女性のからだの悩みのなかでも特にデリケートなものが女性器に関する悩み。人と比べることができないので「もしかしたらみんなと違うのかな?」という不安を抱えている人が意外に多いのです。なかでも小陰唇(しょういんしん)の肥大や左右差などは意外と多い悩み。ここでは気になるけれど、なかなか人に聞けない「小陰唇縮小術」がどんな手術なのか、どんな修正ができるのかなどについて詳しく解説していきます。

【監修医師からのワンポイント】

小陰唇の大きさ、形で悩まれている方は、とても多くいらっしゃいます。私が担当した方で、中学生時代から手術を受けたかったけど、誰に相談していいか分からなかった20代の方や、手術があることを知らず、もっと早く受けたかった!という40代の方がおられました。 小陰唇縮小術は、デリケートな部分で他人と比較しにくいため、お悩みを1人で抱えがちです。小陰唇という単語も一般的ではなく、なかなか患者様ご自身で手術のことを調べるのも大変かと思います。しかし手術を受けた後は皆さんとても快適に過ごされる方が多く、満足度の高い治療になるかと思います。 ご不安な方は、ご家族同伴でも診療可能ですので、カウンセリングで是非ご相談ください。

目次

  • 1.気になる小陰唇縮小術ってどんな施術?
  • 1-1.小陰唇(しょういんしん)とは
  • 1-2.小陰唇の悩み。相談が多いのは?
  • 1-3.小陰唇縮小手術を受ける女性が増えている?
  • 2.小陰唇縮小術とは?
  • 2-1.小陰唇縮小術のプロセス
  • 2-2.小陰唇縮小手術のダウンタイム
  • 2-3.小陰唇縮小術の費用。保険適用になる?
  • 2-4.小陰唇縮小手術の口コミ・体験談ブログ
  • 2-5.小陰唇縮小術の合併症・後遺症。感覚は悪くなる?
  • 3.おわりに

1.気になる小陰唇縮小術ってどんな施術?

普段、あまり自分で目にすることのないパーツですが、小陰唇の形状や色について悩んでいる人は意外に多いと言われています。小陰唇縮小術を受ける人も増えていますが、他の人がどんな悩みを持っているのか気になるところ。まずは「どんな悩みが多いのか」から見ていきましょう。

1-1.小陰唇(しょういんしん)とは

出典 https://www.kobayashi.co.jp/

「そもそも小陰唇ってどこのことなの?」という方はまず、上の図からチェックしてみてください。普段、あまり話題にのぼることがないので、なんという名前なのかすら知らなかったパーツが多いのではないでしょうか。

いわゆるIゾーンと呼ばれる皮膚、大陰唇(だいいんしん)の内側にあり、クリトリスから会陰(えいん)のあたりまでを覆うヒダ状の組織が小陰唇です。粘膜で血流が多い部分なので、ちょっとした摩擦や傷などで大きく腫れたり赤くなったりすることがあります。

また、この画像にある器官のほかにクリトリスの周りの皮膚にもヒダが見られることがあります。これは「副皮」と呼ばれるもので、副皮も肥大がみられる場合、小陰唇と合わせて治療する必要が出てくることもあります。

1-2.小陰唇の悩み。相談が多いのは?

婦人科形成クリニックで相談される悩みは以下のようなものがあります。いくつかの悩みが重なっているケースも少なくありません。最近はハイジニーナ脱毛をしたあと、小陰唇の形や色が気になるようになったという女性が増えています。

  • ・左右非対称
  • ・小陰唇が大きすぎる(小陰唇肥大)
  • ・小陰唇が大きく、痛みやかゆみがある
  • ・ヒダの部分の形がいびつ
  • ・尿が飛び散る
  • ・色が濃い

■左右非対称な人は多い?

