身体は細いのに痩せて見えないことにお悩みの方は、実はとても多いのです。逆に身体が少し太っても顔が小さく、フェイスラインがすっきり細ければあまり太って見えないという方もいます。

筆者は、患者さんからも顔が丸くて悩んでいるとよく相談されることがあります。そのような時にお勧めできる施術はたくさんありますが、その中でも笑った時に頬がふっくらしてしまうタイプの方におすすめなのがバッカルファット除去です。

よく、口の中を誤って噛んでしまう方がいると思いますが、口の中で噛んでしまうその部分がいわゆるバッカルファットという脂肪がある場所です。顔についている脂肪は膜で覆われており部分ごとに名前がついています。バッカルファットはその中の一つで、頬の内側や頬骨下で口の少し上の部分にあります。バッカルファットが多い方は下膨れ顔に見えやすく顔が大きく見えてしまうという悩みを抱えやすいです。バッカルファット除去について今回は詳しく解説していきます。

【監修医師からのワンポイント】

頬が張っていて顔が大きく見える原因となる脂肪には、バッカルファット、ジョールファット、メーラーファットの3つがあります。小顔にしたいという希望に対して、これらの脂肪除去の適応を見極める必要があります。バッカルファットは比較的皮膚の深い層(口腔内に近い層)に存在しており、ジョールファットやメーラーファットのように脂肪吸引や脂肪溶解注射などでは除去しにくい脂肪です。バッカルファット除去の施術では、口腔粘膜を数ミリ切除して脂肪を取り出します。フェイスリフトの際に同時に取ることもできます。取りすぎて頬がコケてしまったり、左右差がないようにお顔の変化を見ながら、一人一人除去する脂肪を調整してスッキリとしたお顔立ちに整えます。

顔の脂肪バッカルファットの位置は?

バッカルファットとは口元寄りの頬の中央部や内側に位置する脂肪のことです。若いうちはこの部分の膨らみにより顔が丸い状態に悩む方が多く、年齢を重ねると重力により脂肪が下垂してブルドッグラインやほうれい線の原因になると言われています。

そのため、若いうちにバッカルファットをある程度除去してしまうと40代以降に脂肪が下垂してたるんでくるのを予防できるとも言われています。バッカルファットをとるだけで将来のたるみやほうれい線などのシワも予防できるなんて魅力的なオペですよね。

ただ、バッカルファットが多量にあるかどうかは自分ではなかなかわからないので、必ず医師に診察してもらう必要があります。傾向としては、口の中を誤ってよく噛んだり笑った時に頬がぷくっと膨らむような方はバッカルファットが原因と思っていただいて良いかと思います。

バッカルファット除去の方法

では、このバッカルファットはどのように除去するのでしょうか? 顔の脂肪は脂肪吸引することが多く、患者さんにも吸引したら取れる? と質問されることもよくありますが答えはノーです。脂肪吸引で取れる脂肪は頬や顎下、口元など皮膚下にある表面の脂肪だけです。

バッカルファットは脂肪吸引で取れる脂肪のより奥深くにある脂肪のため吸引で除去することは不可能なのです。そのため、バッカルファットは口の中の粘膜を数ミリ切開して引っ張り出すという方法がよく取られます。

口の中を切るので表に傷ができず傷跡も外から見えないためダウンタイムが他のオペと比較してとても短いと言われています。ただ、切開するため内出血が出る場合もあり、内出血は重力で血液が下方向に落ちるためフェイスライン近くが内出血で青くなったり黄色くなる可能性があります。

また、口の中の傷は数ミリであり、粘膜は癒着が早いため1週間程度で傷はある程度治ります。さらに、フェイスバンドでの圧迫も2〜3日行った後は夜のみする程度(クリニックによって異なるためクリニックの規則に則ってください)ですので日常生活は普通に行うことが可能です。麻酔をしっかり入れるため術直後は少し腫れますが、数日で腫れ感も気にならない程度になっていきます。むくみも含めると1週間程度で引いていきます。

バッカルファット除去の手術中の痛み

痛みは口の中に麻酔の注射をするのでちくっとした感じの後で中に麻酔が入ってくるぐーっと重く押されるような痛みがあります。歯医者の麻酔を想像するとわかりやすいかと思うのですが我慢できる程度の痛みのため、局所麻酔で十分な方が多いです。どうしても痛みが苦手な方や恐怖が強い方はリラックスできる笑気麻酔やうとうと寝ている間にオペが終わる静脈麻酔をオプションでつけると安心してオペができると思います。

バッカルファット除去の価格

価格はクリニックによって違いますが20万円程度でオペを行っているところが多く、モニター制度を利用すると10万円程度で受けることも可能な場合があります。

バッカルファット除去のデメリット 取り過ぎ注意!

