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シミのなかでも改善が難しいと言われている肝斑(かんぱん)や炎症性色素沈着の治療に効果があると言われているのがQスイッチヤグレーザーです。安全性が高く、あざやタトゥー除去にまで使用できるとして雑誌やテレビなどでもよく紹介されています。ここでは、Qスイッチヤグレーザーについて詳しく説明していきます。
目次
- 1.Qスイッチヤグレーザーってどんなレーザー?
- 1-1.Qスイッチヤグレーザーとは
- 1-2.Qスイッチヤグレーザーの効果とメリット
- 1-3.Qスイッチヤグレーザーの経過・ダウンタイム
- 1-4.Qスイッチヤグレーザーのデメリット
- 1-5.Qスイッチヤグレーザーは1回でシミや肝斑がとれる?
- 2.Qスイッチヤグレーザーの施術
- 2-1.Qスイッチヤグレーザーの施術プロセス
- 2-2.Qスイッチヤグレーザーの価格
- 2-3.Qスイッチヤグレーザーの口コミ
- 3.まとめ
1.Qスイッチヤグレーザーってどんなレーザー?
「Qスイッチ」と名前につくレーザーは他にもあります。他のレーザーでは肝斑の治療に適さないものもあるのに、Qスイッチヤグレーザーで肝斑の治療ができるのはどうしてなのでしょうか。まずはどんなレーザーなのか見ていきましょう。
1-1.Qスイッチヤグレーザーとは
Qスイッチレーザーの種類にはルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、そしてヤグレーザーの3種類があります。Qスイッチとは非常に短い時間で高いエネルギーを照射することができる治療器のタイプ。ルビーやアレキサンドライトといった宝石がレーザーの母材になるのに対し、ヤグレーザーは耐熱性、放熱性に優れたガーネット構造物であるYAG(以下ヤグ)という透明な人工宝石を母材としています。
ヤグレーザーそのものは1960年代に開発され、医療分野だけではなく、工業用としても用いられてきました。
レーザーのために開発された人工の母材を使用しているだけに非常に効率がよく、ピークのパワーも高くなっています。代表的なのはMedLiteC6(メドライトC6)、ルートロニック社のスペクトラと呼ばれる機種です。
「Nd:YAGとは、イットリウム・アルミニウム・ガーネットを含む結晶にネオジミウムを添加して作られたレーザー媒質で、これを用いたNd:YAGレーザーは、医療以外にも工業を始め、多くの実用分野で広く導入されており、技術的にも安定した信頼性の高いレーザーとして知られています」
一般的なQスイッチヤグレーザーのマシンでは1064nm(ナノメートル)と532mnの2種類の波長を使い分けて肌の表皮にあるメラニンと深い部分にある色素の両方にアプローチすることができます。メラニンのみを選択的に破壊できるので、正常な部分の肌に与える影響が低く、傷跡が残る可能性もほとんどありません。
「Q スイッチとは、ポッケルスセルという超高速な電気的シャッター機構を装備することにより、ナノセカンド単位の超短パルスで瞬時に、非常に高いピークパワーのレーザー光を発振させる技術です。高いピークパワーとナノセカンド単位の超短パルスを実現し、高い臨床効果と副作用の少ない治療を実現します」
1-2.Qスイッチヤグレーザーの効果とメリット
Qスイッチヤグレーザーは以下のようなトラブルの治療に適しています。
■深在性色素疾患(肌の深い部分にある色素が原因のトラブル)
