レーザーやIPL(光治療)とは異なるジャンルのプラズマ治療について聞いたことはありますか?「プラズマって名前では聞いたことがあるけどそもそも何なんだろう?」「プラズマにも美容効果があるんだ」と感じた方も多いかと思います。

プラズマ治療についてこの記事で全て解説していきます!

そもそもプラズマって?

そもそもプラズマとはどういったものかについてお話ししていきます。

プラズマとは物質の第4の状態だと言われています。
物質は①固体②液体③気体と温度が上昇するに伴い形を変えていきますよね。プラズマは気体をさらに温めることで電子(マイナス)と陽イオン(プラス)にまで分解された状態が④プラズマです。

自然現象だとオーロラや稲妻、身近なものだと照明などがプラズマの状態にあたります。医療現場でも器具の滅菌や止血などに利用されています。

プラズマ治療とはしっかりと保湿したお肌にプラズマを照射することで殺菌によるニキビの改善効果、成長因子の活性化によるリジュビネーション(若返り)が期待できる施術です。
少し難しいお話しになりますが、レーザーやIPL(光)と違い、メラニン(茶色の色素)、ヘモグロビン(赤み)、水分に特異的な吸収性があるわけでないということがプラズマ治療の違いのひとつとなります。

プラズマ治療の主な効果は?

殺菌作用

肌荒れの原因となるアクネ菌や黄色ブドウ球菌、緑膿菌などの細菌を殺菌する効果があります。

皮膚への薬剤の浸透性を高める

プラズマ照射後は通常より薬剤の浸透性が高くなる「ドラッグデリバリー効果」があります。どうして浸透性が高まるかというと、照射直後は角質層※の表面に粒子の衝突により極めて小さい孔が形成されるためです。 
※皮膚は表面から角質層→表皮層→真皮層→皮下組織と大きく分類されます。

余分な角質を除去

プラズマには余分な角質を除去するピーリング作用があります。角質層が厚くなってしまうことでざらつきが生じたり、くすみの原因となってしまうため余分な角質を除去することが重要です。

成長因子の活性化

プラズマの照射によりFGF(線維芽細胞増殖因子)やVEGF(血管内皮細胞増殖因子)の生産が増えます。また皮膚に熱が加わることでコラーゲンやエラスチンが増えハリや弾力アップが期待できます。

プラズマ治療の効果等がわかったところで、このようなプラズマを利用した機械がNeoGenです。

プラズマ治療機NeoGenについて

UK発のこの機械は窒素をもとにプラズマ化していきます。
NeoGenには3つのモデルがありそれぞれの特徴をまず紹介していきます。

  • ・NeoGen SPA
    スパという名前の通り1番マイルドに治療ができるモデルです。ダウンタウンもほとんどゼロに近く、スキンタイプ4程度の海外の暗めのお肌の方にも安全に使用できます。
  • ・NeoGen EVO
    顔だけでなく身体にも照射でき、日本ではクリニックでの取り扱いがほとんどですが海外ではエステでも使用される、効果とダウンタイムのバランスの取れている機械です。
  • ・NeoGenPSR
    NeoGenシリーズで最大強度のプラズマが放出できるモデルのためしっかりと施術したい方に向いています。
  • 空気をそのままプラズマにすることに比べ窒素をプラズマにすると殺菌作用が強く、薬剤の浸透性も高くなると言われています。

    またレーザーや光治療は皮膚のトーンが暗いと火傷してしまうリスクが高くなるため施術を受けられないことがあります。これはレーザーや光治療はメラニンという茶色の色素に吸収される波長を生かして治療するという仕組みになっているためです。
    プラズマ治療の場合、メラニンなど特定のものに吸収されることはなくお肌の色素が濃い方でも安全に治療が受けられます。

    ひとつ注意して頂きたいことは日焼け直後のお肌はNGということです。日焼けしたお肌は軽い火傷状態にあたります。そのような状態で施術を受けると水脹れや色素沈着になり跡となって残ってしまう可能性があります。暗めの皮膚が施術可能だからといっても日焼け直後は施術できないのでご注意下さい。

    NeoGenの実際の施術体験

    筆者は美容皮膚科で看護師として働いていますがプラズマ治療NeoGenを受けた経験も施術した経験もどちらもあります。ここからは個人の見解になりますが、実際の体験談についてもお話しさせて頂きます。