メリットとして小顔効果や将来的なたるみやほうれい線の防止などがあると解説してきましたが、デメリットはあるのでしょうか? デメリットとしては、もともとバッカルファットが少ない又は骨格的にバッカルファットを取るとコケる傾向にある方は、バッカルファットを除去するとコケるリスクがあることです。

頬がコケると不健康な印象があったり、年齢を感じさせるため老けて見えたりすることがよくあります。そのため、逆にヒアルロン酸や脂肪を注入してふっくらさせる必要がある方もいます。脂肪細胞は大きくなることはあっても細胞自体が増えることはないと言われているため、バッカルファットを綺麗に全てとってしまうと脂肪が新たに作られることはありません。

一度なくした脂肪は再生しないのです。よって本当にバッカルファットが原因で下膨顔なのか、他の原因があるのかしっかり判別する必要があると言えるでしょう。元々面長の方や痩せ顔の方には注意が必要なオペのため信頼できる医師に診察してもらうことが大切です。
また、頬の膨らみがしぼむため皮膚が余ってしまい皮膚のたるみにつながることもあります。皮膚のたるみが生じるとほうれい線のもたつきが出てしまうため注意が必要です。

バッカルファット除去と併用される施術

バッカルファットと併用される施術としてはいくつか挙げられますが、エラのボトックスが特に多いです。エラのボトックスで効果が出るのは咬筋という歯を食い締めた際にボコッと硬くなる筋肉です。この咬筋が発達しすぎるとホームベース顔になったり下膨れ顔になります。

頬のボリュームをバッカルファットでなくすと同時にエラのボトックスを打つとフェイスラインがよりすっきりとして適応の方は小顔になるため併用するにはとてもいい施術と言えるでしょう。ただ、咬筋に関しても土台になっていた咬筋のボリュームがなくなることによって皮膚が柔らかい方や40代以降の皮膚のたるみが元々ある方はたるみが生じてしまいます。そのため、ボトックスの量を調整したりたるみ治療を併用する必要がある場合もあります。

他にも、スレッドリフト(糸リフト)を併用される方もいます。バッカルファットを除去すると膨らみがなくなる分、風船が萎んだ時のように皮膚がもたつく場合があります。そうするとたるみが生じるためスレッドで引き上げると皮膚のたるみも引き上がりフェイスラインもシュッとラインが綺麗にでてきます。

皮膚が柔らかい方やこめかみ辺りををぐっと指で斜め上に引き上げた時に皮膚が動く方はスレッドリフトで皮膚をぐっと持ち上げることができるため変化がわかりやすく併用することをおすすめします。

▼エラボトックス、スレッドリフトの医師監修の施術詳細(概要、ダウンタイム、費用、リスク等)はこちら

除去後にすると良い施術

バッカルファットは先ほど述べた通り、デメリット(リスク)として除去すると頬のボリュームが減りたるみにつながる場合があります。そのため、たるみ治療をバッカルファット除去後に行うとたるみの改善・防止が可能です。たるみ治療の中でも熱を加える施術は皮膚のハリを出して引き締まるためダウンタイムもなく、手軽なためバッカルファット除去後だけでなく顔の脂肪吸引後の方にも良い施術です。

・ハイフ

ハイフはバッカルファット除去後のダウンタイムが終わってから数回継続して行うことを推奨します。表面のタイトニングもできるためバッカルファットだけでなく皮下脂肪が多い方に特におすすめです。皮下脂肪が多いとせっかくバッカルファットを除去しても頬のボリュームが残って下膨れ顔が改善しないことがあるためです。

ハイフは表面の皮膚にも熱を与えられるため引き締め効果もあり、照射方法を工夫すると汎用性が高いため、マニュアル通りではなくお顔に合わせてオーダーメイドに照射してくれるクリニックを選ぶと良いでしょう。

▼ハイフの医師監修の施術詳細(概要、ダウンタイム、費用、リスク等)はこちら

・サーマジェンなどRF

サーマジェンやサーマクール、イントラジェンなどのRFは皮膚表面から脂肪層の上層へ熱を加えることができるものです。これにより皮膚を引き締めることができるため、たるみを改善・予防することが可能です。脂肪層の上層へもアプローチできるためしっかり熱を入れるとタイトニングもでき、皮下脂肪にもアプローチできます。

