頬骨は顔のバランスを左右する重要な部分です。人は多少なりとも頬骨が出ているものですが、過度に突出した頬骨はバランスを悪くするだけでなく、顔を大きく見せてしまう原因にもなります。しかし骨の手術は大がかりでリスクが伴うこともあり、なかなか手術に踏み切れないという方も多いのではないでしょうか。今回は頬骨削りの手術法やダウンタイム、リスクなどについて説明していきます。

目次

1.頬骨削りの特徴と手術法

1-1.頬骨削りの特徴とは

頬骨の突出はアジア人に多く見られる特徴ですが、頬骨が出っ張っていることで顔が大きく見え、目が吊り上がりキツい印象を与えてしまうことがあります。頬骨を削ると突出部がなめらかになり、顔の印象も優しくなります。そんな様々な変化が期待できる頬骨削りですが、具体的にどんな特徴があり、どのような手術法が行われているかご紹介します。

頬骨削りの特徴とは

負担が大きく、ダウンタイムが長い、侵襲的治療になりますが、頬の張りを取り除くことで、輪郭が滑らかになるだけでなく、目鼻立ちがはっきりすることもあります。頬骨が目立たなくなるだけで、顔の印象は大きく変化します。基本的に口の中から切開するので、傷跡は目立ちません。

1-2.頬骨削りの手術法について

頬骨削りとは、名前の通り頬骨を削って滑らかにする手術のことです。
では、具体的にはどのような方法で頬骨を削っていくのでしょうか。

頬骨のどこを削るかによって、切開する部分が変わってくるようです。前方の頬骨を削る場合には口腔内から、横側の出っ張りを削る場合は耳前部やもみあげ部分を切開するのが一般的です。
傷が目立ちにくい部分を切開するので、傷跡が大きく残るようなリスクは少ないと言えます。

1-3.骨切り手術(アーチインフラクチャー法)

実は頬骨にはあまり厚みがなく、3~4ミリ程度しか削ることができません。そのため頬骨削りを行ったとしても、あまり変化が得られない可能性があります。そのため頬骨が前や横に大きく突出している場合は、頬骨弓を切って内側に移動して固定する手術を行うこともあります。
この手術法は骨切り術やアーチインフラクチャー法とも呼ばれ、骨削り同様に様々なクリニックで行われています。

前方の頬骨を少しだけ滑らかにしたいという方は、頬骨削りを行うことで輪郭が滑らかになり、顔の印象を変えることができます。しかし頬骨が張り出し顔が大きく見える方は、頬骨削りよりも骨切り術を行った方が、大きな変化を得られる可能性が高くなります。

2.頬骨削りの術後経過やダウンタイムは?

頬骨削り手術は骨に手を加える手術のため、他の美容整形手術よりも長いダウンタイムを必要とします。
とはいえ何カ月も外出できないような状態が続くわけではなく、腫れが落ち着けば外出したり仕事を再開したりすることも可能です。

2-1.術後経過について

手術は全身麻酔で行われるため、基本的には日帰りもしくは一泊二日の入院となります。

術後3日目くらいに腫れのピークが訪れ、そのあとは徐々におさまり2~4週間ほどで引いていきます。

内出血も同様に、2~3週間程度で消えていきます。
ドレーンを挿入した場合は数日以内に抜去し、傷口の抜糸を術後1~2週間後に行います。
クリニックによって異なりますが、術後1カ月以内に4回程度の通院が必要となります。

2-2.術後のダウンタイムは?

頬骨削りは腫れが出やすい手術のため、腫れが引くまでは仕事などを休む必要があるかもしれません。内出血に関してはメイクやマスクでカバーすることが可能です。腫れや痛みが落ち着くまで数週間ほどかかることを考えると、最低2週間はダウンタイムが必要であると考えておいた方がいいでしょう。

3.頬骨削りをするとたるむの?

