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赤ちゃんのようなもちもちっとした弾力のある柔らかい肌になりたい! 一度でもそう思ったことがある方は多いのでは?  特に筆者が勤務しているクリニックでは乾燥に悩む患者さんや肌が薄く年々肌の弾力がなくなってきたと悩む方によく相談される内容です。季節の変わり目や花粉の時期など肌が揺らぎやすい時期には乾燥や肌荒れが気になったりもしますよね。今回の記事はそんな揺らぎ肌の方も必見の内容です。

まず、肌はいくつかの層になっており、真皮層という部分が肌の深部にあるのですが、その部分にあるコラーゲンやエラスチンなどが肌の土台だったり肌の支えになっています。老化によってコラーゲンやエラスチンの量が低下してしまうと、ベットのマットレスのように使い古したらへたってくるイメージで肌の弾力が減少して、柔らかいたるみやすい肌になってしまいます。

また、加齢によって骨の萎縮が起こるため余った皮膚がたるみとして表在しているような状態になります。そのため、ほうれい線や目元・口元のたるみなどパッと見てわかるくらい顔が老化してしまうのです。さらに、コラーゲンやエラスチンなどが減少するだけでなく肌に含まれる水分量も低下していきます。

昔より乾燥するようになってきたと心当たりのある方もいるのではないでしょうか。レーザーなど様々な治療で肌の若返りを目指すものはありますが、肌の真皮層に効かせる治療となるとどれが合っているのか、自分はどのような状態なのか不安になったりしますよね。

美容クリニックも数多くあり施術も多岐に渡るため、筆者も日々患者さんから私には何が合っていると思いますか、自分では何がいいのか全くわかりませんと質問されます。

多くある治療の中でも真皮層を育てる肌育注射は種類が多くあるものの、そこまで当たり外れなく知識が少なくても選びやすい施術かと思います。今回はどれが合っているのか不安な方でもわかりやすく肌質に合わせて適切な肌育注射を解説していきます。

【監修医師からのワンポイント】

ジュベルック、リジュラン、ボライト、スネコスなど近年美容皮膚科領域での肌育分野の成長が著しく、多種多様な製剤が開発されています。「よく知らずに美容皮膚科に行ったらカタカナばかりで混乱してしまった」という方もおられますので事前にある程度の知識をつけてからクリニックに向かわれることをオススメします。

肌育注射とは

肌育注射とは、文字通り肌を育てるブースター(栄養剤)になってくれるような注入治療のことです。ECM製剤とも呼ばれ、線維芽細胞を刺激することでECM(細胞外マトリックス)をリモデリング(コラーゲンやエラスチンやヒアルロン酸の構造を若い頃の状態に戻すこと)ができる製剤のことです。

肌に肌育注射を注入すると、栄養剤になってくれるためコラーゲンやエラスチンを増やしたり、乾燥を防いだり肌質をよくしてくれるような効果があるものが多くなっています。医師が手打ちで注入する場合もあれば、水光注射やメソガンなど機械で注入していくようなものもあります。肌育注射は種類がいくつかありますので、成分による違いやどのような肌質の方に向いているのか、ダウンタイム、効果の長さなど細かく説明していきます。

毛穴やクレーターが全体的に気になる方

毛穴が頬中央や鼻だけでなく、おでこや頬全体的に気になる方や赤みも少しある方にはジュベルックという薬剤がおすすめです。PDLLA(ポリDL乳酸)といってジャガイモやトウモロコシに含まれるデンプンからできた植物由来の成分から精製されており、医療現場では溶ける糸にも同様の成分が含まれており安全に使用できることが確認されています。

このPDLLAが生体内で分解される際に微弱な炎症を起こしてコラーゲンやエラスチンを増加させることにより毛穴ケアやクレーターに効果があると言われています。また、小じわや赤みの改善にも効果があるといわれています。

似たような成分でマックームという製剤がありますが、マックームはポテンツァ用に開発された製剤で、PLLA(ポリL乳酸)が主成分です。PLLAとPDLLAは名前が似ていて混同されやすいのですが、PLLAは金平糖のようにトゲトゲしていて、PDLLAはそのトゲを全て削って綺麗な球形にしたものだとイメージしてください。

どちらも同様の効果を発揮しますが吸収される際に金平糖状のPLLAは必要以上の炎症を引き起こす可能性があり、手打ち注射などで不均等に皮下注入されると後に硬結や凹凸を生じるリスクがあります。マックームの手打ち注射は韓国MFDSの承認を受けておらず現時点では禁止されており、注入方法はポテンツァに限られています。

