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ケアシスSとはエレクトロポレーションという美容成分を導入する施術です。
似たような導入の施術だとイオン導入がありますが、ケアシスSはその20倍もの高い効果があると言われています。今回はそんなケアシスSを徹底的に解説し、お悩みに合った導入成分についてもお話ししていきます!

ケアシスSとは

ケアシスとは分子の大きな薬剤を45℃から-20℃まで温度を調整しながらエレクトロポレーションという仕組みの導入を行うことができる施術です。エレクトロポレーションは真皮の下層という、ただ美容液などを塗ったり、イオン導入では届かない層に薬剤を届けることができます。

エレクトロポレーションが登場する前は真皮の下層にまで薬剤を届けようと思うとメソセラピーという針で直接注入する手法が一般的でしたがその分、痛み、出血、内出血など大きな負担が生じてしまいました。ケアシスSは同じ真皮の下層までアプローチできるのにも関わらず痛み、ダウンタイムがないことが魅力のひとつとなっています。

従来の多くのエレクトロポレーションは冷却のモードが搭載されていなかったのですが、ケアシスSは-20℃までお肌の状態により調節し冷やすことができます。この冷却モードが搭載されていることのメリットは、レーザーなど他の施術と併用した際のダウンタイムの軽減に繋がります。

それだけでなく、身体が冷えると血管が収縮し、導入した薬剤が皮膚により長時間留まることで従来の温熱のみのエレクトロポレーションと比較しさらに高い効果を発揮することができます。

導入する薬剤によりそれぞれ異なった効果が期待できるため、シミ、くすみ、小じわ、たるみ、毛穴、ニキビ、ハリ、薄毛、肝斑、日焼け後のダメージケアなど幅広いお悩みに対応できる機械となっています。どの成分がどのお悩みに合っているのか詳しい薬剤の成分については後ほど解説していきます。

ケアシスS施術の風景

ケアシスSはお顔はもちろんボディにも導入を行えます。
骨張っているおでこや顎では電気のピリピリ感を多少感じる方もいますが、痛みもほとんどありません。看護師として施術を行なっている時、リラックスでき気持ち良いと寝られる患者様も少なくありません。

施術を受けることができない方は妊娠中の方、ペースメーカーが入っている方が禁忌となっていますが、受診される美容クリニックにより多少異なるのでご確認下さい。副作用は導入する美容液によるアレルギー反応があるため、アレルギーをお持ちの方や化粧品で荒れてしまった経験がある方は事前にナースさんなどに知らせておくとよいと思います。

エレクトロポレーションってどんな仕組み?

次はそもそもエレクトロポレーションとはどんな仕組みなのか説明していきます。まず皮膚の構造についてですが、外側から表皮層(そのなかで角質層→顆粒層→有棘層→基底層)、真皮層(皮脂腺、弾力を司るエラスチンとコラーゲン線維が含まれる)、皮下組織という順で構成されています。
ケアシスSはクライオエレクトロポレーションシステムを採用しており、表皮層にある角質細胞の細胞膜に電気を通すことで小さな穴を数秒から数分間開けることで薬剤を真皮層に導入できるという仕組みになっています。そのためエレクトロポレーションは電気的穿孔法とも言われています。

イオン導入との違い

イオン導入とは薬剤をイオン化し、同じ電気の極同士が反発する性質、+極から−極へ水が流れる性質を活かして導入を行う施術です。
エレクトロポレーションとの大きな違いは①浸透する層の違い ②導入できる分子の大きさの違い が挙げられます。

①浸透する層の違い

皮膚は表面から表皮、真皮、皮下組織と大きく3つに分類されます。イオン導入では表面の近い表皮層まで、エレクトロポレーションではそのひとつ下の真皮層まで薬剤を導入させることができます。そのためエレクトロポレーションであるケアシスSはイオン導入の約20倍の効果があると言われています。

