでは目に見えるような効果を得られる可能性は低いと言えます。

検索エンジンでダーマペンで検索をかけようとすると『ダーマペン 効果ない』、『ダーマペン 意味ない』というネガティブなキーワードが提案されるのをちらほらと見かけますが、1回では効果がない、意味がないという意味合いであれば間違いではありません。

医療レーザー脱毛やピーリング、他の美肌治療でも単発では中々満足のゆく効果を体感できないのと同様にダーマペンも複数回治療を重ねることにより肌質の変化を感じられる治療であることは間違いありません。

ダーマペンの代表的なコンビネーション治療

ダーマペンはピーリングや幹細胞療法などの美容医療メニューを組み合わせることによって相乗効果が出やすく、効果も早く実感できやすいことからコンビネーション治療を多数準備しているクリニックも増えています。
代表的なコンビネーション治療メニューの料金相場や特徴、注意点・デメリットをご紹介します。

ヴェルベットスキン(マッサージピール)

料金相場:1回1.5万円前後(単体)
おすすめの症状:ニキビ跡、毛穴の開き、小じわ

ヴェルベットスキンは、ダーマペンでマッサージピール(コラーゲンピール)という施術で使用するPRX‐T33という薬剤を肌の真皮層に浸透させる治療です。

PRX‐T33は古い角質を取り除く特殊な物質を配合した薬剤で、主成分はトリクロロ酢酸(以下TCA)です。TCAを用いたピーリングは従来からありましたが、皮膚再生効果に優れている一方で、施術時の痛みや炎症が激しく現れ、術後のダウンタイムにおけるヒリヒリ感が強いため重症ニキビ肌の改善を強く希望される場合にのみ適応がある傾向にありましたが、PRX‐T33は低濃度過酸化水素を配合することによりピーリング作用を抑えて、皮膚の真皮層まで浸透し、コラーゲンを生成することに特化した仕様になっているため、術中・術後の痛みに弱い方でも安心して受けることができます。

ダーマペンと併用すると、薬剤が肌の深部にまで浸透しやすくなる効果が見込めることから本記事で紹介しているコンビネーション治療でも最もポピュラーなコンビネーション治療です。
治療後の肌がヴェルベットのように柔らか且つ滑らかな手触りと評されることから、ヴェルベットスキンという治療名が定着しました。

ヴェルベットスキンの注意事項・デメリットを挙げるならば従来のTCAを用いた治療よりは大分刺激がマイルドになったとはいえ、皆無というわけではないので敏感肌、皮膚炎のある人は注意が必要です。診察時に医師と相談した上でダーマペンと組み合わせるかを決めると良いでしょう。

▼医師監修ヴェルベットスキン施術詳細(概要、ダウンタイム、費用、リスク等)はこちら

ミラノリピール

料金相場:1回1.5万円前後(単体)
おすすめの症状:ニキビ跡、毛穴の開き、小じわ、身体のニキビ

ミラノリピールとはヴェルベットスキンで使用されるPRX‐T33と同様にTCAを用いたヨーロッパで国際特許を取得している医療用ピーリング剤です。名前の通りイタリアのミラノで開発されました。

皮膚の真皮層に働きかけ、表皮再生を活性化させた上でコラーゲンの生成を強力に促すことによりニキビ跡・毛穴の開き・小じわの改善、肌の弾力UPなどの効果が見込めます。

ヴェルベットスキン(マッサージピール)とミラノリピールの違いはTCAの濃度です。
前者がTCAが33%配合されているのに対し、「ミラノリピール」は顔用が35%、ボディ用は50%とより濃く配合されています。

TCAの濃度が濃くなると痛みが心配ですが、ミラノリピールはTCAに加えラクトビオン酸、サリチル酸、タルトル酸、クエン酸の4種類の酸が含まれており、刺激がマイルドな仕様になっています。術後の炎症(赤み)が出にくく、ニキビ肌の改善にも効果的です。