    まず受けてみた感想はプラズマが照射される瞬間はバッチと少し熱い風が来る様な感覚がありました。その後も多少ヒリヒリするためパックやエレクトロポレーション、イオン導入などで鎮静すると軽減するためおすすめです。

    またプラズマ照射後は一時的にドラッグデリバリー効果があり皮膚の浸透性が高まるためせっかく施術を受けるのであればお悩みに合わせた成分を導入してあげると良いかと思います。ダウンタイムも以下で詳しくお話ししますが比較的軽く、受けやすい美容医療かと思います。個人差はありますが私の場合、通常パワーの照射では直後にひりつきがある程度、ハイパワーの照射では3日程度赤み、皮剥けが起きましたが日常生活に大きな影響は及ぼしませんでした。

    美容看護師として施術を提供しているなかでお肌が乾燥している方ほど、ブラウンチェンジ※が出やすいなと感じました。照射前にクリニックでも保湿は行いますが乾燥していてお肌に良いことはひとつもないのでご自宅での毎日のスキンケアも頑張り、施術に臨むのが良いと思います。

    またどの美容医療の施術でも言えることですが1度の施術で良くなるわけではなく複数回受ける必要があること、ご自宅でのケアも大きく治療効果を左右する要因のひとつです。お肌の状態により必要となる内服薬やサプリメント、スキンケアは異なるため信頼できるクリニックで治療計画をたててもらうようにしましょう。
    ※ブラウンチェンジについては「ダウンタイムや副作用の項目」を参照下さい。

    NeoGenの施術風景

    このように洗顔後、しっかりと保湿を行いプラズマを照射していきます。照射自体は10分程度で終了し、痛みも少なく受けられます。

    プラズマ治療の症例写真

    プラズマ治療の症例の紹介をしていきます。

    ニキビ

    リジュビネーション(若返り、アンチエイジング)

    肝斑

    ボディの色素沈着

    プラズマ治療のダウンタイムや副作用について

    ダウンタイムは1週間程度で写真のような経過となります。
    通常照射の場合はメイクは当日からOK、ハイパワーの場合は翌日からとなっているクリニックが多いかと思います。
    ダウンタイムの注意事項などは医師の指示に従って下さい。

    通常照射の場合

    ハイパワー照射の場合

    • ・赤み
    • ・ひりつき
    • ・皮剥け(ハイパワー照射では高確率で起こります)
    • ・ブラウンチェンジ

    ブラウンチェンジとは

    施術の翌日から3日後にこのように照射箇所が薄茶色に変化することがあります。ブラウンチェンジが起きてもしっかり保湿と紫外線対策といった基本的なスキンケアを継続していれば1週間程度で色調は元に戻るため過度の心配はありません。

    プラズマ治療その他注意事項

    • ・他のレーザー、光治療などダウンタイムのある施術とは前後3週間程度期間を空ける
    • ・ゼオスキンやエンビロン、ガウディスキンなど高濃度でレチノールやハイドロキノンが配合されているスキンケアは前後1週間程度使用しない
    • ・ピーリング作用のあるニキビ薬(ディフェリン、べピオ、デュアックなど)も前後1週間程度休薬する
    • ・市販のレチノールやハイドロキノンの使用も赤みや皮剥けなどの反応が強く起きている場合使用を控える
    • ※クリニックにより施術間隔や休止の間隔は異なりますので一例として参考にして下さい。

      ニキビ治療、NeoGenの施術効果を最大限にするために

      プラズマ治療はニキビ治療のひとつとして受けられる方が多いため治療効果を高める方法について解説していきます。

      前提としてニキビは基本的には保険診療が第一選択となります。保険診療で治療を受けていてもどうしてもコントロールできない場合は自費診療を試すと良いかと思います。

      ニキビがどのようにできるかというと……

      • ①皮脂の分泌が多くなる
        →ホルモンバランス、食習慣、ストレス、睡眠不足などが原因
      • ②角化異常により毛穴開口部が詰まる
        →皮膚が硬くなり毛穴を塞いでしまう
      • ③出口のない毛穴のなかで皮脂が溜まり、アクネ菌が増殖する
        →アクネ菌は通性嫌気性好脂性という特徴があります。嫌気性:酸素が嫌い、好脂性:皮脂が好きという性格なため出口が塞がり皮脂が溜まった毛穴のなかで増殖してしまいます。
      • ④アクネ菌が増殖して炎症が起きる(ニキビができている状態)

