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※この記事は2015年に発表されたものです。
キャバ嬢を中心とした20代女子に人気の雑誌『小悪魔ageha』。14年5月号の休刊から、今年4月に復刊した同誌の根底にあるのは、「努力」と「欲望」の肯定だ。リニューアルした『ageha』には賛否両論あるが、「努力と欲望」を肯定したい、という女子のニーズに応えようとしているのは確かである。今回は、その『ageha』で「美容整形ヒストリー」を告白し、人気を博している読者モデル、一条ありさについて取り上げる。彼女が整形で「手に入れたもの」は何だろうか。
「生まれつきエビちゃんじゃなくたって私たちは努力と一緒に生きていくんだ」
『小悪魔ageha』の、2007年10月号のキャッチコピーである。今までの女性誌に、これほど切ないコピーはなかった。私たちは、生まれつきの美人じゃない。すっぴんなんて、大嫌い。でも、アイプチやつけま、カラコンやノーズシャドウを駆使して頑張れば、少しは「マシ」になれるかもしれない。元編集長、中條寿子氏が考えた切実なキャッチコピーの系譜は、今も一定の読者を掴んでいる。「今よりもっとかわいくなりたい……」創刊号から約10年、表紙にはほぼ同じコピーが使われてきた。『小悪魔ageha』は一貫して、コンプレックスに端を発する「努力」と「欲望」を支持する。すっぴんは、努力でいくらでも変えられる。
一条ありさ「生まれ変わるために必死に努力してきた、いつの日かAYUになるために」
そんな同誌だからこそ、「かわいくなるための美容整形だって、努力の一部」という考えも出てくる。復刊した『ageha』では、キャバ嬢兼モデルの一条ありさが、6ページにわたって「私の整形ヒストリー」を語った。「盛れない顔にはお直しという名の加工がある♥ エボリューションの神に憧れ続けて15年…一条ありさ 生まれ変わるために必死に努力してきた いつの日かAYUになるために… 今まで語られることのなかった衝撃の初告白♥」……この、長くて扇情的なくせに、どこかふわっとしたタイトルこそ『ageha』の真髄である。

現在、六本木のキャバクラに勤める一条ありさ(29)は、15歳の頃「あゆに憧れ」、16歳で二重まぶたの埋没法をした。彼女いわく、目や鼻を中心に300万円以上は使ったそうだ。「10代の頃は、自分の顔が好きじゃなかった」という一条ありさ。歌舞伎町で本格的にキャバ嬢となった23歳の頃から、「AYU化」がスタートしたという。歌舞伎町でウケが良いといわれていたのは、「肌が白くて金髪の、あゆみたいな」顔。それ以来、彼女は整形を繰り返してきた。

特集は大反響、SPA!に「あゆを目指し1億を稼いだ女」として紹介される
一条ありさは、かつての自分を振り返る。あゆのような「矢印形」に尖った鼻筋を手に入れようと、鼻にヒアルロン酸注射を繰り返した結果、映画「アバター」に出てくる生物のような、太い鼻筋になってしまう「失敗」もした。涙袋をぷっくりさせようとヒアルロン酸を入れ続け、どんどんエスカレートしてしまったこともある。数々の失敗を繰り返しながら、信頼できる外科医と出会い、あゆの顔写真を何枚も持って行って「初めて目と鼻にメスを入れた」。
「27歳までに300万円の整形投資で、1億円は稼いだと思いますね(笑)」(「SPA!」15年7月21・28日合併号)と語る一条ありさ。彼女は「AYUの顔になりたい」と、欲望の赴くままに整形を繰り返してきた。と同時に、それを「稼ぐ」ための「努力」だと捉えている。手術から回復を待つ「ダウンタイム」は辛いが、「キレイになるためには強じんな精神力と忍耐力も必要なんだよ(笑)」と語る(『小悪魔ageha』15年4月発売号)。彼女にとって、美容整形は「努力」の一環である。
「AYU化」を終え、これからは「アンチエイジングを目指す」一条ありさの幸福度
そんな彼女の「美容メンテ」特集は、読者から大反響だった。復刊後の『ageha』では、3号連続で、一条ありさの美容整形特集を企画。彼女は約15年にわたって「AYU」を目指してきたが、「元の顔が違うから」と、少し前に諦めたそうだ。現在はアンチエイジングに力を入れている。「可愛い」ではなく、「美人」と言われる方が嬉しく感じるようになったそうだ。将来は「美魔女」になるべく、すでに、頬に糸を入れて引き上げるリフトアップ手術も済ませた。
最近では、ちょっとした悩みとして「流行のオルチャンメイク(韓国女優のような、ナチュラル志向のメイク)をしたくても、二重まぶたの幅が大きすぎるから似合わない」と語っていた。そんな彼女を見て、「一時の流行顔に踊らされた結果だ」「AYUになりたい、と言っていたのが、これからはアンチエイジング? キリがない。そんな人生、幸せか?」などと悪口を言いたくなる人も、いるかもしれない。が、彼女にとっては常に、「私が思う理想の美」を目指す一瞬一瞬が、幸せなのだろう。一条ありさと同世代の女として、変わり続ける彼女の「顔」を、『ageha』で見てきた一読者として、私はそのように感じている。彼女の幸福は、美についてあれこれ思いを巡らせる、その時々に宿っているのだ。整形によって得られる幸福とは、当人にとっては常に「現在形」である。だからこそ、他人がそれを幸せかどうか詮索するのは、野暮なことであると思う。
画像出典 http://www.amazon.co.jp/ 『小悪魔ageha Vol.1』 『小悪魔ageha Vol.1』
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KIMI CLINIC 形成・美容外科の
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北条かや
1986年、石川県金沢市生まれ。ライター。同志社大学社会学部、京都大学大学院文学研究科修士課程修了。著書に『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』(いずれも星海社)。NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」、TOKYO MX「モーニングCROSS」などに出演する。
【Twitter】@kaya_hojo
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執筆:
北条かやライター
1986年、石川県金沢市生まれ。ライター。同志社大学社会学部、京都大学大学院文学研究科修士課程修了。著書に『こじらせ女子の日常』(宝島社)『本当は結婚したくないのだ症候群』(青春出版社)。その他の著書に『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』(いずれも星海社)がある。NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」、TOKYO MX「モーニングCROSS」などに出演。
同志社大学社会学部卒
京都大学大学院文学研究科修士課程修了
民間企業勤務を経てライター、著述家として活動
出演
『新世代が解く!ニッポンのジレンマ』(NHK)、『モーニングCROSS』(TOKYO MX)
著書
『キャバ嬢の社会学』(2014年星海社新書)
『整形した女は幸せになっているのか』(2015年星海社新書)
『本当は結婚したくないのだ症候群』(2016年青春出版社)
『王子様はどこへ消えた?――恋愛迷宮と婚活ブームの末路』(2019年青春出版社青春文庫)
『こじらせ女子の日常』(2016年宝島社)
『インターネットで死ぬということ』(2017年イースト・プレス )
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