30歳。アンチエイジングを始めるにはまだ早い気がするけれど、どんなケアをすればいいの? 美容皮膚科・外科って怖くない? そんな疑問を解決すべく、八重洲形成外科、美容皮膚科院長の原かや先生にお話を伺うシリーズ、後編です。かや先生の「美の秘訣」や、信頼できる美容外科の選び方など、内容盛りだくさんの後編、スタート!

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早い段階から施術して、40~50代になったときに綺麗でいられるのが理想

北条かや(以下H):タカナシクリニックの高梨先生いわく、実年齢マイナス3割は若見せできるらしいんです。エイジングの治療でどれくらい若返るか、知りたいのですが。

原先生(以下K):難しいですね。たとえば45歳で初めて美容外科に行って、若返る施術を考えるよりは、早い段階(ちょっと老けたかな?というような段階)から美容外科とコミュニケーションをとって、最終的に40~50代になったとき、大きな何かをしなくても綺麗でいられるのが理想かなと思います。自分もそういうふうになりたいので、少しずつ修正をしながら生きてます(笑い)。

H:なるほど。確かに、いきなり何歳若返るよりも、ちょこちょこと直していって、年齢を重ねたときに「何となく若く見える」のはいいですね。

K:20代の後半だったら年に1回でもいいですし。若い頃からちょこちょことお直ししていくのは、40代でリスクをとって治療をするより遥かにいいと思うんですよね。

H:一気に老化を放置しておいて、あとでドカンと若返ろうとするより……。

K:もうちょっと美容外科が市民権を得て、安心安全な治療がリーズナブルになって、一般的になればいいなとは思います。この業界は、広告にお金をかけて大々的に売り出すっていうこともやっちゃうので、怖い部分もあります。危ないなと思うことはありますよ。

H:先生でもそう思うことがあるんですね。

K:最近、ある施術に使う製剤の感染リスクが問題になっていますが、そういうことをあまり考えずにやってしまう先生もいます。最先端を売りにするクリニックもあり、リスキーなことをやりたい患者さんもいると思うので、そこは需給がマッチしていいと思うのですが……美容には安全が第一。そのあとに費用対効果かなと思いますね。安全じゃないもので何かあったら大変ですから。

原かや先生と北条かや

ヒアルロン酸、安いものには理由がある

H:確かに、美しくなりたくて来たのに、そうならなかったときのショックは、人一倍強くなるかもしれません。安全がいちばん大切。ふだん、色々調べていたつもりでしたが、知識が偏っていたことが分かりました(苦笑)。最後に、読者の方に先生がいちばんお伝えしたいことを伺ってもよろしいですか?

K:そうね。何か美容外科でオススメされても、その場で決めないこと。即決せずに家に帰って調べていいよ、というようなクリニックで施術するのがいいかなと思うんですね。「いったん考えます」と気軽に言えるような先生がいちばんいい。医師の話も聞いてほしいのですが、他にも色々調べて、リスクを理解して「それでもやりたい」のだったらやればいいと思うのですよね。よく選んだ方がいいと思います。

H:たしかにそうですね。安いからって、その場で払えるからって、即決するのは良くない。

K:たとえばヒアルロン酸も、安いものには理由がありますから。食べるものは真剣に選ぶのに、肌に注入するものはなぜ、真剣に選ばないのかなと。ヒアルロン酸とひとことでいっても、色んな物があるので。

H:患者の側にも余裕がないといけませんね。ほうれい線が気になって駆け込んで、今すぐなんとかしてくれ!じゃなくて、長期的に考えないといけない。

K:保険診療と違って、美容外科は最新のものと、昔からあるものが混在している。賢く選択する必要がありますね。「当院オリジナル」「最先端の治療です」というものほど、よく考えたほうがいいんじゃないかな。

