鏡をのぞいて、目の下のたるみにギョッとしてしまったことはありませんか? シワやシミと違って、日々ジワジワと進んでいくたるみは、ある日、突然気になりだすもの。また、他のエイジングサインと違ってコスメで改善しにくいのが特徴です。とはいえ、目の下がたるみだすと一気に見た目年齢がアップしてしまうので、1日も早くなんとかしたいですよね。ここで、メイク、美容液等自宅でできるケアからクリニックで行う美容医療まで、目の下のたるみに効果的な予防・解消方法について紹介します。

目次

目の下のたるみを解消する方法

目の下のたるみを解消する方法

シミやシワが少ない肌の持ち主でも、目の下がたるんでいるとそれだけで「この人、疲れているのかな?」「ああ、それなりの年齢なんだな」という印象を持たれてしまいがちです。たるみは放っておくと、どんどんひどくなってしまうため1日も早くケアを始めることが大切。まずは目の下がたるむ原因を理解し、おうちでできるケアから実践していきましょう。

1-1.目の下のたるみやクマが起こる原因

目の下のたるみが起こる原因はいくつかあります。たるみができた原因によって対処法も異なるので、まずは自分のたるみのタイプを見分けましょう。

■加齢によるもの

年齢を重ねるにつれ、眼輪筋(がんりんきん)と呼ばれる目の周りの筋肉が衰えて皮膚を支えきれなくなってきます。すると、肌が伸びたような状態になってたるんでしまうのです。一度、伸びてしまった肌をコスメで改善するのは至難の業。できれば、肌が伸びてしまう前になんとかケアしたいものです。

また、加齢によって肌のターンオーバー機能が衰えると表皮が薄くなってきます。そして、真皮でハリをキープしているコラーゲンやエラスチンといった成分も作られにくくなるため、たるみを加速させてしまいます。

加齢による目の下のたるみを改善するには眼輪筋を鍛えるエクササイズや美顔器で肌に直接アプローチするのが効果的です。

■外部からの刺激によるもの

外部からの刺激によるもの

目の下の皮膚は体の皮膚のなかでも特に薄く、0.5~0.6ミリ程度しかありません。さらに年齢によって表皮は薄くなってきます。アイメイクを落とすためにメイクアップリムーバーをつけて強くこすったり、アレルギーなどによって起こるかゆみを我慢できずにこすったりといった外部からの刺激も目の下のたるみを招く原因になります。強くマッサージするのもNGです。

アイメイクを落とすときは強くこすりすぎないこと。マスカラをお湯で落とせるタイプにするだけでも、まぶたへかかる負担は少なくなります。どんなときでも目のまわりはソフトタッチを心がけ、強くこすらないようにしましょう。

■脂肪が多いとたるみやすい?

たるみが起こる以前はなかなか気がつきにくいのですが、目の下には脂肪がついています。これを眼窩脂肪(がんかしぼう)と呼びます。眼窩脂肪は人によって多い人と少ない人がいますが、欧米人と比べて日本人は眼窩脂肪が多いのだそうです。

年齢とともに眼輪筋が衰えると、眼窩脂肪がずり落ちてきてふくらんで見えるようになります。目の大きい人は特に加齢によって眼窩脂肪が目立ちやすくなるので注意。目の下の脂肪が目立ってきたら、自己流のマッサージよりも、美顔器によるケアがオススメです。

■普通のクマと違う? たるみによって起こる目の下のクマ

若い人でもできやすい色素沈着や血行不良によるクマ。目の下にクマができると、疲れた印象を与えるだけではなく、実年齢よりも老けて見えてしまいますよね。じつはクマもたるみによって起こることがあります。

クマの色が青っぽいようであれば、原因は血行不良。色素沈着なら茶色っぽくなります。たるみによって起こるクマは黒っぽいのが特徴です。これは眼窩脂肪が膨らんで見えることで、その下の皮膚にくぼみができてしまうことが原因。たるみを軽減させない限り、このクマを取り除くのは難しいといえます。

1-2.目の下のたるみを防ぐセルフケア

目の下のたるみを防ぐセルフケア

目の下のたるみは気がついたらすぐにケアをはじめましょう。また、「まだそれほどたるみが気にならない」という方も、予防対策としてケアを取り入れることで、いつまでも若々しい目元をキープすることができます。たるみはシミやシワ以上に、「できてしまってからなんとかする」よりも「できないようにケアする」方が断然ラクということも覚えておいてくださいね!

