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皆さんは自分自身のバストに自信がありますか? ある、と答える方はそれほど多くないのではないでしょうか。
バストの大きさやハリ、乳頭部分の色など、バストに関する悩みは意外に多いもの。そのなかでも人に相談しづらいのが、陥没乳頭(かんぼつにゅうとう)です。
陥没乳頭とはその名の通り、乳首がへこんで内側に入っている状態のこと。見た目でコンプレックスを抱きやすいほかにそのままにしておくと将来的に授乳ができないケースもあります。ここで陥没乳頭の悩みを解消する方法について、10人の先生方の見解をまとめてみました。
目次
- 1.陥没乳頭とは
- 1-1.陥没乳頭とはどんな症状?
- 1-2.陥没乳頭の原因とは
- 1-3.陥没乳頭だと授乳できなくなる?
- 2.陥没乳頭の悩みを解消する方法
- 2-1.陥没乳頭を改善するマッサージ
- 2-2.美容外科で行う陥没乳頭の手術
- 2-3.陥没乳頭の手術、メリットとデメリットは?
- 2-4.陥没乳頭手術後の再発について
- 2-5.陥没乳頭の手術は保険適用になることも
- 3.まとめ
1.陥没乳頭とは
バストの悩みの中でも人に相談しづらい陥没乳頭の症状。まずはどんな症状なのか、詳しく見ていきましょう
1-1.陥没乳頭とはどんな症状?
陥没乳頭の手術例が多い北村クリニックの北村義洋先生はこのように説明しています。
「通常、乳房の先端でツンと突出している乳頭がバストの内側に潜りこみ、文字通り陥没した状態になっているのが陥没乳頭です。これはバストのふくらみに比べ、乳頭の発達が不十分だったときに表れる症状とされています。このままですと、将来的に赤ちゃんに授乳するときの障害になりやすいことや、陥没した部分にアカが溜まりやすいために炎症を起こしやすいなど、放置しておいて良いことはあまりありません。何より見た目を気にして深刻な悩みにおちいってしまうというのが、一番の問題です」
出典 北村クリニック
陥没乳頭は、女性だけでなく男性にもみられる症状です。すぐに治療をしなければならない症状ではありませんが、大きな問題となるのは見た目にコンプレックスを感じてしまうこと。女性の場合、友達と温泉に入れない、恋愛に臆病になってしまう、パートナーにからかわれて傷ついた……というような深刻な悩みに発展することもあります。
男性の場合、プールやサウナなどで同性の目が気になると悩んでいる人が多いようです。女性と違って隠すことができないため、治療を考える人も少なくありません。
陥没乳頭には「仮性」と「真性」の2つに分かれます。指で乳首を引っ張るようにすると、外に乳首が出てくるのが仮性、引っ張っても出てこないのが真性になります。仮性の場合、マッサージなどで緩和させることができますが、真性の場合は授乳ができないケースもあります。
1-2.陥没乳頭の原因とは
では、なぜ陥没乳頭が起こるのでしょうか。バストトップ形成において症例の多い、銀座みゆき通り美容外科ではこのように説明しています。
「陥没乳頭(陥没乳首)とは、バストが成長するにつれて乳首がバストの内部に埋もれてしまった状態です。 母乳は乳腺で作られ、乳管という通り道を通って、乳首の先から出るものですが、 陥没乳頭は乳管の周りが何らかの原因で線維化して縮んでしまい、バストの成長に対して乳首が成長を妨げられたために、乳首が埋もれてしまった状態です」
出典 銀座みゆき通り美容外科
近年は食事の変化により、昔と比べてバストが大きい女性も多いですよね。そのため、陥没乳頭に悩む女性も増えているようです。
1-3.陥没乳頭だと授乳できなくなる?