背中や首など身体のニキビにお悩みの方にはTCA濃度が濃い分、ヴェルベットスキンよりミラノリピールとダーマペンのコンビネーション治療の方が改善効果が見込めます。

注意事項・デメリットを挙げるならばヴェルベットスキン同様に従来のTCAを用いた治療よりは刺激が皆無というわけではないので敏感肌、皮膚炎のある人は注意が必要です。

ウーバーピール

料金相場:1回3.5~4万円(ダーマペンとのコンビネーション)
おすすめの症状:シミ・くすみ、肌の黒ずみ、色素沈着

ウーバーピールとはマンデル酸、乳酸、コウジ酸、ヒアルロン酸など10種類以上の美容成分が配合されているオールインワン型の薬剤及びダーマペンとのコンビネーション治療の名称です。
ダーマペン専用に開発されたピーリング剤ということもあり、その相性はかなり高く、ダーマペン施術後に塗布することで、肌の奥深くへ美容成分の浸透が図れます。

ウーバーピールは美白作用の効果が特に高く、シミ・くすみ・色素沈着の改善効果が期待できます。

ウーバーピールは今回挙げているコンビネーション治療で使用される薬剤の中で最も肌への刺激がマイルドな点がおすすめポイントです。
術後の痛みやダウンタイムがヴェルベットスキンよりも少ないため、ダウンタイムの時間があまり取れない方におすすめのオプションです。

ウーバーピールの注意事項・デメリットを挙げるならばヴェルベットスキンやミラノリピールに比べれば低刺激のピーリング剤ですが、ダーマペンで無数の穴を開けて導入していることに変わりはなく、施術直後は肌もバリア機能が低下して、敏感な状態になっているので、刺激の強いコスメの使用や入浴・飲酒などは控えましょう。

また、ウーバーピールの施術後1週間は「ディフェリンゲル」や「過酸化ベンゾイル」配合のニキビ治療薬を使用できません。ニキビ治療薬を使用されている方は、上記の成分が入っていないかを事前に確認してください。

*ウーバーピールに関わらず、ディフェリンや過酸化ベンゾイルは剥離作用があるのでどのオプションの薬剤も施術前は休薬が必要です。

ヴァンパイアフェイシャル

料金相場:1回6.5~8万円(ダーマペンとのコンビネーション)
おすすめの症状:ニキビ跡・クレーター肌、顔全体のたるみ、目の下のクマ

ヴァンパイアフェイシャルとはPRP皮膚再生療法で採取した血小板を、ダーマペンを用いて浸透させるコンビネーション治療です。

PRPとは日本語では多血小板療法と呼ばれるもので、血液の中にある血小板を多く含んでいる血漿(けっしょう)をニキビ跡、たるみ、目の下のクマ、妊娠線などに注入し、皮膚の再生を促す治療です。

血小板は傷から流れ出る血液を止め、成長因子(PDGF、FGF、EGF、TGFなど)を作り出す働きがあり、この血小板からでる成長因子により、傷が元に戻り、怪我をする前の綺麗な状態に戻すことを可能にして、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を産生する性質があります。
PRPの再生能力は美容医療だけでなく外科の領域でも応用されています。

このようにPRP皮膚再生療法をダーマペンと組み合わせて行う治療をハリウッドで「ヴァンパイアフェイシャル」と呼ばれてから、そのネーミングの斬新さも相まって日本でも注目度の高い美容医療メニューになりました。

ヴァンパイアフェイシャルの注意事項・デメリットとしてはまだ採血とPRPの生成のステップが必要なので他のコンビネーション治療に比べて時間がかかることが挙げられます。
上記のステップは30〜60分くらいの時間がかかることがほとんどです。

また術後の内出血が他のコンビネーション治療に比べて出やすい傾向にあります。

【ヴァンパイアフェイシャル術後の経過】

接客業など人前に出るお仕事をされている方はダウンタイムを考慮して施術を受ける必要があります。

またPRPと言えど他の製剤同様に単発では効果が体感できないケースが多く、3〜5回治療を重ねることにより効果が見込めることに変わりはありません。

▼ヴァンパイアフェイシャルを詳しく知りたい方はこちらも

エクソソーム(ASCE+)

