夕方、鏡を見て朝はなかったまぶたのくぼみを発見して、ぎょっとしたことはありませんか? たるみと同様、徐々に進行していくまぶたのくぼみはシミやしわ、たるみよりも気がつきにくいエイジングサイン。女性の見た目年齢をあげて疲れた印象を与えてしまいます。「この、疲れたまぶたをなんとかしたい!」と思っている方も多いはず。では、なぜまぶたはくぼんでしまうのでしょうか? その原因と予防、解消方法について詳しくお話していきます。

目次

1.まぶたのくぼみができる原因とは

エイジングサインの中でも現れるのが遅い、まぶたのくぼみ。気がついたときには改善しにくい状態まで進んでしまっていることもあります。まず、まぶたのくぼみができる原因について考えてみましょう。

1-1.まぶたのくぼみとは

なんらかの原因で目のまわりがくぼむとまぶたに影ができます。すると、くすんで見えるだけではなく、疲れた印象の目元に。上まぶたと下まぶた、それぞれくぼみができるとどんな印象を与えるのか考えてみましょう。

■目の上のくぼみ

上まぶたのくぼみは進行がゆっくりで、気がつきにくいエイジングサイン。上まぶたがくぼむと同時にシワもたくさんできてしまうので、一気に老人顔に……という恐ろしい現象が起こってしまうこともあるのです。また、まぶたの上部分がくぼむと自然とまぶたが下がり、眠そうな顔に見えてしまうことも。

■目の下のくぼみ

目の下がくぼむとまるでクマができたように落ちくぼんで見え、加齢とともにくぼみが深くなってきます。目頭から頬にかけて斜めに浮かび上がるゴルゴラインとつながるとさらに表情は険しくなり、女性らしさが失われてしまいます。

1-2.まぶたのくぼみが起こる原因

疲れた印象を与え、女性らしい顔つきを失わせる目の下のくぼみ。では、なぜまぶたがくぼむのでしょうか。原因はいくつかあります。

①まぶたの脂肪の減少

体と同じように、まぶたにも脂肪がついています。もう少し詳しく説明すると、まぶたの脂肪には眼窩脂肪(がんかしぼう)と呼ばれるものと、ROOFと呼ばれるものがあります。ROOFと眼窩脂肪は眼窩隔膜と呼ばれる膜で遮られています。簡単にいえば、ROOFはまぶたの皮膚と眼輪筋(目の周りの筋肉)の直下にある皮下脂肪といったところ。この2種類の脂肪が加齢によって減少してくると、まぶたはくぼんでしまいます。

まぶたの脂肪の減少は急激かつ大幅なダイエットをしたときや、二重まぶたにする手術と合わせて脱脂法(まぶたの脂肪を取り除く施術)を行った場合でも起こることも。二重にするときに、あまり脂肪を取りすぎると、まぶたのくぼみやたるみが起こりやすくなるのです。

②目の周りの筋肉の衰え

体の筋肉と同じように、目の周りの筋肉も衰えていきます。目のくぼみに影響する筋肉は3種類あります。

ひとつ目が「眼輪筋(がんりんきん)と呼ばれる目の周りを取り囲んでいる筋肉。目を閉じるときに無意識に動くのが眼輪筋です。ふたつ目は「上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)」です。上まぶたのある薄い筋肉で、上まぶたを持ち上げるときに使う筋肉。上まぶたが垂れないように支えています。

また、「頭蓋表筋(ずがいひょうきん)」という眉をあげるときに使う筋肉が衰えると、目の周りの血行が悪くなってまぶたのたるみやくぼみを引き起こしやすくなります。

③まぶたの肌の衰え

若い頃ふっくらしていた肌が年齢を重ねるにつれ肌もしぼんでくるように、まぶたの肌もコラーゲンやエラスチンなどが減少してきます。すると、肌が痩せたようになってまぶたがくぼむように。

まぶたの肌の衰えの原因は加齢だけではありません。お手入れ不足や目を酷使したことによる、慢性化した眼精疲労や血行不良などでも起こることがあります。パソコンやスマホの画面を長時間、眺めて目を酷使した後や疲れているときなど、まぶたがくぼんで普段、一重の人が二重や三重になったりすることがありますよね。

また、アイプチなどの二重まぶた用化粧品を常用していると、まぶたの皮膚が伸びてくぼみができやすくなってしまいます。

1-3.病気が原因でまぶたがくぼむことも?