その点ジュベルックは韓国MFDSと米国FDAの承認を受けており医師の手打ちでも安心して使用できるためピンポイントに治療したいクレーターなどにオススメです。医師の手打ちだけでなく、水光注射やポテンツァなど注入方法が選べるところも魅力的な点です。
夏の時期にはスキンボトックスと併用すると、ボトックスにより皮脂の分泌が抑えられるため毛穴がより目立ちにくくなり、脂性肌や混合肌の方は併用すると尚良いでしょう。

注入時の痛みも、麻酔クリームを使用するとほぼ気になりません。ジュベルックの良いところとして他にも効果持続時間の長さがあります。ジュベルックは肌の中でゆっくりと吸収されるため1カ月に1回の通院を3カ月続けて行うことでその後1年間は効果が持続します。他の肌育製剤に比べると非常にタイムパフォーマンスの良い肌育製剤です。

ダウンタイムはおよそ2〜3日ですが、内出血があれば、1〜2週間で吸収されます。また、肌が薄い方はダウンタイムが長く出る傾向があります。価格は1ccで3万円から5万円程度で、1カ所3千円から5千円と部分ごとで価格設定されているクリニックもあります。

乾燥が気になり肌のハリやツヤ弾力が欲しい方

乾燥肌で保湿してもなかなか潤いを実感できない方やもっちりとした質感の肌の若返りを目指したい方はポリヌクレオチド製剤(PN)がおすすめです。

以前より魚のサーモンから抽出されるポリデオキシヌクレオチド製剤(PDRN)が肌質を良くする治療としてよく認知されており、通称サーモン注射などと呼ばれていました。近年では同じサーモンから抽出した製剤であるリジュランが特に人気を博しています。リジュランはPNを主成分としており、前述のPDRNよりも効果持続性が高まり、保水効果がさらに期待でき、皮膚の治癒活性化を促します。

リジュランに含まれるPNはDOTという特許技術により遺伝子を均一の分子量にカットし、安定した成分精製を行うことを可能にしました。それにより安定した美肌効果を発揮し、韓国から始まり今では日本でも人気の施術になっています。抗炎症効果もあるため乾燥して赤みが出ている方やニキビのできやすいゆらぎ肌の方にも効果的です。

またリジュランが取得していた特許が切れたことにより、現在はリジュランのジェネリック製品が多く登場しています。リジュランは粘稠性が高いためか注入時の痛みが強いところが欠点でした。そこで、リズネやプルリアル、リジェバンなどのジェネリック製剤では注入時の痛みが無いように薬剤改良がなされています。リジュランの注入する痛みがどうしても辛いという方にはジェネリック製剤がおすすめです。

2〜3週間に1度、3回程度受けると小じわの改善や肌のハリ・弾力をより実感することができます。一度でも肌のツヤ感や乾燥が改善するので、まずは試しに打ってみて、効果を実感できれば定期的に受けることをオススメします。医師の手打ちだと両頬と目元で2cc程度必要になることが多く、コストがネックな方は水光注射やメソガンで注入すると、医師の手打ちよりも少ない量で全顔に注入することが可能です。

リジュランの価格は5万円から8万円ほどで、ジェネリック製剤であるリズネ、プルリアル、リジェバンなどはリジュランに比べると価格が控えめであるクリニックが多いです。

頻繁にケアできないので持続重視の方

2〜3週間に1度だとなかなか継続して注入するのが難しいという方も少なくありません。そのような方にはボライトという架橋のヒアルロン酸製剤がおすすめです。8カ月〜12カ月と長期間持続すると言われており、筆者の勤務するクリニックでも子育てでなかなか頻繁に肌管理に来院できないとおっしゃるママさんにかなり人気です。

ヒアルロン酸自体に保水能力があるため注入して2〜4週間すると肌の乾燥が落ち着き、乾燥による肌荒れや赤みにお困りの方でも、ボライト注入後に乾燥以外のトラブルが改善したと喜ばれる方がほとんどです。また架橋ヒアルロン酸は肌に長く留まるため効果持続が長いことも特徴であり、コスト的にも抑えることができるので美容にかける金額がそこまで多くない方にも年間スケジュールとしておすすめすることが多いです。
1年に1度プラスするという手軽さと効果実感の良さが人気の理由だと、筆者自身も施術を経験して思います。

混合肌の筆者自身も乾燥に悩むことがなくなったので、乾燥肌の方には一押しの施術です。また、妊活をしたい方や授乳中であまり施術ができない方にもおすすめしており、同じような施術が他になかなかないので気軽に受けてみられると良いでしょう。

また、生まれた時からあるような首の横ジワにもボライトは効果を発揮します。今までのヒアルロン酸で首の横ジワに注入すると表面がボコついて、整容的に問題になることが多かったですが、ボライトは架橋ヒアルロン酸の中でも1番柔らかい製剤のため自然にシワを伸ばして首を若々しく見せることにより全体的に若々しい印象となります。