②導入できる分子の大きさの違い

イオン導入の場合、細胞の隙間や毛穴、汗腺からの浸透が主な経路となり、ビタミンC誘導体、トラネキサム酸、グリシルグリシンなどの分子の小さい成分のみ導入できます。それに対してエレクトロポレーションでは細胞を覆う膜に小さな穴を開けるため、成長因子などの大きな分子の成分も導入することができます

私が看護師として施術を行っていると施術後のもっちり感に驚かれる方が多いです。普段スキンケアで補えているつもりだったが、まだこんなにもお肌に導入ができたのかとケアシスSを受けると気づかれるかと思います。

マイルドな施術のため一度でシミを薄くする、シワを目立たなくする効果はありませんが画像診断機を用いて経過を見ていくとケアシスSだけでシミの数値や範囲が改善される方もいます。
イオン導入と比較し約20倍の効果があると言われているケアシスSは選択する薬剤の幅が広く、薬剤により期待される効果が変わってくるためあらゆる肌質、肌悩みの方におすすめできる施術のひとつです。

ケアシスSの症例

ケアシスSは単体でも勿論効果がありますが、他のレーザー、ピーリング、スキンケアとの併用するコンビネーション治療でもとても力を発揮してくれる施術です。
実際の症例写真を紹介していきます。

ケアシスS単体 1回

ケアシスS単体 3回

ケミカルピーリング+ケアシスS 6回

ジェネシス+ケアシスS 4回

ピコトーニング 6回+ケアシスS 4回

導入する美容成分の選び方

ケアシスSは導入する薬剤により効果が異なるため、お悩みによってどの薬剤を選ぶかが重要となります。患者様とお話しをしていると実際の肌状態とご自身が感じるお悩みが一致していないこともあるため、施術を受ける美容クリニックでしっかり診てもらい薬剤を選択するのが良いかと思います!

ビタミンC誘導体

美白、皮脂抑制、コラーゲンの産生を促進する作用があります。ビタミンC誘導体は美容に良いというイメージをお持ちかと思います。ビタミンC誘導体は抗酸化力が強い成分です。

そもそもお肌では紫外線やストレス、たばこなどが原因で活性酸素という物質が発生し、ニキビやシミ、シワなど様々なトラブルの元となる酸化の反応が起きています。この酸化の反応を抑制してくれるのがビタミンC誘導体となっています。

ビタミンCとビタミンC誘導体の違いは何かというと安定性の違いがひとつとして挙げられます。ビタミンCは皮膚へ浸透しづらい不安定な面を持っているため、これを改良したものがビタミンC誘導体となっています。

配合されている主な薬剤:レナトスTA+(クレシオ)、ペップビュー+(クレシオ)、VC IPエッセンス(ナビジョン)、APPSイオントフォパウダー(ITO)

皮脂についてこちらのツイートで図解しているのでオイリー肌、ニキビでお悩みの方はチェックしてみて下さい!

トラネキサム酸

美白の作用、肌荒れを改善する作用があり、シミでお悩みの方におすすめです。トラネキサム酸はプロスタグランジンという炎症に関与している物質の生成を抑える効果があります。抗炎症剤として保険診療でも風邪をひいて喉が痛くなったりすると処方されるため耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

そのため肌荒れを改善する効果があることは想像して頂けると思いますが、シミにもとても効果的な成分となっています。プロスタグランジンはシミを作る工場のような役割のあるメラノサイトという細胞を活性化させてしまい、メラニン色素をたくさん産生させてしまいます。なのでその原因となるプロスタグランジンを抑制することでシミの改善、お肌のトーンアップに繋がる仕組みとなっています。

配合されている主な薬剤:レナトスTA+(クレシオ)、TA IPエッセンス(ナビジョン)、TAホワイトローション(plus restore)

シミのできる仕組みはこちらのツイートで図解したのでご興味ある方はご覧下さい!

