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今、陥没乳頭(かんぼつにゅうとう)に悩む女性が増えていると言われています。陥没乳頭とは乳頭部分がへこんでいたり、平らだったりする状態のこと。見た目が不自然でコンプレックスを抱きやすいというだけではなく、そのままにしておくと将来的に授乳ができない可能性も出てきます。ここでは陥没乳頭の症状と真性、仮性の違い、保険適用で手術ができるかどうかなどについて詳しく説明していきます。
目次
- 1.陥没乳頭とは
- 1-1.陥没乳頭には真性と仮性がある
- 1-2.陥没乳頭の原因とは
- 1-3.陥没乳頭だと授乳ができない?
- 1-4.陥没乳頭と違う? 扁平乳頭とは
- 2.陥没乳頭を改善する方法とは
- 2-1.陥没乳頭を改善するセルフケアグッズ
- 2-2.陥没乳頭の外科手術
- 2-3.陥没乳頭の外科手術は保険でできる?
- 2-4.陥没乳頭の手術は保険でやらないほうがいい?
- 3.まとめ
1.陥没乳頭とは
1-1.陥没乳頭に真性と仮性がある
乳頭部分がへこんでいたり、内側に入りこんで平坦な状態になったりしている状態を陥没乳頭と呼んでいます。指で乳頭を引っ張るなど刺激を与えると出てくる場合は「仮性陥没乳頭」、刺激を与えるなどしても乳頭がまったく突出しない場合は「真性陥没乳頭」であると考えます。
仮性陥没乳頭の場合、体が成長するにつれて自然に治ったという人や授乳がきっかけで治ったという人もいるようです。陥没乳頭に悩んでいるけれど自分がまだ10代という方や、陥没乳頭に悩んでいるお子さんをお持ちの方がお子さんの手術や治療を考える場合、本人の成長期が終わってからの方がいいでしょう。
「授乳したら治りましたが最初は切れて痛くて泣きました…。ちなみに遺伝したのか5ヶ月の息子も陥没してます…」
「両方とも陥没乳頭です。陥没乳頭の場合、程度によってはうまく授乳できないこともあるそうです。私の場合は刺激すれば突出するので、一応授乳できましたが、すぐに完全ミルクに移行したので今でも陥没したまま。友人は片方は授乳で治ったらしいです」
陥没乳頭に悩む人のほとんどは女性ですが、実は男性でも陥没乳頭に悩んでいる人はいます。男性の場合、プールや海水浴、サウナなどで上半身裸になることが多く、そういった意味では女性よりも深刻な悩みになりかねません。
1-2.陥没乳頭の原因とは
乳房には母乳を作る器官である「乳腺」と母乳が通る「乳管」という組織があります。この乳管の発達が十分でなく、短いままだと乳腺とアンバランスな状態となり、乳頭部分が内部に引っ張られるのです。昔と比べて食生活が豊かになり、胸の大きい人が増えるにしたがって陥没乳頭ぎみになる女性も増加しているのでしょう。刺激すれば乳頭が突出する仮性陥没乳頭は特に多いようです。
「陥没乳頭は、乳頭部にある約15~20本集まった乳管束が、その周囲の瘢痕(はんこん)などにより未発達となり、乳頭が引き込まれてしまうことにより発生するので、乳管をそれらの瘢痕様組織から解除することで、症状の改善につながります。保険が適用されますので正しく治療をして、将来にしっかり備えましょう」
男性の場合は?と疑問に思うかもしれませんが、実は男性の体にも乳腺と乳管が存在しています。
「男性の場合でも乳頭内部には乳腺で生産した乳汁を運ぶための乳管があります。乳管束の周囲に瘢痕組織が存在して引きつれることにより乳頭内部に引っ張られて乳輪皮膚に陥没してしまうことにより起こります。乳管束と瘢痕組織の癒着を剥がすことにより、乳頭を突出させることができます」
出典 仙台中央クリニック
1-3.陥没乳頭だと授乳ができない?