■目の下のたるみを防ぐ美容液成分

筋肉の衰えが原因となっているたるみはコスメで改善するのが難しいエイジングサインです。それでも、なにもしないよりはケアした方がいいことには変わりありません。ここではコラーゲンやヒアルロン酸といった、定番保湿成分以外のオススメの成分を紹介していきます。

・レチノール

イチオシはビタミンA誘導体とも呼ばれるトレチノイン酸を含む成分レチノールです。美容皮膚科でもよくハイドロキノンと合わせてシミの治療用に処方されていますよね。

トレチノインは肌の細胞の分裂、増殖を促して新しく健康な肌が作り出されるのをサポートしてくれます。コラーゲンやヒアルロン酸も作られやすくなるため、肌にハリをもたらし、たるみを防いでくれる効果が期待できます。ただ、トレチノインは人によって肌がカサカサになったり、赤くなったりすることがあるようです。レチノールを配合したコスメを選ぶときは、目元専用のアイテムを使用しましょう。

・EGF

EGF(Epidermal Growth Factor/上皮細胞増殖因子)は皮膚の成長や代謝をコントロールするはたらきがあるエイジングケア成分です。もともとEGFはやけどや傷の再生や皮膚移植といった再生医療でも用いられていた成分で、コスメに配合することで肌の細胞を新たに作り出される作用を促進すると考えられています。

・プロテオグリカン

サケの鼻の軟骨から抽出される成分。ヒアルロン酸以上の保水力を持ち、EGFと似たはたらきを持つことでも知られています。保湿しながらターンオーバーを促す効果が期待できるため、アイクリームの成分としても人気が高まってきています。使用後は肌がプリプルになるという声も。

目の下のたるみを防止するには、これらの成分が配合されたコスメを使用していればOKというものではありません。化粧水でしっかりと保湿することや、アイメイクを落とすときにこすらないといった注意も必要であることを忘れないでくださいね。

■目の下のたるみを防ぐ美顔器

ここ数年、手頃な価格で購入できる美顔器が増えていますよね。眼輪筋の衰えによって起こる目の下のたるみには超音波やイオン導入だけではなく、筋肉にアプローチするEMS機能や、フォト美顔効果、たるみを引き締める高周波(ラジオ波)効果などがあるものがオススメ。目の下の脂肪が多い方にも適しています。

効果は数日間しか続きませんが、コスメだけのお手入れよりも明らかにハリがアップしたように感じることができます。継続して使えば、たるみの進行を遅らせることも不可能ではありません。

・DHCダイヤモンドリフト

DHCダイヤモンドリフト

出典 http://www.dhc.co.jp/

イオン導入、フォト美顔、EMS、RFを搭載した美顔器。エステなみの効果が期待できるとして愛用者から支持されている美顔器。専用のジェル(税込2,700円)が必要なものの、これだけの機能が搭載されていて本体価格が税込21,780円という手頃さは秀逸。

最近は買いやすい価格で購入できるものも増えているので、たるみ予防のために取り入れてみてはいかがでしょうか。高額なコスメを延々と買い続けるよりは効果を実感しやすいですよ。

■目の下のたるみをメイクで隠すには?

ふと鏡をのぞいたとき、目の下のたるみが目立っていたら、皆さんはどうしますか? 今すぐなんとかしたい!というときのために、メイクで目の下のたるみをカバーする方法も覚えておきましょう。

・まずは保湿から! ファンデはスティックタイプがオススメ

まず、洗顔後、化粧水で目元をしっかり保湿します。その後、目の周りに薄くクリームを延ばしましょう。数分おいて浸透させたら、目の下にハイライト効果のある明るめのファンデーションをごく少量塗ります。指の腹でトントンと叩くようにして肌に入れ込みましょう。

オススメはリキッドよりも崩れにくいスティックタイプのファンデーションです。プロのヘアメイクさんが撮影時に使用する、ハイライト用のホワイトのスティックファンデーションを目の下にちょんとのばすとさらに顔全体が明るく見えて、たるみによるクマもカバーできます。