治療頻度は半年から1年に1回で、ダウンタイムは直後の針跡と、2〜3日のボコつきです。内出血が出る場合は点状に出血する可能性があり、2週間程度で吸収されます。コンシーラーで隠れる程度ですのでご予定がある方でも施術しやすいと思います。価格はクリニックによって異なりますが、1ccあたり5万円から8万円程度で、首や顔など本数によっても上下します。

目元のケアだけピンポイントで行いたい方

目元の小じわがピンポイントで気になる方には、リジュランなどのポリヌクレオチド製剤か非架橋ヒアルロン酸とアミノ酸が配合されたスネコスがおすすめです。肌の栄養剤としてどちらも働いてくれるのでハリが出て、小じわが目立ちにくくなります。

色クマにも効果があると言われているので色味も気になる方には特にスネコスが良いでしょう。小じわだけが気になるという方であれば、ポリヌクレオチドの製剤も手頃ですしダウンタイムも針跡程度です。

スネコスは浅い層に注入していく必要があるため、施術後腫れ感やむくみ感とポコポコと薬の入っている感じがしますので、事前に情報が入ってる場合はダウンタイムの心の準備をされている方も少なくありません。次の日までは泣いた後のような赤みと腫れ感がある場合が多いのでご予定がある方は気をつけられた方が良いかと思います。

スネコスであれば、1週間おきに4回で1クールの治療のため、回数はかかりますが基本的に1クールでも効果を実感することが可能です。メンテナンスとして1クール終わった後も1カ月おきに注入すると効果の持続も良くなると言われています。

スネコスと似ている製剤としてジャルプロや、フィロルガなどの薬剤があるのですが、その中でもスネコスはコラーゲンだけでなく、皮膚の弾性に必要なエラスチンを増やすことが可能なためしっかり効果を感じたい方にはスネコスをオススメしています。

価格は2万円から4万円程度で4回を1クールとしているクリニックではまとめ買いコースなどが設定されている場合もあります。

まとめ

医師や美容看護師からも人気があり注目を集めている肌育注射・ECM製剤ですが、種類が多く成分もそれぞれ異なるため選ぶことが難しいと思っている方も多いと思います。成分によって得意とする作用が異なるため、悩みに合わせて医師と相談しながら決めるのがいいです。

上記に挙げた肌育治療により、レーザーやトーニングなどのその他の美肌治療の効果も上がると言われています。肌育注射・ECM製剤の良さを上手に利用して美肌を目指しましょう。

【記事の執筆・レビューに使用した参考文献等】

記事の正確性等の確保方法及び参考文献の取り扱いについては、Call to Beautyの編集プロセスをご覧ください。

『ジュベルック(Juvelook)なら池袋駅前のだ皮膚科へ|肌のハリ、毛穴の引締め、シワの改善、ニキビ跡の修復など』池袋駅前のだ皮膚科
『スネコス(SUNEKOS)注射とは』ナチュラルスキンクリニック

『プルリアル デンシフィア(肌育治療)自由が丘クリニック【公式】』自由が丘クリニック

『リジュランによる肌再生治療|東京の美容皮膚科・銀座肌クリニック』銀座肌クリニック

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

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トマト看

4年生大学の看護科を卒業後ICUを1年経験し、救急医療や重症看護を学んだ。その後、複数の美容皮膚科や美容外科で経験を積み美容看護師として働いて3年目になる。日頃からエビデンスやその方それぞれにあった美容医療を提案している。
患者さんからの指名も多く、美容の豆知識を呟いているX(旧Twitter)ではフォロワー2,500人と支持を得ている。

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監修:

上井廉絵 医師

X CLINIC 恵比寿院

形成外科専門医。日本医科大学医学部卒業。同大学病院で形成外科に従事。全身の皮膚・皮下解剖に精通し、眼瞼や鼻手術、傷跡修正、乳房再建など幅広い手術を年間1,000件以上執刀する。また総合診療科や救急科、麻酔科などでも勤務し緊急時にも迅速かつ的確な処置を行える。英会話が堪能。
得意施術は、二重術、目元のクマ取り、鼻整形、美容後遺症の治療。
医療イラストなども描くイラストレーターとしても活動している。

2016年 日本医科大学医学部 卒業
彩の国東大宮メディカルセンター(外科、整形外科、麻酔科)
2018年 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科
2024年 X CLINIC 入職

執筆:

トマト看看護師

4年生大学の看護科を卒業後ICUを1年経験し、救急医療や重症看護を学んだ。その後、複数の美容皮膚科や美容外科で経験を積み美容看護師として働いて3年目になる。日頃からエビデンスやその方それぞれにあった美容医療を提案している。
患者さんからの指名も多く、美容の豆知識を呟いているX(旧Twitter)ではフォロワー2,500人と支持を得ている。

3次救急病院(ICU)
美容皮膚科
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