まぶたの肌の衰え

まれに病気が原因でまぶたのくぼみができることもあります。その代表が眼瞼下垂(がんけんかすい)です。
眼瞼下垂は上眼瞼挙筋がなんらかの原因で衰え、きちんと目を開けていられなくなる状態のこと。目の開きが悪くなるので、眠そうに見えたり、ぼんやりした印象を与えたりします。また、まぶたが目にかぶさる分、視野が狭くなるという症状も起こります。

高齢の方の場合、白内障や緑内障の手術を受けたあとに眼瞼下垂が起こる場合もあります。また、近年はハードコンタクトレンズやカラーコンタクトレンズの長期装用で20~30代の若い人でも眼瞼下垂を起こす例があるそうです。頻繁に目をこするのもNG。アレルギーや花粉症に悩まされている方は要注意です。

まぶたのくぼみの他に、以下の項目がたくさん当てはまるという方は眼瞼下垂が起きているかもしれません。一度チェックしてみましょう。

  • ・目をひんぱんにこする癖がある
  • ・視力が落ちたわけではないのに、見づらくなった
  • ・ハードコンタクトを長期間使用している
  • ・上を見るとおでこにシワがよる
  • ・夜になると目の奥が痛む
  • ・原因不明で慢性化した頭痛や肩こりに悩まされている
  • ・パソコンやスマホを長時間使うことが多い
  • ・目を開いたときに以前より黒目が隠れている気がする
  • ・まぶたが開きづらいような気がする

■二重の切開手術が原因になることも?

二重の切開手術をする際に眼瞼挙筋の筋膜が傷つけられてしまうことがあります。これが原因で眼瞼下垂が起こることも。この場合、信頼できる医師に相談して治療を行う必要があります。

2.まぶたのくぼみを予防、解消するにはどうすればいい?

 

まぶたのくぼみを予防、解消するにはどうすればいい?

では、まぶたのくぼみを予防、解消するにはどんな方法があるのでしょうか。コスメでケアする方法や目の周りの筋肉のエクササイズ、美容外科での手術までさまざまな方法を紹介していきます。

2-1.まぶたのくぼみを予防・解消する方法

他のエイジングサインと同様、まぶたのくぼみも気づいてからケアするより、くぼみができないような予防ケアをすることが大切。もちろん、くぼみが気になるようになってからも抜かりなくケアを続けましょう!

■目は絶対にこすらない!

目を強くこするとシワやたるみが起こりやすくなるだけではなく、目の周りの筋肉を傷つけて、まぶたが開けづらくなってしまいます。その結果、眼瞼下垂が起きたり、おでこにしわができたりといいことは全くありません! 泣いたときやアレルギー等で目のかゆみを感じたときはもちろん、アイメイクを落とすときや顔を洗うときもも絶対に目はこすらないようにしましょう。

■ヒアルロン酸やレチノールなどのアイクリームでケアする

まぶたの肌の衰えを防ぐためにもまぶたはしっかり保湿するようしましょう。ヒアルロン酸やセラミド、コラーゲン、プロテオグリカンといった保湿成分にレチノールやコエンザイムQ10などのアンチエイジング効果のある成分がプラスされているものがベスト。化粧水や乳液だけで済ませているという方は、1日も早くアイクリームでのケアをプラスしましょう!

・QuSomeアイセラム

QuSomeアイセラム

出典 https://www.bglen.net/

加齢によるゆるみやたるみもケアしてくれるアイクリーム。乾燥やクマにもアプローチできるので、これひとつでトータルなアイケアが可能。コラーゲンやヒアルロン酸はもちろんのこと、さまざまな種類のセラミドを配合することで、皮脂の形成をサポートしてくれるので保湿効果もバッチリ。さらに成長因子であるIGFもプラスしているので、くぼみの目立たないふっくらとした目元に導いてくれます。税込で6,600円。

・パーフェクトCアイクリーム

・パーフェクトCアイクリーム

出典 http://bijinpuro.hw.shopserve.jp/

口コミサイトでも人気が高いのがパーフェクトCのアイクリームです。ビタミンC誘導体を美容医療並みに配合したアイクリームで、目元を引き締めてふっくらピン!としたハリをもたらしてくれます。目元の肌はくすみがちなので、美白効果が同時に得られるのもGOOD。保湿成分のプロテオグリカン配合。税込みで3,544円という比較的手ごろな価格も人気の理由でしょう。

■眼精疲労はこまめに解消して!

