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ストレッチマークとは
ストレッチマークとは別名「肉割れ」、「妊娠線」とも言われています。
胸や腹部、お尻、二の腕、太ももなどの皮下脂肪が多くあり、皮膚が乾燥しやすい部分にできるひび割れのような線で、日本人の80%にみられるともいわれています。幅は数ミリ程度で、大きなものになると長さは10センチを超え、裂けた線が皮膚表面を波打つように伸びて見えます。大きさや形はさまざまですが、特に痛みや出血は伴わず、まれに痒みを感じる場合があります。
皮膚は上から表皮・真皮・皮下組織の3層から成り立っています。ストレッチマークは皮膚が裂けたように見えるため、肌表面の表皮が傷ついたものと感じやすいですが、実はストレッチマークは表皮の下の真皮層が傷ついたことによりできる線なのです。
表皮は水分を含んでおり、伸縮性を持っているため、簡単にその組織が壊れたり傷ついたりすることはありません。真皮層はコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどから構成されているため、弾力性に富んでいるのですが実は伸縮性はあまりありません。そのため、皮膚が急激に引き伸ばされると、真皮層が裂けてひび割れを起こしてしまいます。この真皮でのひび割れが肌表面から見えるようになったのがストレッチマークということになります。
ストレッチマークはどうしてできるのか
ストレッチマークはどうしてできるのでしょうか。ストレッチマークができる原因はいくつかあります。
急激な体型の変化
こどもの成長期や妊娠、また短期間で大幅に太ってしまうなど、急激な体型の変化が起こるとストレッチマークができやすくなります。急激に体型が変わるということは皮膚が急速に引き伸ばされるということです。一度に大きな力が加わるので伸縮性のない真皮はその力に耐えきれず断裂してしまいます。
加齢
年齢を重ねると真皮層を構成しているコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどを作り出す力が減少します。そうすると真皮層がすかすかになり、少しの力でも断裂しやすくなります。するとストレッチマークも若い頃に比べできやすくなってしまいます。
血行不良
血行不良もストレッチマークをできやすくする原因となります。血液により全身に栄養分を運んでいますが、血行が悪いと十分に栄養を運ぶことができず、肌にも必要な栄養分が行き届きにくくなります。すると皮膚は硬くなり、乾燥もしやすくなるため、ストレッチマークができやすくなるのです。
ストレッチマークができた場合のセルフケア方法
それではストレッチマークができてしまったときにはどのようなケアをしていけばいいのでしょうか。
まず知っておいてほしいのが、一度できてしまったストレッチマークはセルフケアによって完全に消えることはないということです。そのため自分で行うケアはストレッチマークを「消す」ためのものではなく、「目立たなくする」ためのものになります。そしてストレッチマークは放置してしまうとどんどん目立ってしまい、セルフケアでの対処がかなり難しくなってくるので、早い段階でしっかりとしたケアをおこなうようにしましょう。
セルフケアの方法はストレッチマークができてからどのくらい経過しているかでやや変わってくるので、段階ごとに分けてお伝えしていきます。
初期段階
ストレッチマークができたばかりの初期段階では皮膚はまだ平らで、赤い線として見えます。これは断裂した皮膚の下に通っている毛細血管が肌表面から透けて見えるからです。
真皮層にひび割れが入ってしまったものの、その傷はまだ完全には塞がっていない状態です。この時点でしっかりとケアを行えば、ほとんど目立たない状態にまで持っていくことが可能です。
真皮層が断裂することでそこから水分が蒸発し、乾燥が進行しやすくなります。肌の乾燥はストレッチマークを進行させ目立ちやすくする原因となるので、念入りに保湿を行うようにしましょう。またピーリングを行い古い角質を除去し、お肌のターンオーバーを促すこともおすすめします。
中期段階
ストレッチマークができてから少し時間が経過すると赤く見えていた線は赤紫色に代わり、白っぽく見えるところも出てきます。平らだった皮膚も少々へこみが見られるようになります。
中期段階では初期段階でお伝えした保湿とピーリングに加え、肌に十分に栄養が行き届くように血行を促進させるような生活を意識して行います。具体的には乱れた食生活や運動不足を見直し、バランスの取れた食事、軽めの運動、入浴などを積極的に行うとよいでしょう。