小陰唇の大きさ、形には個人差があります。一番、多い悩みは左右の大きさが違うというもの。片側だけが大陰唇からはみ出ていて、下着と擦れて不快感を覚えることも。接触性皮膚炎を起こしやすい状態になるとも言えます。

脚を閉じた状態で小陰唇が大陰唇に完全に隠れるという人はそれほど多くはなく、ほとんどの人は小陰唇が少し露出した状態です。ただし、遺伝や女性ホルモンの影響、物理的な刺激(左右どちらかだけに引っ張られるなど)で大きくなったり左右差がでたりすることがあります。

■こんな場合は小陰唇が大きい? 尿の飛び散り方をチェック

小陰唇は尿の飛び散りを抑えるはたらきももっていますが、左右差が大きいと尿の飛び散り方も左右差がでます。特に分かりやすいのが和式トイレを使用したとき。尿が便器の外に飛び散ってしまったり、左右どちらかにかたよって飛び散る場合、小陰唇が左右非対称であることが考えられます。

小陰唇肥大の場合、皮膚の重なった部分に恥垢(ちこう)と呼ばれる垢がたまり、臭いの原因になることがあります。

■部分的に濃くなる

小陰唇の色が、部分的に濃くなるというのも一般的な悩みです。これは女性ホルモンの影響によるもので、乳頭の色が濃い人は小陰唇の色も濃いことが多いようです。小陰唇肥大によって、常に下着に触れていることにより摩擦が起きて色素沈着が起こるケースも。「男性経験が多いと思われるのでは?」という悩みを持っている人もいますが、これはまったくの迷信です。小陰唇縮小で余分な皮膚を切除することで、色素沈着した部分が少なくなり、色も気にならなくなります。

1-3.小陰唇縮小手術を受ける女性が増えている?

日本のクリニックでも小陰唇縮小術を希望する患者さんが増えていると言われていますが、イギリスでは15歳くらいの女性が手術を受けることもあるそうです。小陰唇の形には個人差があり、どんな形が正しい(あるいは美しい)のか正確な定義があるわけではありません。本当に手術が必要なほどなのか、まずはカウンセリングを受けてから考えるのがよさそうです。

■10代の手術はおすすめできない?

特に若すぎる年齢で小陰唇縮小術を受けると成長による体の変化が完了したときに左右非対称などを引き起こす可能性があるため、手術を考えるなら第2次性徴を過ぎてからの方が望ましいです。

「小陰唇肥大症」というと病気であるかのような印象を受けますが、体に異常であるわけではありません。極端に肥大しているケースは別ですが、本人が自覚するトラブルがなければ、そのままにしておいても問題はありません。

■治療を受ける女性の年齢層は若い世代から70代まで

最近では将来、介護を受けるときのために見た目を整えておきたいという理由で手術を受ける60代以降の女性も増えています。デリケートゾーンの脱毛と同じですね。

2.小陰唇縮小術とは?

小陰唇縮小術とは

出典 http://free-photos.gatag.net/

小陰唇縮小術というと「女性器の手術なんて痛そうで怖い」と考える人が多いと思います。ここからは手術がどんなプロセスで行われるのか、ダウンタイムなどについて詳しくお話していきます。

2-1.小陰唇縮小術のプロセス

まずはカウンセリングでどんな形、バランスに整えたいか、どんな悩みがあるかなどを詳しく相談します。手術のプロセスはクリニックによって若干差があるので、どんな流れで行われるのか、アフターケアなど疑問があれば確認するようにしましょう。なお、持病の治療などで内服している薬があれば、忘れずに医師に伝えるようにしてください。

■手術の流れ

  • ・事前にIラインの剃毛をしておきます。
  • ・極細の針を使用して切除する部分に局所麻酔をします。針の痛みが怖いという人は麻酔クリームを併用することも可能です。
  • ・余分な皮膚を専用のメスで切除します。
  • ・出血がある部分を止血し、縫合し、完了です。しばらく安静にしてから帰宅します。