料金相場:1回5.5〜7万円(ダーマペンとのコンビネーション)
おすすめの症状:全体的な肌質改善

エクソソームは、近年大変注目度が高まっている製剤であり、人間の体内において約200種類もの細胞間の情報伝達を担っている物質のことを言います。

美容クリニックで主に扱われているエクソソームの製剤をASCE+(アッセ)と言います。
ASCE+は凍結乾燥されたエクソソームが主成分の製剤です。成長因子、ペプチド、コエンザイム、アミノ酸、ミネラルなど数多くの美容成分が含まれおり、ダーマペンで開けた微細孔を通じて、肌の真皮まで薬液が浸透することで、シワ・たるみ、赤ら顔・傷跡改善など様々なスキントラブルの改善効果が見込めます。

エクソソームの働きや効果は美容医療だけでなく、再生医療や薄毛(AGA)治療の分野でも注目されていて、エクソソームを患部や頭皮に注入する治療の研究が進められて既に多くの医療機関で提供されています。

エクソソームの臨床試験では、エクソソームが線維芽細胞に取り込まれると、コラーゲン生成が最大6倍まで増加、エラスチン量が最大3倍まで増加、細胞増殖が最大80%増加することが確認されています。

エクソソームの注意事項やデメリットは特筆したものはありません。
細胞由来の成分ということもあり安全性が高く、副作用も起こりにくいと言われています。

とは言えダーマペンを用いて施術を行うので施術から3日〜1週間程度は炎症や皮剥け、内出血などが生じるケースはありますのでダウンタイムは発生します。

ボトックス

料金相場:1回4.5〜6.5万円(ダーマペンとのコンビネーション)
おすすめの症状:毛穴の開き、小じわ

美容医療、特にシワ治療の定番メニューであるボトックスもダーマペンと組み合わせて施術することができます。

通常のボトックスは深い筋肉層に注入しますが、ダーマペンでは表皮から真皮層という浅い層にボトックスを浸透させることで、ナチュラルな表情のまま、小じわを改善し、毛穴を引き締め、滑らかでハリのある肌へと導きます。

さらに皮脂腺や汗腺に作用し、汗や皮脂の分泌を抑えます。
これによりニキビ・ニキビ肌の改善効果も期待できます。
ダーマペンとボトックスのコンビネーション治療は「ボトックスフェイシャル」という名称を付けて提供しているクリニックもあります。

注意事項・デメリットとしては他のコンビネーション治療同様炎症や皮剥けなどが起きるダウンタイムは発生するため、術後1週間ほどはスキンケアに注意が必要です。

▼医師監修ボトックス施術詳細(概要、ダウンタイム、費用、リスク等)はこちら

ダーマペンの症例、口コミ

まとめ

出典 https://www.dermapenworld.com/

ダーマペンのコンビネーション治療についてお伝えしました。相乗効果が見込めるコンビネーション治療の選択肢が多いダーマペン。

肌質によっては薬剤が合わないリスクもあるので、自身の肌質や治したい症状を診察時に医師に伝えた上で最適なダーマペン療法を選択するようにしましょう。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

MarkeTech

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宮城県出身。美容クリニック3医院で勤務した経験のあるWEBマーケター&ライター。2021年より独立し、美容以外でも金融/通信/人材などのフィールドで活躍中。

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監修:

永岡紘子 医師

美容皮膚科医

愛知医科大学医学部医学科卒業。
愛知医科大学にて臨床研修。
その後川崎医科大学 皮膚科入局。
美容皮膚科エルムクリニック岡山院を経て、広島院へ。2023年KAUNIS CLINIC勤務。

得意分野はニキビ治療、レーザー治療、ヒアルロン酸注入、ボトックス注射。

愛知医科大学医学部医学科卒業
愛知医科大学病院にて研修
川崎医科大学皮膚科入局
美容皮膚科エルムクリニック岡山院
エルムクリニック広島院
KAUNIS CLINIC

執筆:

MarkeTechライター

宮城県出身。美容クリニック3医院で勤務した経験のあるWEBマーケター&ライター。2021年より独立し、美容以外でも金融、通信、人材などのフィールドで活躍中。

歯科医院
美容皮膚科
全国展開美容外科クリニック(WEBコンサルタント、マーケッター)
合同会社マーケテック設立