- ・刺青、タトゥー、アートメイク
- ・太田母斑、異所性蒙古斑
- ・真皮メラノサイトーシス(ADM)
- ・外傷性刺青
■表在性色素疾患(肌の表皮に近い浅い部分にある色素が原因のトラブル)
- ・紫外線や加齢によるシミ
- ・そばかす
- ・ほくろ
- ・脂漏性角化症(いぼ)
- ・扁平母斑、カフェオレ斑、ベッカー母斑など
■顔全体に照射するレーザートーニングとしても
Qスイッチヤグレーザーはピンポイントに使用する他に出力パワーを弱めて広範囲に照射するレーザートーニングとして用いられることがあります。この場合、コラーゲンの生成が促されることによって以下の効果が期待できます。
- ・毛穴の引き締め
- ・ハリ感アップ
- ・美白、くすみの改善
また、肝斑の治療も弱いパワーでの照射が効果的です。
1-3.Qスイッチヤグレーザーの経過・ダウンタイム
施術直後は患部が赤くなり、ヒリヒリとした熱感がありますが、徐々におさまっていきます。
■ダウンタイムは1~2週間程度
レーザー照射後はテープで患部を保護します。そばかすなど肌表面のトラブルの治療では幹部が白っぽくなることがあります。
施術後2~3日で患部にかさぶたができます。ただし、症状によって状態は異なり、赤みが出るだけの場合も。施術後1~2週間でかさぶたや赤みが取れて新しいピンク色の皮膚が現れます。見た目でダウンタイムと分かるのは、この1~2週間でしょう。施術後、1週間程度は特殊なテープを貼って患部を保護します。
その後、1カ月程度で炎症性色素沈着が一時的に濃くなることがありますが、徐々に色素沈着は薄くなっていきます。周りの肌となじんで目立たなくなるまでには3カ月程度かかるのが一般的です。
■アフターケアが治療結果を左右する
他のレーザー治療と同様、Qスイッチヤグレーザーも治療後のアフターケアによってシミなどのトラブルがキレイに治るかどうかの結果が左右されます。施術後3カ月は特にしっかりと紫外線対策をすること。かさぶたが取れて新しい皮膚が現れたときに、紫外線に当たるとシミが濃くなってしまいますので、日焼け止めの使用は必須です。
Qスイッチヤグレーザーの施術後、クリニックによってはトラネキサム酸やビタミンCなどの内服薬やハイドロキノンなどの外用薬を処方しているところやピーリングやイオン導入などの施術を並行して行うことを勧めているところもあります。
1-4.Qスイッチヤグレーザーのデメリット
他のレーザーと同様、Qスイッチヤグレーザーで治療をしてもシミなどのトラブルが改善しないことがあります。かえってシミが濃くなってしまったり、いったん消えたシミがしばらくして再発したりすることもあるようです。これは肌トラブルと使用したレーザーの相性がよくなかったと考えられます。
ただし、間違ったアフターケアによって、炎症性色素沈着が起こりシミがかえって濃くなったように感じるケースが非常に多いです。施術後、アフターケアについて分からないことがあれば、必ずきちんと確認すること、指示されたお手入れ方法は必ず守るようにすることも大切です。
■治療は技術レベルの高い医師が在籍するクリニックで
Qスイッチヤグレーザーは高いピークパワーで照射できるのが特徴のレーザー。それだけに、照射レベルの調節を誤るとやけどのような状態になってしまうことがあります。口コミやクリニックのサイトの症例などをチェックして技術レベルの高い医師に施術をしてもらえるかどうかを確認することも大切です。
1-5.Qスイッチヤグレーザーは1回でシミや肝斑がとれる?