運動については動きがハードなものになるとそれも皮膚がのびる原因にもなるので軽めの運動をおすすめします。
後期段階
ストレッチマークが進行すると、最終的には白っぽい線になり、線に沿って皮膚はへこんでしまうため、触るとぼこぼことしています。
この段階になるとセルフケアで対処することは難しいため、美容医療の力を借りる必要が出てきます。
セルフケアで限界を感じたら美容医療の力を借りよう
初期段階であればストレッチマークをある程度目立たなくさせることができますが、できてから時間が経過していてセルフケアでは対処できない場合や、よりきれいに直したいという場合には美容医療の力を借りるのも一つの手です。
では美容医療ではどのような方法でストレッチマークをきれいにすることができるのでしょうか。いくつか方法をお伝えしていきます。
瘢痕形成術
瘢痕形成術は外科的な治療になります。ストレッチマークが進行して深い溝になったり、波打っている線が広がっている場合にその部分を切開し目立たないようにする方法です。切開したあとにはもちろん縫い合わせなくてはならないので、自分が気にしている部分の全ての皮膚を切除できるわけではなく、最終的に問題なく縫い合わせることができる分の皮膚を確保しておく必要があります。
そのためストレッチマークを完全に消せるとは言えないのですが、広範囲に目立つようにのびていたストレッチマークをある程度一本の線のように見せることができるので、元々よりもストレッチマークが目立たない仕上がりにすることができます。
リダクション
リダクションは腹部で行われることの多い外科的な治療法です。ストレッチマークがある箇所の皮膚が著しくたるんでいるのに加え、その皮膚の下にたくさんの脂肪を抱えている場合に有効です。脂肪を皮膚ごと切除して縫合するため、脂肪の除去とたるんだ皮膚を一度に除去することができます。
先にご紹介した瘢痕形成術は皮膚のみの切除なのに対し、リダクションは皮膚+脂肪なので手術にあたってかかる体への負担はリダクションの方が明らかに大きくなります。
手術後しばらくは切開した部分の傷跡が赤く目立ち、術後1年ほどで徐々に目立たない細い線となっていきます。
炭酸ガス治療(炭酸ガスメソ)
炭酸ガス治療は気になるストレッチマークの部分に細い針を刺し、そこから炭酸ガスを注入する方法です。
もともとは動脈硬化などの血管障害の治療法として用いられていた方法ですが、ストレッチマークや傷跡の改善にも効果があると分かり、美容医療でも用いられるようになりました。
炭酸ガスを注入することで注入した部分の血流が増加し、代謝もアップします。いわば炭酸ガスを注入した部位では有酸素運動が局所的に行われているような状態になります。すると真皮層にある繊維芽細胞が刺激され、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の生成が促進されます。また、ターンオーバーも促進されるため、結果としてストレッチマークの部分の肌の入れ替えが進み、改善するということになります。
針を刺す治療のため痛みを伴う治療ではありますが、特別な薬剤を使用することなく行える方法のため、副作用なく安全に行える治療法とされています。
ダーマペン・ヴェルベットスキン
ダーマペンは髪の毛よりも細い直径0.2mmの超極細の針が16本ついており、その針それぞれが1秒間に120回もの振動で素早く皮膚に穴を開けて傷つける治療になります。肌を傷つけることにより肌の自然治癒力を高め、コラーゲンやエラスチンの増殖を促して新しい綺麗な肌に生まれ変わらせます。
ダーマペンは薬剤を一緒に使用することも可能です。ダーマペンで開けた穴のところから薬剤が入り込むことで、より肌内部に浸透しやすくなり、薬剤単体、ダーマペン単体で治療を行う場合よりもより高い美肌効果を発揮することができます。
その代表と言えるのがヴェルベットスキンです。ヴェルベットスキンはダーマペンとマッサージピールを組み合わせた美肌治療です。マッサージピールはトリクロロ酢酸と過酸化水素、コウジ酸を主成分とした美容薬剤です。トリクロロ酢酸は肌の真皮層にある線維芽細胞を刺激してコラーゲンの生成を活発にする働きがあります。そして過酸化水素には炎症作用を軽減する働き、コウジ酸にはメラニンの生成を抑制する働きがあります。
ストレッチマークが気になる箇所に施術することで肌のターンオーバーが促され、回数を重ねるごとに目立ちにくくなっていくでしょう。
ポテンツァ
ポテンツァはニードルRFという治療法の一つです。ニードルは針、RFはラジオ波の意味を持ち、極細の針(マイクロニードル)の先端から照射する医療機器です。
