スポンサーリンク
まつ毛が内向きに生え、時には眼球に当たり痛みを伴う逆さまつげ。重度の場合、角膜炎や視力低下などの症状を引き起こすこともあります。改善するためには手術が有効ですが、目の形が変わってしまうことから、不安で手術に踏み切れない方という方も少なくありません。
逆さまつげの手術とはどのようなものなのか、どのような変化があるのか、そして費用やリスクなど、逆さまつげの気になる疑問を解説していきます。
目次
- 1.逆さまつげの基礎知識
- 1-1.逆さまつげの種類
- 1-2.逆さまつげの症状と原因
- 1-3.逆さまつげの治療法とは
- 2.逆さまつげの手術について
- 2-1.逆さまつげの手術の種類
- 2-2.ダウンタイムや痛みについて
- 2-3.逆さまつげ手術のメリットとデメリット
- 2-4.どれくらいの費用が必要? 保険は使える?
- 2-5.眼科・形成外科と美容クリニックの違い
- 2-6.手術なしで逆さまつげを改善する方法
- 3.まとめ
1.逆さまつげの基礎知識
1-1.逆さまつげの種類
逆さまつげには、「睫毛乱生症」と「眼瞼内反症」の二つの種類が存在します。具体的にどう違うのかを見ていきましょう。
・睫毛乱生症
睫毛乱生(しょうもうらんせい)とは、まつ毛が不揃いに生え、一部のまつ毛が内向きに伸び、角膜に当たってしまう状態のことを指します。
まつ毛の生え際の炎症などが原因で起こり、角膜にまつ毛が触れることで充血や異物感、痛みなどを引き起こします。
睫毛乱生の場合、眼球に当たるまつ毛は数本程度ですので、まつ毛を抜き一時的な処置を行うのが一般的です。しかし抜くことで炎症が起きる場合や、不快な症状が改善しない場合には手術を行うこともあります。
・眼瞼内反症
眼瞼内反(がんけんないはん)とは、まつ毛の生え際が内側にまくれてしまうことにより、まつ毛が内向きに生える症状のことを指します。
生まれつき生え際が内側に向いている先天性眼瞼内反の場合、成長とともにまぶたの形が変わり、自然に治癒するのが一般的です。しかし成長しても改善しない場合は、手術を行う場合もあります。
また、加齢によって起こる老人性眼瞼内反もあり、こちらは皮膚のたるみや眼輪筋の衰えが原因で発症します。軽度であればまつ毛を抜いて経過観察をする場合もありますが、症状が重い場合には手術を行うケースもあります。
出典 こんの眼科
「「逆まつげ」は、眼科的には「眼瞼内反症」と「睫毛(しょうもう)乱生症」に分けられます。
どちらも様々な原因によってまつげが眼球に向かって生えている状態のことをいいますが、「眼瞼内反症」はまつげ全体が眼球に向かっている状態で、「睫毛乱生症」は正常なまつげの中で眼球に向かって生えているまつげが何本かある状態をいいます。
「眼瞼内反症」は症状としては機械的刺激による違和感の他に、涙がたくさん出たり、目やにが出やすくなったり、充血したり、ひどい場合には角膜に潰瘍が出来て角膜が濁り、視力が悪くなることもあります。
これに対し、「睫毛乱生症」は症状は軽く、視力障害となることはほとんど有りません。
どちらもまつげを抜くとしばらく症状はましになりますがまた生えてくると同じ症状がでてきます。」
出典 京都府立医大病院眼科
1-2.逆さまつげの症状と原因
逆さまつげは何が原因で起きてしまうのでしょうか。また、具体的にはどのような症状があるのでしょうか。
・逆さまつげの原因
まつ毛が眼球に向かって生えてしまう原因は、筋肉の未発達、まぶたのたるみ、眼輪筋の衰え、炎症や痙攣などがあげられます。
筋肉の未発達による逆さまつげは先天性で、赤ちゃんに多く見られます。赤ちゃんは筋肉があまり発達しておらず、目の周りに脂肪が多いためまぶたの縁が内側に向いてしまうのです。しかし成長するにつれ筋肉が発達し改善していくケースが多いため、あまり心配はいりません。