眼精疲労はこまめに解消して!

まぶたのくぼみは眼精疲労による血行不良が原因で起こることもあります。1日中、パソコンで作業しているシステム系のお仕事をしている人は男性でも目のくぼみや二重、三重に悩まされている人が多いのだとか。また、若い世代で眼瞼下垂を起こしている人のほとんどがスマホやパソコンを長時間使用しているそうです。

目が疲れてきたな……と感じたら、蒸しタオルなどで温めるのがオススメですが、レンジでチンして繰り替えし使える便利グッズを用意してみてもいいでしょう。一説によると、眼精疲労は白髪の原因にもなるのだとか。目はこまめに休ませてあげるようにしてくださいね。

■眼輪筋のエクササイズでまぶたのくぼみとたるみをケア

眼輪筋のエクササイズ

40歳を過ぎるころから目の周りにある眼輪筋が衰えて、まぶたにくぼみができやすくなります。体の筋肉と同じように、眼輪筋を鍛えればまぶたのくぼみを軽減、予防につながります。

・眼輪筋エクササイズ

両手でピースサインを作り、人差し指を眉尻に、中指を眉頭に置きます。眉間やおでこにしわが寄らないよう、手に力は入れすぎないように。この状態でやや上の方を見るようにして、下まぶただけを縮めます。目を細めるようなイメージで行ってください。

この動作を10回繰り返してから、下まぶたをあげるようにして力を入れながらしっかり目を閉じて30秒数えましょう。このエクササイズを1日2~3回行えば、眼輪筋が強化されて、上下のまぶたにハリが戻ってきたような変化が感じられます。まぶたがしっかり開けられるようになって、目が大きく見えるようになるというメリットも。

2-2.まぶたのくぼみを美容外科で解消する方法

近年、美容外科でまぶたのくぼみについての相談が増えているのだそうです。以前と違って20~30代の女性が多く、加齢以外の理由でまぶたのくぼみで悩んでいる人が多いということが分かりますよね。

美容外科でまぶたのくぼみを治療するときには、くぼみやたるみがなぜ起きているのが正しく見極めてもらう必要があります。間違った方法で施術を行うと思わぬ弊害が出ることが。例えば、眼瞼下垂が起きている人にヒアルロン酸注射をしたら、ますますまぶたを開けづらくなってしまいますよね。

口コミなどを参考にして、丁寧なカウンセリングを行っているところや、他院でした施術の修正に力を入れているところなどをチェックしてみるのがオススメ。他院の修正を積極的に行っているところはそれだけ、トラブルの原因を追究することに長けていると考えられるからです。では、美容外科で行われているまぶたのくぼみを解消する方法を紹介しましょう。

■ヒアルロン酸注射

目のくぼみにヒアルロン酸を注射して、ふっくらさせる方法です。ただし、実際にはまぶたへの注射は断られるところもあります。まぶたのような皮膚が薄い部分にヒアルロン酸を注射すると、でこぼこになりやすいからでしょう。万が一の場合にはヒアルロニダーゼで分解することもできますが、完全に滑らかな状態に戻るかどうかは分かりません。

また、ヒアルロン酸を上まぶたに注射した場合、他のパーツよりも持続期間が長いと言われています。それだけに後悔のない施術を受けられるクリニックを選びたいもの。どんな施術でも同じですが、施術をお願いときには評判のいい医師のいるクリニックを選ぶようにしましょう。特にヒアルロン酸注射はどこにどのくらい入れるか、技術だけではなく、美的センスも問われる施術です。費用は税込み39,800~100,000円程度が相場となっています。

ひとことでヒアルロン酸といっても、硬さや分子の大きさなどはさまざま。製造しているメーカーも複数ありますが、一般的なのはボトックスでも有名なアラガン社のジュビダーム・ビスタ(ウルトラ・ウルトラプラス)でしょう。ジュビダーム・ビスタは厚生労働省の認可を受け、日本国内で初めて製造販売承認を取得しているヒアルロン酸。安全性が高く、価格も従来のものより低く抑えられています。