頬骨が出っ張っていると、そのぶん皮膚が引っ張られ肌がキレイに見えます。しかし突出していた頬骨を削ることで肌の張りがなくなり、皮膚が余ったりたるんだりしてしまうことがあるのです。

肌質や体質によって異なるようですが、若い方の方がたるみの出るリスクは低いようです。また、削る量が多ければそのぶん皮膚が余りやすくなるため、たるみが出る可能性は高くなります。

たるみを改善するには

頬骨削りの手術後にたるみが出るかどうかは、経過を見てみなければわかりません。では、もしたるみが出てしまった場合はどうすればいいのでしょうか。
皮膚がたるんで余ってしまった場合には、さまざまな方法で治療が可能です。

たるみ、しわの箇所にヒアルロン酸を注入し、シワを目立たなくさせるという方法やRF(高周波)やHIFU(超音波)を照射し、リフトアップを図る機器もあります。
また、糸を入れて皮膚を引き上げる方法もあります。

その他には、負担は大きくなりますが、たるみを除去する効果的な方法といわれるフェイスリフト術です。
顔の皮膚を外科的治療で持ち上げる大がかりな手術ですが、そのぶん変化も大きくなります。
いずれにせよ、頬骨削りを行う場合はたるみのリスクを理解しておく必要がありますので、カウンセリングでしっかりと説明を受けるようにしましょう。

4.頬骨削りの失敗や副作用

頬骨削りの失敗や副作用

美容整形手術において、切っても切れないのが失敗や副作用などのトラブルです。特に大がかりな手術となる頬骨削りでは、トラブルに関する報告が少なくありません。

頬骨削りで考えられるリスクや副作用には、以下のようなものがあります。

  • ・皮膚のたるみ
  • ・唇や頬のしびれ(知覚のしびれ)
  • ・口が開けづらい
  • ・左右差
  • ・腫れや痛み

腫れや痛みに関しては、骨を削るという大がかりな手術のため完全に防ぐことはできません。強い腫れは数週間程度、完全に腫れが引くまで人によっては数カ月かかることもあります。また、骨を削ってから数週間程度は口を動かす時などに痛みを感じることがあります。しかし腫れや痛みなどの副作用は時間と共に改善していきます。

腫れや痛みと同様に起こりやすい副作用が唇や頬のしびれです。顔にはたくさんの神経が通っているため、術後はしびれや麻痺が生じてしまう可能性があります。しかしこれらの副作用は次第に消えていき、半年以内に回復する方がほとんどのようです。とはいえ中には多少のしびれが永久に残ってしまう場合もあるため、これらの副作用について事前によく理解しておく必要があります。

頬骨削りの失敗例

口の開けづらさや左右差などは一時的な副作用の場合もありますが、術後半年経過しても改善しない場合は医学的な失敗である可能性が高いです。

一度目の手術で左右差が出て、修正を行ったものの改善しなかったという体験談もあります。頬骨は厚みが少なく削れる部分が限られているため、修正が難しいというデメリットも存在します。このようなリスクを減らすためには、様々なクリニックでカウンセリングを受け、具体的なシミュレーションを行い、納得できた上で手術を行うことが大切です。

5.頬骨削りで得られる効果やメリット

頬骨削りで得られる効果やメリット

頬骨が過度に突出していると、顔つきがキツくなり、骨格がごつくなることで男性的な印象を与えてしまいます。
ごつごつとした頬骨を削ることで、輪郭が滑らかになり女性らしい優しい印象へと変えることができます。
また、大きく張り出した頬骨を滑らかにすることで小顔効果が得られ、鼻が高くなったように見えることもあります。

今まで髪で頬骨を隠していたという方は、術後に髪を耳にかけたりアップにしたりと、ヘアスタイルを楽しめるようになったという方も多いようです。
頬骨のコンプレックスが解消すると、メイクやおしゃれを楽しめるようになり、外見だけでなく内面も明るく変化していきます。

6.費用はどれいくらいかかるの?