原かや院長とスタッフ

女医さんに「先生みたいな唇になりたいです」と言えば、うまくしてくれる

H:他に気をつけるべきことはありますか。

K:機械について知識を得るのは難しいですね。台数がある程度出回っている機械のほうが安心はできますが、患者さんが調べるのは簡単ではないかもしれません。……あとは、先生のブログなどをよく読んで、価値観を知るというのもいいと思います。

H:先生の言葉の端々には、美意識がにじみ出ますもんね。

K:そうそう。あとは女医さんの顔をみれば、なんとなく「こういうのが好きなんだな」というのが分かりますね。自分で好みの顔に施術している先生が多いので、その先生の顔が好きだったら、同じようなイメージに仕上がる確率は上がります。

H:へぇ~。面白いです! 派手な感じか、ナチュラル系か。

K:そうそう。その先生のこだわりが、たとえば唇の形にあらわれていたりするんですよ。クリニックへ行って、「先生みたいな唇になりたいです」と言えば、うまくしてくれますよ。あとは涙袋も、たくさん入れている先生もいらっしゃるので、それがいいなら「先生のようになりたい」と言えば、大きくしてもらえると思います。自分が素敵だなと思う先生の所へ行けばいい。

H:なるほど、先生の顔を見る。女医さんの選び方、参考になりますね。

K:だから、私のところに「唇をアンジェリーナ・ジョリーみたいにしたい」という患者さんはあまり来ないですね。でも、そういう唇が好きな先生もいますので。ある程度安全が担保されていれば、美意識が近い先生にメンテしてもらうのが良いと思います。あくまで安全面が担保されていれば、という大前提ありきですけれどもね。

若い先生、年配の先生、どちらがいいの?

H:女医さんの得意分野は顔に現れる、というのは面白いですね。

K:お肌を綺麗にすることに重きを置いていない女医さんだと、手術系が得意な場合もありますよ。

H:それぞれに、目元、鼻の手術など、得意分野があるってことですね。

K:人間、なんでも得意っていう人はいないと思うんです。若いお医者さんで、「私はなんでも100%得意です」って言っていると、怪しいと思ってもいいかもしれない。

H:確かに、お医者さんでも専門分野というか、得意な分野があるのが普通ですよね。

K:鼻の手術も得意で、骨切りも得意でという人はいないですよ。患者数のn(母数)が多いもの、たとえばボトックスなら皆ある程度、得意といってもいいかもしれませんが、鼻やエラ削りの手術は、上手な先生に一極集中します。よく情報を集めて、得意な先生のところへ行くといいと思いますよ。

H:症例数ですか。となるとあまり若い先生って……と思ってしまうのですが。

K:27歳くらいの先生だと、確かにね。鼻プロテーゼや、軟骨を入れるような手術は、若い先生よりベテランの先生がいいかなと思います。

H:ワキ脱毛やボトックスくらいの、リスクの低い施術では、ベテランの先生をわざわざ指名しなくてもいいけれど、難しい手術なら症例数をみて決めるのがいいということですね。

八重洲形成外科・美容皮膚科

メイクする前提で話ができるのは、女医さんの強み

H:色々お話を伺ってきて、美容外科選びの軸がいくつか見えてきました。安全性は大前提として、美意識や、先生の得意分野、症例数、コスト、リスク……色んな軸を自分で組み合わせて、選ぶ。

K:そういうものを全て相談できる先生がいるといいと思うんですね。

H:これからアンチエイジングを始めるにあたっては、色んな軸を吟味して決めたいと思います。

K:そうですね。肌に関しては、やはり女性の先生がいいかもしれません。なぜなら、女性の方がメイクをするからですね。メイクする前提でお話ができるのは、女医さんの強みです。

H:確かに女医さんのほうが「化粧ノリ」の相談ができたりするかも。

K:女性医師だと、「これくらいの赤みが出る施術だけど、イエローのコントロールカラーをつければお化粧でカバーできる」ということも言えますしね。

H:確かに男性医師から、そういう話が出てくることはないかもしれません。ぜひかや先生のところで、少しずつ肌のアンチエイジングをやってみたい!