施術時間は30分~1時間程度。日帰りで手術することができます。傷跡はほとんど分からないようになるので安心。感染予防のための抗生剤と痛み止めの内服薬を処方してくれるので、つらいときは痛み止めを飲むようにしましょう。

■抜糸する? しない? 縫わない方法も

小陰唇縮小術は吸収性の糸で縫合するため、抜糸の必要がないとされています。しかし、クリニックによってはあえて抜糸をするところもあります。

■■抜糸しない吸収性の糸を使用するメリット

吸収される糸は抜糸の必要がないため、術後の通院が必要ありません。地方に住んでいる方で抜糸のためだけに通院するのが難しいという方はこの点がメリットになります。術直後から糸は表から見えません。ですので衛生面の問題などはありません。

■■抜糸するメリット、デメリット

吸収される糸でも実際は完全に糸がなくなるまで時間がかかり、複数の糸を用意していて、患者さんの希望によって使い分けているところもあります。こちらは術直後から抜糸まで、糸があります。デメリットは抜糸が必要で、腫れているところで抜糸するので、痛みを伴うことです。カウンセリングで糸の違いや医師の考え方をよく説明してもらい、メリット、デメリットを踏まえたうえで自分にあった選択をするようにしましょう。
その他にも糸を使わず、医療用ボンドで接着する手術を行っているところもあります。医療用ボンドは自然にはがれ落ちるのでダウンタイムが短い、抜糸が必要ないので、再来院する必要がないというメリットがあります。しかしボンド法は、ボンドがはみ出た場合上皮化を遅らせたりするリスクもあります。

メリットデメリットを踏まえた上で自分に合った選択をしましょう。

2-2.小陰唇縮小術のダウンタイム。痛みは1週間程度

手術後しばらくは患部が腫れた状態になります。手術後、3~4時間程度で麻酔が取れてくるため、痛みを感じるようになりますが、痛みの強さは人によって異なるようですが、1週間程度でほとんどおさまります。しばらく少量の出血が続くこともあるので生理用ナプキンで対処しましょう。

シャワーは翌日から可能ですが、強い水圧で流したり、ゴシゴシこすったりしないことが大事です。せっけんや泡のボディソープを優しく患部にのせて、優しい水圧で洗いましょう。
体が温まると血行が促進されて、腫れが悪化する恐れがあるので、湯船につかるのは可能ならば7日間ほど我慢するとより安心です。

激しい運動は1〜3週間ほど控えてください。性交渉は1週間〜1カ月で可能となります。手術方法によって異なりますので、医師によく確認するのを忘れないようにしましょう。

2-3.小陰唇縮小術の費用。保険適用になる?

小陰唇縮小術の費用の相場は150,000~250,000円程度。片側だけの場合70,000円くらいから手術を受けることができます。抜糸がいらない医療用ボンドを用いる方法は250,000円程度からと高めです。

■小陰唇縮小術は保険適用?

小陰唇縮小術はすべて自由診療となります。

2-4.小陰唇縮小術の口コミ・体験談ブログ

友達同士や家族の間でも話題になることが少ない女性器の悩み。でも、実際には小陰唇縮小の手術を受ける女性は増えています。婦人科形成の手術のなかでは満足度の高い手術といっていいでしょう。ここでは実際に切る小陰唇縮小手術を受けた方のブログや口コミを紹介していきます。

■小陰唇縮小術を受けた方のブログ

・二重埋没整形・小陰唇縮小整形をしました
http://blog.goo.ne.jp/knbnknbn

医療用ボンドで止める方法の手術を受けた方のブログ。術後2週間でもまだ痛みが残っていると書かれています。また、2週間の時点ですでにボンドははがれ落ちているとも。1日ごとの経過が書かれているので、手術を受けたい人は必読です。

・小陰唇縮小手術体験談

http://taikendanabc.blog.fc2.com/

術後、出血が多く長引いたという患者さんの体験談。このような症状のときは迷わず、病院へ連絡し診察を受けるようにしてください。ちょっと不安になるかもしれませんが、手術を受けるなら知っておく価値はある内容です。

■麻酔が痛かったという声

■手術後のレポート

・韓国で小陰唇縮小の手術を受けた女性のtwitterでの体験談

2-5.小陰唇縮小術の後遺症・合併症。感覚は悪くなる?