陥没乳頭は見た目の問題だけではなく、将来的に授乳をする際に妨げになることがあります。また、汚れが溜まりやすくなるため、乳腺炎になりやすいとも言えます。絶対に授乳できないというわけではなさそうですが、トラブルを起こしやすいと考えるべきでしょう。なお、炎症を起こしやすいというのは授乳をしなくても同じです。
バスト専門のクリニックとして知られるナグモクリニックの南雲吉則先生は以下のように説明しています。
「乳首の見た目が不自然なだけでなく、真性の場合は、授乳ができません。仮性の場合は授乳が可能なこともありますが、真性と同様、へこんでいる部分に汚れがたまり、雑菌が繁殖しやすい不衛生な状態になります。そのため、乳腺炎という病気になるリスクが非常に高くなります。
乳腺炎とは、乳腺が炎症を起こす病気です。放っておくと乳腺の正常な部分まで破壊され、うつ伏せに寝られないほど激しい痛みをともないます。また寒気がし、発熱するため、日常生活にも大きな支障をきたします。さらに、膿がたまって乳房内に膿瘍(のうよう)ができた場合は、切開して排膿(はいのう)する処置が必要になります」
出典 ナグモクリニック
切開して膿を出す治療が必要になるというのは怖いですね。ましてや出産後、ナイーブになっている時期にこのような治療をするのはつらいもの。保険適用の治療も行っている恵比寿ウエストヒルズクリニックでも将来的に出産を考えている場合、治療をして備えた方がいいと説明しています。
「乳頭は陥没していると、その部分に汚れが溜まりやすく、乳腺炎などの病気を引き起こしたり、赤ちゃんに母乳を飲ませづらい『授乳障害』へとつながる可能性があります。その場合、陥没した乳頭が妊娠しても突出してこない場合は授乳できず、母親は乳房が腫って疼痛に苦しみ、乳児は乳頭をくわえられずにイライラするため双方にとってよくありません」
2.陥没乳頭の悩みを解消する方法
陥没乳頭は真性か仮性かによって緩和、解消させるための方法が変わってきます。将来的に出産する予定のある方は年齢に制限はあるものの保険で手術を受けることもできます。ここからは陥没乳頭の悩みを解消する方法について考えてみましょう。
2-1.陥没乳頭を改善するマッサージ
仮性の陥没乳頭はマッサージによって症状を緩和させることができることもあります。マッサージの際には乳頭吸引器などを使って、あらかじめ乳首を突出させておくようにします。授乳の際に使用する乳頭吸引器を利用してみましょう。
出典 hhttp://products.pigeon.co.jp/
真性の陥没乳頭の人は授乳時に傷になって出血したり、乳頭部分が熱をもったりすることがあります。場合によっては頭痛が起きて寝込んだりしてしまう妊婦さんも。
豊胸手術の症例も多いクリニカ市ヶ谷のサイトでは以下のようなマッサージ方法を紹介しています。妊娠している方は授乳に備えて妊娠4カ月くらいからマッサージを初めるといいでしょう。
「1日1回、血行が高まりやすい入浴時に、マッサージを行いましょう。マッサージをしても乳首が突出しない時は、吸引器具などで一度乳頭を隆起させてから行ってください。
1.乳頭を引っぱり出す
片方の手で乳房を支え、もう片方の手の親指・人指し指・中指で乳頭をつまみます。2.上下から圧迫する
人差し指と親指で乳首をつまみ、普通で3秒、乳首が硬ければ5~10秒かけて上下に少しずつ圧を加えます(指が白くなるくらいまでしっかり圧迫します。痛みを感じたら無理しないでください)。
最初はゆっくり、乳輪から乳頭にかけて位置や方向を変えながら1分ほど圧迫します。乳頭の硬い人や過敏な人は2~3分かけてしっかり行ってください。3.こよりを作るようにマッサージ
人差し指と親指で乳首をつまみ、こよりを作るように指を動かしながらずらします。横方向、縦方向と同じように行います。最初はゆっくり痛くないように、慣れてきたらたっぷりマッサージします。刺激で痛い方は、まず圧迫刺激に慣れるところから始めてください」
出典 クリニカ市ヶ谷
2-2.美容外科で行う陥没乳頭の手術
真性の陥没乳頭の場合、マッサージや吸引器を使ったケアをしても効果がないことがほとんどです。見た目が気になるという方や出産・授乳する予定のある方などは美容外科での手術を検討してもいいでしょう。陥没乳頭の手術は乳首の周りを小さく切開して、乳首を外に出すというもの。授乳の可能性があるかどうかで手術の方法は異なります。
東京イセアクリニックでは手術は局所麻酔で行い、60分程度で終わると説明しています。