まぶたのたるみや眼輪筋の衰えによる逆さまつげは加齢性で、高齢者に多く見られる症状です。また、炎症の後遺症によってまぶたの形状が変化したり、眼瞼が痙攣したりすることで逆さまつげを引き起こすケースもあります。
・逆さまつげの症状
逆さまつげの症状は、人によって異なります。痛みや異物感などの症状がなければ、特別な処置をせずそのままにしておいても問題ないでしょう。
しかし異物感があったり目ヤニが出たり、充血や痛みなどの症状が出るような場合には、治療が必要になることもあります。
重度の逆さまつげの場合は角膜に傷がつき、視力が低下してしまうこともあるため注意が必要です。
また、小さい子どもは自ら症状を訴えることが少ないため、親御さんが気づきにくいという問題があります。
目を頻繁にこすったり目ヤニが多く出たりするような場合には、眼科で診察を受けるようにしましょう。
1-3.逆さまつげの治療法とは
逆さまつげというと手術で治療するイメージがありますが、治療法は手術だけではありません。また、逆さまつげの種類によっても治療法が異なります。
・睫毛乱生の治療
睫毛乱生とはまつ毛の生え方が不規則で、一部のまつ毛が眼球側に向かって生えてしまう症状のことを指します。
睫毛乱生の場合、眼球に触れるまつ毛は数本程度ですので、まつ毛を抜いて取り除く処置が行われます。
しかしまつ毛を抜く処置は、まつ毛が伸びてきてしまうと再び眼球に触れるため、根本的に治療できるわけではありません。
根本的な治療としては、まつ毛の電気分解を行う方法があります。
これは内向きに生えているまつ毛だけを脱毛するという方法で、まつ毛の根元に電気を流し毛根を焼くことで、毛の成長を止めることができます。
電気分解のメリットは、目の形状を変えることなく根本的な治療ができるという点にあります。しかし一度の施術で完全に脱毛できるとは限らないため、数回の施術が必要となる場合もあります。
・眼瞼内反の治療
眼瞼内反の場合、まぶたの縁が内側を向いてしまっているため、まつ毛全体が眼球側に生えています。
そのため部分的な脱毛では改善が難しく、異物感や痛み、視力低下などの症状が見られる場合には、まぶたの縁を外側に向けるための手術を行います。
手術には埋没法と切開法があり、症状が軽い場合は埋没法、重い場合には切開法を行うのが一般的です。
2.逆さまつげの手術について
逆さまつげを根本的に治療するには、手術を受ける必要があります。しかし目元の手術は見た目が変わるリスクもあるため、気軽に行える手術ではありません。具体的にどのような手術が行われるのか、そしてどのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。
2-1.逆さまつげの手術の種類
逆さまつげの手術には、埋没法と切開法の二つの種類が存在します。上まぶたの手術法は、埋没法・切開法ともに美容クリニックで行っている二重形成術と変わりません。
・埋没法
埋没法とは、糸で皮膚を留めてまつ毛を外側に向ける手術法です。メスを使用しないため、ほとんど傷跡が残らず短時間で施術を行うことができます。また大きく腫れることはあまりありません。
しかし埋没法の場合はまつ毛を前向きにする効果が弱いため、まぶたの脂肪が厚い方は大きな効果が得られないことがあります。
・切開法(上まぶた)
切開法は、まぶたを切開して脂肪や皮膚を取り除き、瞼板という組織にまぶたの縁の筋肉を縫い付け、まつ毛を前向きに修正する手術法です。まぶたのたるみや脂肪が多い方や、逆さまつげの症状が重い方などに適しています。
埋没法に比べ効果を感じやすい反面、腫れや痛みが強く出てしまうというデメリットもあります。
・切開法(下まぶた)
下まぶたの逆さまつげは、埋没法の場合再発率が高くなるため、ほとんどのクリニックでは切開法での治療を行っています。皮下の瞼板へまぶたの縁の筋肉を縫い付けることで、逆さまつげを改善します。