・ショートスレッド

美容針のように細い針を刺して髪の毛より細い糸を皮膚の下に入れるショートスレッドは皮膚の引き締めをしてくれるためバッカルファット除去後の部分的なたるみに効果的です。

バッカルファット除去は頬の中央や内側などピンポイントにある脂肪を除去するためその部分の上にある皮膚がたるみもたつくためショートスレッドをその場所に左右で40〜60本程度刺入すると組織がぎゅっと引き締まり直後から効果を実感される方も多いです。糸が溶ける過程でも引き締まりは持続するため持続効果も高い治療です。

バッカルファット除去と似ている施術

バッカルファット除去と類似している治療としてあげられるのは頬や顎の脂肪吸引です。バッカルファットはコケることやたるむことがあるためそこを懸念して皮下脂肪を吸引するというのも下膨れ顔や丸顔を改善することに向いています。

丸顔や下膨れ顔などの方はまずダイエットで健康的な体重まで痩せてからフェイスラインや顎下の脂肪吸引をするとだいぶ改善されるためどうしても頬内側の脂肪が気になる方以外は慎重に検討する必要があると思います。

バッカルファットは一度除去するとその後のコケやたるみ治療が長期間続く例も多くオペを検討する際はいくつかのクリニックを回ってカウンセリングを受けるとそれぞれの医師の見解を聞けるため安心してオペを受けることができると思います。

▼顔の脂肪吸引はこちらの医師監修記事もチェック!

まとめ

小顔の施術といってもハイフやRF、スレッドリフトや脂肪吸引など様々なものがあります。その中で自分はどのような骨格をしていてどの部分にボリュームがあるのか、皮膚の薄さや柔らかさはどうなのかなどをまず分析すること。

そうすることで自分の悩みや顔を理解することに繋がり、必要な治療がわかってきます。それから、何があっているのか調べたりカウンセリングしたりと、受けたい施術についてダウンタイムやリスクなど深く知っていくと安心してオペや施術が受けられます。

バッカルファット除去についても適応の方はとても良いオペですが、適応でない方が行うとコケたりたるんだりとデメリットばかりが浮き彫りになってしまいます。年齢を重ねた時に脂肪が減ってきてよりコケてしまうのではないかなどリスクを理解して今の悩みに向き合うと頬がスッキリするだけでなく将来のたるみやシワを予防できるというメリットがより明確に見えてくるのではないでしょうか。

また、バッカルファット除去だけで理想的なフェイスラインにすることは難しいため、併用した方が良い施術やバッカルファット除去後に行った方がよい施術を組み合わせることでご自身の満足できるフェイスラインにより近づけることができるかと思いますのでこの記事を参考にしてみてください。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

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トマト看

4年制大学の看護学科を卒業後総合病院のICUで1年勤務。その後、美容クリニックに勤務して3年目の、看護師としては4年目になる。美容クリニックはパート含め計6院の美容外科・皮膚科勤務歴があり使用した機械や介助についたオペも多い。高校生の頃から肌荒れに悩んでおり、スキンケアマニアのため市販のスキンケアやドクターズコスメの知識も豊富である。

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監修:

曽根良子 医師

おやま形成外科美容クリニック

形成外科専門医。手術で患者さんの人生を豊かにしたいと形成外科を志す。知識と技術の向上を追求し、女性ならではの細やかなケアを通じて、患者さんに寄り添った治療を提供。東北地方で形成外科の普及に貢献中。福島市に2024年11月おやま形成外科美容クリニック開院。

東京女子医科大学卒業
北海道大学付属病院研修
北海道大学形成外科、函館中央病院形成外科
福島県立医科大学形成外科
タウン形成外科クリニック勤務
おやま形成外科美容クリニック開院

執筆:

トマト看看護師

4年生大学の看護科を卒業後ICUを1年経験し、救急医療や重症看護を学んだ。その後、複数の美容皮膚科や美容外科で経験を積み美容看護師として働いて3年目になる。日頃からエビデンスやその方それぞれにあった美容医療を提案している。
患者さんからの指名も多く、美容の豆知識を呟いているX(旧Twitter)ではフォロワー2,500人と支持を得ている。

3次救急病院(ICU)
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