出典 東京イセアクリニック
「乳頭周囲を2ケ所Z型に切開します。その部位より皮下および乳頭周囲を十分に剥離し、乳頭の突出が十分な状態にし、Z型の切開を形成し、立体的に縫合し元に戻らないように固定します」
出典 東京イセアクリニック
授乳する可能性がある場合、カウンセリングの際に乳管を温存する方法で手術をしてもらえるかどうか、必ず確認しましょう。恵比寿ウエストヒルズクリニックのサイトでは手術内容について、以下のように説明しています。
「陥没乳頭は手術により治療いたします。ほとんどの場合、日帰り手術となります。手術は乳管束を温存する方法と切断する方法とがあります。手術後に授乳の可能性がある場合は、乳管束を温存する方法で行います。 手術は陥没している乳首を引っ張り出した後、傷跡が目立たない位置で切開し陥没癖を除去し、 後戻りしないように縫合します。症例によっては皮膚の一部で真皮弁を作り、縫合することで再発を防ぎます。 術後はドーナツ状の器具で固定し10日~2週間で抜糸いたします。傷跡は時間とともに徐々に目立たなくなります。 当院では形成外科専門医により、見た目にも配慮した手術を行いますので、安心してご相談ください」
また、南雲吉則先生のナグモクリニックではさらに切開部分が小さくすむ方法で手術をおこなっているそうです。
「ナグモクリニックの陥没乳頭形成術は、乳首の根元をわずか2mm、2カ所だけ切開する方法です。これほど小さな切開で、乳首を外に出すことができます。もちろん、傷は目立ちません。また、一般の美容外科で行われている方法と違い、時間の経過とともに元に戻ることはほとんどありません」
出典 ナグモクリニック
大阪市にあるつかはらクリニックではメスを使用しない、抜糸不要、傷跡もほぼ残らないというオリジナルの方法で手術を行っているそうです。もちろん乳管の温存も重要視しているとのこと。
実際の手術のおおまかな流れは以下のようになっています。メスは使用しませんが、糸を通す穴をあける必要があります。二重埋没法に似た原理ですね。糸は溶ける糸を使用しているため、抜糸の必要がありません。
「乳頭周囲を消毒したあと、本来出るべき乳頭の根元部分に、丸く印をつけます。その印しに沿って、局所麻酔の注射を4カ所行います。もともと敏感な部分ですので、この注射は少々我慢してください。印の1カ所に、1点穴を開けます。乳頭を引き出した状態でその穴から、ナイロンの糸を通します。糸の先には針がついていて、針をとなりの印を付けた部分に出します。このときにコツが必要で、乳頭が出るように、針先の通し方を工夫することで、乳管を持ち上げます。この操作を3回繰り返し、糸を最初の位置に戻します。糸の結び目は、最初に開けた穴に落とし込みます。糸は全て皮膚の下に潜り込む形となり、表面から見えません。小さい穴が開いているだけですので、縫合の必要がありません」
2-3.陥没乳頭の手術、メリットとデメリットは?
陥没乳頭の手術は短時間で終わるものの、非常に複雑な手術となっています。症状に合わせてどのように切開するかなど、医師の技術レベルが問われる施術でもあるようです。術後は乳首を固定し、患部を保護する必要があります。
「陥没乳頭術のメリット、確実性が高い手術で、かつ傷痕が目立ちません。陥没乳頭術のデメリット、とにかく手術が複雑で、血行を考えると大変難しい手術になります。形成外科医専門医でも慣れた医師を選択しましょう。術後1週間は乳頭釣り上げ器をつけなくてはならず、ややうっとおしいのも欠点かも知れません(中略)
血行の状態は大変重要ですので、術後翌日の診察はかかさず行います。術後7日目に固定をはずします。暫くはドーナッツ状の当て物で傷を保護します。洗髪は、胸以下のシャワー浴は術後当日からでもかまいません。乳房部のシャワー浴は、乳頭の釣り上げ器を外した当日から可能です。完全にお湯に浸かれるのは抜糸後です。
抜糸までは自分で消毒をきちんとします。抗生剤のローションは、きわめて有効です」
出典 酒井形成外科
2-4.陥没乳頭手術後の再発について
真性の陥没乳頭の場合、手術後、症状が再発するケースもあるようです。その場合、乳管を切除しなければならないことも。乳管を切ってしまうと授乳ができなくなるので、カウンセリングでよく説明してもらうようにしましょう。銀座みゆき通り美容外科では再発の可能性について次のように指摘しています。
