昨今のコロナ禍で、マスクをすることが当たり前になっていますね。では、今後マスクを外して生活するにあたって1番気になるのは目の下からフェイスラインまでの中顔面及び下顔面です。特に、ほうれい線や口元のぽよっとしたたるみで悩まれている方が多いです。ダイエットで改善すると思っても効果がなかったり、そればかりか歳を重ねるにつれ増悪したかな?なんて方もいるかもしれません。今回は、そんな口横のなかなか落ちないぽよっとしたたるみについて解説していきます。

顔のマッサージや筋トレなどYouTubeやInstagramで様々なものが紹介されていますが、美容看護師として言わせていただくとそれでは口元のぽよっとしたたるみには効果が薄く改善はほぼしないと考えられます。なぜなら、口横は筋肉がつきにくく脂肪のボリューム・下垂だけではなく、皮膚の下垂にも原因があるからです。

【監修医師からのワンポイント】

たるみは誰にでも平等に起こる老化のサインの1つであり、残念ながら自然に軽快することは難しいと考えます。また、たるみの背景には皮膚だけでなく骨、脂肪、筋肉のベクトル、靭帯など複数の要因が複雑に絡み合っています。多角的な目線で評価、解決していく必要があります。

たるみの原因とは

まず、口横のぽよっとしたたるみの原因の1つとして挙げられるのは脂肪です。口横の脂肪はジョールファットといわれ、口横から口角下にあります。これは元々、量が多かったり太って増加するだけでなく加齢で下垂することによってブルドッグラインやマリオネットライン(口横のたるみによるシワ)につながります。

すごく大量にある脂肪ではなく、ごく少ない量であっても口横の元々すっきりした場所にあるだけで脂肪のボリュームが目立ってしまうことがあります。これにより下膨れ感がでたり顔が大きく見えたりしてしまいます。さらに、その脂肪が下垂すると年齢を感じさせるといったデメリットに繋がってしまいます。

また、日々のスキンケアで擦ったり良かれと思って行ったマッサージやリンパ流しで皮膚を支えている靭帯(咬筋リガメントや下顎骨リガメント)が緩んだり切れてしまって皮膚の下垂につながります。皮膚は日々の圧力や刺激で少しずつ気づかないうちに下垂してしまうため気をつけるべきポイントです。

さらに、加齢により皮膚の土台であるエラスチンやコラーゲンの減少によっても皮膚のたるみは起こってしまいます。エラスチンやコラーゲンが減少するとハリのないしぼんだような肌になり、弛んだ肌にさらに重力が加わることで下垂し、たるみやシワが出現します。このエラスチンやコラーゲンは紫外線によっても減少してしまうため日々の日焼けによってもたるみは加速してしまう可能性があります。

他にも、元々肌が薄く少し引っ張るだけで動くような肌質の方は要注意です。生まれつき肌が柔らかい方の多くは比較的、シミよりも肌のたるみやシワに悩まされます。元々皮膚が薄く柔らかいため下垂すると皮膚が厚い方に比べて目立ちやすいことがあります。

では、口横のぽよっとしたたるみを治療するにはどのような治療があるのでしょうか。

口横のぽよっとしたたるみの治療とは?

侵襲やダウンタイムの観点から口横のたるみ治療には様々な種類があります。侵襲の大きいものから順に治療の特徴や痛み・ダウンタイム・価格など細かく解説していきます。

ジョールファット除去

ジョールファット除去は口横の脂肪自体にアプローチしてたるみをなくす方法です。脂肪がなくなるため下膨れ感の改善や、脂肪によるボリュームの改善が期待できます。ただ、皮膚のたるみが生じる前に治療することをおすすめします。その理由としては、皮膚が弛んだ後に脂肪を除去すると風船が萎んだ時のように何もしていない時と比較してさらに皮膚のたるみが増してしまうからです。そのため、20〜30代で口横のもたつきが気になる方は40〜50代の皮膚のたるみが出てくる前にしておくべき治療と言って良いでしょう。

私は、実際にジョールファット除去のオペの介助についていて多くて5mlから10ml程度のごくわずかな量を脂肪吸引で除去しただけで、気になっていたたるみが改善されたと効果をすごく感じられる方もいらっしゃいました。ただ、適応ではない方は全然効果がわからなかったという方もいらっしゃいますので、適応か否かをしっかり見極めることも大切です。

ダウンタイムは内出血や腫れが1〜2週間程度で浮腫みなども考慮すると1カ月程度あります。脂肪の量としては少ないため、ダウンタイムも比較的軽い印象です。オペの際の痛みも麻酔の時ちくっとしたり押された痛みがするくらいで、痛みが強いこともありません。
恐怖が強い方や元々痛みに弱い方は、笑気麻酔や静脈麻酔をつけるとリラックスして受けることができます。ご自身に合った麻酔をつけると安心です。