2-2.ダウンタイムや痛みについて
逆さまつげの手術の流れや、ダウンタイムの目安を見ていきましょう。
・埋没法
埋没法はメスを使わないため、施術時間は両目で10分~20分程度です。腫れは少なく、施術翌日~3日程度でメイクを行うことができます。稀に内出血が起きてしまうこともありますが、2週間程度で症状はおさまります。
メイクで腫れを隠すこともできますが、術後3日程度は休暇を取得しておくと安心です。
埋没法は痛みの少ない手術と言われていますが、痛みの感じ方には個人差があります。埋没法の場合は皮膚表面だけでなく、裏側にも麻酔を打つ必要があるため、麻酔を打つ際に強い痛みを感じる方が多いようです。
・切開法
切開法の施術時間は上まぶた、下まぶたともに両目で60分~90分程度。局部麻酔を使用するため、痛みはほとんどありません。クリニックにより異なりますが、シャワーは翌日から、メイクは数日後~抜糸後に可能となります。
皮膚を切開するため埋没法と比べダウンタイムが長く、腫れが引くまでに2週間~1カ月程度の期間を要します。傷口が目立たなくなるまでに2カ月程度かかることもあります。
また、抜糸を行うため5~7日後に一度通院が必要になります。
切開法の痛みは、麻酔を打つ瞬間と手術中、術後と抜糸の4つに分けられます。麻酔は埋没法と異なり皮膚表面のみとなるため、埋没法の麻酔ほど強い痛みはないと言えます。
しかし手術時間が1時間以上になることもあるため、途中で麻酔が切れてしまうリスクもあります。麻酔は途中で追加してもらうこともできますので、痛みを感じる場合はすぐ医師に伝えるようにしましょう。
また、切開法は術後に腫れを伴うため、数日から数週間程度痛みが続く場合があります。抜糸の際は麻酔をしないため、痛みを感じる方もいるようです。
・痛みを軽減するには
痛みが怖くて手術に踏み切れないという方は、痛みを軽減する処置を行ってもらうのも一つの手です。
痛みを軽減する処置としては、麻酔に使用する針を細いものに変える方法や、笑気ガス・静脈麻酔などの麻酔を併用して手術を行う方法があります。
2-3.逆さまつげ手術のメリットとデメリット
逆さまつげの手術にはメリットとデメリットがあります。手術を行う前に、どのようなメリットとデメリットがあるのかどうかよく理解しておきましょう。
・逆さまつげ手術のメリット
逆さまつげ手術の最大のメリットは、まつ毛が眼球に当たる不快感を取り除くことができるという点です。痛みや目ヤニ、充血や異物感などの症状が改善されます。また、視力低下や炎症などの目のトラブルを防ぐこともできます。
そしてもう一つは見た目の印象が大きく変わるという点です。逆さまつげの方はビューラーでまつ毛を上げてもすぐに戻ってしまうことが多く、マスカラや付けまつ毛などのアイメイクを諦めている方も少なくありません。しかし手術をしてまつ毛が前向きになることで、アイメイクがきれいに仕上がるようになります。
また、一重の方が逆さまつげの手術を行うと術後二重になることが多く、一重にコンプレックスを抱いていた方はコンプレックスが解消され、性格が明るくなることもあります。
・逆さまつげ手術のデメリットとリスク
逆さまつげが解消されると同時に、見た目の印象を変えることのできる手術ですが、メリットばかりというわけではありません。
逆さまつげの手術には、痛みや腫れ、内出血などの副作用の他、仕上がりが想像と違う、元に戻ってしまうといったリスクが伴います。中には、手術を受けたものの目の形や二重のラインが気に入らず、何度も修正手術を行っているという方もいます。
副作用は時間と共に改善しますが、仕上がりが気に入らない場合や元に戻ってしまった場合は再手術が必要になりますので、クリニックと医師の選択は慎重に行わなくてはいけません。
2-4.どれくらいの費用が必要? 保険は使える?