頬骨削り術は全身麻酔で行いますので、美容整形の中でもっとも費用がかかる手術の一つです。
クリニックによって料金が大きく異なり、安いところでは40万円程度、高いところでは120万円程度かかるようです。平均して80万円程度が必要になると考えていいでしょう。

また、手術内容によっても費用は変わってきます。頬骨削りは80万円前後で行うことができますが、骨切り術の場合はさらに手術料金が高くなります。
頬骨骨切り術(アーチインフラクチャー法)は平均して100万円前後、高いところでは150万円ほどかかることもあります。
さらに手術費用の他にレントゲンやCTの撮影費用、カウンセリング費用も必要となるため、手術費用は余裕を持って用意しておきましょう。

手術費用を安くする方法

手術費用を安くする方法

頬骨削りは非常に高額な手術となるため、金銭的負担が大きく手術に踏み切れないという方も少なくありません。しかし場合によっては手術費用を安くできることがあります。では、どうすれば手術費用が安くなるのでしょうか。

・モニターに応募する

大幅に手術費用を抑えたい時に有効なのが、モニターに応募しモニター料金で手術をする方法です。モニターになるとクリニックのサイトなどで症例として写真が掲載されます。写真は目線を入れるなどして顔の一部を隠す場合と、顔全体を公開する場合の二通り存在します。

一般的に顔をすべて公開した方が割引率が大きくなることが多いですが、個人が特定されてしまうため、周囲の人にバレるリスクが上がってしまいます。心配な方は顔の一部のみが掲載されるモニターに応募しましょう。

・ポイント会員制度を利用する

クリニックによってはポイント会員制度を導入しているところがあり、ポイント会員になると割引価格で施術を受けることができます。手術費用を抑えたい方はこのような制度を導入しているクリニックを利用するといいでしょう。

7.まとめ

頬骨削りは費用が高く、リスクも伴うため簡単には決断できない手術です。しかし輪郭のコンプレックスはメイクや髪型で解消することが難しく、気になるあまり性格が暗くなってしまうこともあります。

頬骨削り術は、そのような強いコンプレックスを解消する最終手段とも言えるでしょう。
大きな手術に不安を感じる方は、ヒアルロン酸、脂肪溶解注射など比較的リスクの少ない美容整形から始めると良いかもしれません。

これらの手術でも納得いく結果が得られなかった場合に、頬骨手術を行うというのがベストと言えるでしょう。
頬骨削りを行う場合は、様々なクリニックへ足を運び、手術法やリスクなどについてしっかりと説明してくれるクリニックを選ぶことが大切です。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

misato

みさと

ライター。美容系全般が得意で、雑誌等に多数寄稿。

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監修:

牧野太郎 医師

牧野美容クリニック

福岡大学医学部卒業。大学病院にて形成外科、麻酔科などを経験。その後様々な美容外科クリニックで経験を積み副院長などを歴任。その後2018年福岡に牧野美容クリニックを開院する。
様々なクリニックでの経験から小顔治療や輪郭、ヒアルロン酸注入など多岐にわたる施術をしています。またSNSで積極的に症例をアップし、SNSを見た患者様からの相談や施術依頼が多く寄せられています。

福岡大学医学部 卒業
福岡大学病院 形成外科 入局
福岡大学筑紫病院 外科、麻酔科
札幌手稲渓仁会病院 救急部、整形外科
神奈川県立こども医療センター 形成外科
横浜市立大学病院 形成外科
福岡大学病院 形成外科 助教
福岡大学病院 形成外科 医局長
リッツ美容外科 東京院
リッツ美容外科 東京院 副院長
牧野皮膚科形成外科内科医院
清美会クリニック、ゆめビューティークリニック
八事石坂クリニック
クリニカ市ヶ谷
2018年 牧野美容クリニック院長

この記事の監修ドクターが所属するクリニック

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