価格としてはクリニックによって様々ですが、20万円程度が平均的な価格です。

ショートスレッド

ショートスレッドは韓国で美容針といわれている施術です。髪の毛より細い針の先にオペで使われる溶ける糸の素材であるPDOやPCLが付いており、針を刺すと肌の中に糸だけが残るというものです。糸が肌の中で溶ける過程によりお肌のコラーゲンやエラスチンが生成されハリが出ます

また、タイトニング効果もあり柔らかすぎる肌の場合は適度な弾力も出すことが可能です。直後からも引き締まりが実感できて口横だけでも満足感の高い治療です。糸には、ビタミンが練り込まれているものもあり、抗酸化作用やクスミやシミの改善にも有効とされています。

私が勤務しているクリニックでもショートスレッドはすごく人気で、30〜40代の方もたるみの予防やたるみ改善で施術されています。一度された方は半年や1年に1度、継続して施術されておりハリのある肌を維持することが可能です。

ショートスレッドはドクターによりお肌に挿入されますが、入れ方も様々あります。円状に入れると引き締めや脂肪溶解の効果が高まり、特に口横やほうれい線近くの脂肪と皮膚のたるみに向いています。メッシュ状に入れるとたるみ予防や肌のハリ弾力が上がるため、こちらも口横のもたつきやフェイスラインに適応されます。

大体片側20〜50本程度で両頬だと計40〜100本程度が平均的な量です。糸は半年から1年かけて吸収されていき、糸を入れた直後だけでなく吸収される際にも効果は持続するため長期的な効果が欲しい方にもおすすめです。

ダウンタイムは、内出血が出やすく内出血は2週間程度で治ってきますが、直後から洗顔や化粧が可能なため隠すことができます。ただ、麻酔クリームを塗って施術を行うため針の刺さる痛みはちくちくとあります。苦手な方はリラックスできる笑気麻酔を併用するのが良いでしょう。

価格は40本で平均10万円程度です。本数を増やすと値段もその分上がりますので、お悩みの程度によってカウンセリングで本数を増やすのか減らすのかしっかりお肌を見て決めるのがおすすめです。

ヒアルロン酸

ヒアルロン酸はボリュームを出したり、顎や鼻の土台に入れて形を作ったりするのに使用されますが、たるみにも効果的な治療です。

口横のマリオネットラインに入れるとたるみが目立ちにくくなりますし、頬に入れると弛んだ皮膚が引っ張られてたるみが解消されます。注入する製剤の硬さや位置によって様々な効果のある治療になるため、自分の悩みに合わせて製剤を変えてしっかりカウンセリングしてくれる医師を選ぶと満足のいく治療が可能です。

ヒアルロン酸の製剤としては、アラガン社のボリューマかボリフトがたるみによく使用されます。架橋されたヒアルロン酸で肌の水分と馴染むことで自然に悩みをカバーしてくれます。また、1年から1年半と長く持つためコスパも良いです。よくヒアルロン酸顔などと言われることがありますが、あくまで適切な注入量であればその心配はいりません。自然な若返りを叶えてくれるため、適量のヒアルロン酸はとても使いやすい若返り治療だと思います。

ダウンタイムは、内出血やむくみ程度で、ほぼダウンタイムなく過ごせることが多いです。重大なリスクとしては、血管塞栓といってヒアルロン酸で血管を塞いでしまい皮膚や組織に血流が届かなくなり、最悪壊死するものがあるため十分理解した上で治療しましょう。

価格は1本13,200円程度でキャンペーンで安く治療できるクリニックもたくさんありますが、ヒアルロン酸の製剤や注入する医師を必ず確認して受けるようにしましょう。

サーマジェン(ラジオ波)

サーマジェンやサーマクール、イントラジェンなどラジオ波を使った治療ができる機械がたくさん出ています。サーマクールやイントラジェンは外国製の機械で、サーマジェンは日本の医師が日本人向けにつくった機械です。痛みの強いサーマクールやイントラジェンですが、サーマジェンは痛みも少なくあたたかい感じがする程度です。しっかりラジオ波を肌に当てることにより肌のコラーゲンやエラスチンが生成され、ハリのある肌にしてくれます。

サーマジェンは、皮下の真皮層から脂肪層上層にしっかりと熱を加えていきリフトアップだけでなくタイトニングも可能です。口横のぽよっとしたたるみに対して脂肪層にもアプローチできるため一度でも効果を実感できる治療です。肌の柔らかい方に関しては20代後半から治療を始めることで適度に弾力のある肌を実現でき、たるみの予防が可能です。口横だけのメニューがあるクリニックもあるため、初めての方もトライしやすいかと思います。