■脂肪注入

自分の体から抽出した脂肪をまぶたのくぼみに注入する方法です。まぶたのみの治療であれば、採取する脂肪の量も少なめ。お腹や腕からとった脂肪を注入するケースが多いようです。アレルギー反応などはありませんが、入れた脂肪がすべて定着するわけではないため、施術時はそれを見越して多めに注入することになり,
注入直後は腫れが目立つことになります。

また、注入の技術によってはヒアルロン酸同様、でこぼこになることも。ヒアルロン酸はヒアルロニダーゼである程度、分解することができますが、脂肪はそのまま残ってしまう点も覚えておきましょう。

■肌再生FGF・多血小板血漿(PRP)注入療法

FGF(線維芽細胞増殖因子)を肌に注入する方法や、自分の血液から作る多血小板血漿(PRP)とFGFを合わせた溶剤をまぶたに注入する方法です。PRPには傷を治すはたらきを持つ細胞を含む成分が含まれます。FGFはもともと体にある細胞で細胞の増殖を促す作用があります。FGFのみの場合、費用は50,000~120,000円程度、多血小板血漿(PRP)とFGFを合わせて注入する施術は150,000~300,000円程度どなっています。

■眼瞼下垂の手術

まぶたが下垂すると、視野が狭くなります。視力が落ちたわけでもないのに、ものが見づらいと感じるようになったり、まぶたを開けようとして額に力が入りすぎて頭痛や首の筋肉などが痛くなったりすることがあります。このように生活に支障が出ている場合、眼瞼下垂の手術は保険適用で受けることができます。ただし、保険適用となるのは切開する方法のみです。費用は保険適用後で5~7万円程度と10万円以下で済むことが多いよう。もちろん医療保険に加入していれば、保険を使うこともできます。

まぶたのくぼみが気になるからというような審美的な目的で手術を受ける場合は自由診療となり保険は使えません。

眼瞼下垂の手術には
・皮膚を糸で留める埋没法
・切開し、余分な皮膚や組織を取り除いて筋肉を縫い縮める方法(挙筋腱膜前転術)

の2種類があります。

■埋没法

埋没法は軽度の眼瞼下垂にのみ有効で、単独では効果が出ないことも。眉下のリフトや注射と合わせて施術されることもあります。埋没法のみの場合、税込みで20万円程度が相場です。

■挙筋短縮法(挙筋腱膜前転法)

皮膚や組織を切除して、筋肉を縫い縮める方法は「皮膚側から切開する方法」と目の裏側、「結膜側から切開する方法」の2種類があります。目を開けるための筋肉である挙筋をはがし、頭側で瞼板と縫合する手法は同じです。同時に余分な皮膚や脂肪を取る場合があります。結膜側から切開する方法は表面に傷が残りませんが、、裏側からアプローチする方法だと痛みが強い、二重が作れない、ダウンタイムが長いという意見もあります。費用は税込みで40~70万円程度です。同時に二重にする場合、別に費用がかかります。また、意外な方法ですが、ごく軽度のくぼみであれば、二重埋没法を行うことで改善することもあるようです。

■保険適用の手術は満足度が低い?

眼瞼下垂の手術は「視野が狭い」「肩こりや頭痛がひどい」といった症状があれば、保険適適用でできる場合もあります。ただ、保険適用となる手術は切開法のみ。それなりに負担がかかる手術です。もともと保険適用の手術は審美目的ではなく、不快な症状が解消されれば治療はそれで終わりになります。ですから、必ずしも満足のいく見た目に仕上がるとは限りません。実際に、美容目的で保険適用の手術を受けて修正を依頼するケースも増えているようです。

3.まとめ

見た目年齢をアップさせて暗い症状につながる目のくぼみ。いろいろな原因とアプローチ方法があることが分かりました。目の周りの皮膚は顔の中でも薄く、デリケートな部分。目のくぼみを予防するケアやエクササイズをするときにもデリケートなタッチで行うことが大切です。

また、目が開きにくい、視野が狭くなってきたと感じたら眼瞼下垂が起きている可能性も。気になる方は一度、美容外科のカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込です。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

Emiri

Emiri

美容系全般得意なライター。自身でも美容医療を実践。

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