アルジルリン

筋肉を緩める作用(筋弛緩作用)があり、「塗るボットクス」と呼ばれている成分です。マイルドに効いてくれるということがメリット、デメリットでもあります。

メリットとして捉えると表情の変化の副作用(目が重くなるなど)が出現しづらく、お顔全体に導入できるため、全体的な緩やかなシワの改善効果、肌のハリ感が期待できます。

デメリットととして捉えると、アルジルリンはボトックスの5分の1程度の効力と言われているため、明らかに表情筋によりシワができてしまっている状態、できそうな状態の場合はボトックス注射を打ち改善を試みると良いかと思います。

  • 配合されている主な薬剤:ペップビュー+(クレシオ)

グリシルグリシン

毛穴を目立たなくさせる作用があります。毛穴の数自体を減らすことはどの施術でも不可能なため、目立ちづらくなるようアプローチしていきます。

毛穴が目立つ肌の特徴に毛穴の出口がすり鉢のようになっており、その影で余計に凹んで見えるということが挙げられます。グリシルグリシンは毛穴の出口を滑らかにする整肌保湿成分のため、毛穴悩みでも開き毛穴の方が特におすすめとなっています。

  • 配合されている主な薬剤:GG IPエッセンス(ナビジョン)

成長因子

成長因子には様々な種類がありそれぞれ担う役割が異なりますが、大きく説明すると細胞の増殖を促し、ターンオーバー(お肌の生まれ変わり、新陳代謝)を促進する作用があります。

そのため細胞の増殖を促すことで効果を出すダーマペンやフラクショナルレーザー、レーザーフェイシャルなどの毛穴治療やリジュビネーション(若返り)治療と併用することで相乗効果が期待できます。また傷が治る創傷治癒過程に働くためダウンタイムを抑えたい方にもぴったりな成分です。

  • 配合されている主な薬剤:ペップビュー+(クレシオ)

【記事の執筆・レビューに使用した参考文献等】

記事の正確性等の確保方法及び参考文献の取り扱いについては、Call to Beautyの編集プロセスをご覧ください。

『あたらしい美容皮膚科学』(2022年南山堂)
日本美容皮膚科学会 監修
クイーンズスクエアメディカルセンター皮膚科 部長 尾見徳弥 編
みやた形成外科・皮ふクリニック 院長 宮田成章 編
静岡社会健康医学大学院大学 学長・理事長 宮地良樹 編
大阪医科薬科大学 教授 森脇真一 編

『美容医療超実践講座』(2017年全日本病院出版会)
宮田成章 編著
土井秀明 石井浩一 酒井直彦 有川公三 西堀公治 岩城佳津美 小林直隆 加藤聖子 荒尾直樹 今泉明子 黄聖琥 曽山聖子 田中裕太 著

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

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まいまい

都内の美容皮膚科メインで働く正看護師。新人の教育担当も経験。現在は保険診療も併設されているクリニックで勤務中。美容と保険をうまく組み合わせ患者様のお悩みを解決したいと考えている。美容について勉強したことを発信しており、Twitterでは1,000人以上のフォロワーも。医療従事者としてエビデンス(根拠)に基づいた内容を伝えることを心掛けている。

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執筆:

まいまい看護師

都内美容皮膚科、保険診療皮膚科その他形成外科などが併設しているクリニックで働く正看護師。自身がニキビで悩み、SNSや雑誌などで知った情報を試すも良くならなかった経験からお肌の状態が自信をなくしたり、QOLを下げる原因にならないよう美容看護師になる。

また誤った情報で悲しい思いをする方を減らすため根拠に基づいた美容法をSNSで紹介している。クリニックでは前職、現職でも指導者・プリセプターを担当。施術だけでなくカウンセリングも行っている経験から現実的に実践できるような手軽な美容から幅広く発信。

愛知県の大学病院(救急病棟)
都内美容皮膚科クリニック
都内美容皮膚科、保険診療皮膚科その他形成外科などが併設しているクリニック