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近年、増え続けていると言われている眼瞼下垂の手術数。美容外科での自由診療だけではなく、形成外科や眼科、あるいは一部の美容外科でも保険診療で手術を受けることができるようになっています。ここでは「自分の症状は保険診療に該当する?」「眼瞼下垂手術って保険診療と自由診療どう違うの?」という疑問に、費用面などいろいろな角度からお答えしていきます。
目次
- 1.保険診療の眼瞼下垂手術
- 1-1.保険診療に該当するのはこんなケース
- 1-2.保険診療ではどんな手術が行われる?
- 1-3.保険診療のメリット・デメリット
- 2.自由診療の眼瞼下垂手術
- 2-1.自由診療ではどんな手術が行われる?
- 2-2.自由診療のメリット・デメリット
- 3.保険診療と自由診療、どちらを選ぶべきか
- 3-1.患者の見解
- 3-2.医師の見解
- 4.まとめ
1.保険診療の眼瞼下垂手術
先天性、後天性といった違いはあるものの、8割の日本人がなると言われています。まぶたが黒目にかぶさり、開きにくくなる症状を眼瞼下垂(がんけんかすい)と言います。日ごろ感じている不快な症状や視野障害が眼瞼下垂によるものだったということも多く、年々、手術を検討する人が増えています。まず、保険診療の眼瞼下垂がどんなものか見ていきましょう。
1-1.保険診療に該当するのはこんなケース
保険診療で手術を受けるには、医師から「眼瞼下垂症」と診断される必要があります。といっても、保険診療のためのガイドラインがあるわけではなく、医師によって適用になる場合とならない場合にばらつきがあります。基本としては診察時に「目を開けた時に、黒目にまぶたが被さり、視野障害を認めるもの」といった症状が挙げられます。この2つの他に、
もともと、眼瞼下垂には
- ・先天性
- ・後天性(腱膜性とも)
- ・老人性
があり、先天性と老人性のものでは、保険診療になるケースがほとんどです。問題となるのは後天性のもので、どの程度、日常生活に支障があるかどうかで判断します。基準となるのは以下のようなポイントになります。
- ・ものが見えにくい
- ・頭痛、肩こりがある
- ・眼精疲労がひどい
- ・夕方になると目の奥やおでこのあたりが痛む
- ・まぶたが重く感じられる
また、見た目でも眼瞼下垂が起きているかどうか判断することができます。まぶたが瞳孔にかかっているほか、「おでこに深いしわがある」「左右どちらかの眉毛があがっている(あがっている方の目で眼瞼下垂が起きていることが多い)」「目の上にくぼみができている」といった点も総合的に医師がチェックし、判断のうえ、眼瞼下垂症と診断されることになります。
ただ、さまざまな不快な症状も、それが生まれつきのものだと気がつかないまま過ごしてしまうことも。眼瞼下垂手術の症例が多い東京皮膚科・形成外科の池田先生はご自身のブログでこうおっしゃっています。「もしかしたら?」と思ったら、まずは眼瞼下垂症に理解のある先生がいるクリニックでカウンセリングを受けてみるべきでしょう。
1-2.保険診療ではどんな手術が行われる?
保険診療では手術の目的は視野障害やその他の愁訴を軽減するのが目的となります。見た目の美しさが一番の目的ではないため、手術方法は挙筋短縮法や挙筋前転法といった「切開する手術」が主流となります。「切らない眼瞼下垂手術」と呼ばれる埋没法による手術を保険適用で行うクリニックはほとんどありません。
また、二重の幅を広くしたい、平行二重にしたいなど見た目の美しさにこだわりたい場合は保険診療での手術を断られることも。
保険診療の手術は健康保険制度の医療費が使われるため、手術を受ける人の負担は少なくなります。その他にも費用を安く抑えるために手術で使用する材料にも違いがあるようです。
「保険診療は機能改善が最優先」といっても、見た目的に失敗になって心に傷を負うようなことがあれば、本末転倒です。保険診療で手術を受けると決めた場合、自由診療のとき以上に医師選びに慎重になる必要があると言えそうです。
また、保険診療の場合、挙筋吊り上げ法という方法で手術が行われることも。この方法は重度の眼瞼下垂の症状が起きているときに選択されます。先天性や老人性の症状であることも多く、その場合、費用は11万円程度から。この方法は自由診療でも行われています。
1-3.保険診療のメリット・デメリット
保険診療のメリットはなんといっても費用が安いことでしょう。3割負担で、両目で約45,000円、片目で約23,000円程度になります。
デメリットは希望の二重ラインに仕上がらない可能性があります。末広や平行など二重のデザインについて希望を聞いてもらえない可能性が高いことなどが挙げられます。眼科よりは形成外科の方が二重のデザインについて、丁寧に対応してもらえることが多いと思われます。
2.自由診療の眼瞼下垂手術
「眼瞼下垂の手術をするのなら、きれいな二重にしてもらいたい」こんな明確な希望があるのなら、自由診療での手術がお勧めです。ここからは自由診療で行われる手術の詳細についてみていきましょう。
2-1.自由診療ではどんな手術が行われる?