小陰唇縮小手術が終わったあとで、人によっては状態に満足いかないことがあるかもしれません。その場合、再度手術してくれるような制度のあるクリニックを選んでおくと安心です。その他、一時的な経過であっても不安になりそうな症状として以下のケースがあげられます。

■出血が多い、傷口に血液がたまる

生理用ナプキンをあてていてもぐっしょりしみるほど出血が起こるという人がいます。なかには救急車を呼んだという人もいるようです。

小陰唇は粘膜部分で血流が多いため、手術中に十分に止血しないと術後、出血が起こることもあります。手術自体は30分から1時間で終わりますが、術後、クリニックでしばらく安静にしておくとその後の出血が少なくなります。手術中に止血をきちんと行ってくれるような症例数の多いクリニックを選ぶことがポイントです。また、万が一のときに緊急の際の連絡先を教えてくれるようなクリニックを選んでくださいね。

■傷口が腫れる

傷から雑菌が入るなどして、腫れてしまうことがあります。処方される抗生剤を飲むことで予防できますので、忘れずに飲むようにしてください。

■感覚が悪くなることはある?

手術の弊害として小陰唇の感覚が悪くなることを心配する方が多いようです。後遺症の一種のように考えられていますが、感覚が悪くなることは考えられます。ただし、傷跡が治る経過で一時的に感覚が鈍くなるように感じることはあるでしょう。長くても半年から1年程度で回復するので安心してください。心配な方はカウンセリングで医師に説明してもらいましょう。

3.おわりに

誰にも相談できずに悩んでいる人が多い小陰唇についての悩み。でも、実際には都内の大きなクリニックなら毎日、何人も手術を受けている人がいるほど、一般的な治療です。パートナーに指摘されたりして、長期間悩みを抱えてしまう人も多いようですが、つらいときは思い切って女性医師の在籍するクリニックで相談してみてはいかがでしょうか。

*本記事内でご紹介した治療機器、施術内容は、個人の体質や状況によって効果などに差が出る場合があります。記事により効果を保証するものではありません。価格は、特に記載がない場合、すべて税込です。また価格は変更になる場合があります。記事内の施術については、基本的に公的医療保険が適用されません。実際に施術を検討される時は、担当医によく相談の上、その指示に従ってください。

Emiri

Emiri

美容系全般得意なライター。自身でも美容医療を実践。

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監修:

松本典子 医師

ライフビューティークリニック大宮

川崎医科大学卒業。形成外科専門医。地域への恩返しを目指して2023年12月ライフビューティークリニック大宮を開業。美肌治療、たるみ治療、婦人科形成(女性器形成)を中心に美容医療と保険診療を提供。患者さんと共に歳を重ねていきたいという想いから、通いやすい価格帯を設定しています。治療の際の痛みに配慮し、ダウンタイムを最小限に抑え、デザインにもこだわった美容外科手術、レーザーや注入治療、美容皮膚科など豊富な治療を提供しています。
得意施術は、ボトックス注射、ヒアルロン酸注入、糸リフト、婦人科形成。

2009年 川崎医科大学 卒業
2009年 自治医大附属さいたま医療センター 初期研修
2012年 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 後期研修
2014年 日本医科大学付属救命救急センター 助教
2019年 東京美容医療クリニック
2020年 日本医科大学形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
2021年 Wiクリニック大宮院 院長
(その後、都内美容外科・美容皮膚科クリニックで美容医療の研鑽を積む)
2023年 ライフビューティークリニック大宮 開院