ダウンタイムは直後の赤み程度でほとんどありません。効果は1カ月後にもっとも表れ、3カ月程度持続すると言われています。3〜6カ月に1回継続してサーマジェンを受けることでたるみの予防やハリのある肌を維持できるため、継続が重要になります。

価格帯は平均全顔8万円程度で、口横だけだと4万円程度と、ハイフと比べるとトライしやすい価格帯が多いです。

ポテンツァ ダイヤモンドチップ

毛穴治療やニキビ跡のクレーター治療として有名なポテンツァですが、たるみ治療も可能です。ダイヤモンドチップというラジオ波のモノポーラとバイポーラがでるチップを使用してしっかりラジオ波をお肌へ入れていきます。

サーマジェンとの違いは、このバイポーラが出るという点です。ダイヤモンドチップも痛みがほとんどなくあたたかい感じが少しする程度なので、サーマジェンでも熱さや痛みがあるという方におすすめです。ただ、サーマジェンと比較すると効果の持続は劣るため、1カ月に1度の治療がおすすめです。直後からリフトアップ・タイトニングの実感も得られる人気の高い治療です。

ダウンタイムほぼなしで、価格はショット数や範囲によって変わりますが、全顔平均6万円からでショット数100ショットであれば2万円程度からあるため、こちらもサーマジェン同様気軽にトライできる治療かと思います。

まとめ

口横のたるみについて詳しく解説させていただきました。口横のたるみにも原因が様々であるため、治療もそれにより多様になっています。
自分がどのタイプのたるみであるのかわからない方がほとんどですので、治療の際はしっかりとカウンセリングを受けてどのタイプのたるみなのか理解した上で治療されるのが望ましいです。

また、たるみ治療は継続がすごく重要です。一度治療しただけで放置してしまうと数年かけて目に見えて弛んできてしまうからです。肌の柔らかい方は20代後半から、そうでない方も30代半ばくらいから予防的な治療をすることで口横がたるむ前にハリのある肌を維持することができるのです。一度たるんでしまうと治療の効果も回数を重ねないと分かりづらいため、コスパも悪くなります。たるむ前からこつこつ治療を継続することがたるみ治療の肝です。

マスクをとるにあたって、気にしていなかった口横のぽよっとしたたるみを気にされている方がとても増えています。マスクを外す時期が近づいているため、少しでも気になると思った方はぜひ早めにクリニックへ相談にいくとよいでしょう。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

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トマト看

4年制大学の看護学科を卒業後総合病院のICUで1年勤務。その後、美容クリニックに勤務して3年目の、看護師としては4年目になる。美容クリニックはパート含め計6院の美容外科・皮膚科勤務歴があり使用した機械や介助についたオペも多い。高校生の頃から肌荒れに悩んでおり、スキンケアマニアのため市販のスキンケアやドクターズコスメの知識も豊富である。

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監修:

岩田勇児 医師

TRUE.ginza

整形外科専門医。東海大学医学部を卒業後、聖路加国際病院やがん研有明病院で外科を中心に勤務し、その後都内大手美容外科スキンクリニックの院長として従事。
2023年4月東京銀座にTRUE.ginza 開設。誠実に患者さんに寄り添い、エビデンスに基づいた美容医療を提供し、安心と信頼のクリニックを目指す。
二重整形、クマ取りなど目元の治療、ボトックス注射、ヒアルロン酸注入、糸リフトなどエイジングケア治療が得意。
クリニックのカウンセリングルームには、院長自ら製作した絵画が飾られているそう。

2012年 東海大学医学部卒
2012年 聖路加国際病院 初期臨床研修(外科系プログラム)
2014年 聖路加国際病院 整形外科 入局
2016年 聖路加国際病院 形成外科 国内留学
2017年 がん研有明病院 整形外科 国内留学
2017年 聖路加国際病院 整形外科 チーフレジデント就任
2019年 日本整形外科学会専門医 取得
2021年 大手美容外科 銀座院スキン院長 就任
2023年 TRUE.ginza 開設

執筆:

トマト看看護師

4年生大学の看護科を卒業後ICUを1年経験し、救急医療や重症看護を学んだ。その後、複数の美容皮膚科や美容外科で経験を積み美容看護師として働いて3年目になる。日頃からエビデンスやその方それぞれにあった美容医療を提案している。
患者さんからの指名も多く、美容の豆知識を呟いているX(旧Twitter)ではフォロワー2,500人と支持を得ている。

3次救急病院(ICU)
美容皮膚科
美容皮膚科・外科