陥没乳頭は見た目が不自然であるということ以外、大きなトラブルになることはあまりありませんが、乳頭が入り込んでいる部分に汚れが溜まったり雑菌が繁殖してしまうことも。また、乳首が突出していないため、赤ちゃんが母乳を飲みづらいというデメリットも。「陥没乳頭イコール授乳できない」というわけではないようですが、痛みや不快感を伴うことが多くなるようです。
「私も陥没気味だったので、授乳のとき飛び上がるほど痛かった。切れて血が出たりもしたし…そうならないように、今からお風呂に入ったときとか つまんで出すようにしてればだんだん出てくるようになると思うよ。
オイルでマッサージしながら出したりとか」
また陥没乳頭の人は出産後は乳腺が炎症を起こす「乳腺炎」という症状が起こりやすくなるようです。乳腺炎は乳腺に激しい痛みを感じ、ひどい場合は少し触れるだけでも痛い、夜も眠れないほど胸が痛いといった状態になり、生活の質が著しく低下してしまうことも。ただでさえ、産後はナーバスになりがちなのにつらいですよね。
「乳首の見た目が不自然なだけでなく、真性の場合は、授乳ができません。仮性の場合は授乳が可能なこともありますが、真性と同様、へこんでいる部分に汚れがたまり、雑菌が繁殖しやすい不衛生な状態になります。そのため、乳腺炎という病気になるリスクが非常に高くなります」
出典 ナグモクリニック
陥没した状態では赤ちゃんが乳首を上手に口に含むことができません。仮性陥没乳頭でも乳腺炎を起こしてしまえば、授乳する際にも強い痛みを感じることになり、お母さんと赤ちゃんの両方にとってストレスになります。そのため、将来的に出産を希望する場合、早めに手術をして陥没乳頭の症状を改善しておくのがベストと考えられています。
1-4.陥没乳頭と違う? 扁平乳頭とは
出典 銀座みゆき通り美容外科
内側に入り込んでいるというほどではないけれど、乳頭に高さがなく平らなのが気になるという人は「扁平乳頭」という症状であることが考えられます。扁平乳頭は陥没乳頭の軽い症状とも言えるでしょう。
「扁平乳頭(扁平乳首)とは、乳首が生まれつき、あるいは初めは高さがあったが何らかの原因で平らになってしまった乳頭の状態です。 高さが多少あるものの(5mm以下)、くびれが不明瞭な乳首も扁平乳頭に含まれます。(中略)乳首の内部には乳管という母乳が通るパイプが通っています。その乳管の周りが線維化することでバストの成長に対して乳首が成長しなかったために、乳首の高さが不足する場合があります。これが扁平乳頭の状態です。 もっと重症になると、乳首がバストの内部に埋もれる陥没乳頭という状態になります」
出典 銀座みゆき通り美容外科
2.陥没乳頭を改善する方法とは
欧米並みの食生活が一般的になり、バストも豊かな女性が増えることで陥没乳頭に悩む人も増えています。人に話しづらい悩みであるだけに「自分だけがこんな体なの……」と思っているかたもいるかもしれませんが、そんなことはありません。今、陥没乳頭に悩んでいる女性はたくさんいるので安心してくださいね。ここからは陥没乳頭を改善する方法について考えてみましょう。
2-1.陥没乳頭を改善するセルフケアグッズ
真性陥没乳頭の場合、セルフケアで症状を改善することは難しいでしょう。これに対して、仮性陥没乳頭の場合、セルフケアである程度の改善が期待できると言われています。手頃な価格のものも多いので、仮性陥没乳頭の方は試してみてもいかがでしょうか。ただし、妊娠中や授乳中に使用する場合、医師や助産師のアドバイスを受けるようにしてくださいね。
■プチパッドα
やわらかいシリコンでできた乳頭補正器具。陥没乳頭を改善して、授乳しやすい形に。吸引力の調整もできるので、無理なくケアできるようになっています。税込1,180円。