自由診療では切開する挙筋前転法、挙筋短縮法のほかに太ももなどから筋膜を移植する「挙筋吊り上げ法(腱膜移植)」や「切らない眼瞼下垂手術(埋没法)」などが行われます。切開法の費用は10~60万程度までと幅広くなっています。
・挙筋前転法
腱膜を短縮して挙筋を前転させる方法です。まぶたと挙筋を短縮し、目の開きを改善します。同時に二重にしたり、脂肪除去も可能です。
・挙筋短縮術
挙筋の一部を切除して挙筋を前転させる方法です。
・切らない眼瞼下垂手術(埋没法)
眼瞼下垂手術の切らない方法は「埋没法」と呼ばれ、二重まぶたを作るときの埋没法手術と混同されがちです。なかには「二重の埋没法手術を受けると眼瞼下垂も改善する」と考えている方もいるかもしれませんが、二重の埋没法はまぶたを開ける筋肉である眼筋にアプローチしないため、眼瞼下垂の症状は変わらないので、注意してくださいね。費用は15~40万円程度です。
また、切らない方法で症状が改善できるのは軽~中度の眼瞼下垂のみとなっているため、埋没法だけで対応できるのは皮膚のたるみが少ない若い方が多いようです。糸の方法ですので、緩みが出やすく、後戻りが出やすい傾向があります。
また、自由診療でも挙筋吊り上げ法(腱膜移植)が行われることがあります。自由診療の場合、60~90万円とやや高額になります。多くが先天性眼瞼下垂で行われる方法ですので、保険機関で行うことをおすすめします。保険だと3割負担だとして、片目6万程度になります。
2-2.自由診療のメリット・デメリット
自由診療のメリットは「二重のラインの幅を広げたい」「平行二重にしたい」というような、二重を美しくデザインすることができる点でしょう。美容外科なら、形成外科や眼科での手術に比べて、見た目の仕上がりに対する満足度も高めです。
デメリットは費用が高いことでしょう。全額自費となり、手術方法にもよりますが20~60万円程度かかるのが一般的。また、見た目重視で機能改善が二の次になり、手術後寝ているときに完全に目が閉じない、ドライアイになるといったこともあるようです。
3.保険診療と自由診療、どちらを選ぶべきか
手術を受けるなら、費用が安いことに越したことはありませんよね。では、「眼瞼下垂と診断されたので、保険診療も受けられるけれど、どうせならきれいな二重にしたい」といったとき、どちらを選べばいいのでしょうか。最終的に判断するのは患者さん自身ですが、ここからは患者さんの見解と医師の見解を紹介していきます。
3-1.医師の見解
保険診療で受ける眼瞼下垂手術では、機能改善が目的となっています。そのせいもあってか、形成外科や眼科で保険診療の手術を受けて、見た目に満足できず、再度自由診療で手術を受ける人も少なくないようです。二重になりたいために眼瞼下垂を保険診療で受けるような人が増えれば、健康保険制度そのものを揺るがしかねないという警鐘を鳴らしている医師もいます。
眼瞼下垂の症状が出ているのであれば、保険診療でも美しさにこだわりを持ってしあげるべきと考えているクリニックもあります。ただ、こうした考えを持つクリニックは、まだそれほど多くないと言ってもいいでしょう。
3-2.患者さんの見解
患者さんのなかには生まれつきの眼瞼下垂に悩んでいる方もいます。小さい時に眼瞼下垂症と診断される場合もあれば、気がつかないまま大人になって実は子供のころから眼瞼下垂症だったと気づくケースもあるでしょう。
特に小さなお子さんの中には左右の目の大きさが違う、目がしっかり開いていないなどで、周りからからかわれたり、見た目のコンプレックスのせいで消極的な性格になったりしてすることもあります。また、大人になってから手術を受ける場合、形成外科や眼科ではこのような気持ちの問題まで理解してくれる医師が少なく「見た目をきれいにしたいなら、美容外科へ」と言われることもあるよう。機能が改善すればそれで手術は成功と考える医師がまだ多いのが現実なのです。
4.まとめ
いかがでしたか。眼瞼下垂の手術は保険診療でも自由診療でも、納得のいく方法で信頼の受ける医師に手術を依頼することが大切です。必ずしも「保険診療だから、見た目はイマイチ」ということもなければ、自由診療であったとしても、満足のいかない仕上がりになる可能性はゼロではありません。いずれの手術を受ける場合も、何件かのクリニックでカウンセリングを受け、納得のいく方法を選ぶことが大切です。
*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。
Emiri
美容系全般得意なライター。自身でも美容医療を実践。
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監修:
牧野太郎 医師
牧野美容クリニック
福岡大学医学部卒業。大学病院にて形成外科、麻酔科などを経験。その後様々な美容外科クリニックで経験を積み副院長などを歴任。その後2018年福岡に牧野美容クリニックを開院する。
様々なクリニックでの経験から小顔治療や輪郭、ヒアルロン酸注入など多岐にわたる施術をしています。またSNSで積極的に症例をアップし、SNSを見た患者様からの相談や施術依頼が多く寄せられています。
福岡大学医学部 卒業
福岡大学病院 形成外科 入局
福岡大学筑紫病院 外科、麻酔科
札幌手稲渓仁会病院 救急部、整形外科
神奈川県立こども医療センター 形成外科
横浜市立大学病院 形成外科
福岡大学病院 形成外科 助教
福岡大学病院 形成外科 医局長
リッツ美容外科 東京院
リッツ美容外科 東京院 副院長
牧野皮膚科形成外科内科医院
清美会クリニック、ゆめビューティークリニック
八事石坂クリニック
クリニカ市ヶ谷
2018年 牧野美容クリニック院長
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