薄いシミであれば1回で取れることもありますが、効果には個人差があるようです。
■症状によっては複数回治療が必要な場合も
太田母斑のように、肌の深い部分にある色素が原因のトラブルは何度か治療を繰り返さなければ効果が現れないケースもあります。「物心ついたころからあるシミが気になってクリニックを受診したたら、太田母斑だと診断された」ということもあるので、まずはカウンセリングを受けてみることをおすすめします。
また、肝斑もごく弱いパワーで数回施術することで薄くなるタイプの肌トラブルです。肝斑はごく弱いレーザートーニングのレベルで照射し、1週間に1回のペースで5~7回程度繰り返すことでかなり薄くなるケースもあります。
薄いシミなら1度で取れることもありますが、症状によって必要な治療回数は異なります。カウンセリング時にどのくらいの回数が必要か、確認してみるようにしましょう。
外傷性刺青は1回で取れることもありますが、タトゥーの場合、数回施術を繰り返しても完全に色を消すことは難しいでしょう。
2.Qスイッチヤグレーザーの施術
ここからは実際に行われているQスイッチヤグレーザーの施術について詳しく説明していきます。
2-1.Qスイッチヤグレーザーの施術プロセス
施術プロセスは以下の通りです。ピンポイントでの治療も広範囲に照射するレーザートーニングでもプロセスはほぼ同じです。
①カウンセリング
しみや肝斑などの状況を見てQスイッチヤグレーザーが適応となるかどうか判断します。必要な施術回数やリスクなどについても説明があります。治療する箇所の大きさを確認して料金が伝えられます。アフターケアなどについて疑問点があれば確認するようにしましょう。
②メイクを落としと洗顔
ファンデーションなどの色にレーザーが反応してしまうため、施術前にクレンジングと洗顔をします。その後、必要に応じて麻酔クリームやテープ、注射などの局所麻酔をします。
③照射
施術中は目を保護するため、アイガードを使用します。顔を動かさないように注意しましょう。はじめのうちはメラニンの色が濃い部分や産毛に反応してぱちぱちと音がします。痛みは輪ゴムではじく程度です。
④クールダウン
肌を冷やして赤みや熱感を抑えます。施術後はメイクをして帰宅することができます。当日の入浴も可能ですが、患部は濡らさないようにしなければなりません。
2-2.Qスイッチヤグレーザーの価格
シミやほくろなど気になる部分へのピンポイント治療の場合、その大きさや個数によって料金が異なります。料金の目安は5ミリ四方で5,000円程度、1センチ四方で1~2万円程度。顔全体に照射するレーザートーニングの場合、顔全体で8,500~15,000円程度が相場になっています。初回限定で安く施術を受けられるクリニックもあるので、ガンコなシミにお悩みの方はまず、こうしたクリニックでQスイッチヤグレーザーの効果を実感してみてはいかがでしょうか。
■Qスイッチヤグレーザーは保険適用になる?
QスイッチルビーレーザーやQスイッチアレキサンドライトレーザーは太田母斑やADMの治療に使用する場合、回数限定で保険適用となりますが、QスイッチYAGレーザーは保険適用となりません。すべて自費診療となるため注意してくださいね。
2-3.Qスイッチヤグレーザーの口コミ
QスイッチYAGレーザーの口コミを紹介しましょう。すべてのシミが完全に消えるわけではありませんが、かなり目立たなくなって満足という声もあります。また、そばかすやADMには効果が現れにくいという声も。数回施術を受けて、他のレーザーやライムライトなどに切り替えて症状が改善したという方もいます。
■効果があったという声
「顔にいくつかのシミがあるのですが、そのうちかなり気になっていた3つをQスイッチYAGレーザーで除去しました。目尻にあったシミはできてから年数が経過していなかったためか完全になくなりました。それ以外のシミは薄くはなりましたが完全になくなりませんでした。しかしかなり目立たなくなりましたので満足です」
■ADMであったため、シミが取れなかったという声
「私も最近頬のシミをレーザー治療しました(Qスイッチヤグレーザー)。
でも、全然取れませんでした。
先生の話によると、私のシミはレーザーで効果がある老人性色素斑ではなくて、後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)という、皮膚の奥(真皮)にメラニン工場みたいなものがある種類のシミだったそうです)」
出典 http://komachi.yomiuri.co.jp/
■複数回受けても効果がなかったという声
「顔全体に薄いしみそばかすが多数ありQスイッチヤグレーザーを顔全体に計4回照射してもらいましたが全く変化はありませんでした」
出典 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/
3.まとめ
肌の浅い部分にあるシミだけではなく、深い部分にあるメラニンが原因の太田母斑やADMの治療にも用いられるQスイッチヤグレーザー。一定の効果が認められているものの、トラブルの状態によって効果には個人差があります。まずはカウンセリングを受けて、ご自分の肌トラブルにQスイッチヤグレーザーが適しているかどうか、どのくらいの治療回数が必要かどうか確認してみてはいかがでしょうか。
*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込です。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。
Emiri
美容系全般得意なライター。自身でも美容医療を実践。
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監修:
この記事の監修ドクターが所属するクリニック
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