「使って1日で乳首が出ている時間が増えました。数ヶ月使えばもっとしっかり出そうです。難点は装着すると高さが出てしまい、装着のタイミングが難しいところです」
■ピペトップ
吸着性を良くするクリームを塗って乳頭に装着しておくだけで乳頭部分を自然な状態にしてくれる器具。使用後1カ月は24時間装着し、乳首のマッサージを続けることで仮性陥没乳頭の症状の改善効果が期待できます。価格は税込4,860円と少し高めです。
「形は1センチくらいの円柱型にギザギザが入っている様なモノで、スポイトみたいな要領で乳首を吸い上げます。(吸引力は調節可能)そのままお風呂に入る時以外はつけっぱなしです。ただそれだけ。小さいから、ピペトップの上にブラできるから、体育の着替えでも友達にバレないかと…ただ最初はピペトップが新しくて硬いから、グニグニ手で押してから使ってもこすれて痛くなっちゃう事もあるけど、痛かったら外して、治ってから再チャレンジしましょう。そうしてピペトップも馴染んできた頃には痛みもなく、付けてる事も忘れるくらい気にならなくなりますよ。そんな感じで3カ月……。乳首が出ました!!」
出典 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/
■メデラ ニップルフォーマー
妊娠後期から授乳期にかけて使用するニップルフォーマー。自然な力で乳頭が突出してくるのをサポートしてくれます。ブラジャーの下に装着するタイプなので、長時間使用可能です。価格は税込2,376円。
「ドーナツ状のシリコンゴムにプラスチックの半円のカバーがあって、ドーナツの穴の中に乳首を入れます。半円のカバーをつけて、その上からブラジャーをつける。と、弱い圧力がかかって、常に乳首が出ている状態を保ってくれるんです。実は妊娠前に美容整形で乳頭陥没を一時治したのですが、再発してまして….。あの30万円は痛い出費でした。とほほ~。(涙)」
出典 http://komachi.yomiuri.co.jp/
2-2.陥没乳頭の外科手術
真性陥没乳頭も外科手術で症状を改善させることができます。将来的に授乳をする可能性のある方は乳管を温存する方法を選ばなければなりません。手術時間は30分程度、日帰りで受けられることがほとんど。ただし、刺激をしてもまったく乳頭が突出しないタイプの真性陥没乳頭の場合、乳管を温存する方法で手術をすると10%未満の可能性で再発することがあると言われています。
「手術は乳管束を温存する方法と切断する方法とがあります。手術後に授乳の可能性がある場合は、乳管束を温存する方法で行います。手術は陥没している乳首を引っ張り出した後、傷跡が目立たない位置で切開し陥没癖を除去し、後戻りしないように縫合します。症例によっては皮膚の一部で真皮弁を作り、縫合することで再発を防ぎます。術後はドーナツ状の器具で固定し10日~2週間で抜糸いたします。傷跡は時間とともに徐々に目立たなくなります」
男性の陥没乳頭の手術は行っていないというクリニックも多いようですが、なかには対応しているところもあります。男性の方も諦めずに、相性のいいクリニックを探してみましょう。
「男性の陥没乳頭の手術は、難易度の高い治療になります。男性の陥没乳頭を手掛けているクリニックは非常に少数であり、『どこに行ったら良いか分からない。』『引き受けてもらえなかった。』と言われる方も多いようです。乳管束周囲に瘢痕組織が形成されており、瘢痕収縮により、乳頭が乳房内に引き込もうとされるために、陥没乳頭が起こります。乳管束と瘢痕組織の癒着を剥がす手術が必要になります」
出典 仙台中央クリニック
2-3.陥没乳頭の外科手術は保険でできる?