最後に透明感のあるフェイスパウダーをさっとブラシでのせて終了です。パウダーファンデーションを使うと厚ぼったくなり、たるみが目立ってしまうので避けましょう。どうしてもパウダーファンデを使いたい方はスポンジではなく、ブラシを使ってみてくださいね。また、たるみや乾燥がこれ以上進行しないように、ベースにはUVカット効果のあるクリームを使うことも忘れずに。

外出するときには、プチプラのものでいいので、明るいベージュやピンクなどのハイライトパウダーをポーチに入れておきましょう。夕方、たるみやたるみによるクマが目立つときにさっとブラシでひとはけするだけでくすみを一掃してたるみを目立たなくしてくれます。

2.クリニックで行う目の下のたるみケア

クリニックで行う目の下のたるみケア

目の下のたるみがどんどん進行してセルフケアでは追いつかない……。そんなときに強い味方になってくれるのが美容クリニックです。目の下のたるみにアプローチする施術は外科手術から、切らないケア、飛び出てきた脂肪を溶解する脂肪溶解注射までいろいろな方法がありますが、たるみの度合いによって勧められる治療方法は異なります。現在、クリニックで受けられる主な目の下のたるみケアを紹介しましょう。

2-1.目の下のたるみを改善する切らないケア

軽度のたるみであれば、切らないケアがオススメです。

■RF(高周波)によるケア

たるみは気になるけれど、異物を注入したり切開したりする施術は怖いという方に最適なのがRF(高周波)によるケアです。肌の深い層まで熱を与えることで代謝を促進、たるみの改善や肌のハリをアップさせてくれます。テノールやラディエイジ、最新のものではイントラジェンなどクリニックによって導入しているマシンが異なるので、事前に確認してみましょう。

1回で効果が実感できる人もいますが、3~5回程度受けることで、顔全体の印象が若返ったように感じることができ、顔全体の老化そのものを遅らせることができます。ダウンタイムがなく、施術後すぐにメイクをして帰宅できるのも大きなメリット。また、光を当てないので、デリケートな目の下のたるみには最適な方法といえるでしょう。

家庭用美顔器にもRF機能がついたものがありますが、美容皮膚科に導入されている機種は効果がまったく異なります。簡単な施術のように見えますが、脂肪のつき方や筋肉のゆるみ具合を確認しながら施術を行うことで結果も違ってくるともいわれ、技術や経験が求められます。費用は1回9,800~35,000円と開きがあるので、HPや症例等を確認して技術の確かなクリニックで施術を受けるようにしましょう。

■サーマクールアイズ

高周波のなかでも目の周りに特化しているのが、サーマクールアイズです。肌の真皮層まで届く高周波を使って熱ダメージを与え、コラーゲンの生成を強力に促すというもの。フェイスラインのたるみなど顔全体のリフティングに効果が高いとして人気があるサーマクールですが、従来の機種ではデリケートな目の周りには施術を行うことができませんでした。サーマクールアイは目の周り専用のチップを使用することで、目の下のたるみはもちろん、上まぶたもケアすることができように。

2002年にアメリカで登場してから、切らないリフティングとして根強い人気のあるサーマクール。専用の使い捨てチップが高額であるため、費用は1回100,000~150,000円程度と高めですが、たるみを将来的に予防することも可能です。サーマクールも脂肪のつきかたやたるみ具合によって、どこにどれだけ照射するか見極めることが大切です。

■ヒアルロン酸注射

目の下にヒアルロン酸を注射することで、たるみを目立たなくする方法です。硬めのヒアルロン酸を入れることで、眼窩脂肪を支えられるようになりますが、効果の持続は長くて1年程度。費用もそれほど安くはありません。また、見た目が凸凹になるなど、不自然になることも。

ヒアルロン酸注射はプチ整形と呼ばれ、失敗の少ない施術のように思われがちですが、どこにどのくらい注入するか、施術者の高いセンスと技術が求められるということも忘れないようにしましょう。費用は1回4~8万円程度となっています。

■PRP(多血小板血漿)注入療法

自分の血液から採取した成長因子を含む自己細胞の成分を注入することで、たるみやしわの改善を図る方法です。再生医療の一環として、傷を早く治すための治療にも使われていました。ただ、細胞のもつ力によって効果に個人差があるにもかかわらず費用が高額なこと、ダウンタイムが比較的長いことなどから、積極的に勧めているクリニックはあまり多くありません。費用は35,000~200,000円とかなり差があります。