      このようなメカニズムとなっています。

      プラズマ治療NeoGenではこのアクネ菌を殺菌する作用と余分な角質を取り除くピーリング効果があるためニキビに対して有効となっています。

      NeoGenと併せて上記のニキビができる仕組みにアプローチしてあげるとより改善期待できますよね。具体的にどうしていけばいいか併用治療についても紹介していきます。

      ビタミンCの補給

      ストレスが溜まると自律神経のバランスが乱れ交感神経の働きが優位になります。交感神経が優位な状態であると①男性ホルモン(テストステロン)②副腎皮質ホルモン(アドレナリン、アンドロゲン)の分泌が増加します。これらのホルモンは皮脂の分泌を促してしまいます。

      ストレスを溜めないことが1番ですが仕事や家庭、人間関係のことを全て放り出す訳にはいきませんよね。ストレスがかかり上記のホルモンが分泌されるのは副腎という腎臓の上についている器官です。ストレスにより副腎で大量のビタミンCが消費されてしまうことが分かっているので内服薬やサプリメント、点滴などで身体の内側から補充すると良いかと思います。

      またビタミンCはこのようにストレスに抗う作用以外にも高い抗酸化作用があります。抗酸化作用とは活性酸素から細胞を守ってくれる作用で、人間は身体的、精神的、環境的なストレスを感じると細胞を傷つける活性酸素が過度に生産されてしまいます。活性酸素により細胞のダメージが蓄積しシミやしわ、くすみなどあらゆる肌トラブルの原因となってしまいます。

      ニキビは毛穴に炎症が起きている状態のため、既に活性酸素が多い状態です。またアクネ菌の代謝物であるポルフィリンは紫外線にあたることで活性酸素をたくさん生産してしまいます。
      ビタミンC配合のスキンケアは高い抗酸化作用があり、皮脂抑制作用もあるためニキビ肌の方は治療に合わせて使い、プラズマ照射後は薬剤浸透性が高くなっているためビタミンCの美容液の導入もおすすめです。

      ビタミンBの内服

      ビタミンBは脂質の代謝に働きます。ビタミンBが不足すると皮脂の分泌量がコントロールできず増え、脂性肌に傾きます。ニキビができているということは皮脂の分泌が亢進している状態のためビタミンBの内服薬やサプリメントで補い不足している状態を改善する必要があります。また脂っぽいものを食べたときだけでなく、糖分を代謝する際にもビタミンBが大量に消費されるため脂質や糖質が過多とならないような食生活を心がけましょう。

      アゼライン酸

      アゼライン酸を塗ることにより毛穴の詰まりを改善する効果、皮脂の分泌を抑制する効果が期待できます。海外ではニキビ治療のガイドラインで推奨されており、DRX AZAクリア(ロート製薬)という多く流通しているアゼライン酸のスキンケアは妊娠中・授乳中でも使えるくらい安心な商品です。日本の試験※でも有効性が認められているためNeoGenと併用するとさらに高い治療効果が期待できます。

      ※林伸和ほか,尋常性ざ瘡を対象とした20%アゼライン酸クリーム(DRX AZAクリア)の基剤対照評価者盲検無作為化左右比較試験,Aesthetic Dermatology,22:40-49,2012.

      プラズマ治療NeoGenはニキビにももちろん効果的ですがリジュビネーション効果や薬剤浸透性を高める作用もあります。肌治療は美容クリニックでの施術、お家でのケアどちらも大切になるため日々ケアを頑張っていきましょう!

      ▼ニキビ治療をもっと知りたいかたはこちらの医師監修記事も

      *本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

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執筆:

まいまい看護師

都内美容皮膚科、保険診療皮膚科その他形成外科などが併設しているクリニックで働く正看護師。自身がニキビで悩み、SNSや雑誌などで知った情報を試すも良くならなかった経験からお肌の状態が自信をなくしたり、QOLを下げる原因にならないよう美容看護師になる。

また誤った情報で悲しい思いをする方を減らすため根拠に基づいた美容法をSNSで紹介している。クリニックでは前職、現職でも指導者・プリセプターを担当。施術だけでなくカウンセリングも行っている経験から現実的に実践できるような手軽な美容から幅広く発信。

愛知県の大学病院(救急病棟)
都内美容皮膚科クリニック
都内美容皮膚科、保険診療皮膚科その他形成外科などが併設しているクリニック