陥没乳頭の手術は将来的に授乳する可能性がある場合、保険適用で受けることができます。自己負担する金額は45,000円~5万円程度となっています。
「手術は局所麻酔で行い、約30分で終了します。授乳機能を残しながら乳頭を突出させ形を整えます。乳管周囲のひきつれた組織を切離して乳頭を引き出します。乳頭の両側から2枚の真皮弁を引き寄せて縫合し、つり橋状にします。その上に乳頭を載せるような形にして再陥没を防ぎます。手術の傷跡は目立ちません。
授乳障害がある陥没乳頭の手術には健康保険が適用されます。両側の陥没乳頭を手術した場合の費用は約5万円です」
出典 名古屋第二赤十字病院
「陥没乳頭(陥没乳首)の治療には、保険が適用される場合があります。対象となるのは40歳未満で、今後授乳の予定がある方です。陥没乳頭が原因で授乳に障害があると思われる場合、または授乳が困難であると疑われる場合に保険が適用されます。最終的には医師の診断によるので、まずはご相談ください」
出典 ナグモクリニック
2-4.陥没乳頭の手術は保険でやらないほうがいい?
陥没乳頭の手術を検討している方の中には保険適応で対応してくれるクリニックと自費診療のクリニック、どちらで手術を受けようか迷っている方もいるのではないでしょうか。実際に「保険適用で手術を受けて再発。見た目も不自然だったので修正を依頼したら『見た目を治すなら自費診療になる』と言われた」という人もいます。
保険診療と自費診療で手術の質が変わるようなクリニックであれば、手術を受けない方がいいのは当然です。事前に手術を受けた方の口コミを探してみたり、複数のクリニックのカウンセリングを受けたりして、保険診療でも見た目の仕上がりにこだわりをもってくれるクリニックを探しましょう。
仙台にあるよだ形成外科クリニックの院長・依田拓之先生はご自身のブログでこんな風に語っています。
「陥没乳頭は、授乳の妨げとなるばかりか、不潔になりやすく乳腺炎の原因ともなり得ます。また、何よりも見た目として悩む方も多いことでしょう。(中略)先日、患者さんからこんな相談をされました。とあるクリニックを受診したところ、『保険診療を行っているクリニックにて保険適応手術は絶対してはいけない、自費の手術でやらないと後悔する』と言われましたが、本当ですか?と。
保険適応手術で行えるかどうかは、①そのクリニックや病院が保険診療機関を標榜しているかどうか、②単なる美容目的でなく、授乳障害のある乳頭に対し手術を行う場合、が保険適応となります。つまり、授乳の可能性があり、乳管を温存する手術ならば保険適応となると言うことです。
保険で手術を行うと後悔するというのは私的には解せませんね。手を抜くと言うことでしょうか? 自費手術だと特殊な良い方法かあるのでしょうか? そのクリニックでは、40万円の見積もりであったとのこと。少なくとも私は、保険適応だろうが、自費の手術だろうが、どちらもベストを尽くして手術を行っております」
3.まとめ
いかがでしたか。仮性陥没乳頭であれば、まずはセルフケアを試してみるのがおすすめです。真性陥没乳頭の場合、将来的に出産を考えているなら早めに治療、手術を受けたほうがいいでしょう。いくつかのクリニックでカウンセリングを受けて保険診療でも美しく仕上げてくれるところを選びたいですね。
*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

Emiri
美容系全般得意なライター。自身でも美容医療を実践。
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監修:
依田拓之医師
よだ形成外科クリニック
東邦大学医学部卒業。形成外科医として経験を積み、美容外科院長を歴任。宮城県仙台市に2010年よだ形成外科クリニックを開業。2020年で開院10周年。
日本形成外科学会認定専門医の資格を持ち、現在では少なくなった総合的な美容医療を地域に提供しています。目元、鼻などの美容外科治療はもちろん、エイジングケア、美肌、男性・女性のAGA、男性診療まで幅広いメニューは安心してかかりつけ医にできそうです。
東邦大学医学部卒
東京警察病院形成外科入局
美容外科クリニック院長
よだ形成外科クリニック院長

この記事の監修ドクターが所属するクリニック
- 住所: 宮城県仙台市青葉区花京院1丁目1-6
- 最寄駅: JR仙台駅より徒歩3分地下鉄広瀬通駅より徒歩10分
- 院長: 依田 拓之
- 診療時間: 月・火・木・金9:30~12:30 14:00~18:30 第2・4土・日9:30~17:30
- 休診日: 水・第2・4日・祝
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