逆さまつげの手術は、保険適用になる場合とならない場合があります。
保険が適用された際の手術費用は、片目で6000円、両目で12000円程度。この他に初診料や薬代なども必要になりますが、それらを合わせても2万円以下で手術が受けられます。
一方保険適用とならない場合は、自由診療となるため10万円~30万円程度の費用が必要になります。
・自費診療となるケース
保険適用になる場合と適用外になってしまう場合の違いは、機能の改善を目的とした手術かどうかという点にあります。
まつ毛全体が目に当たって痛みを伴う場合や、視力低下などの症状が見られる場合は、逆さまつげの改善が目的とみなされるため保険が適用されます。
しかし数本程度の逆さまつげである場合には、改善目的とみなされないこともあるため、その場合は自費で手術を受けなければなりません。
また、保険適用の手術はあくまでも逆さまつげの改善が目的であり、目の形や二重のラインなどを希望通りに変えられるわけではありません。そのため、「目を大きくしたい」「幅の広い二重にしたい」など、仕上がりに強い希望がある場合には、美容クリニックで手術を受ける必要があります。
2-5.眼科・形成外科と美容クリニックの違い
逆さまつげの手術は、眼科や形成外科、美容クリニックで行うことができます。しかし美容クリニックで手術を行う場合、あくまで美容を目的とした手術となるため、健康保険は適用されません。
・眼科・形成外科
眼科や形成外科で行う保険適用の手術は、費用を抑えられるメリットがある一方で、理想の仕上がりにならない、二重の線がガタガタになってしまうというデメリットもあります。しかし仕上がりが気に入らない場合でも、逆さまつげが改善していれば手術は成功したことになります。
・美容クリニック
美容クリニックの手術は自由診療となるため費用がかさみますが、その変わり希望のラインや理想の仕上がりを医師に伝え、希望通りに手術をしてもらうことができます。
このように、保険適用と適用外の手術は、どちらにもメリットとデメリットが存在します。手術費用の安さを一番に重視する方や仕上がりに希望のない方は、保険適用の手術でも問題ありません。
しかし仕上がりに強い希望を持っている場合には、美容クリニックで念入りにカウンセリングを受け、手術をするのが望ましいと言えます。
2-6.手術なしで逆さまつげを改善する方法
根本的な治療を行うためには手術が避けられませんが、リスクを考えると「やっぱり手術はちょっと……」と感じてしまう方もいるでしょう。
なかなか手術には踏み切れないけれど、逆さまつげは治したいという場合には、以下のような改善法もあります。
・まつ毛を抜く
眼球に触れるまつ毛が数本程度の場合は、まつ毛を抜いて改善することもできます。数日~数週間程度で再び伸びてしまいますが、処理後はまつ毛が眼球に当たることがなくなるため、痛みや異物感を取り除くことができます。
しかし自分で抜くと目を傷つけたり炎症を起こしたりするリスクもあるため、眼科で抜いてもらうことが望ましいです。
・ホットビューラーを使用する
ビューラーでまつ毛を上げることで逆さまつげを一時的に改善することができます。しかし通常のビューラーはすぐにまつ毛が下がってしまうため、効果を持続させたい場合はホットビューラーの使用がおすすめです。
・まつ毛パーマでカールさせる
ビューラー無しでまつ毛をカールさせたい方には、まつ毛パーマが有効です。まつ毛パーマはパーマ液を使用しまつ毛をカールさせるため、効果が数週間~1カ月ほど持続します。
1カ月ごとに施術を受けるのは大変ですし、費用もかさみますが、手術が不安という方にはこの方法がおすすめです。
【記事の執筆・レビューに使用した参考文献等】
記事の正確性等の確保方法及び参考文献の取り扱いについては、Call to Beautyの編集プロセスをご覧ください。
・「眼瞼内反(がんけんないはん) – 目の病気と治療」
こんの眼科
・「逆まつげに手術は必要ですか?」
京都府立医科大学附属病院眼科
3.まとめ
逆さまつげを放置していると、角膜の表面に傷がつき、角膜炎を起こしてしまうことがあります。時には視力が低下してしまうこともあるため、定期的に眼科を受診することが大切です。逆さまつげの手術を行う際には、クリニックや医師選びを慎重に行うようにしましょう。
*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込です。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。
みさと
ライター。美容系全般が得意で、雑誌等に多数寄稿。
スポンサーリンク
監修:
この記事の監修ドクターが所属するクリニック
- 住所: 東京都港区三田5-2-18三田ハウス104
- 最寄駅: 東京メトロ白金高輪駅徒歩5分, 麻布十番駅徒歩8分
- 院長: 蘇原しのぶ
- 診療時間: 10:00~13:00、15:00〜19:00、土曜10:00~13:00、15:00〜18:00
- 休診日: 水曜午後、木曜、日曜は休診(祝日、その他臨時休診あり)
スポンサーリンク