「炎症や手術後の再発を繰り返した重症の陥没乳頭の場合は、手術後に症状が再発する可能性があります。当院では再発しないように十分配慮して手術方法を選択していますが、それでも万が一症状が再発した場合には、さらに再発しにくい手術方法に変更して再手術を行うことも出来ます。ただしその場合は確実に再発を予防するために、乳管を切らざるを得ない場合もあります(その場合は、手術後に授乳できなくなります)。
出典 銀座みゆき通り美容外科
また、城本クリニックでは1年以内に元に戻ってしまった場合、1回無料で再手術を行う保証制度を設けています。患者ひとりひとりの状況に合わせて施術方法を選び、切開のしかたも最も適した方法を選んでいるそうです。
「施術は、癒着部の剥離と乳頭部を持ち上げて固定、形成します。陥没の症状や程度には個人差があり、最も適した施術法を専門医がきちんと提案します。治療法には、乳管を温存する施術法と、乳管を切断する施術法があります。乳管を完全に切断すると乳頭の陥没は解消されますが、施術後の授乳を考慮した場合は、乳管温存法で施術を行います。施術後の傷跡は、ほとんど判らなくなります。施術後に、乳頭や乳房の感覚が鈍くなる心配はありません」
出典 城本クリニック
真性の陥没乳頭で再発の恐れがあるという方はこのような保証制度のあるクリニックを選ぶといいでしょう。もちろん、手術を決めるには複数のクリニックでカウンセリングを受けるようにしてくださいね。
2-5.陥没乳頭の手術は保険適用となることも
将来的に授乳をする可能性がある40歳以下の女性の場合、陥没乳頭の手術を保険適用で受けることができます。その場合、費用は両方の乳頭で5万円程度。自由診療の場合20〜25万円程度かかるのに対し、かなり安い費用で手術を受けることができます。
ただし、保険適用で手術を受けると見た目の美しさ、自然さに配慮してもらえないこともあるようです。
保険適用の手術でもできる限り、見た目の自然さに配慮してくれるクリニックを選びたいですね。東京皮膚科・形成外科の総院長、池田先生はご自身のブログ「本音美容辞書」で以下のように説明しています。
「陥没乳頭は授乳障害を来す場合には保険での手術が可能です。局所麻酔で施術し、日帰りの手術が可能。保険適応となる場合は片方25,000円程で治療できます。美容目的での手術は保険では行えないのですが、もちろん見た目も大事なので東京皮膚科形成外科では出来る限り見た目にもこだわっています。(手術後)1ヶ月程は再度引っ込まないように圧迫防止のスポンジをつけてもらっています」
出典 東京皮膚科・形成外科
ちなみに保険適用で手術をして自由診療の施術で見た目をケアするという混合診療はできません。将来的に妊娠を考えている人は保険が適用となる年齢のうちに手術を考えた方がいいかもしれませんね。
3.まとめ
いかがでしたか? 陥没乳頭に悩む女性が増えていると言われる今。一人で悩まずにまずはカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。自分で刺激しても乳頭が突出しない真性陥没乳頭と思われる方は、早めにクリニックなどで相談してみることをお勧めします。
*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

Emiri
美容系全般得意なライター。自身でも美容医療を実践。
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監修:
依田拓之医師
よだ形成外科クリニック
東邦大学医学部卒業。形成外科医として経験を積み、美容外科院長を歴任。宮城県仙台市に2010年よだ形成外科クリニックを開業。2020年で開院10周年。
日本形成外科学会認定専門医の資格を持ち、現在では少なくなった総合的な美容医療を地域に提供しています。目元、鼻などの美容外科治療はもちろん、エイジングケア、美肌、男性・女性のAGA、男性診療まで幅広いメニューは安心してかかりつけ医にできそうです。
東邦大学医学部卒
東京警察病院形成外科入局
美容外科クリニック院長
よだ形成外科クリニック院長

この記事の監修ドクターが所属するクリニック
- 住所: 宮城県仙台市青葉区花京院1丁目1-6
- 最寄駅: JR仙台駅より徒歩3分地下鉄広瀬通駅より徒歩10分
- 院長: 依田 拓之
- 診療時間: 月・火・木・金9:30~12:30 14:00~18:30 第2・4土・日9:30~17:30
- 休診日: 水・第2・4日・祝
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