K:アンチエイジングの施術は年に1度、自分のために、誕生日にやるとかね。そういうふうに少しずつ始めるのがいいと思いますよ。他にも、イベント前に綺麗にしておきたいとかね。

H:誕生日、いいですね! 今から貯金して、誕生日に何かやりたいと思います。今日は色々聞いてしまって、すみません。でもとても楽しかったです。ありがとうございました!

<対談を終えて>

少しずつアンチエイジングを始めようと思っているけれど、何から手を付ければいいのか分からない。そもそも知識がない。そんな女性は、まず「美容のかかりつけ医」を見つけるのがいいと思う。原かや先生は、まさにそのかかりつけ医にふさわしい、総合的な判断のできる名医だ。何でも質問して、嫌がらずに答えてくれる。そういう先生との出会いが、エイジングの不安を解消する第一歩なのだろう。

自由診療の美容外科、美容皮膚科が、コマーシャリズムに流されるのはある程度しかたがない。でも、その中で自分が「本当に必要とする治療」ができれば、40歳、50歳と歳を重ねるごとに、年齢に合った美しさを身に付けることができる。美魔女じゃなくてもいい。肌のコンプレックスが少しでも減ればいい。そんな女性や男性たちにとって、美容皮膚科の存在は大きい。費用対効果をじっくり考えて、自分にあった治療を選びたい。

撮影:高橋亮介(Sima)

北条かや

北条かや

1986年、石川県金沢市生まれ。ライター。同志社大学社会学部、京都大学大学院文学研究科修士課程修了。最新著書は『こじらせ女子の日常』(宝島社)『本当は結婚したくないのだ症候群』(青春出版社)。その他の著書に『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』(いずれも星海社)がある。NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」、TOKYO MX「モーニングCROSS」などに出演。

原かや

原 かや (はら かや)先生

医師。東京女子医科大学医学部卒業後、同大学形成外科学教室入局。複数の医療機関にて勤務後、2015年東京駅近くに八重洲形成外科・美容皮膚科を開業。レーザー専門医。
【クリニック公式ページ】八重洲形成外科・美容皮膚科
【Facebookページ】八重洲形成外科・美容皮膚科
【ブログ】八重洲形成外科・美容皮膚科ブログ

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監修:

原かや 医師

八重洲形成外科・美容皮膚科

東京女子医科大学医学部卒業。2015年八重洲形成外科・美容皮膚科を開院。
形成外科時代にレーザー治療の魅力に魅せられて、経験を積みレーザー専門医の資格を取得し、レーザー治療をメインとするクリニックを開院しました。クリニックを始めるにあたり、一人の患者様ととことん向き合い納得のいくまですり合わせをすることを大切にし、患者様から信頼をよせられています。

形成外科専門医
レーザー専門医など

東京女子医科大学医学部卒
同大学形成外科学教室入局
八重洲形成外科・美容皮膚科院長

執筆:

北条かやライター

1986年、石川県金沢市生まれ。ライター。同志社大学社会学部、京都大学大学院文学研究科修士課程修了。著書に『こじらせ女子の日常』(宝島社)『本当は結婚したくないのだ症候群』(青春出版社)。その他の著書に『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』(いずれも星海社)がある。NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」、TOKYO MX「モーニングCROSS」などに出演。

同志社大学社会学部卒
京都大学大学院文学研究科修士課程修了
民間企業勤務を経てライター、著述家として活動

出演
『新世代が解く!ニッポンのジレンマ』(NHK)、『モーニングCROSS』(TOKYO MX)

著書
『キャバ嬢の社会学』(2014年星海社新書)
『整形した女は幸せになっているのか』(2015年星海社新書)
『本当は結婚したくないのだ症候群』(2016年青春出版社)
『王子様はどこへ消えた?――恋愛迷宮と婚活ブームの末路』(2019年青春出版社青春文庫)
『こじらせ女子の日常』(2016年宝島社)
『インターネットで死ぬということ』(2017年イースト・プレス )