ポテンツァには「ドラッグデリバリーシステム」という機能が搭載されています。これは極小針が肌から抜ける時に空気が推し出され、その力によって薬剤が肌の真皮層にまで均等に届けることができる機能になります。水光注射やダーマペンなど、極細の針を用いて肌内部に薬剤を入れる治療は他にもありますが、このシステムにより他の治療に比べてより多くの薬剤を届けることができるようになりました。
ニードルで肌に傷をつけることで肌の自然治癒力を高めることができることに加え、さらに肌に刺したニードルの先から薬剤以外にRFが出ることで肌内部に熱エネルギーが伝わることで、より肌を再生する機能が活性化します。
その結果、コラーゲンやエラスチンの生成が活発になり、肌質改善の効果が期待できます。これによりストレッチマークが気になる箇所の肌再生が促され、改善へと導きます。
サーマクール
サーマクールはRF(ラジオ波)を用いた治療になります。強力なたるみ治療として多くは顔や首の施術に用いられることが多い治療法ではありますが、ストレッチマークの改善にも効果があります。
RFは熱エネルギーのため、照射をするとその部分の皮膚や脂肪が収縮し、きゅっと引き締まります。それに加え、熱エネルギーが真皮層に届くとコラーゲンやエラスチンの生成が促され、肌にはさらにハリが出てストレッチマークが目立たなくなります。
サーマクールは施術直後からダウンタイムがない治療のため、二の腕など夏場だと一目につきやすい箇所についても周囲にバレることなく治療することが可能となります。
アートメイク
眉や唇、アイラインなどで人気のあるアートメイクですが、ストレッチマークに対しても対応しているクリニックがあります。進行して白っぽくなってしまったストレッチマークの部分に周囲の皮膚と同じ色の色素を入れることで視覚的に目立たなくさせることが可能です。
ストレッチマークを改善する根本的な治療とは異なるため、色味を目立たなくすることはできますが、肌の凹凸をなくすことはできません。またアートメイクは永久的なものではなく、時間の経過とともに色素が落ちていくため、持続期間は1年〜1年半ほどと言われています。
その特性を生かして、例えば自分の結婚式で腕全体を出すドレスを着る予定があるが、二の腕に気になっているストレッチマークがあるなど、大切な予定を控えている方などには向いている治療といえるでしょう。
諦めるのはまだ早い! 気づいた時に適切なケアをしてストレッチマークに対処しよう!
今回は多くの女性のお悩みであるストレッチマークについてお話ししてきました。
一度できてしまうと簡単には消えてくれないストレッチマークですが、できてからの対応が早ければ早いほどきれいにできる可能性が高くなります。
また、万が一進行してしまっても目立たなくするための美容医療があります。自分だけの力ではなかなか難しいですが、信頼できるドクター・クリニックとともに適切なケアをしていきましょう。そうすればなかなか乗り気になれなかったプールや海水浴、温泉なども楽しめるようになって、一歩前に進めるかもしれませんね。
*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込みです。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。
つーさん
ナース歴11年目。岩手県出身。地元の大学卒業後、都内の大学病院にてNICU勤務→美容ナースとして5年間勤務→現在は保険診療のクリニックで勤務中。美容ナース時代は大手美容クリニックにて2年間勤務し、その後個人クリニックへ転職、脱毛クリニックでアルバイトをしていたため、美容外科・美容皮膚科を幅広く学んできた経験がある。
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執筆:
つーさん看護師
大手美容クリニックにて美容ナースとして働き始め、現在は個人の美容クリニックで勤務しており、美容ナース歴は7年目。
これまで複数のクリニックで医療脱毛、美容皮膚科、美容外科の領域を学び、幅広く経験を重ねている。
そのため、患者様に対して必要な治療をピックアップし、サポートできるのが強み。
個人クリニックでは管理職の経験があり、スタッフ育成やクリニック運営に携わってきた。
都内大学病院勤務(NICU)
大手美容クリニック(美容皮膚科・美容外科)
美容クリニック(美容皮膚科・美容外科、医療脱毛)
内視鏡クリニック
美容クリニック(美容皮膚科・美容外科、医療脱毛)
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