2-2.目の下のたるみを解消するレーザー

目の下のたるみを解消するレーザー

目の下のたるみには、肌の奥深くまで浸透するヤグレーザーが用いられることが多いようです。スキントーニングにも使用されるヤグレーザーなら熱によるコラーゲンの再生のサポート効果だけではなく、光による血行促進や代謝アップ作用も期待できます。

ヤグレーザーを使用したジェネシスはタイタンと呼ばれる近赤外線治療器と併用することで、たるみやシワにより効果的にアプローチすることが可能です。費用はタイタンのみの場合、全顔1回34,000~60,000円程度、タイタン&ジェネシスで1回当たり60,000~80,000円程度。複数回のコースにすることで、1回当たりの金額を抑えられるところもあるようです。

目の下のたるみをオペで治す

2-3.目の下のたるみをとる手術とは

目の下のたるみをとる最も効果的な方法はやはり外科手術でしょう。切らない施術はたるみの度合いによっては効果がほとんど得られないこともあります。

■どんな手術? 
目の下のたるみを取り除く手術はたるみの具合や脂肪のつきかた、患者さんの年齢などによって最適な方法を選ぶ必要があります。「眼窩脂肪の除去」「余分な皮膚の切除」「眼輪筋の吊り上げ」「除去した脂肪を移動させる」といった施術を単独で行うだけではなく、組み合わせることでより高い効果が得られます。

クリニック、あるいは施術する医師の判断によってどの方法が選択されるかは異なります。まずはクリニックで自分のたるみに合った方法を提案してもらうことがカギになります。現在、行われている主な手術のパターンを紹介しましょう。

・目の下の脂肪を切除する方法(脱脂法)

脂肪のみを取り除く方法です。目の下のふくらみは改善しますが、たるみへのアプローチは低め。下まぶたの裏側(眼瞼結膜)を切開して脂肪を取り除くため、顔表面に傷ができずダウンタイムも短いというメリットがあります。費用は300,000~500,000円程度です。

・脂肪除去と余分な皮膚を切除する方法

下まぶたのまつ毛の生え際あたりを切開し、脂肪を除去してから、余分な皮膚を取り除くことでたるみを解消する方法。費用は約90,000~380,000円と開きがあります。眼輪筋はそのままになるため、軽度のたるみにしか対応できません。若い世代の方向けの方法です。

・脂肪除去、余分な皮膚の切除、眼輪筋をつり上げる方法

重度の皮膚のたるみが気になるケースに適応します。脂肪を除去、余分な皮膚を削除したうえで眼輪筋を吊り上げるため、重度のたるみやクマの改善にも有効です。

・余分な脂肪のみ除去し、脂肪を移動・固定させて眼輪筋を吊り上げる方法(ハムラ法)

目の下のたるみを改善する手術のなかでも、もっとも効果的と言われる方法です。切除した眼窩脂肪をくぼみを埋めるように移動させたうえで、余分な皮膚の切除、そして筋肉を引き締めるという3つのアプローチをすることで目元の印象をぐっと若くしてくれます。目の下のたるみの根本的な解決にはハムラ法しかないという意見もあるほど。費用は270,000~500,000円程度が相場になっています。

まとめ

実年齢よりも老けて見えてしまう目の下のたるみ。重度のたるみになるまで放置しておくと、改善するには外科手術が必要になってしまいます。デリケートな目の周りの肌を保護するために、日ごろから刺激を与えない、たるみ防止効果のあるコスメや美顔器でケアするなどして、たるみの進行を予防しましょう!

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

Emiri

Emiri

美容系全般得意なライター。自身でも美容医療を実践。

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監修:

鈴木稚子 医師

六本木スキンクリニック

東京慈恵会医科大学医学部卒業。大学病院にて皮膚科医として勤務後、六本木スキンクリニックを開院する。
不自然になるような施術は行わないことをモットーに自然な美しさを意識しているそうです。学生時代から美しいものに対する意識を高く持ち、人の見た目をきれいにしたい、ハッピーにしたいという気持ちから、エイジング治療、美肌治療には力を注ぎ、様々な角度から治療のアプローチをおこなっています。

医学博士
日本医師会スポーツ認定医など

東京慈恵会医科大学医学部卒
同大皮膚科
国立大蔵病院皮膚科
六本木スキンクリニック院長